<オリ章作成中につき現在更新停止中>Project Moon RPG気ままに実況プレイ   作:とろねぎ

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EGOとエゴ

 

 

評価バーが真っ赤になった記念として久しぶりの一日二話投稿です。ありがとうございます、としか言えません。

こんな中々アレな文章ですけど、たくさんの人に高評価して頂いて嬉しい限りです。

 

 

 

 


 

曇天。

 

湿り気を帯びている道。

 

退廃した建物の前に、四人の男女が立っていた。

 

「良い場所見つけたっつってたよなぁ?俺の目がイカれたわけじゃなけりゃあ...」

 

「確かに大きいけど、ただのボロ屋敷じゃない。」

 

「こんなの、もうとっくに漁られてんだろうが。」

 

「うるせぇな!その漁り残りを大人しく頂戴するんだよ。ネズミ(俺たち)はこうやって生きるしかねえって分かってんだろ!?」

 

「「「それもそう。」」」

 

「さっさと行こうぜー」

「早く済ませましょう。」

「早い者勝ちな!」

 

「お前らなぁ...」

 

がっくりとわざとらしく肩を落とした一人を放置して三人は歩みを進め、外れかけた扉に男の一人が手をかける。

 

瞬間、男の首が落ちた。

 

「...あ?」

 

地面に落ち行く男の世界が捉えたものは、飛来する白く鋭い爪を持つ獣のような『腕』。

 

そしてそれに胸を貫かれ心臓を飛び出させている女、頭を握りつぶされる男、数本の『腕』に四肢を引きちぎられる男。

 

それすらもすぐに頭を潰された。

 

既に手遅れとなった状況を把握するので忙しい男の首は、前後からやって来る『腕』に潰された。

 

 

 

 

 

 

血肉と死体が転がっている、特段おかしくも無い光景の片隅も片隅。灰で出来た小さな小さな小山から、炎が噴き出した。

 

しばらく心配するように取り囲んでいた数十本にも及ぶ無数の腕たちの内、一本が灰の中に入り、人型の獣...『少女』を引きずり出した。

 

『少女』の顔は黒く塗りつぶされていた。

 

『少女』に片腕と脚は無く、残された一本の腕で這いずっていた。

 

『何処に...何処に居ようと探し出してやろうぞ...』

 

誰かへの呪詛を吐き出す。

 

『鮮血を啜り、はらわたを貪り、我の苦痛と怨嗟を味合わせようか...』

 

わたわたと慌てるように周りを飛ぶ腕たちの内からもう一本が『少女』を持ち上げる。

 

ゆっくりと自身の腕を持ち上げ、前を指さす。

 

『炙り出す...先ずはこの地区から...さあ、私たち...』

 

それらに呼び掛けると、ピタリと落ち着きを取り戻し『少女』を持ち上げた腕を除いた全てが『少女』の周りを囲むように飛び始める。

 

巣を守るように周りを飛び交う腕を引き連れて『少女』は進行を開始した。

 

広い大通り。朝霧の残る道。

 

炎を纏った腕が霧を掻き消した。

 

『...燃やせ』

 

『少女』の指示を受け、六つの炎を纏った腕が『少女』を中心として円を描くように回転し、全方位に赤くギラギラと輝く線を放った。

 

『私と、私たちの奏でる私の生き様。』

 

線は触れた物を燃やしながらゆっくりと広がる。

 

ものの数分で、辺り一帯は焦土と化した。

 

パチパチと火花が弾け、肉を焼く音。穏やかな眠りを享受していた人々の熱に悶え苦しむ苦悶の声。

 

救いを求める声と逃げ惑う声、勇ましくも立ち向かおうとする声。

 

生憎と勇敢な者はすぐに物言わぬ肉塊となったが。

 

腕が飛び回り、人々を蹂躙する。

 

死体と炎に包まれた地区が一つ、またこの都市に生まれた。

 

『...炎の臭い...』

 

