第5話
客室のベッドで寝ていた杏は、眠気覚ましに館内の散歩に出掛けることに。
(この館は3階まであるんだよね。小梅が霊視出来ている以上、何かある。でも、司馬さんには何も憑いていない。神隠しの捜索依頼は嘘ではない?調べないと、確証は得られない。)
館内の2階に移動すると、図書室を発見した。
(この館は図書室まであるんだ?)
とりあえず、杏は神隠しの情報を得るために、図書室で調べ事をする。
(何から調べるかな?)
すると、杏は背後からの気配を感じ取り、後ろを振り替える。少年が立っていた。
「退いてくれないかな?入れないから…」
「ごめんね…君は、この館の…?」
「……そうだけど。旅行者か何か?」
少年は興味無さげに聞くと、杏は頷いて答える。
「名前を教えてくれない?私は、双葉杏だよ…こんなんだけど、17歳だよ。」
「……江藤青…この館の住人…よろしく…杏姉ちゃん…」
名を名乗ると、杏に興味をなくし、図書室に入って本棚から一冊の本を手に取り、読書する。
「えーと…」
「…調べ事しないの?」
「青君は英語読めるの?」
「それが?」
青は面倒なのか、適当に答えると本に視線を戻す。本棚の近くに行き、本を探す杏。
「どれかな…」
「何を探したいの?」
「…この村の資料は?杏、それを探してるんだよ。」
「……物好きだね。こんな呪われた村を調べたいなんて…」
青の言葉に反応した杏は、この村の出来事を聞いてみる。
「……呪われてるんだよこの村は、どうしてなのかは知らないけどね。確実に言える事は、秘密を探る者には容赦しない。」
「でも…」
「神隠しを調べてるのなら、気をつけてね。それと…」
青は小声で、杏に忠告する。
「村の住人の話を信用しない方がいいよ。僕を含めてね。杏姉ちゃん…」
冷たい笑みを杏に向ける青は、本を本棚に戻すと図書室を出ていった。
(あの子供の瞳…凍ってた…感情を凍らせたみたいに…)
放心状態になった杏は、暫くその場から動かなかった。
杏が客室に戻った時には、夕暮れになっていた。図書室で話した少年、青の事を思い出していた。
(青君の言っていたあの言葉…やっぱり、この村には何か秘密がある。あの鉄の門…桂馬さんが言っていたあの言葉…厳重に村の秘密が、隠されてるね…人には言えない何かが…)
考え事をしていた杏に、小梅が後ろから驚かせる。
「うわぁ!」
「ギャー!?びっくりさせないでよね!?」
「エヘヘ…」
「はぁー。それよりも、この村の事で…」
杏は図書室での出来事を小梅に話した。すると、笑みを浮かべた小梅がいった。
「杏さん…その子が好きになったの?」
「は!?何言ってるの!?」
「違った?」
「……違うからね。菜々さんは寝てるし。」
杏は飴玉を食べるのだった。
次回は第6話を投稿します。