艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 〜黒野一家のビビッ島旅行記・改〜 作:星龜
人類が深海棲艦と呼ばれる、謎の生命体との戦争を繰り広げていた時代に
は生まれた―。
海軍提督・黒野 海と、深海棲艦・空母水鬼との間に生まれた深海は
穢れた存在
として、人間達に追われながらも、たくましく成長した…
…とはいっても、成人した深海は、右目が隠れるくらいに前髪の長い真っ白な長い髪に、身長は150センチほどの、まるで少年の様な見た目の容姿だった…。
ある日の夜、深海は、一人の傷ついた艦娘と出会う…。
彼女の名は時雨。
いわゆる
ブラック鎮守府
から脱走してきた時雨を救助した深海は、件のブラック鎮守府の提督を殺害し、新たな提督となって、その鎮守府を拠点として、深海棲艦との戦争に身を投じたのである。
しかし、人間と深海棲艦とのハーフである深海にとって、深海棲艦は同胞ともいえる存在である。
だから、深海は戦うのではなく
深海棲艦との和解
する道を選んだのである。
それは、けっして簡単な事ではなかった。
それでも、深海の血の滲むような努力の末…
2012年、人間と深海棲艦との和解が成立し、人間と深海棲艦との長きにわたる戦争は終結した。
人々は、深海を
英雄
と称えた。
しかし…
深海は終戦後…
人々の前から、姿を消した…。
そして…
深海が姿を消してから…
8年の月日が流れた…。
◇
日本某県海原市―。
その帰り…
「…お姉ちゃん、見て。」
と、梅雨葉が指差す方を秋雨が見ると、福引をしていた。
「…やろう、お姉ちゃん。」
と、秋雨を誘う梅雨葉。
「えっ…?」
と驚く秋雨。
普段、こういうことには、あまり興味を持たない梅雨葉が、この日はどういうわけか、ノリノリだった。
一方で、どちらかといえば、クジ運はあまり高くない秋雨は、やりたくなかったが、しかし、梅雨葉に引きずられる形で、福引をすることになった…。
秋雨が、ガラガラをまわしたら…
「大当たりぃ〜っ☆」
◇
「と、いうことで…★」
と、帰宅した秋雨と梅雨葉は、福引で1等賞を当てたことを、父親の深海に話した。
そう…
秋雨と梅雨葉は、深海と時雨の娘なのである。
「すごいじゃないか、秋雨☆」
と、秋雨の話を聞いた深海は大喜びだった。
「で、1等賞の景品は、何なんだ?」
と訊く深海に
「うん☆
ビビッ島2泊3日の旅
だって☆」
と答える秋雨。
「何?
ビビッ島?」
と、ビビッ島の名を聞いて、怪訝な顔をする深海。
「ビビッ島って、たしか…?」
と、夕食の支度をしていた時雨が言う。
「うむ…。
戦時中
深海棲艦の侵攻を独自に撃退した
という島だ…。」
と、腕を組む深海。
「え?
深海棲艦って、人間の兵器が効かなかったんじゃ…?」
と言う秋雨。
「そうだ。
あそこには鎮守府も無かったから、艦娘もいなかったしな…。
だから、どうやって深海棲艦を撃退したのか、気になっていたんだが…。
しかし、確かめに行こうにも、あまりにも遠くて、行くことができなかったんだ…。」
と言う深海。
やがて、できあがった夕食を、時雨がテーブルの上に並べていく。
「秋雨。
雨葉達を呼んできて。」
と言う時雨。
「うん。」
と、秋雨は雨葉達を呼びに行った。
数分後、秋雨は、三女の雨葉と、深海の義理の妹の
そして、家族みんなで、夕食を楽しんだ―。
◇
数日後―。
空を行く、1機のジェット旅客機―。
この旅客機には、ビビッ島に2泊3日の旅行に行く、黒野一家が乗っていた―。
「うわぁ〜☆
雲の上を飛んでるぅ〜☆」
と、窓の外の景色を見て、珍しくはしゃいでいる秋雨。
「お…落ちないで…★」
と、物騒な事を言って、震えている梅雨葉…。
「すごいっ☆
すごいっ☆
すごいっ☆」
と、秋雨同様、窓の外の景色を見て興奮しまくりの雨葉。
「…☆」
言葉は話せなくても、白も窓の外の景色を見て、興奮している。
白は、戦時中に偶然、深海に助けられ、以降、深海のことを兄と慕うようになった。
しかし、旅の途中で軍に捕まり、暁型駆逐艦娘・響に改造されてしまい、深海と生き別れてしまう。
その後、理由は不明だが、深海棲艦へと姿を変え、深海と再会した。
深海は、鎮守府の設備を使って、白をどうにか人間に戻すことに成功したが、白は喋ることが出来なくなってしまったのだ…。
「お前達!!