突然『少女』がピクリと反応すると一言だけ言葉を漏らし、腕たちと共に姿を消した。

 

 

 

 

 

 

ここでも、町が燃えていた。

 

「リウ協会フィクサーが壊滅状態だ!援軍をぉっ」

 

誰かの叫び声は、熱線に貫かれる音に塗り潰された。

 

『炎の舞う音だけが、僕を癒してくれる。』

 

突如V社の巣で発生したねじれ...泣く子は、建物に火を放ち、人々を熱戦で撃ち抜き、炎を纏った拳で鏖殺した。

 

『良いんだ。これで、良いんだ。』

 

「ひ、ひいっ!」

 

うわ言をのたまいながら放った熱線は

 

「っし!...あぶなかったねぇ〜!」

 

白髪の女性が振るった大剣に弾かれた。

 

「ふー、特色フィクサー『黒い沈黙』、現場入り〜」

 

黒い沈黙。アンジェリカ

 

軽口を叩きながら大剣をしまい、手袋からケヤキ工房のメイスと斧を取り出して構える。

 

「随分と暴れたのね。でももう......うわっと!...人が話してる最中でしょうが!」

 

近付かせまいと放たれる熱線を、軽々と弾き飛ばして、宙に浮く泣く子に肉薄する。

 

メイスで殴りつけ、怯んだ所をホイールズ・インダストリーで叩きつけて地面に落とす。

 

舞い上がった土煙の中に落下しながら、ロジックアトリエを連射し、落下の勢いを利用してそのままアラス工房のランスを突き刺す。

 

次々と工房武器を切り替えての連撃は確かに手応えがあった。

 

実際にランスは地面と泣く子を縫い付けていた。

 

それを視認するや否やムク工房の刀を抜いて首を切り落とす。

 

「...ふう。」

 

ランスを引き抜き、刀と共に収納するアンジェリカだったが、泣く子が分裂し、三体の小さな泣く子に別れたのを見て呆気にとられた。

 

「...うそぉ...」

 

『...』

『野蛮な女め。お前の顔なんて二度と見たくない。』

『なんだよその顔!何言ってんだよ!おい!!』

 

「うわぁ...でも、逃がすわけないでしょ。」

 

それそれが何かをまくしたてながら一目散に逃げ出すのをアンジェリカは見逃すはずもなく、追撃しようとする。

 

散り散りに逃げる泣く子たちの内、目を抑えた個体と耳を抑えた個体が突然飛来した腕に貫かれた。

 

「なっ!?」

 

すぐさま近くにあった瓦礫の山を背に姿を隠し、覗き見る。

 

『温もりとはかくも容易く享受できるものであっただろうか...』

 

腕が飛び交う中、その中心で『少女』がべちゃり、べちゃりと這いずってこちらにやってくる。

 

『何言ってんだ!』

『暗闇すら僕を拒む...』

 

『善とはなんぞや、悪とはなんぞや。その答えが明かされる日が登ることは無いだろうて。』

 

目の前に吊り下げられた泣く子たちをまじまじと、顔と思われる部位を近づけて眺める。

 

『なれど燃えた。されど燃えた。灰に還るのだ。みな、等しく。貴様も、我も...』

 

そして、捕らえた泣く子二体を周りを飛ぶ腕に殴り潰させてその鈍い音と共に少しずつ不格好に凹んでいくそれらを眺めていた。

 

「(な、なんなのコイツ...!)」

 

多少のブランクがあるとはいえ、アンジェリカの持つ長年のフィクサーとしての勘が警鐘を鳴らす。

 

本能は逃げるべきだと訴え、理性は立ち向かうべきだと訴える。

 

死の恐怖に苛まれながらも、こちらへ向かってきた数本の腕をロジックアトリエで叩き落とすことで決断を下した。

 

まともに銃弾を受けた腕たちは悶えるように痙攣し、灰へと姿を変えた。

 

元々そうであったかのように。

 

