アドマイヤベガIF ~もしも妹さんが生きていたら~ 作:トマリ
『概念として思い付いた話だけど小説として膨らませられる程ではない』というネタが出たので会話文SSとして射出します。
苦手であれば読まなくても大丈夫です。
「わひぃー……今日さんむいねお姉ちゃん……! 外の風が冷たいよぉ~……!」
「そりゃまだまだ季節は冬だもの。寒いに決まってるわよ」
「き、切れかけてたテーピングとか蹄鉄は買い終えたよね!? なら早く寮の部屋に戻ろうよ~! もう私凍えて凍えて……!」
「なんであなたは上着も羽織らず制服一枚だけで外に出たのよ……」
「いや、近いし買い物だけならすぐ終わるかなって……」
ビュウウウウウッ!!
「うひぃぃぃさんむううううっ!? ちょちょお姉ちゃんっ、帰りお姉ちゃんの上着の中に入れてっ! 二人羽織みたいにして帰ろ!?」
「嫌よ。誰かに見られたらバカみたいに思われるじゃないの」
「大丈夫だって! 私とお姉ちゃん容姿も体格も一緒だから、ジェットストリームアタックの構図みたいにきっちり一列で並べば正面から見られる分にはバレないって! 精々『なんかウエストが前後にやたら大きいウマ娘だな』って思われる程度だって!」
「なおさら嫌なんだけど」
「え~いいじゃん~……! 寒いんだよぉお姉ちゃん……」
「リラの自業自得じゃないのよ……」
「うう……あっ。じゃ、じゃあお姉ちゃん、せめてコンビニに寄らせてよ! あそこで私あったかい肉まん買ってくるから! それなら良いでしょ!? ちゃんと私のお金で買うからっ!」
「はぁ……仕方ないわね」
「やったーー!!」
「はむっ……はふ、はふっ……ん~~! おいひ~~……!」
「……なら良かったわ」
「冬の日に食べる肉まんってなんでこうも美味しいんだろうね~……! 『肉まん』って食べ物が完成され過ぎてるからなのかぁ?」
「リラ、後ろから車来てるから気を付けなさい」
「なんなのかな~コレは!? 『ハーモニー』っていうか、『味の調和』っていうのかぁ……! たとえるなら『たこ』に対する『焼き』……『メロン』に対する『パン』と同じようなモノ……『肉』に対する『まん』が最高なんだよねぇ……! ほっかほかの肉まんで私の頬が熱されて、第二第三の肉まんになっちゃいそうだよぉ……!」
「なに訳のわからないこと言ってるのよ……。ていうかリラ、一昨日も肉まん食べてなかった?……しかも二つも」
「うぇっ……そ、そうだっけ?」
「確かそうだったわよ。……あなた、最近肉まん食べ過ぎじゃない?」
「そそっ、そんなことないって!」
「……あんまり食べ過ぎると、太るわよ」
「うっ……よ、余計なお世話ですぅ! それに私は食べた分ちゃんと走ってるから体にはそんなに───」
「……今改めて見たけど……リラってそんなに頬丸かったかしら?」
「え゛? なに急に??」
「前から思ってたけど……最近のあなた、顔が少し丸くなってるような気がするのよ」
「や、やめてよお姉ちゃんせっかく冷たい風をしのぐために肉まん食べて暖まってるのに!! また別の寒さがやって来るじゃん!?」
「だって実際───」
「むぎゅっ!? ほ、頬掴まないへお姉ひゃん……」
「あなたの頬こんなに伸びなかったような気がするし……やっぱり太ったんじゃ」
「ひっ……ひゃいひゃいもうこのはなひはやめーっ! 体重なんて知らにゃいひらにゃい! わらひは今ぎゃたのひければ良いんでふーっ!」
「清々しいほどの現実逃避ね……。まぁ、どうせ困るのはリラだから良いんだけど」
「むふー……」
「…………」
「…………」
「…………」
「……あの、お姉ひゃん?」
「なに?」
「いや、なにって……い、いつまでわらひの頬を掴んでるの?」
「…………」
「わ、わらひの頬になにかあった?」
「……いえ」
「?」
