空はひろがり包囲網は狭まる。 作:紫色のかば
ーーーやりたいことも見つかった。中学生の時に悩みに悩んで・・・先生や家族の人・・・お父さんとおばあちゃんに背中を押されて。だから思いきってソラシド市を出て本当によかったと思う
もしソラシド市から出なかったらきっと今もやることなんて見つからなかったのかもしれない。お父さんやおばあちゃんが言ったように時には思いっきり離れて環境を変えてしまえば見えてくる視点も変わる。自分のやってきたことと自分がしたいことが直結する人もいればしない人もいる。俺はどうやら後者の人間だったらしい。
中学生活、人助けをして生徒会長になっていろんなことをしたけどやりたいこと。なりたい自分というのはもっと別にあった。だから人生ってものはわからないしすごく面白いものだと思う。そんなことを思っていたら電話の音が鳴る。相手はうちのおばあちゃんだ、高校時代は古風なことに手紙でやりとりしていたから直接声を聞くのは案外久しぶりだ。ら
「もしもしおばあちゃん」
「久しぶりアオイさん。改めて・・・まずは卒業、そして進学おめでとう。こうして言葉にして伝えるのが遅くなってしまってごめんなさいね」
「いいってそんなこと。手紙でも充分伝わったし。それよりそのっ・・・ましろは元気にしてるか?」
「・・・ええっそうね。元気にしてるわ。あなたにも早く会いたいと言っていたわね」
一瞬間があったことに関しては気になったがどうやらましろは元気にやっているらしい。ソラシド市を離れる上で一番気がかりだったのは妹の存在だ。うちの両親は海外赴任しててたまにしか帰って来れないしそんな長い生活続いたせいで家族が離れ離れになってると言う環境がそこまで悲しいという感情を抱かない。ビデオ通話もできるし便利な時代だと思う。
ましろも精神的に成長してきたし話すことにしたんだ。俺がソラシド市を離れて遠くの高校に行くって時・・・
『やだっ、やだよお兄ちゃんと離れ離れになるなんて。そんなのやだっ』
思っていた以上に大泣きされた。当時は小学校5年生だっただろうか。小さいとき泣き虫だったましろがちょうど心が成長してきたときだったし打ち明けても心配ないと踏んで高校進学の件について話した。けど何言っても聞き入れてくれなくてとにかく大変だった。急に泣き出すし抱きついて離れようともしないし。
けどおばあちゃんの説得もあってなんとかましろは納得?してくれたけど・・・おばあちゃんは俺以上にましろのことを気にかけていた。正直俺が遠くの高校に行くことに関してはおばあちゃんはいい機会だと思ったらしい。俺が言うのもあれだが俺とましろは兄妹としては比較的に仲が良かった。年が少し離れてるってこともあったのかもしれないが年頃になってくると兄弟というものは仲は悪くなるらしい。既に俺の周りでも結構兄妹として仲が悪かったり弟や妹が生意気で大変とか言われてたり・・・
ましろは穏やかで比較的にいい子だから接しやすいってのはあった。そういえばそう言う話題になった時にましろに直接聞いたことあったな。
『なあ、ましろって俺のこと好きか?』
『えっ!?ど、どうしたの?!急に』
『いやさ、俺の友達・・・というか周りの奴らが最近は兄弟喧嘩したりとか色々あってな。もしかしたらましろも色々俺に対して我慢してるのかななんて・・・』
少し不安になったのかもしれない。ましろとは表面上は仲良くしててもしかしたら実は自分のこと嫌いなのではないか?と確認したくなったことある。例えば些細なことでも兄弟喧嘩になることもあるらしく例えば食事の時に嫌いな食べ物を指摘されただけで喧嘩になるとかザラじゃないらしい。
俺もよく妹に好き嫌いせずに食べろなんて言ったことあるし正直嫌われても仕方ないくらいには心当たりは割とあった。だからもしましろが何か不安なことがあるなら改善する必要がある。おばあちゃんもいるとはいえましろはまだ小学生だ。不安なことや我慢してることがいっぱいあるに違いないと。
『そ、そんなことないよ。お兄ちゃんのことは好きだよ。大好きだよ!』
『お、おうっ・・・』
ここまでストレートに言われると少し恥ずかしい気もするが・・・まあ嫌われてないよりかはいいか。
『なんならあげはちゃんよりも好きって気持ちが強いよ!』
なんでそこであげはを引き合いに出すのかは分からないが幼なじみのあげはとは割と仲がいいし俺と同い年の友達で引き合いに出せるのがあげはしかいないからだろうと1人納得する。
