最強バギー伝説   作:バギ次郎

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第10話:さっきからムシしやがって!!

 三人の邂逅から数日が経過した。モージとリッチーは森や海のもので自給自足の生活を送っていた。基本は船上での生活だが、たまに上陸した島での戦闘訓練も兼ねたサバイバルを強いられていたので慣れたものだった。

 それにほぼ毎日ロビンがやってきて、おすそ分けと称してパンなどをもらっていた。

 

「いつも来てくれてありがたいけどさ、大人とかにはちゃんと言ってるのか?」

 

「なにを?」

 

「ここに来てることだよ。おれたちはどっか行く前にどこに行くのかちゃんと言ってからにしろって、いっつもカバジに言われてるから。ロビンはそうじゃないのか?」

 

「別に、私がここに来てることなんてだれも気にしてない」

 

 ロビンが手をかざすとモージとリッチーの体から手が生えてきた。

 

「この能力を気味悪がってるから」

 

「すげー!!これ悪魔の実の能力だろ!?」

 

 想像していた反応とは真逆だったため少しばかり戸惑うロビン。リッチーはお見事とでも言いたげに、頭の上で手をたたいている。

 

「怖くないの?」

 

「海には能力者なんてたくさんいて、そういうやつらが大体強いってバギー船長が言ってた。………それと実はおれもなんだ!」

 

 そう言いモージは体に力を込めると、人型のホワイトタイガーに変身した。

 

「能力者仲間だな!」「ガルッ!」

 

 二人の目に嘘はないようだった。肩透かしを食らった気分だ。

 リッチーは違うだろーとじゃれ合い始める二人。もはや見慣れた光景である。そんな二人に自分の能力でちょっかいをかけたりして遊んでいると、不意にモージの様子が変わった。

 

「なんか………いつもとにおいが違う」

 

 リッチーもしきりに辺りのにおいをクンクンと嗅いでいる。

 

 ちょうど洗剤が切れていたため水洗いするしかなかったワンピースが匂っているのか、と慌てて自分の服を嗅ぐロビンだが二人の視線は海へと向いていた。

 

「あれは………あんなとこに島なんてあったか?」

 

 ロビンもそちらに目を向けると、島かと思われたシルエットがだんだんと近づいてきてその正体がわかった。

 

「巨人だ」

 

 海岸に打ち上げられた巨体。大きなテンガロンハットを首にかけ、服はボロボロでけがをしているようだった。

 三人が近づくと巨人が目を覚ました。

 

「ぐがァ!!」

 

「「うわっ!!」」「………」

 

 突然の威嚇に思わず驚くモージとリッチーに対し、ロビンはほぼ無反応だ。

 

「ハァ……み……水……」

 

 巨人と三人の間にしばしの沈黙が流れた後、巨人はどさっとその場に倒れこんでしまった。

 

「ミミズ?」「たぶん水だと思う……」

 

 終始冷静そうな彼女の的外れな返答に、先ほどとは違った驚きの目を向けるモージとリッチーであった。

 水が飲める場所まで案内し、巨人は喋れるほどまで回復した。巨人の名はハグワール・D・サウロといい、お尋ね者らしい。どうやら足を怪我していて、そのうちイカダを作ってこの島を出るつもりのようだ。

 それから四人の不思議な関係が始まった。

 

 

 

 

 サウロはイカダづくりに励み、モージとリッチーはたまに手伝うも、しきりに海の方を見ていた。ロビンは毎日ここへきてはサウロやモージたちとの会話を楽しんでいた。

 

「そういやおめェたち、ずっとここにおるが親は心配せんのか?」

 

「おれの家族はリッチーだけだ!」

 

 暗に親はいないという発言だが、本人は特に気にしていない様子だ。

 

「親はいないの。お母さんはいるけど、小さいころ仕事で海に出たっきりで顔も覚えてない」

 

 続けて二人とも能力者であるということを明かされ、サウロは勝手に納得した。

 

「そうか……二人とも大変なんだでな。でも立派だでよ、その歳で。デレシシシ!!」

 

「「変な笑い方」」

 

 サウロの変な笑い方がおかしくて四人は笑いあった。

 

 

 

 

 

 

 

「できたでよーー!イカダ!!」

 

 数十本の木々を縛りまとめ、巨人族のサウロでも乗れる巨大なイカダが完成した。

 

「おれ達も手伝ったんだから乗せてってくれ!」

 

 モージとリッチーはバギーたちの捜索にちょうど良いと打算ありきで手伝っていた。

 

「ワシは追われとる身なんだが……」

 

「じゃあもう行っちゃうの?」

 

 モージたちの説得と寂しそうなロビンのこともあり、もう少し島にいることにした。

 

「あのなァ、ワシは政府に目をつけられとるでよ。だからワシと来ても危険だど」

 

 何度も説得をするが聞く耳を持たずお手上げな状態だった。座ったサウロと同じ目線の岩に座っているロビンに助けを求めた。

 

「なあロビン、お前からもなんとか言ってくれねえか」

 

「私も海に出たい」

 

「おいっ………おめェも海に出てェのか」

 

「うん、でも今じゃなくていつかお母さんと一緒に行ってみたい。そのために考古学者にもなったのよ!」

 

「考古学者………でもおめェ、母ちゃんの顔も覚えてねェんだで?」

 

「そうだけどお母さんだもん………会いたいよ」

 

 モージたちがサウロの足元で騒いでいる。

 

「はぁ……だでなーー」

 

 困ったサウロであったが、続けられたロビンの発言に驚愕した。

 

「おめェの母ちゃんが歴史の本文(ポーネグリフ)を探し回ってる!?まさかおめェ……母ちゃんの名前わかるか?」

 

「オルビア」

 

 衝撃が走りサウロは思わずあおむけに倒れた。

 

(ロビンは………オルビアの娘!)

 

 さらにこの島がオハラであることも知ったサウロは、学者たちを消すために海軍の軍艦が向かってきていることをロビンに告げた。

 いきなりのことで戸惑うロビンだったが、母親が帰ってきているかもしれないと言われ迷わず町へと走り出した。

 

「さっきからムシしやがって!!こんなに待ってもバギー船長たち来ないし、こっちから探しに行くしかないと思うんだけどなあ」

 

 先ほどまでとは言わないが、またもサウロは驚きで目を見開く。

 

「モージ………おめェいまバギー()()って……」

 

「ああ!まあはぐれちゃってるけどな。」

 

(モージたちは………“道化”のバギーの一味!)

 

 まさかこんな子供たちが億超えの海賊の一味だったとは。

 

 ロビンやモージたち、島へと迫る脅威のことで頭を抱えるサウロ。ふと海へと目をやると、もうすでに見えるところまで軍艦が押し寄せてきていた。

 

「あァ……まずはロビンを助けに行かんと。………おめェたちには聞きえェことがあるが、ひとまずここで待っとれ!ロビンを助けたらこのイカダで島を出るんだで!すぐ戻るでよーー!!」

 

「おーやっとわかってくれたのか。サウロはやっぱりいい人、いやいい巨人だなあ」

 

 モージが言い終わるころにはすでにサウロは走り去っていた。




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