Project Moon RPG気ままに実況プレイ 作:とろねぎ
───荒野の洞窟───
「オイ!それ以上オレに近付いてみろ!ブッ殺すぞ!!」
〈何が起きてるんだろう...〉
先の見えない暗闇へ足を踏み出す度に、奥から届く怒声は強さを増していく。
「お、おわぁ!?お、おいやめろって!?危ないぞ!?」
〈グレゴールもいるんだ...〉
段々と声が増えてくる。
ムルソーの静かに伝える声。ホンルの呑気な声。イシュメールのどこか穏やかな声に、ロージャの楽しそうな声。
それと同時に、暗闇には天井から小さな光が差し込むようにもなってきた。
「こんなに深かったっけ...でもまあ、もうすぐ到着かな。」
アリスの呟きの通り、段々と明るくなってきた。
そして開けた空間で目にしたのは...
「いい加減に離せこのバカ犬が!ぶん殴られてぇか!?」
「ハギャッ!キャキャキャッ!」
人懐っこそうな鳴き声を漏らす獣にバットを引っ張られるヒースクリフ。
「ちょっとヒース〜、その子たちは犬じゃないってば〜。その子たちは...」
豪勢な毛並みを満足気に撫でるロージャ。
「哺乳綱食肉目イヌ科イヌ亜科。狭義的には狐と言われる。」
三、四匹の獣に全身を舐め回されているムルソー。
「んなこた今どうでもいいんだよ!コイツら、オレのバットを...!虫のおっさんだって腕に食いつかれてんだろうが!」
「や、やめろ...俺の腕は...歯磨きガムじゃないんだぞ...!」
「ガグ、ァグガグガグガグ...」
虫の腕に噛みつかれて、がじがじと噛まれているグレゴール。
「適度に硬いのが気持ちいいのかもしれませんね〜。」
まるで昔からのペットのように優雅に撫でているホンル。
「しかしある症状を引き起こす虫の宿主でもあり、軽度の接触としても疫病へかかる可能性が高い。」
「だ、だってさイシュ!さすがにその子たちの山からは出てきた方がいいんじゃないかな〜って...」
「......別に病気ぐらい良くないですか?」
狐に囲まれ、様々な色で構成された山の中から顔を覗かせるイシュメール。
〈.........〉
なにこれ。
ていうかなにここ。
でもここ...前に来たことがあるような?
〈...もしかして、私の嫌な予感ってのは全部勘違いだった?〉
「あ、ダンテ!もう!どこ行ってたの〜!すっごく大変だったん...あれ?他の子達は?」
〈う、うん。全員は居ないけど、でもその半分は無事に見つかってよかった。一応聞くんだけど...今どういう状況?〉
「うーん...僕たち、バスの中にいましたよね?僕はチェシャさんとお話してたんですけど、ふと目を離した時にいなくなって...そこからはあんまり。」
「あ〜私も...まるで、電気がパチッて切れたみたいに目の前が真っ暗になって、気付いたら...って感じ。」
〈やっぱりみんな、そんな感じなのかな。アリスも気付いたらって言ってたし。〉
「アリスさんとも会ったんですね?それで、アリスさんはどこにいるんですか?」
〈え?いや、私の足元...あれいない...〉
「ヒースクリフ、グレゴールとは比にならない個体数の波に攫われていくのを見ました。管理人様。」
「待って!やめて!私なにかした!?確かに見た目似てるけどそんなに懐かれる覚えはあっあっあっ...やめてぇぇぇ!!」
〈助けてあげてよ...〉
「彼らに害意はなく、指示にもありませんでしたので。」
〈あー...うん...〉
「ハァ...ハァ...オイ...時計ヅラ...!さっさと、出るぞ...!オッサンもさっさと来い!」
〈...もうちょっと皆から聞いてもいい?ほら、ここは結構安全そうだし、アリスもあんな様子だから。〉
「ついにぱあになっちまったか?どこをどう見たら安全に見えるってんだ?」
〈安全...?ここが?待って。さっき私、なんて言った?〉
こんな、今にも崩れそうで...得体の知れない恐怖が這い寄ってくる場所が?
