アドマイヤベガIF ~もしも妹さんが生きていたら~ 作:トマリ
唐突に『アヤリちゃんが攫われてアヤベさんがそれを助けに行く』というRPGみたいな一幕を昨日(今日)の深夜に受信してしまい、かといって小説として膨らませられるほどのネタとは思えなかったので、会話文SSとして書きました。
ウマネスト世界での話なのと、若干のキャラ崩壊注意かもです。
興味なければ読まなくても大丈夫です。
ここは、呆れるほど平和なウマネスト世界。
その世界には、とある仲の良い双子のウマ娘がいました。
姉の方はアドマイヤベガといい、 妹の方はアドタイヤリラと言いました。
妹は頼れる姉に全幅の信頼を置き、姉はわんぱくで元気な妹に手を焼かされながらも、二人とも幸せに暮らしていました。
そんな時、 突然村に侵攻してきたテイエムオペラオー率いる魔王軍によって、アドマイヤリラが攫われてしまったのです。
世界で一番大事な可愛い妹を攫われ怒りに燃えるアヤべさんは、妖精ナリタトップロードと妖精ハルウララの導きによって勇者の剣を引き抜き、冒険に出ることになりました。
数々のダンジョンを越え、魔王軍壱番隊隊長にして唯一の兵士であるメイショウドトウを退け、ついにアヤべさんはオペラオーが待つ城へと足を踏み入れました……。
「ふっふっふ……まさか本当にここまでたどり着くとは思わなかったよアヤベさん……。氷の洞窟や灼熱の大地、覇王theワールドなど、あらゆるダンジョンを設置し ておいたというのに......」
「……あんなの、なんともなかったわ。なんとしても私は、ここまでたどり着かなくてはならなかったもの」
「あっお姉ちゃーん! 来てくれたんだっ! 早く助けてーっ!」ガシャガシャ
「私の可愛い妹を攫った罪……万死に値するわ。すぐに償わせてあげる」
「はーっはっはっはっ! 気合充分のようだねぇ! そうこなくては!」
「お姉ちゃん早くーっ! この昭和のRPGでしか見ないような鳥籠型の檻、風で結構揺れるから酔いそうになる……あっ、このポテチ美味しっ」
「……待ってなさいリラ。このふざけた覇王を倒して、すぐに助けるから」
「くっくっく……たった一筋の流れ星が、恒星に勝てると思っているのかい?」
「……安心しなさい。すぐに叩き落として、あなたも流れ星にしてあげるから」
「ふおおオペラオーちゃんとお姉ちゃんの対戦カードっ! これは妹として燃えざるを得ない……んひぃっ!? こ、このポテチわさび味だった……! み、水っ…… 鼻がっ、 は、誰か早く水を……」
「ああっ、大丈夫かい妹さん!」
「ちょっと待ちなさいよ」
「来たときから気になってたけど、なんであなたさっきから檻の中でポテトチップスをバリバリ食べてるのよ。檻の中がポテチの空袋まみれじゃない」
「んぐっ、んぐっ……ぷはーっ! だってお姉ちゃん待ってる間暇だったんだもん……オペラオーちゃんとのしりとりも二十回ぐらいやっちゃったし」
「アヤベさんが街の人々と友情を育んだり、謎解きに無駄に時間をかけたりしてたからねぇ」
「一応私囚われの姫なわけだから自由に動けないし……食べるぐらいしか娯楽がなかったんだよー! 体重増えてたらお姉ちゃんのせいだからね!?」
「……これ私のせいなの?」
「楽しかったんだよね?お姉ちゃん」
「やめなさい」
「……一気に気力が削がれた気がするけど、まぁいいわ。大人しく斬られてリラを返しなさいオペラオー」
「そういうわけにはいかないね! ボクの計画を果たすためにはアヤリさんの体に眠る莫大な魔力が必要なのさ!!」
「えっ、私の体にそんなのあるの?」
「あくまで今だけの設定だよ!」
「あっなるほど。ううぅ……! 魔力がぁ……! 国を滅ぼしかねないほどの魔力が私のお腹の中で暴れているぅ……!! お、お姉ちゃん早く逃げてぇ……!!」
「急に取って付けたような暴走キャラにならないで。今あなたのお腹にあるのは魔力じゃなくてさっき食べたポテチと水でしょ」
「このアヤリさんの魔力を使って、ボクは今の世界を破壊して作り替える……そう! それこそが、覇王ワールドリメイク計画っ!!」
「か、カッコいい!!」
「ダッサ……」
「だが、だ。実はこう見えて、ボクはここまで計画の邪魔をしてきたアヤベさんのことをボクなりに評価している」
「はぁ?」
「どうだい? ボクの元で、共に計画を為してみないかい?」
「おおっ! オペラオーちゃんがフリ◯ザみたいなこと言い出した!」
「協力してくれるなら、作り替えた後の世界の半分をアヤベさんに渡すと約束しようじゃないか」
「…………」
「どうだい?」
「……お断りね」
「ほう、何故だい? 魅力的な提案だと思うけど?」
「まずあなたの下に付くのがゴメンだし……そもそも私は世界の頂点に立つのも、今の世界を壊すのにも興味はないから」
「…………」
「ただ大事な妹と、今まで通りの世界で平和に過ごせればいい。……それだけが、私の望みだから」
「……なるほど。どうやら、ボクとアヤベさんとでは価値観が違うようだね」
「合いたくもないわ」
「では、交渉は決裂というわけか……!」
「そうね。さぁ、決着を───」
「えーっ! 世界の半分って欲しくない?もらえるならもらっとこうよお姉ちゃん!!」
「あなたがそっちに舵切らないでよ」
「せっかく今私がそれらしいこと言ったのに」
「だってセカハン(世界の半分)がもらえるんだよー!? セカハンだよ!? 宝くじ一等当たるよりも確率低いよ!?」
「変な略し方しないで。あと『宝くじ』とかも言わないで。『ポテチ』の時からそうだったけど世界観がよくわからなくなるから」
「セカハンもらって~、その世界でお姉ちゃんと私が一緒に女王になったら~……私とお姉ちゃんで好きな世界創れるじゃん!!」
「発想が魔王なんだけど」
「ようしっ! 私が女王になった暁には、その世界では朝昼晩ポテチを食べ放題とする!!」
「発想が小学生なんだけど」
「おや、アヤリさんもセカハンが欲しいのかい?」
「セカハンが流行りだした……」
「欲しいー! お姉ちゃんだけもらえるなんてズルいー! 半分じゃなくて三分の一とかでもいいから、私にも世界を分けてほしいよーっ!!」
「そんなケーキを切り分けるみたいに世界をやり取りしないでほしいんだけど」
「はーっはっはっはっ! さすがはアヤベさんの妹であるアヤリさんだ! そこまで言われては仕方がない!」
「待って、なんでこの流れで 『さすが 「アヤベさんの」 妹』って評価になるの? 場合によってはど突くわよ」
「ふむ……いいだろう! では、世界の分け方の合意がいくまで、覇王・ザ・スペシャルエディション計画は延期としようじゃないか!!」
「計画名変わってるじゃないのよ」
その後、なんやかんやでアヤベさんはオペラオーを倒し、『世界の半分欲しかったな~』とぶーたれる妹さんを引きずりながら帰り道にパピコを半分こしましたとさ。
めでたしめでたし。