Fragment glow   作:桜花 如月

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夕凪奏×大和麻弥です。

奏2年生、麻弥3年生の想定です。


オンオフ・ギャップ

ライブハウスCiRCLE

 

そこでのバイト中、起きたとある小さな出来事。

 

 

「奏君、そこの機材とスタジオにある機材の整備お願いしてもいい?」

「ちょうど手空いたのでやっときます」

 

受付周りの清掃を終えたと同じタイミングでまりなさんから追加のオーダーが入った。

基本的に機材の調整なんかはその時に来たバンドが勝手に弄って使うようにしているらしいが、いつ故障して使えなくなるか分からないとの理由で多少機材をいじる知識を持ってる俺が暇になった時に任されている。

 

「ギターアンプ……は昨日Afterglowが使用してたっけ」

 

ひとまずスタジオ前に置いてある貸し出し用ギターを接続して音を鳴らす。

自分のバンドで演奏しているカバー曲のワンフレーズだけを適当に弾いてみて違和感がないかを確認する。

さすがに遮音もないスタジオ外のため音量は抑えてはいるもののまりなさんや他のスタッフの皆さんが調整したギターの音が強く響いてくる。

 

「問題なし、と」

 

昨日午前中Afterglowが使用していたのを確認しているためもちろん問題は無くしっかり音が出たためギターを外し元の位置へ戻す。

直近で使われてた形跡のある機材に関してはちゃんと使えることはわかっているためある程度触って確認するだけで大丈夫とまりなさんにも言われているが、問題はスタジオの端に置かれている基本使われない音響機器等。

 

「埃被ってないのはさすがだよな」

 

あまり使われないという点で一番危惧していたところだがそこはスタッフがちゃんと埃の被らないように綺麗にしている。

なら調整も出来るんじゃないかとツッコミが来そうだけど、全員が全員機材に強いわけじゃないためそこは適材適所というやつだ。

 

「えっと、マイク……はこれ、か」

 

常連のバンド用、などはあまり決まっていないがPoppin’PartyやAfterglowといったよくここを利用しているバンドに関してはほぼ決まったマイクを用意している。

そういった決まって使われる機材に関してはスタッフも俺も基本的に触ることはせずに各バンドに管理を委ねていることが多い。

そのため俺が見るのは一般の利用者が使うマイク。

もちろんAfterglow他のバンドとなんの違いも無い性能だが、そこは触れてはいけないところだろう。

 

 

「音調整のために使わせてもらうのも失礼な気はするけど……」

 

高さと音響への接続の両方の調整を終えた所でマイクの前に立ち少し前にモカに送られてきたPDFを開いて画面へ表示する。

あまりいいと思われなさそうではあるが表示されたとある曲の歌詞に目を通す。

 

──あの日見た黄昏の空

──照らす光は燃えるScarlet

 

Afterglowの練習を始めてみたあの日、彼女たちが奏でたこの音楽。

ある日の、()()()との景色を思い出して泣いてしまったちょっとしたハプニングが起きつつも俺の中で一番強く残っている大切な音楽。

誰かに聞かれたら怒られそうだけど、ちょうど今は暇だし、誰にも聞かれることは無いからとりあえず後で蘭には謝ろう。

 

 

「……別に1番全部歌う必要は無かったけど」

 

最初のワンフレーズで終わらせようと考えていたがいつの間にか1番のサビまで歌い終えていた。

アカペラでなおかつ初めて歌ったから不格好になった気がするが、誰もいない貯めそこまで気にしなくていいだろう。

 

と、思っていたら。

ガタッ、とスタジオ端の機材が動いた。

 

 

「……何してるんです?」

「あはは……」

 

何事かと音のした機材をどかすと立ったまま機材に挟まれた人物がいた。

その人物がPastel*Paletteのアイドル兼ドラマーの大和麻弥先輩、挟まれた機材をどかすと恥ずかしそうにしている。

 

「というか、そこにいたってことは聞いたんですね」

「えぇ、聞きました」

「……オフレコでお願いします」

 

いつから挟まっていたのかわからないが、少なくとも俺が機材の調整に入る前にここにいたことになる。

となればまりなさんもなんでこんな大切なことを教えてくれなかったのか。

そして歌を聞かれたというわけで。

 

「どうしてですか?奏さんの歌声、アカペラでもとてもいい物でしたよ」

「カバーならともかくAfterglowの曲歌ったから怒られそうで」

「奏さんが歌えばカバーになるのでは?」

「まったくもってその通りですね、でもそれはそれとして他言無用でお願いします、その代わりに麻弥さんがここで挟まれてたこと黙っとくので」

「言うつもりだったんです!?」

 

見事な正論をぶつけられた気がするが歌った曲がAfterglowであることが何よりも怒られそうで、特に蘭とかに。

だからなんとしても口封じはしてもらう、もちろんこちらも先輩の行いを黙るという交換条件で。

 

「ScarletSkyを歌ったことを黙っていただければ言いませんよ」

「奏さん、たまに恐ろしいことしますよね」

「無自覚です」

「一番タチ悪いですね?……それより1人でスタジオに何をしてたんです?」

「それは俺も聞きたいんですけど」

「ジブンはここにある機材を触りたくて、まりなさんに許可もらって入ってたんです、それでそこの隙間に惹かれてしまい……」

 

麻弥さんはアイドルをしながらもその趣味は色んな機材を触ること、だからこういうたくさん機材置かれてるとこでなおかつ何度も来てるここに来たんだろう。

で、狭いところが好きという特殊な人だから機材の間に挟まって出れなくなってしまった、と。

 

「麻弥さんってギャップ凄いですよね」

「それ、いい意味ですよね?」

「もちろん」

 

普段のステージ姿からはあまり見られないオフの日の姿に思わずそんなことを口にしてしまい、麻弥さんが驚いてしまった。

もちろん悪い意味なんて全くないしそんなことを言うほど俺は腐ってもない。

 

「いい意味なら良かったです、それで奏さんは個人練習を?」

「いえ、俺はまりなさんに頼まれて滅多に使わない機材の調整をしてたんですけど」

「そうだったんですね、じゃあジブンは邪魔にならないようそろそろお暇しますね」

「もう帰るんです?せっかくなら機材いじって行きません?」

 

帰り支度を始めた麻弥さんを止めて機材を指さす。

失礼な発言をしたお詫びになるかはわからないけどこのまま帰られても後で会う時に気まづくなりそうなのと普通にこの量の機材を弄るのも大変だ。

 

「そう言うなら……お言葉に甘えて少し失礼しますね」

 

そう言いながら麻弥さんは「フヘヘ」と笑った。




お久しぶりです。
フラグロ久しぶりの更新ですね。


本編投稿始めるもっと前から考えてはいた内容を今更ながら形にしました。

浮気では無いです。
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