米花スタジアムにある室内運動場で、晴とコナンは他の一般客とサッカーをして、交流していた。
「青!手加減してくれよ!」
「晴姉ちゃん、手加減したら怒るじゃんか。」
一般の子供達はコナンと晴のどちらかに分かれて、サッカーの試合をしている。その様子を眺めている武内は、手帳を見ながらスケジュールを書き込んでいく。
(事務所に戻ったら明日の準備をしなくては。)
暫くして、サッカーを終えるコナンと晴。時計を見ると、12時30分になっていた。
「プロデューサーの所に戻ろ。」
「わかった。」
コナン、晴が戻ってくると、武内はタオルとスポーツドリンクを渡した。
「楽しかったな!」
「そうだね。」
「良い笑顔です。荷物を取りに行きましょう。」
武内、晴、コナンが控え室の扉の鍵を取り出して、鍵穴に差し込むと、手応えがない。鍵が開いていたようだ。
「プロデューサー、どうしたの?」
「何故か、鍵が開いています。」
武内の言葉に、コナンは嫌な予感を感じ取り、ドアノブを回して、扉を開けた。
「な!?矢島さん!?」
控え室に矢島桂馬が仰向けの状態で倒れていた。
「プロデューサー!警察と救急車に連絡して!」
「わかりました。」
「青、あの人…」
コナンが晴を控え室から連れ出して、中に入れないようにする。
「晴姉ちゃん、中に入ったらダメだよ!」
「青……わかった。」
「僕と一緒にいれば大丈夫。」(冷静になれ、今回の俺は、関わるわけにはいかない。警察の仕事なんだ。)
コナンは冷静に優先順位を考える。今のコナンは探偵ではない。アイドル江藤青である。現場に入らずに、武内が戻ってくるのを待つ。
「連絡して来ました。現場に入らないで、警察の到着を待ちましょう。」
「わかった。」
暫くして、警視庁の目暮警部、高木巡査部長、佐藤警部補が鑑識を引き連れて、現場に駆け付けた。
「貴方が来た時には、倒れていたんですね?」
「はい。」
「お名前と職業を…」
「346プロダクション、シンデレラプロジェクト担当プロデューサー、武内と言います。」
高木は現場となっている控え室を出て、隣の控え室に待機しているコナンと晴の元に行く。
「君達は大丈夫だったかい?」
晴はコナンに庇われながら黙っている。代わりにコナンが話した。
「……大丈夫。あの倒れていた人は?」
「……それよりも、名前を教えてもらえるかな?」
「ちょっと待って…晴姉ちゃん、大丈夫?」
「……代わりに…お願い…」
「僕は…江藤青だよ。」
高木は察して、目暮の元に戻り、捜査を続ける。
「青……」
「大丈夫だよ。」
すると、現場に探偵の毛利小五郎が駆け付けた。
「毛利君!?どうして君が?」
「蘭と子供達で、サッカーイベントを見に来たんですよ。警部殿、殺人ですか?」
「………はぁ、まだわからんよ。現場を調べている最中だ。」
コナンは晴から離れずに、武内が戻ってくるのを待つ。
「そうですか…わかりました。」
目暮が鑑識から結果を聞いて、それを佐藤と高木に伝えた。
「矢島さんから毒物反応が出た。死因は、毒殺されたんだろう。」
「毒殺…」
「死亡推定時刻は?」
「11時~12時までの間です。」
佐藤は武内に聞き取りの続きをする。
「矢島さんに最後にあったのは、何時ですか?」
「控え室で、矢島さんが入ってきたのが、10時頃です。それ以降は、会っていません。」
「話したのは、貴方だけですか?」
「いえ、担当アイドルと一緒に…」
目暮は現場を見回して、不自然な痕跡がないか調べる。
「……11時~12時までの1時間。貴方は何処にいましたか?」
「米花スタジアムにある屋内運動場です。そこで、アイドルとのサッカー交流イベントがありましたので…」
「アリバイ成立ですね。控え室の鍵は?」
「私が持っています。」
武内から現場控え室の鍵を見せてもらい、確認する。不自然な痕跡は見当たらない。
「高木、管理人から鍵が盗まれたことがなかったか、聞いてきてくれ。」
「わかりました。」
「ふむ、誰が…どうやって。」
「すみません、電話してもよろしいですか?連絡したいので…」
「どうぞ。」
武内は誰かに電話を掛ける。
控え室で待機しているコナンの携帯に着信音が。その相手は、杏である。
「どうしたの?杏姉ちゃん。」
『遅いから心配で連絡したんだよ。何があったの?』
「……説明が出来ない。わかるのは、人が倒れてた。」
『…………わかったよ。晴は近くにいるの?』
「うん……」
『なら、プロデューサーの指示を聞いて、晴を守れ…わかったかな?』
「大丈夫。」
『気を付けて、帰ってきなよ。』
「ありがとう…杏姉ちゃん…」
電話を終えると、携帯をしまう。すると、武内が控え室に戻ってきた。
「プロデューサー!?どうだったの?」
「警察からは、一旦帰っても良いそうです。プロダクションに戻ったら、会議室に来てください。今後の説明をします。」
「わかった…」
米花スタジアムを出ると、346プロダクションに帰っていった。