ダイヤのネックレス-Necklace of Diamond- 作:コンスタンチノープル
●出身地:アメリカ
◆ポジション:投手、指名打者
◆利き腕:左投げ左打ち
●身長:178cm
●体重:78kg
●血液型:B型
●誕生日:5月20日
●趣味・特技:語学
●尊敬する人物:ルパート・イングランド(父、オールスター出場経験もあるメジャー投手)
●特徴:同年代の男子と比較しても遜色ない速球投手。
●スピードスケート選手並みの鍛え抜かれた太もも。(ただし本人は気にしている)
●語学堪能。日本語も日常会話レベルで話すことができる。
マウンド上には松坂。対する打席には青道野球部一、二を争う巧打者の亮介。審判は野球部監督の片岡。キャッチャーボックスの古田がサインを送る。
「定石では外角から入る。小柄な小湊さんなら届かないかもしれない。でもそれは、小湊さんの体格が小柄な部類に入る男子同士の勝負ならの話、
松坂が古田のサインに頷き、投球動作に入る。
投じたのは、内角高め。ストライクからボールになるカットボール。亮介はこれを見送り1ボール0ストライク。
「へぇ、逃げ手じゃないんだ。まぁ、初球から逃げるような奴が女子で男子に交じって全国優勝投手になれるわけないか。その気持ち、受け取ったよ」
亮介は更に松坂が発する空気を感じ取った。
「哲の尋常じゃない何かに似たものを感じるな。チームを背負って立つ奴の意気だね。でも俺だってそう簡単に打ち取られるつもりはないよ」
「ここはまだ引きどころじゃなくて攻めどころ、次はこれだよ」
二球目、投じた球は内角低めのボールゾーンからストライクになるツーシーム。所謂フロントドアといわれる投球である。亮介は続けて見逃して今度はストライク。カウント、1ボール1ストライク。
厳しいコースに投球することができたが古田は亮介が悠然と見送ったことにこの配球は失敗だと感じた。
「今の球で腰を引かせたかったんだけどなぁ…」
「初球から内角をえぐってくるんなら続けてくることも予想の範囲。さあ、どうする?天才少女」
古田が次の投球の思案に入った。
「ベターだから危険でもあるけど、二球続けて内を攻めたから外には目が慣れていないはず」
外角低めにスライダーというサインを出したが松坂が首を横に振った。
「内に投げたいのか…続けるのもどっちみち危険だけど…」
「絢凪ちゃん、ここはもういいっていうぐらい内角を攻めよう。そうすれば相手に迷いが生まれるかもしれない」
「この投手は二球続けての内角のサインに首を振らずに投げてきた。多分強気に攻めることに抵抗がない。それが首を振ったっていうことはこの捕手が外のサインを出したから首を振ったんだろう。つまり次も内角」
「内に投げたいんなら、これが交換条件だよ」
新しく古田が出したサインに松坂が頷き投球動作に入る。バッテリーの選択は前の投球と同じコース。しかし投じたのはツーシームよりも変化するシンカー。更に前の球はストライクを取りに来たのに対しこの投球は外し気味であった。
亮介のバットがその球を捉える。鋭いライナーが右翼手を守る蒼月の左を襲う。ファウルゾーンに落ちてカウント1ボール2ストライク。投球がボール球だった分、ファウルになったのであった。
「もうこれは、徹底的な内角攻めしかないね。いいよ、行こう。でも監督さんが小湊さんは都内でもトップクラスの選球眼だって言ってたから、大きい変化の球はゾーンを攻める時のドア系以外封印」
続く
「よし!ここだ、ここが勝負の一球だ」
八球目、古田のサインに松坂が頷き投球動作に入る。古田が選んだのは外角低めからシンカー気味にボールゾーンへ落ちるチェンジアップ。
「くっ!」
亮介はバットが出かかりながらもギリギリでハーフスイングで止め、フルカウントとなった。
「今のを見られたかぁー。ここが勝負だと思ったんだけどなぁ~」
「ついに外も使ってきたか…こうなったら…」
打席での構える位置を、亮介は半歩ホームベース寄りに踏み込んで構えた。勿論古田も見ていた。
