Fragment glow   作:桜花 如月

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その煌めきは暗い道を照らす一番星。
でも、その星は迷い続ける、一生、()()()と。


はじめまして、迷星。

羽丘学園生徒会室

 

「これどこに置く?」

「それは……あっちの机の上にお願い」

「りょーかい」

 

俺、夕凪奏はつぐみの手伝いで生徒会室にいた。

いつも忙しい生徒会だが月末月初は各部活の活動報告をまとめる必要があるためさらに忙しくなってしまうためこうして手伝いに来ている。

 

「奏くん休憩していいからね」

「この状況みて休めないって」

「でも無理はダメだからね?」

「わかってるって」

 

各部活の出してきた活動報告を一つ一つ確認して不備がないように念入りに見ているつぐみがこっちの心配をしてきた。

どう見ても無茶してるのはつぐみの方なんだが、さすがに言える訳もなく資料をまとめる作業に戻る。

 

 

「つぐみ先輩、一つ活動報告足りないんですけど……」

「えっ、どこ……あ、天文部?」

「はい、多分まだ提出されてないみたいで」

 

提出されてるかの確認をしていた六花が未提出の部活があることをつぐみに報告した。

天文部、去年までは前生徒会長が1人で動かしてたけど卒業にあたりメンバーがいなくなると思われていたが先輩が全力で頼んだことで部室が内装をそのまま残して存在していた。

とはいえ部員0名の部活に誰も入らないと思っていたところ、新入生の1人が入りたいと言って加入したらしく、今はその生徒1人だけが天文部員だ。

 

「俺取りに行ってくるよ」

「まだ終わりそうにないし、お願い」

「すみません、奏先輩」

「ちょうどキリいいとこだから大丈夫、じゃ行ってくる」

 

どう見てもこの場を離れられるのは俺だけだったため生徒会の代わりに取りに行くことにした。

手空いてるし、新入部員が誰なのかってのも少し気になるからちょうど良かったのかもしれない。

 

 

「天文部は……ここか」

 

生徒会室からそんな遠くないとこにあるためすぐにたどり着いた部室の部屋をノックする。

だが返事は無く、中から何かを書く音だけが聞こえてくる。

 

「失礼します、部活動報告のノート取りに来たんだけど……」

 

そう言いながらドアを開けると壁に寄せられた机に向かって1人の女子生徒が真剣に何かを書いていた。

ノックと入室時の言葉に一切気付いてない様子からして物凄く集中してるみたいだが、回収するものはしっかり貰わないといけないため女子生徒の肩を叩いてみる。

 

「ぅぇ……?」

「ごめん、驚かせちゃって」

 

ビクッと体を反応させながら振り向いたのは薄灰色のボブヘアーに朱色の目が特徴的な子。

この子、どこかで……

 

「えっ、と……なん、ですか?」

「生徒会の代行で部活動報告受け取りに来たんだけど、用意出来てる?」

「そこに、置いてあります」

「一応中身みても大丈夫?」

 

彼女は口には出さず大きく頷いた。

てっきり書いてたものが活動報告だと思ってたけど、あれはまた別の物らしい。

指さした先にあるノートを開くと『今日はあのちゃんとプラネタリウムに行った、十二星座特集をやっていた』、『星を見てると、自分の気持ちが強くなって、言葉になって、それが歌詞になるような気がする』、と書かれていた。

色々気になるところはあるけど、一番気になったのは歌詞というところ。

 

「バンドやってるの?」

「えっと……今はMyGO!!!!!と、あと……もう解散しちゃったけど、CRYCHICってバンドをやってました」

「MyGO!!!!!……あ、もしかしてRiNGでAfterglowの合同に参加してた?」

「そう、です……えっと……?」

 

彼女の説明してくれたバンド名には聞き覚えと見覚えがあった。

とはいえ、あの時は「迷子のバンド」だったけど正式名が決まっていたみたいで、彼女はそのボーカルをやっていた子。

モカが「あの子たちは大きく育つね〜」なんて言ってたもんだから客席から見てたが、彼女たちの奏でる音は確かにこれからもっと大きくなっていくように感じていた。

きっと彼女が真剣に書いてたのは歌詞かそのメモといったところだろう。

 

「あのライブに俺もいて見てたんだ」

「ありがとう、ございます」

「多分、バンド解散してまたバンドやって、ってことは相当大変だったと思うけど、これからも頑張ってね」

「……はい!」

 

なんて、応援出来るほど経験を積んでる訳じゃないけど、少しでも背中を押してあげたい。

 

「俺は夕凪奏、3-AでAfterglowと一緒にいるしRiNGにも時々顔出すようにしてるからまた会えたらその時は頼ってくれ」

「えっ、いいんですか……?」

「俺に出来ることはそれぐらいだし、君たちならきっと進むことができるから」

 

そんなちょっとカッコつけたことを口にして天文部部室をあとにする。

 

 

あの日見た迷星がまさかこんな近くにいるとは思わなかった。

先輩として、なんて言える立場でもないけど彼女達のバンド、MyGO!!!!!をこれから応援しよう。

 

 

「……ところであのちゃんって誰だ?」

 

活動報告に書かれたその名前に疑問符を浮かべながら生徒会室に戻って激務との戦いが再び待っていた。




もし奏と燈がはじめて話すとしたらどうなるのか、ってのを文にしてみました。
ちなみにタイトルは「めいせい」ではなく「まよいぼし」です。


今回の登場キャラ

夕凪奏
羽沢つぐみ
朝日六花
高松燈
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