第16話
杏は木原に電話を掛けて、依頼していた結果を聞いている。
「どうだった。あれ…」
『ああ、結果は黒だ。被害者が持っていた物の中にお守りの袋があったんだが…袋の中に、大麻が仕込まれてたよ。燃えカスの状態でな。』
「大麻……知りたくなかった情報だね。他には?」
『砂糖が少し混じってたよ。何のためだろうな。』
「砂糖……それじゃあ…」
電話を終えると、推理を再開する。
(大麻…それに砂糖。菜々さんが現場で感じたあれは、お香の匂い…犯人は…あの人だ…)
急に、客室の扉をノックする音が聞こえた。
「杏姉ちゃんいる?」
「入っていいよ。」
青が客室に入ってきた。
「どうしたの?」
「あのお祭りで気づいたんだけど…」
「お祭り?」(青君も気づいたのかな?)
「犬が選んだあの人…に、何かを仕込んだら、あの部屋に行かせられるのかな?犬神様に扮したあの犬は、嗅覚が凄いらしいから…」
青の推理に、杏は目を見開いた。素直に感心している。
(青君の推理力は物凄いね。私と同じ推理をしてる。)
「青君の推理は、杏と同じだよ。」
「それじゃあ…犯人は?」
「………ごめん。それはまだわからないんだよね。杏も困っちゃたよ。」
「そうなの?誰が犯人なんだろう…」
杏の嘘を信じた青は、メモをしながら推理する。
「情報が足りないかな?頭、疲れた。」
「頑張ったね。今日は休んだ方がいいよ。」
「わかった。部屋に戻るね…」
部屋を出ようとしたら、佐藤が近くを通り掛かった。
「青様、探しましたよ。」
「どうしたの?可憐さん。」
「今日の夕食の事で…」
「うーん、シチューがいい。」
「シチューですね。畏まりました。」
事件発生から5日後、村に再び警察が来た。今回は村の住人に知られないために、数人の私服警官が村内の捜索が始まった。
(杏の役目も終わりかな。)
「杏さん…」
「小梅、今はどう?」
「いないね。森を散歩したけど、地中にもいたよ…」
「……確かに、呪われた村だね。菜々さん帰る準備するように言って。3日後に帰るよ。」
「わかった…」
「その前に、ご飯食べよう。お腹減ったよ……」
「そうだね。杏さん…」
客室で荷物整理をしながら小梅が、杏に聞いてきた。
「それにしても、杏さん…」
「どしたの?」
「よくわかったね。村長が犯人だって…」
「杏が解いた訳じゃないよ。菜々さんに感謝しないとね。殺人現場で、手掛かりを見つけたのは菜々さんの手柄だよ。」
飴玉を食べながら荷物の整理をしている。
「青君には言わなくてもいいの?」
「……………何で?」
「この村に来て、青君と仲良くなったよね?」
「………今はいいや。」
荷物整理をやめて、客室から出ていった。
次回は最終話を投稿します。