「内角を誘っている。でも踏み込んだ分、外にも対応ができる。相手の狙いは?いや、ここまで投げていないけど絶対に意識しているはずの球がある。それでいくか?気力を奮い立たせて内を攻めるか…」
古田がサインを出し、松坂が頷き投球動作に入った。
ここで投じたのは、外角低めからボールになるシュート。
或る名投手はこう云ったと伝えられている。
「気力の投球とは満塁で3ボール2ストライクの時に外角低めにスライダーを投げる度胸のことさ。自分にはそういう球が投げられる自信があるからやれるんだ」
この局面において、外角低めのシュートが件の球だったのである。
亮介も四球でも負けるであろう一打席勝負の3ボールの場面でボールになる変化球を投じてくるとは思いもよらず、スイングしたバットを止めることが出来ずに打ち損じさせられてしまった。
「くっ…!」
やられた。と亮介の顔が歪む。打球は二塁ベースの後方へ力のない飛球となった。
「あ!マズい!!」
何人かが叫んだ。
白球は野手のグローブには収まらず、二塁手・八嶋、中堅手・木村、右翼手・蒼月の丁度間に跳ねた。天祐が最後に亮介についたのであった。
「マジかよ、結果ヒットにはなったけど亮さんをほぼ打ち取るなんて大したピッチャーじゃねぇか」
「あぁ、こういう勝負じゃ哲さんよりも厄介な打者と互角に勝負するなんて、あのバッテリー、相当なタマだと思うぜ」
亮介と一、二番、二遊間コンビを組み、その凄さを知る倉持と一年生の時分からレギュラーとして幾度となくそのプレーに助けられた御幸は、結果としてヒットとなったもののその投球を称えた。
「ひ、ヒットですよね?」
「内容は確かにやられたかもしれませんが、結果は結果だと思いますが…」
森校長と林教頭はヒットにはなったからこちらの勝ちだと片岡と話す。
「監督…」
「小湊、お前はこの結果をどう判断する」
片岡は亮介本人にこの勝負の結果を問った。
「俺の負けです。ここで勝ったと言うんなら、この夏背番号を貰う資格はないです」
「いえ、私達の負けです」
自分の負けだという亮介に古田も自分たちの負けだと言ってきた。
「恐らく、守備を入れていなかったら私達の勝ちになっていたかもしれません。ですが、私達は守備を入れました。良い当たりを打たれても、野手がファインプレーをしてくれたら、無理を言っても私達が勝ったことにしてもらうためでした。勿論、こういう結果になることも想定済みでだったので、ですから私達の負けです」
「うんうん、勝負はそういう潔さも大切だよ」
森校長と林教頭は助かったと思った。
「次の勝負に行きましょう」
「今度は攻守を入れ替えて、こちらの投手とそっちの打者の一打席対決だな?君たちのように守備は就けるか?」
「監督さんのお望みのままに。ですが、こちらには文句のつけようのないクリーンヒットを打てる打者がいるので」
片岡は、失策が出ても勝ちを譲るつもりで聞いたのだが古田が思いの外自信にあふれた発言をする。
「あー…でも、やっぱり守備入れてもらえますか?良い当たりをファインプレーされてもエラーがでてもそっちの勝ちでいいですよ」
「随分その娘を信頼しているんだな?」
本来であれば、こちらがハンデをつけるべきところだと思ったが、古田のほうからハンデに近いものを提案してきたのでどうしようものかと思案していると、森校長が話しかけてきた。
「いいんじゃないかい?これは女子野球同好会が女子野球部になるかを賭けた勝負だから、彼女たち自身が不利になるようなハンデを自分たちでつけるというんならそれで」
「ありがとうございます」
古田だけではなく女子野球同好会の一団全員が礼を言った。それだけでこのハンデが古田だけが考えて提案したものでないことがわかる。
「貴女たち!これは一体どういう事かしら」
この日、本来であれば沢村と同じ一年生の
「藤原さんたちから道すがら話は聞きました。無茶なマネはやめなさい」
「高島先生、大丈夫ですよ。もう勝つところなんで、そこで私達の監督になった時のことを考えておいてください」
女子野球同好会のこれほどの自信、果たしていかに…
意図的に外野(外野手の意ではない)や守っている野手の言葉を書かず、バッテリーと打者の心理描写のみで書いてみました。