店内に入ると一般客もいるようで、やっぱりか注目されている。武内は店主の男性に声をかけて、話を始める。
「武内さんじゃないか。待ってたよ…一般客もいるが、ゆっくりしてくれよ。」
「ありがとうございます。先に来ていると思うのですが。」
「案内するよ…上の階だ。」
店主の案内で上の階に上がる。この料理店の建物は、木造二階建であり結構な広さがあるため、大勢の団体客も受け入れる。
「2階は貸切りで良いぞ。予約されてるからな。」
「ありがとうございます。ですが…誰が?」
「安室さんだよ。」
安室の名前を聞いた武内は納得した。送別会兼解散会の計画の話し合いをする際、ちひろの他に安室にも相談していたのだ。
「料理は後で運ぶからよ。」
店主は厨房に行った。2階にはちひろ、小梅、みく、かな子、李衣奈、卯月、菜々が来ていたようだ。
「青…久し振り…だね。」
「先月会ったよね?小梅姉ちゃん。」
「む…」
「それと、霊の伝言板はダメだよ。わかった?」
「青だけなら…良いかな?」
笑みを浮かべている小梅に、コナンは「時期を考えてね。出来るだけ…」と言って、諦めてしまった。既に経験しているため、断らなかった。
(江藤青……江戸川コナン……工藤新一……大変だったんだね。)
「江藤さんの送別会とプロジェクトの解散会を始めましょうか。」
「青君がプロジェクトに来たの4年前だよね?」
未央はコナンが所属当時のことを思い出すと、コナンは頷きながら「あの時は、所属プロジェクトは決まってなかったんだけど。」あの頃は、まだコナンの担当プロデューサーはいなかったのである。
「でも、プロデューサーは青君の仮でも担当になったよね?」
「はい。今だから言いますが。あの時は、アイドルイベント会場の爆破事件が発生していたのもあって、その処理やアイドル達のメンタルケアのこともあり、会議をする暇がなく。私も含めて、美城専務の提案で、仮ですが担当となりました。」
(安室さんとあの専務が、共犯者だと知ったのは事件後だし。杏姉ちゃんは、共犯者だと見抜いてるし。誘導された感じがする。)
コナンは内心、安室に恐怖を抱いてしまった。
(俺のミスで、一部バレちゃったし。)
いろいろと過去の自分に後悔しているコナンは、頭を抱えている。それを見ていた杏が心配していた。
「青。どうかしたの?」
「え、なんでもないよ…杏姉ちゃん。」
「………………ならいいけど。料理が来たから食べるぞ!」
店主が野菜を使った料理を運んでくると、杏が薄くて赤いスープを一口飲んで、目を輝かせている。
「このスープ甘くて美味しい!」
「人参を使ったスープだよ。他の野菜も使うが、これなら人参嫌いな子供でも問題ないだろう。」
皆は料理を食べたりしながら、楽しんでいる。小梅は急に立ち上がると武内に「電話してくる…少し…離れ…ます。」と言って、店の外に出る。
「どうしたの……悪意……?青に…教えればいいの……わかった。キュラソー…」
数分間電話をするフリをして、小声で何かと会話していた小梅は、皆の元に戻っていく。
1階で、食事をしている博士、哀、蘭、園子、世良は野菜料理を楽しんでいると、園子が暇潰しにアイドル掲示板を覗いていると目を見開いた。
「どうしたんだい。園子君?何か、面白いのあったの?」
「上の階に、アイドルメンバーがいるらしいわよ。解散しちゃったメンバーが。」
「本当なの…園子?」
「本当だってば…元担当プロデューサーの武内さんも、来てるらしいわ。」
園子の発言に、博士、哀、世良は無言になっている。
(それだと、コナン君も…いるのかな?)
(江戸川君が来ている可能性だと、お別れ会か何かよね?)
(………大丈夫かの…コナン君。)
それぞれが、そう思ったのだった。