放浪者の稲妻行 〜超巨大機神統治国家〜    作:旅人さんた

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参拾玖 断片の幕切れ、因縁の出会い

赤い女「この後の予定もあることだし、手助けをしようかしら」

 

 

 

 

 

六芒星を描く雷の刀は流星のように放浪者へ襲い掛かる。

放浪者としては、すべてを防ぎきれる自信があるというわけではない。しかし、それを考慮していては戦いにならない。

放浪者は自身にとって嫌悪の対象である自身の持つ雷に風元素を込める。それは空気を焼き切った際に生じた者か、それか何者かの手助けか、火花を散らす紫の刀に力を籠める。

 

そして

 

「稲光、すなわち」

 

放浪者の全身に降りかかる攻撃はすべて炎によって防がれる。

 

風元素と雷元素を圧縮した力を、空居力すべてを使い機神にぶつける。

 

「──の時」

 

その光は、神を殺す。

 

偽るものの声はもうきこえない。稲妻上空から両断された機神が転落する。

 

最早機神の脅威はない。

 

放浪者にはもう、意識を保つエネルギーすらなかった。

 

 

 

 

『わ、たしは、まだ...』

 

「いいえ、あなたはもう終わりよ。」

 

海に浮かぶ残骸の上に草神が降り立つ。

 

「契約違反ではあるけれど、あなたの本体も本意ではないことでしょうし、あなたの対処は私が決めるわ。」

 

『なに、を』

 

「あなたはスラサタンナ聖処でかくまってあげる。無境の力でその姿のまま保っておくわ、そしてこれから一生...そうね、週に一回くらいかしら、旅人と『対話』することね。」

 

 

 

「大丈夫でござるか?」

 

万葉が放浪者に優しく語り掛ける。

 

「あぁ、ここは?」

 

「神里屋敷でござる。稲妻城は現在改修作業で立て込んでるでござるから、綾人殿の好意でここにいさせてもらっておる。」

 

「そうか、すまないね。」

 

「無事は確認できた。そなたに話がある人物がいてな、少し外すでござるよ。」

 

そう言って、その人物に軽く目くばせし、万葉はその場から離れた。

 

「意識が戻ったようで、何よりです。」

 

そこには、稲妻を治める神、雷電将軍がいた。

放浪者は、ゆっくり、言葉を選ぶ。

 

「それはこちらのセリフだ。ただ、こんなところにいていいのかい?稲妻城の改修で忙しいのでは?」

 

我ながらよくできたほうだと感じる。ぶつけたい言葉や、っくすぶる感情もある。しかし、それをすべて飲み込んだ。

 

「今回の事件の一番の功労者はあなただと聞きます。それをむげになどできませんよ。」

 

「そうか、お優しいんだな。」

 

「あなたには聞きたいことがたくさんあります。その体のこと、出自、あなたはこの稲妻、いえ雷電に連なる──」

 

 

「治療が終わったのなら、控えてもらえないかいら、バアルゼブル」

 

もう一人、いや、もう一柱が割って入る。

 

「そういうわけにはいきません、ブエル。彼を放置するのは危険すぎます。稲妻に対する尽力は感謝しますが、それはそれとして彼についての情報があまりにも我が国になさすぎるのも違和感があります。」

 

「そうでしょうね、なにせ彼はスメールの極秘事項。こうしてあなたの目に留まることすら避けたいものなのだから。」

 

「それは、スメールには明確に、私を模したものを製造、破壊する能力を持つ可能性があるものを保持しているということでしょうか?それも極秘で。」

 

「どうとらえてもらっても構わないわ。とにかく彼との接触は控えてもらえるかしら」

 

二柱の目線が交差する。

 

「わかりました。ここは私が引きましょう。最後に彼に一言はなしても?」

 

「わたくしがここにいるということを、わすれないでくれるのなら、ね。」

 

雷電将軍は横になる放浪者に向き合い。口を開く。

 

「あなたに感謝を。この国、稲妻を救っていただきありがとうございます。気になることはありますが、あなたの功績に比べれば些事、きっと、稲妻と無関係ではないのでしょう。もしあなたが望むなら、居場所は作っておきます。いつでも歓迎します。」

 

その言葉は、放浪者にとって複雑な内容だった。

彼に返す言葉はない。彼女に自分の記憶はない。そうしたのは自分だ。だからといって胸にくすぶる感情に整理ができているわけではない。

 

「そのつもりは、ないよ。大事な、大事な居場所ならある。

うん、自分はまさしくスメールの学生でね。勉学にいそしむのに大変なのさ。」

 

そして、放浪者は胸元からもう光らない神の目をとりだす。

 

「これ、万葉に渡しておいてくれないか?」

 

雷電将軍はしばし黙り、無言で受け取った。

それは放浪者による雷電将軍への精いっぱいの嫌がらせだった。

 

「そうしましょう、あなた、いい性格していますね。」

 

「お互い様、だろ」

 

 

「では帰りましょうか、その腕、動きそう?」

 

「あぁ、だがこれは誰が直してくれたんだ?」

 

「ごめんなさい、それがわたくしにもわからなくて...フォンテーヌの技術が使われているのはわかるのだけど、人形技師がここにいる情報はないし...」

 

「フォンテーヌ?これはまさしく以前の僕の腕に近い。博士にいろいろいじられたから完全にとはいないが、元は雷電将軍と同様のものだ。となると、どの国にも属さない場所と関係することになるが...」

 

「いったん、今は五体満足で帰れることに感謝しましょう。港でアルハイゼン達が待っているわ。長い船旅になりそうだし、簡単に来れる場所ではないでしょうから、別れの挨拶はしっかりね。」

 

 




お久しぶりです。ナドクライのpvで放浪者の登場が確定し、原神へのモチベが回復しました。
長らく空けていたのに読んでくださり、ありがとうございます。
もう二話ほどで終わるかと思います。
デイリーや螺旋などはやっていましたが、本格的にプレイしてなかったので環境の変化に驚いております。
ヌヴィレットがいまだに前線にいるのは流石ですね。
小さな事件から大きな陰謀などに結びついていく原神のストーリーが好きだっので、ナタはさいしょの方で読まなくなってしまったのですが、ちゃんと読むとかなり面白かったです。演出もかなり気合入ってましたし。
なんとかナドクライまで進めましたが、かなり原神の本筋が動きそうでワクワクしてます。
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