「...は?」
「管理人様は約2秒前にこの場所を『安全そう』と称されました。」
「はあ...旦那は...はあ、疲れてるんだよ...」
気付いたらべたべたになった虫の腕を携えたグレゴールも戻ってきていた。
〈ここってさ...なんか、嫌な感じしない?〉
「そう?あの子たちは可愛いし暖かいしお昼寝に最適な場所じゃない?イシュも...」
「...この場所...ダメになりますね。堕落の巣窟です。」
「ほら!」
〈イシュメールは早く出てきなよ...〉
「は?それ本気で言ってますか?こんな機会、恐らくですが二度と無いのに?」
〈...〉
イシュメールはあそこを故郷と定義したらしい。
〈誰か...バスからここに来るまでのことを覚えてる人はいないのか?〉
「いんや?相変わらずだりぃ時間だったから寝てたな。んで目覚ましたらあいつらに囲まれて...」
「いやぁあれは凄かったよな。俺の腕を見て威嚇してくるペットなんかはもう見飽きてたんだけど、まさかおもちゃ扱いしてくるやつなんていたんだな...あ、俺も大して覚えてないんだ。悪いな旦那。」
〈もしかしてみんな覚えてない...?それともここにいる囚人たちだけなのか?〉
「...」
〈...ムルソーも?〉
「...はい。」
〈嘘でしょ...ムルソーですら...?〉
「旦那ぁ?まるで俺たちは知らなくても不思議じゃなかったって言い草だなぁ?」
「オッサンの記憶力には誰も期待してねぇよ。」
「ぅぐ...」
「ちょっとちょっと!あんまりグレッグをイジメないの!お年寄りには優しくしろって習わなかった?あ、ホンルもそう思うでしょ?ねっ?」
「......えぇ、はい。ご老人方には優しくしないといけませんからね。」
「なあお前さんたちは俺をどうしたいんだ?」
〈やっぱりこういうのは、ファウストとかイサンに聞くのが一番か...〉
「そうそう、何事も適材適所だよ〜。」
「じゃあ今度はファウストさん達を探しに行かないとですね?」
「つーことだ。早く出てこい毛並み狂い。テメェの毛かソイツらの毛か分かんねぇじゃねぇか。」
「い、嫌です...拒否します...!ここがどこだか分からない以上、長期の遭難も視野に入れてこういった住処は確保しておくべきですから...」
「あー...イシュメールさん?そこが心地いいのはわかったけど、そういう言い訳はやめような?ほら早く...出て...来いって...!」
グレゴールが毛の山に腕を突っ込むと、段々イシュメールの腕が飛び出てきた。
「やめて...ください...!この子達も、私のそばにいるのが......あっ」
スポンッ!
〈あ、抜けた。〉
橙や黄、黒が混ざった山から抜け落ちたイシュメールは絶望といった顔だった。
そしてそのイシュメールを煩わしく思っていたのか、山を形成していた狐たちは向かって一つの方へ...
「ぞ、ぞぞっ、増援っ!?ただでさえ死にそうなのに、これ以上は...ほっ...本当に、しぬぅぅぅ...!!」
〈...あ。〉
「今アイツのこと忘れてたよな?」
「前々から思ってたんだけど、ダンテってちょ〜っと薄情な所があるよね...」
「アリスさ〜ん。そろそろ行くって、ダンテ様が〜。」
ホンルがいつもの調子でアリスを引っ張り出そうと手を伸ばした時だった。
「ギャウッ!!」
伸ばされる手に気付いた一匹がホンルの手に噛み付こうとした。
幸いにもその直前で引っ込めたから大丈夫だったけど、その騒ぎに気付いた他の個体がこちらを向いて、さっきまで囚人たちと戯れていた姿からかけ離れていく。
「グヴゥゥゥ゙...!」
「ギャア!!ギャン゙ッ!!」
低く唸ったり口を大きく開けて牙を見せつけてきたり。
「狐が口を開けるのは一種の威嚇であり、口の大きさや牙の鋭さで優劣を決めます。」
「じゃあ僕たち、敵だと思われてるってことですね。」
「な、なんで?だってあの子たち、さっきまであんな、可愛い声でクルクル鳴いてたじゃん!」
突然敵意を見せた彼らは、今にでも飛び付いてきそうだった。
確かにロージャの言う通りの豹変だったけど...今までも何回か良い顔をして寄ってきた人に裏切られたことはあるしそこまでショックを受けるものなのか?
〈...しょうがないよね?〉
「だ、ダンテっ?冗談でしょ?」
「ダンテ...あなたには血も涙もないんですか...!?」
ロージャとイシュメールが化け物でも見るような目で見てくる。
〈こ、殺さなくてもいいから...!適当に追い払うだけでいいから...!〉
『低く唸る獣』
スキル
『ひっかく』 斬撃 憤怒 コイン3 攻撃レベル-2
基本威力3 コイン威力2
《Ⅰ・的中時》...出血2を付与
《Ⅱ・的中時》...出血2を付与
《Ⅲ・的中時》...出血回数1増加
『かみつく』貫通 憤怒 コイン1 攻撃レベル+1
基本威力7 コイン威力5
《Ⅰ・的中時》...出血5付与、出血回数2増加
『隙を伺う』 回避 暴食 防御レベル+2
基本威力4 コイン威力9
《回避成功時》...次のターンにダメージ量増加1を得る
パッシブ
『撤退』
体力が20%未満にならず、20%以下になった場合は戦闘から離脱する。
『外郭の子供たち』
火傷で受けるダメージ-60%
火傷を保有しているなら、攻撃レベルと防御レベルがそれぞれ3増加
『声を使った威嚇』
マッチ敗北時、対象へ次のターン攻撃レベル減少2を付与
『体毛を膨らませる獣』
(攻撃スキルは同じ)
パッシブ
『撤退』
体力が20%未満にならず、20%以下になった場合は戦闘から離脱する。
『外郭の子供たち』
火傷で受けるダメージ-60%
火傷を保有しているなら、攻撃レベルと防御レベルがそれぞれ3増加
『体を使った威嚇』
戦闘開始時、憤怒スキルを使う味方が5人以上なら全ての敵の攻撃レベル-1