『...?』

 

手袋の機能を使い、音を消す。すると『少女』はかすかに首を傾げた。

 

『ぱちぱち、ちりちり、聞こえない...寒い......寒い...』

 

消しても尚、頭に声が響く。それにわずかに驚いたのも束の間、腕たちが散開して遮蔽物となりえそうな瓦礫や死体の山を刻み、燃やし始めた。

 

手当たり次第に壊される瓦礫の中には、当然のようにアンジェリカが隠れているものもあった。

 

迎撃はせずに、『少女』の前面に入らないように飛び出す。そして、『少女』から少し離れた未だに無事な死体の山に隠れる。

 

『やだ、一人はやだ...一人はやだよ...おかあさん、助けて...おかあさん......』

 

『少女』の言葉によって、腕たちは破壊活動をやめて再び『少女』の周囲を回り始めた。

 

そして一本が持ち上げ移動を開始する。

 

静寂の世界に音を取り戻すために。

 

「(機会を逃した。あの腕が邪魔だな...)」

 

視界の端で、灰山が微かに震え始める。あの腕たちから出来た灰山が。

 

「なに...?」

 

その後、灰山から腕が這い出てくる。

 

「(はぁ!?)」

 

首に掴みかかろうとする腕を、狼牙工房のナイフで今一度灰に戻す。

 

「(蘇った...時間差?回数は?)」

 

考察して少しでもあの予想外の標的に対しての情報を集める。攻撃方法を整理し、行動パターンの分析、それから...

 

『悪意には憎悪で応えようぞ。』

 

「!?」

 

自身を押し倒すように現れた『少女』の対処。

 

周りの腕を連れていない『少女』が爪を振りかぶるよりも早く、ナイフを首に突き刺してから、柄を殴ってさらに深く刺して乱雑に引き抜く。

 

体の上から落ちた『少女』に呼吸を整えながら銃口を構える。

 

『痛い...イタイ、いたい...』

 

「...」

 

無言で弾丸を放つが、一本の腕がその身を呈して『少女』を庇った。

 

腕の灰を浴びながら『少女』がはっきりとした言葉を話し始める。

 

『その手袋...』

 

「...」

 

 

 

 

 

 

『そうだ、その手袋!手袋!それだそれだそれだっ!』

 

様子がおかしい。突然声を荒らげる眼下の『少女』を今すぐに殺すべきだと本能が訴えかける。

 

...しかし、体が動かない。

 

『見つけた!見つけた!!こんな所に!こんな所にいたよ!ひゃはははぁっへひゃひゃひゃひひひいっっ!!!!』

 

「っ!」

 

歓喜の声を張り上げて発火する『少女』にホイールズ・インダストリーを振り下ろす。

 

凄まじい質量と速度を持った鉄塊が押し潰す直前、『少女』を探していたであろう腕たちが濁流のようにアンジェリカを飲み込んだ。

 

濁流の中から『少女』とは少し距離を離した場所に吐き出される。

 

「うぐっ...しまった!」

 

忙しなく飛び回って一つの生き物のように『少女』とアンジェリカを隔てる腕たち。足元にあった灰からも腕が生まれるが、アンジェリカに見向きもせずに波の一部へと加わる。

 

『きゃはははは!!どうしよう!どうしようね!』

 

状態の悪いビデオカメラのように所々で途切れる白い濁流の向こうで、燃える『少女』は笑っていた。

 

『切り刻もう!いいね!生きたまま燃やそう!痛そ〜...ひひっ!』

 

駄々をこねる子供のようにのたうち回りながら楽しそうに叫ぶ『少女』の体が白いものに包まれていく。

 

それを視認した瞬間にアンジェリカは駆け出していた。熱によるものとはまた違った汗を額に浮かべて。

 

道を開くために今出せる全力で攻撃を仕掛ける。

 

それでも、突破どころか僅かな突入口を開くことも叶わなかった。

 

