最強バギー伝説   作:バギ次郎

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どうかバギーのセリフは千葉繁さんボイスで脳内再生してくださいませ。





第3話:リスクとリターンを考えろォ

 宴が行われている中、バギーは自室でバラバラの実と悪魔の実図鑑を前にして、頭を悩ませていた。

 

(さて、普通に考えりゃ悪魔の実なんざ売っぱらって一億ベリーをいただきたいところだが。この間、敵から奪った宝の地図のこともあるしなァ)

 

 今回の件よりも少し前のことである。倒した敵が宝の地図を持っていたのだ。その地図は、宝のありかは海底にある、と指し示していた。

 

(この地図だけじゃねェ。海中で眠ってるお宝はごまんとある。泳げなくなるのはだいぶ痛手だな)

 

 バギーは元々泳ぎが得意であった。自分の長所と海の宝を失ってまでも、悪魔の実の力を手に入れるべきかどうかを判断しかねていた。

 

(この図鑑によりゃ、バラバラの実は食えば全身バラバラにできるバラバラ人間になれる……か。手っ取り早く力を手にすることができるが……)

 

 同格だと思っていた同期との差。先ほど味わった屈辱を思い出す。

 

(しっかし、悪魔の実つってもバラバラだけじゃねェしなァ。なになに、動物(ゾオン)系だけでもイヌイヌの実、トリトリの実……クモクモの実なんてのもあんのか。だが、これから先そうホイホイと悪魔の実が手に入るとも限らねェ。どうすりゃいいんだァ!!)

 

 いまここで食べるべきか……

 ベッドに寝そべり、図鑑を広げながら寝返りを繰り返す。その様はまるで恋する乙女のようだ。なおもバタバタしていると、

 

「ここにいたのかバギー。……寝ながら食事なんて、のどに詰まっても知らねえぞ?」

 

 ノックもせず勢いよくドアを開け、そう話しかけてきたのは悩みの一因でもあるシャンクスだ。びっくりして思わず、隠す必要もないのにバラバラの実を口にほおりこんでしまった。

 

「こんなところで食ってねえでさ、向こうでみんなと食べようぜ。先に行ってるぞ!」

 

 シャンクスはそう言うとバンッとドアを閉め、去っていった。嵐がやって来たようだった。返事を聞かずに言いたいことだけ告げて行くとは。しかし、いきなりで驚いたが、これでジャマする者はいなくなった。そう胸をなでおろそうとした瞬間、

 

「あ、そういえばさっき船長が……」

 

 

 ごっくん

 

 

「てんめェ……なにしてくれとんじゃァ!!おれが悩みまくったこの時間が全部パーだ!もう取り返しがつかねェよォ。おれ様の一億ベリー……」

 

 一度ならず二度までも、ノックをしないとは何事か。泣きながらキレてシャンクスの胸ぐらにつかみかかる。おかげでバラバラの実を丸のみしてしまった。バギーのあずかり知らないところだが、かなり不味い、という実の味を体験せずに済んだことは幸運だったのかもしれない。

 

「アハハ、何怒ってんだバギー」

 

「全部てめェのせいだこのボンクラァ!!」

 

怒りが収まらないバギーにシャンクスは困惑する。

 

「何がそんなに気に入らねえんだよ!まあ、とにかくこの場はいったん退散するとしよう」

 

「待ちやがれコラァ!!」

 

 宴が行われている甲板へ走るシャンクスと、それを追いかけるバギー。いつもの二人のケンカは、ロジャー海賊団の船員たちのいい酒のつまみになったとか。月明かりが照らす中、船員たちの笑い声と見習いたちの声が飛び交い、夜が更けていく。

 

 

 

 

 

 バラバラの実を食べてから3年の月日が流れた。船にいる間はレイリーが修行をつけてくれた。修行だけでなく、いくつもの死線をくぐり抜けてきた。金獅子のシキ率いる金獅子海賊団や、白ひげ海賊団との戦い。特にこの両者を見て、悪魔の実の強さや恐ろしさを痛感した。

 これらの大きな戦闘をきっかけに、バラバラの実の使い道の模索や鍛錬により力を入れるようになった。そこでわかったことは、自身をぶつ切り程度の大きさまでならバラバラにすることができ、斬撃はおそらく無効であること。また、バラバラにしたパーツは空中に浮遊し操ることができるが、足は地面についていなければならない。さらに、コントロールできる範囲は限られている、というものだ。

 

 ロジャー海賊団で得た経験はそれだけではない。空に浮かぶ島やサムライのいる国。見上げてもその全容がわからぬほど大きなゾウの背の上に国があり、そこで暮らすミンク族と呼ばれる獣人など。すべてを語ろうとすればキリがないが、まるでおとぎ話のような冒険の数々。楽しいことばかりではなかったが、どれもかけがえのない貴重な体験である。

 だが、ロジャー海賊団は去年解散してしまった。船員たちはみな思い思いに船を降りていき、いまはもうどこで何をしているのかはわからない。

 

 

 

 バギーはいま、東の海(イーストブルー)にあるローグタウンという町にいた。

 

 なぜか。

 

 ロジャーはこの世のすべてを手に入れると海賊団を解散させ、自分は海軍に自首したのだ。どうなるのかはわかりきっていたが。

 そしてまさに今日、ロジャーの公開処刑がここ、ローグタウンで行われるのであった。処刑台のある広場はたくさんの人で埋めつくされていた。

 

「これより、大罪人ゴールド・ロジャーの死刑を執行する!!」

 

 ロジャーの両側にいる海兵が、その首を切り落とそうと刀をかまえた。すると、集まっていた民衆の中からこんな声が飛んできた。

 

「それで、宝はどこに隠したんだ!?」

 

 その言葉を聞いたロジャーはニヤリと口角を上げてこう言い放った。

 

「おれの財宝かァ?ほしけりゃくれてやる……さがせェ!!この世のすべてをそこに置いてきた」

 

「勝手にしゃべるんじゃない!」「刑を執行しろ!!」

 

 ロジャーの人生は幕を閉じた。

 

 だが、彼の言葉は男たちを海へと駆り立てるには十分すぎた。湧き立つ民衆たち。その中には、のちに七武海へと名を連ねる者たちもいた。もちろん、バギーやシャンクスも。

 バギーは両のこぶしを握り締め、下唇が切れんばかりに食いしばっている。シャンクスは深く麦わら帽子をかぶり表情が見えない。ロジャーの最期の言葉をしかと胸にし、その場を後にした。

 

(次はおれ様がこの世のすべてを手に入れてやる……!!)

 

 

 前が見えなくなるほどの涙を流しながら、バギーはそう決心した。




コラァ!はコルrrァア!て感じの巻き舌です。
ぜひバギー船長を思い浮かべながら読んでいただけたらな、と思います。

バラバラの実を食べた時点でバギーとシャンクスは12歳だそうです。原作開始25年前です。

お気に入り等ありがとうございます!
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