けどましろとあげはの2人が仲がいいのかと言われたら別にすごく仲がいいと言うわけではないしかと言ってすごく悪いかと言われるとそれもうーんっとなる。仲は悪くなるないと思うんだけどでもその分喧嘩もよくする。あげははともかくあの温厚で誰にでも優しいましろがあげはとよく喧嘩するのもそれはそれで不思議なものだ。
『まあその・・・ましろが俺のこと好きなのはよくわかった。安心したよ』
『お兄ちゃんが好きなのはもちろんだけど・・・我慢してることならあるかな・・・』
『やっぱりあるのか。例えばどんなことだ?』
やはり無理やり嫌いな食べ物を食べさせるのは良くなかったのかもしれない。ましろは好き嫌いが非常に激しい子だ。けど俺があーんしてくれたら食べてくれるしそれで好き嫌いが改善されるならと思ってやってたがやはり我慢してたのかもしれない。ピーマンとかにんじんとかトマトとかとにかく野菜は結構嫌いだったよな。典型的だけどどうしたら野菜を食べてくれるようになるのか。
『えーっと・・・最近お兄ちゃんが一緒に寝てくれなくなったことかな』
『うんっ、それは仕方ないと思う。というより普通は兄妹で一緒に寝ない』
『あとお風呂も別々だし』
『それも普通だと思う』
少なくともこの年ではとだけ付け加えた。ましろの年齢なら・・・いやっ、ダメだろやっぱり。小学5年になるんだぞ。ましろも年頃だから一緒に寝るのは色々よくない。特に俺はいいとは思ってない。
『昔は一緒の布団で寝てたのに・・・』
『昔の話だ。ましろは逆にあれだな。少しくらいは兄離れした方がいいぞ』
嫌われてほしくないけどここまで好かれるのもそれはそれで兄妹の形としては少し問題あると判断する。というより俺のためにも兄離れしてほしいと思う。妹に好かれるのはもちろん嬉しいがこうもお兄ちゃんべったりだと少し困るんだよな。今後のことを思うと特に
『いやっ、ずーっとお兄ちゃんと一緒にいるから兄離れなんて絶対してあげないもん』
『ええっ・・・』
『あげはちゃんにも渡してあげないんだから』
とよく分からない理由で兄離れを拒否されてしまった。一応この件に関しては人生の大先輩であるおばあちゃんに相談したことあるけどそういうものは時間が解決すると言ってくれたからとりあえずどうにもしなかったけど・・・まあ兄離れするまでもう少しかかるものなのかと。
結局進学で遠くの高校に行くといって泣き出したましろを慰めるために結局その時だけ一緒のお布団に寝たりしてましろの要望には応えてきたけどさてと3年ぶりに会うのが楽しみでもありちょっぴり怖い。そういえばあげはとも卒業式以来ずっとあってないな。元気にしてるといいが・・・
「それで確か今日だったわよね。アオイさんが帰るの」
「夕方頃に荷物が家に着く感じかな。今から出るから着くのは昼過ぎくらいだと思う」
「そうっ・・・それなら迎えをよこすわね」
「迎えって・・・今日は平日だしましろ学校だよね」
というよりましろに伝えてるのだろうか。もし伝えていたら学校休んででも迎えに来そうで怖い。まあ流石に3年も経ったし中学2年生は1番そういうの気にする年頃だろうから心配ないと思うけど・・・
「ええっ、けど今はとある事情で1人の女の子をホームステイさせてるの」
「ホームステイ?」
「詳しいことは後ほど説明するけどとにかくその子を迎えに行かせるわね。名前はソラさんって言うの。ましろさんと同い年よ。青い髪の元気いっぱいの女の子であなたのことは写真で教えてあるわ。3年前のものだけど」
3年前ってそれ卒業の時の写真じゃん。この3年ですごく背が伸びたと思うけど大丈夫かそれ?おばあちゃんの話によると駅に行かせるからついたら駅前の噴水広場で待っててほしいのこと。
「分かった。そのソラさんと合流すればいいのね」
「ホームステイのことに関しては何も言わないのね」
「別に・・・おばあちゃんが許可してるなら悪い子じゃないだろう。それに・・・」
ましろには年頃の子と仲良くしてほしいし。あげはとはよく喧嘩してたからソラさん?とは仲良くしてほしいものだ。というより問題ないよね?けどあげはとましろがよく喧嘩してたけどあれっ、何が原因で喧嘩してたのだろう・・・・
「まあとにかくおばあちゃんが許可してるなら俺からは別に何も言うことないよ。今から電車乗るからな」
「それじゃあソラさんにも伝えておくわね」
そう言って電話を切る。電車に乗ってリュックを置いてからそっと目を瞑った。
ちょっと長くなりそう。ソラとの時間軸に戻るまでしばしお待ちを