ランスで大穴を開けようと、大剣で推し潰そうと、刀で切り刻もうと...全て灰になった数秒後には腕が生まれ、再び波を補強する。

 

それでもアンジェリカを強い脅威だと判断した十数本の腕たちが濁流から離れ、アンジェリカに襲いかかる。

 

切り落としても叩き落としても絶え間なく再生し、襲いかかる腕の対処、波を切り開くという無謀。

 

「...!やばっ...」

 

腕たちに四肢を掴まれ地面に引き倒される。一つの手足に対して二、三本の腕が力を掛けていて抜け出せない。

 

そのせいか、波からもまたいくつか抜け出してアンジェリカを押さえ付けるのに加わる。顔を押さえ、体を押さえ、肩を押さえ、太腿を押さえて...念入りにいつでも骨をへし折る事ができるように力を加え続ける。

 

『けひっ!ひ、ひひゃひゃひゃひゃあっ!!』

 

『少女』は恍惚とした顔で歓喜に打ち震えながら、完全に繭に包まれた。

『嫌だ。こんなの私じゃない。誰か...助け...

...

 

......

 

.........繭が揺れる。

 

どくん、どくんと拍動するその様子はさながら巨大生物の心臓だろうか。

 

やがて繭がゆっくりと割れ、中から今自分を押さえ付けている腕。

 

明らかに繭よりも巨大でそれらよりも二回り程巨大な獣の両足が這い出てきた。

 

それから腕、頭が生まれ、べちゃりと倒れた。

 

3m程の白色の獣。頭部には髪の毛のようなものが生え、頭から背中にかけてみずみずしい白い花と枯れた深緑の花が小さな花畑を作っていた。

 

体表をぬるぬるとした液体に覆われ、ぐったりと横たわっている姿はまさに、母親から産み落とされた直後の獣だろう。

 

だからと言って、『少女』を心配している場合では無い。

 

『少女』が生まれた直後に腕が消え去り、解放されていたアンジェリカは分かってしまう。

 

はっきり、確かに、鮮明に。

 

「(殺される。)」

 

特色となって初めて感じる死の匂い。濃密で粘着質な死がべったりと張り付いてくる感覚。

 

視界が震え、身体がカタカタと小刻みに揺れる。

 

『少女』から目を離した一瞬、ほんの瞬きをした程度の間で『少女』が姿を消した。

 

辺りを見回し、それでも見つからない。数秒後、自身を黒い影が覆ったことでようやく気付いた。

 

「ぁ...」

 

顔面を引き裂いて作った大口を開き、真っ直ぐこちらに落ちてくる『少女』に。

 

澄み渡った薄水色の眼と、じんわりと燃え上がるような赤色の眼が残影を作り近付いてくる。

 

 

 

 

 

 

『やっと...みつけた!』

 

 

 

 

 

 

『少女』の横から、また白い何かが突き飛ばして行ったような気がした。

 

燃え盛る建物が崩落し、土煙が上がり、顔を手で覆った。

 

土煙が晴れ、アンジェリカが恐る恐る目を開いた時には、既に何も居なくなっていた。

 

しかし、辺りに残された爪痕と炎が先の出来事を現実だと定義付けていた。

 

 

 

 

 

 


 

 

あとがき

 

おててに持ち上げられて移動するホモちゃん可愛い大好き。もっと苦しめ

 

腕が飛び回って攻撃だったり防御するのは、作者がガン〇ムのファンネルとビットを意識して書いたからですね。

オールレンジ攻撃ってすごいカッコいい...カッコよくない?

 

おててファンネルのランクとしては、HE以上WAW以下です。

 

え?ホモちゃんのランク?

 

...

 

( ◜ᴗ◝)

 

これ最後でどっか行ったからよかったけど、このまま二人がおっぱじめてたらV社無くなってたんじゃないかな...

 

次回、地上最強の親子喧嘩ってマ?(範馬刃牙並感)

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