「なんか……すごくあたたかいのよ、あなたの頬」
「ふぇぇ?」
「なんだか……カイロみたい。いつまでも触っていたくなるわ」
「な、なにひょれ……。わらひが肉まん食べてるからじゃない?」
「それもあるかもしれないけど……いえ、それを差し引いてもあたたかいわよ。あたたかいっていうか……もはや『ぬくぬく』ね。子供の体温みたいだわ」
「だ、誰が子供ですかぁ!?」
「……そういえばあなた、元から平熱は高めな方だったわね……ちょっと、両手で触れてみるわよ」
「ふぇっ……」
「……あったかいわ」
「ひょ、ひょう……なんだ」
(なっ……なになにこの状況!? 私これでも高校生なんですけどっ! 子供体温とか言われたらちょっと傷つくよ!? それにこのままの体勢だと肉まんも食べれないし……)
「…………」
(あーでもなんか……お姉ちゃんが私で暖を取ってくれてるのって、それはそれで悪くないかも。久しぶりの姉妹の触れ合い(物理)だし……お姉ちゃんちょっと表情が柔らかくなってきてるし……)
「……頬以外も、あったかいのかしら」ボソッ
(もう仕方ないな~! 肉まんは冷めちゃうけど、これならしばらくはお姉ちゃんのカイロになってあげるのもやぶさかでは───)
「……やっぱり、首もあたたかいのね」ピトッ
「───ふひぃぃぃっ!!??」
「あ」
「ちょっ……お姉ちゃん!? なに首を触ってくれてんのっ!?」
「っ……ご、ごめんなさい、つい」
「『つい』じゃないよっ!! 頬触るのは全然良いけど首触るのは犯罪だよ!? すっごい冷たかったんだけどっ!?」
「……悪かったわよ。リラの体温が思ったより心地好かったから……」
「ふ、ふーーん……そんな嬉し……都合の良いこと言ったら私がなんでも許すと思ったら大間違いだからねっ!?」
「(しっかり絆されかけてるじゃないの)……ごめんなさい。お詫びとして何かしてほしいことがあったら聞くから」
「むぅー……何かしてほしいこと……あ! それじゃあ……」
「なに?」
「お姉ちゃん、上着貸してよ。あと肉まん持ってて」
「上着? わかったわよ……はい」
「ようしっ。じゃあ私がこれを着込んで……うおお暖かい……! しかもこれ、さっきまでお姉ちゃんが着てたからお姉ちゃんの匂いがする……!」
「やっぱり返してもらっていいかしら?」
「ダメだよっ! 何かしてほしいことがあったら聞くって言ったのはお姉ちゃんじゃん!」
「はぁ……」
(……まぁ、上着を貸すぐらいだったら別に良いかしら。寒そうなのは気になってたし……それでリラが満足するんなら……)
「この状態で……! じゃあお姉ちゃん、私に背中向けて~!」
「? なんで……?」
「いいからいいから!」
「……これでいい?」
「ようしっ! そ~れっ!!」
「っ!? り、リラっ!?」
「ん~? なにさお姉ちゃん?」
「『なにさ』じゃなくて……っ! なんで私がリラをおんぶすることになってるのよ……!」
「いいじゃんいいじゃん~! ここで私が後ろから上着でお姉ちゃんも包めばぁ……ほら! 別バージョンの二人羽織が完成~! これなら二人ともあったかいよね~!!」
「だから……二人羽織は恥ずかしいんだけど……」
「あ~首が冷たいな~お姉ちゃんに触られたから首元の体温だけが下がってるな~。もう動けないな~」
「っ……」
「……ね?お姉ちゃんとしてもぬくぬくの私を背負って歩けるんだからいいでしょ?」
「……はぁ。しょうがないわねもう……」
「やったー! じゃあ、寮まで我の足となるが良いよお姉ちゃーん!」
「はいはい……」
「…………」
「…………」
「……ねぇ、リラ」
「なぁに? お姉ちゃん」
「……あなた、本当に暖かいわね」
「えへへっ♪でしょー?」
「……ふふっ」
「あと、やっぱりあなた重くなった気がするわ」
「気のせいですぅーー!!」