少しは静かにしろ!!」
と、はしゃぎたおす娘達を叱る深海…。
べつに、家族そろっての旅行は初めてではない。
しかし、飛行機に乗っての旅行は初めてだ。
飛行機なんて、常日頃、乗れるようなものではないので、やはり、子供達は興奮してしまう。
普段は、うるさい妹達を叱る秋雨でさえ、外の景色を見て興奮している始末だ…。
「おい、時雨…
お前からも何とか…。」
と、深海は時雨を見れば…
寝ている…
…んじゃなくて…
失神していた…。
(そうだった…★)
と、額を押さえる深海…。
時雨は
元艦娘
だから
高所恐怖症
だということを忘れていた…。
艦娘は、太平洋を横断できるくらい海上を移動できるため、 飛行時に乗る必要がない。
だから、高所恐怖症なのだ―。
◇
午後1時すぎに、旅客機は無事、ビビッ島の空港に到着した。
ビビッ島―。
そこはG国の領土で、戦時中、島の戦力だけで深海棲艦を撃退したという、謎の島である―。
旅客機から降りて…
ターミナルを出て…
ホテル行きのバスに乗って…
ホテルにチェックイン。
案内された部屋は3階だったため、窓から見える景色は、中途半端な高さゆえ、絶景とはいえなかった…。
さっそく、市内観光に行くことにする。
深海自身は、戦時中、島の戦力だけで深海棲艦を撃退した秘密を知りたかった。
しかし…
(ま…それは夜になってからでもいいか…。)
と、市内観光を楽しむ事にする―。
◇
街を歩いて数分で…
「…あっ…。」
と、梅雨葉が指差す方に
ガンプラバトルアリーナ【ノブリス】
という看板を掲げた店舗があった。
「…ここでも、ガンプラバトルができるんだ…☆」
と、目を輝かせる梅雨葉。
「持ってきて正解だったね☆」
と、右手に持つカバンを振る秋雨。
「何だ、秋雨?
そのカバンの中には、ガンプラが入っているのか?」
と深海が訊くと
「えへへ★」
と、照れ笑いする秋雨。
「…そういう、お父さんも…★」
と、深海が持つカバンを指差す梅雨葉。
「何よ★
お父さんだって、ガンプラバトルする気マンマンだったんじゃない…★」
と、ジト目で深海を見る秋雨。
「バ…バカもんッ★
こ…これはな、ガンプラファイターとしてのたしなみでだなぁ…★」
と、苦しい言い訳をする深海…。
結局、
◇
店内に入り、深海が受付で利用ステージの予約をする。
その間、秋雨達は、壁に設置されている、4つの大型スクリーンには映る、現在、行われているバトルを観ていた。
「…あれ?」
と、バトルを見ていた梅雨葉は
ある違和感
を感じた…。
「どうしたの、梅雨葉?」
と訊く秋雨に
「…うん…
このバトル…
練習
かな?」
と言う梅雨葉。
「…だって…ほら…
あのサザビー…
ビームサーベルで斬られたのに、無傷なの…。」
と、梅雨葉が指差すスクリーンを見る秋雨。
サザビーが、ストライクダガーのビームサーベルで斬られたが、たしかに、斬られたはずのサザビーは無傷だった。
やがて…
サザビーは爆発した…。
しかし…
爆発したはずのサザビーは、やはり無傷で…
そのまま、どこかに行ってしまった…。
それは、梅雨葉や秋雨にとっては、何が何だか、さっぱりわからない光景だった…。