放浪者の稲妻行 〜超巨大機神統治国家〜    作:旅人さんた

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玖 第十一位

「公子 タルタリヤ...」

 

「あれ?もしかして以前戦ったことがある?君ほどの実力。そうそう忘れることはないと思うけど。」

 

いや...だって、それは

 

「なんだ。ファトゥスの面汚し。第十一位のタルタリヤじゃないか。」

 

「どうやら過去の俺は相当君に嫌な思いをさせたようだね。ここまで直接的な侮辱は初めてかもしれないよ。」

 

 肩の荷を下ろす。

確かにファデュイの中では実力者ではあるが、放浪者──「散兵 スカラマシュ」の順位は六位。

単純な実力順で位置づけられるファトゥスにおいて、その差はそう簡単に埋められるものではない。

 

 放浪者自身、以前と同じ力を使っているわけではないが、タルタリヤの戦い方は熟知している。

あの程度なら、なんとかなるだろう。

 

「ここまで挑発されたんじゃ、こちらも乗るしかないな。本気...とまではいかないが、それなりに全力で当たらせてもらうよ。」

 

タルタリヤは水元素の神の目の持ち主だが、邪眼によって雷の元素も扱う。

 

(雷相手に、僕が負けるはずがない。)

 

「降伏するなら今のうちに。俺は敗者に優しいからね。

...タルタリヤ参る。」

 

「放浪者だ。ファトゥスの意地を見せてくれ。」

 

片方は弓を双剣に変え、片方は空へと舞う。

 

衝突が、始まる。

 

 これまでのような一方的な虐殺とは違う。激戦であった。

放浪者が距離を取ろうとすると、水の剣を弓に戻し、矢が飛んでくる。

逆に近づこうとすると、双剣の餌食だ。

 

 タルタリヤも、相手が宙に浮かんでる分間合いを測りにくい。

弓が苦手なタルタリヤにとって、距離を取られるのはまずい。

確実に当てられる距離にいるうちに、牽制をする。

 

だが、

「思うに、君は至近距離での戦闘に向いてないようだ。

それでは、おれにおいつけない。」

 

そう、その状態では互角。いや、やや放浪者が勝っている。

だが、タルタリヤには邪眼がある。

 

(こいつ、以前より複数元素の扱いが上達している!?『誰か』を参考にしたのかッ。)

 

水元素で足りない部分を邪眼が補完する。タルタリヤの戦いかたは、以前より実に合理的であった。

 

「ペラペラしゃべる暇があるなら、だいすきな戦闘に集中したらどうだい?」

 

「あれ?俺の大好物が戦闘だってこと話したっけ?」

 

(そろそろか...)

放浪者の飛翔は、強力ではあるが制限がある。

そして、降下の際は隙が生まれてしまうのである。

 

だが、このまま連続で戦えないのは相手も同じこと。

基本的に間合いを取らせてもらえないタルタリヤの攻撃だが、いずれ終わりが来る。

そこまで耐えれば、勝機はあるはずだ。

 

(今だッ)

 

タルタリヤの攻撃が鈍り始めたことを感じ、距離を取って降下し…

 

 

「隙を見せるのはほんの一瞬だ!」

 

「なッ!ぐァッッ!!!」

 

直撃だ。

放浪者は、この状態での攻撃を想定していなかった。

なぜなら、ここでの攻撃は次への攻撃の準備に支障が出るからである。

ならば...

と、放浪者は生じた隙を見逃さないために、痛覚回路を遮断した。

身体へのダメージを把握するために必要なのだが、仕方がない。

 

と、無理やり飛翔を再開する──が、

 

タルタリヤはすでに至近距離での戦闘状態に入っていた。

 

目論見が崩れる。

短距離、中距離、長距離の戦闘を瞬時に切り替えられるのであれば、余裕も何もない。

 

次あの攻撃を食らえば、致命傷になりえる。

 

「お、耐えたか。いいね楽しくなってきた。俺の戦いはこうでなくっちゃ。

でもまだ満足はしていない。さぁもっと魅せてくれ!」

 

(チッ多少リスキーだが、やるしかないか!)

 

──夢跡一風

放浪者は飛翔中に移動することで、風の矢を放つことができる。

ただ、弓を持つタルタリヤを前に、飛翔状態での硬直は見せたくなかった。

しかし、多少のダメージは無視することにした。持久戦に持ち込めば、身体の構造上勝ちの目はある。

 

そう思い、夢跡一風を発動させてるが、矢は一向に飛んでこない。

なんとか弓を構えているが、放浪者の風の矢の反動でまともに撃ててないのある。

先ほどまでの戦闘のキレとは大違いだ。

 

(そういえば、こいつが弓を扱っている姿は見たことがなかった...まさかッ)

 

そう、タルタリヤは現状弓を持ち歩いてはいるが、それは不得手の克服のためである。

 

それに気づくと、放浪者は逃げるように後方に下がる。

放浪者の飛翔は、それ自体が強力ではあるが、高速の移動も強みなのだ。

弓の攻撃を恐れ、これまで無理やり距離を取ることはしなかったが、こうなってくれば話は別だ。

 

突然の行動に、タルタリヤは対処しきれない。

「なッ逃げッ」

慌てて弓を構える...が

 

「わけないだろう!」

高速移動とはいえ、限界がある。

放浪者は限界である降下の直前に、それを起動した。

 

──狂言・式楽伍番

タルタリヤの足元に大気を圧縮させ、空洞を生み出したのだ。

 

「クッ」

攻撃後の硬直、威力を伸ばすまでの条件などあるが、直撃すれば必殺の一撃である。

 

だが、流石ファトゥスといったところか、タルタリヤは力果て、地に伏すまでで済んでいた。

 

とどめを刺したかったが、放浪者も限界に達している。

「十一位相手にこれじゃ、僕ももう...」

 

だが、それを妙に誇らしく感じている自分もいた。

 

痛覚回路を戻す。痛みを感じない状態を続けると、身体を破損する可能性がある。

 

とりあえずこの気絶している大将を土産に、抵抗軍の陣地で体を休めることにした。

 

「確かに...個人的な戦闘では君の勝ちだ。でも、俺にも任務ってのがあるからね。」

 

「申し訳ないが、うまく生き延びてくれよ?」

 

 

 

・夢跡一風

児姿優風状態時、放浪者の空居・不生断または空居・風刀界が敵に命中すると、16%の確率で「傾落」効果を獲得できる。

「傾落」効果: 放浪者は現在の児姿優風状態で空中ダッシュをすると空居力を消費せず、代わりに傾落効果を解除する。

また同時に風の矢を4本放ち、それぞれ攻撃力の35%に相当する風元素ダメージを与える。

 

・弐番・箙島廓白浪

児姿優風状態時、空居力の上限値と現在の空居力の差が1あるごとに狂言・式楽伍番の与えるダメージが4%アップする。

この方式でアップできる狂言・式楽伍番のダメージは最大200%までとなる。

 

・魔王の武装・荒波

水で構成された武装を解放し、周囲の敵に水元素ダメージを与え、近接モードに入る。

この状態の時、タルタリヤの通常攻撃と重撃は水元素ダメージとなり、元素付与によって他の元素に変化することはない。また、攻撃は下記のように変化する。

 

・極悪技・天使の滅び

極悪技・尽滅閃発動時、魔王の武装・荒波のクールタイムをリセットする。

この効果は遠隔モードに戻った後に発動する。

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