Project Moon RPG気ままに実況プレイ   作:とろねぎ

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■-4 穴から出た先

 

 

 

「キャヒィ...」

 

「キャウゥゥ...」

 

「キューン...」

 

〈...〉

 

「ダンテ...やっぱりやり過ぎだったんじゃ...」

 

「なんかオレも...ちょっぴりだけどいたたまれねぇな。」

 

「過剰防衛ですよダンテ。」

 

〈わ、私が悪いの!?〉

 

「ふんふふ〜ん...アリスさん、アリスさんっと...あ、いましたよ。大丈夫ですか?なんだか細いし、べちゃべちゃですけど。」

 

ホンルの手には池に落ちたのかと見間違えるほどに濡れ雑巾でほっそりとしたアリス。

 

「...だいじょうぶに、みえる...?みえるなら...その目...ほんとうに、かざり、でしょ...」

 

〈と...とりあえず...ふふっ、ここにいても...ぶふっ、どうにもならないから、外っ...行こうかっ...〉

 

「ねえ笑ってるよね。」

 

「いつも...くく、みすぼらしい格好してんだから...気に、すんな。くははっ...」

 

「ねえヒースも笑ってるよね。」

 

「わあ〜。そうやって尻尾を振り回していると、ヘンな臭いがそこかしこに撒き散らされますね〜。」

 

「殺すぞ。てか死ね。一回死ね。全員死ねーッ!!」

 

〈ムルソー!〉

 

「はい。」

 

「あ、お願いしますね〜。」

 

「離せ!離せこら!離せこのやろうぶち殺すぞこんにゃろ!■■■■るぞ!!!!」

 

「......賑やかだな、旦那。」

 

〈...うん。〉

 

乱心するアリスを何とか宥めてからその場を後にした。

 

縋り付くようなか細い鳴き声に後ろ髪を引かれるような思いで...実際にイシュメールとロージャはしきりに後ろを気にしていたけど、それを振り払って元来た暗闇へ足を進めた。

 

「...ダンテ〜...まだ外に出ないの〜...?もう十分は歩いてない...?」

 

〈う、うーん、こんなに長かったかな...あの時はヒースクリフの声が聞こえてきて、急いで来たから早かったのかも...〉

 

「バスも無いし他の人たちがどこにいるかも分からない以上、もっとたくさん歩き回るから安心してね。」

 

「え〜!?も、もうムリ...私はここまでみたい...」

 

「馬鹿なこと言ってないで早く立ってください。お菓子を買って貰えない子供じゃないんですから。」

 

「...あ。」

 

薄暗がりの中でじゃれあう二人を横目に、ヒースクリフが声を上げた。

 

「つーか、ここどこだよ。」

 

「あ〜、僕も不思議に思ってました。それぞれの区域にはその翼の特異点を利用した何かがあるものですけど、今のところ見当たりませんね?」

 

「まあ、私たちが見たものは人工物か怪しいこの道だけですけど。奥にいた物も踏まえるなら、どこかの保護施設とでも考えるのが丸いでしょうか。」

 

「あそこには火の痕跡が確認できた。また、鳥類を思わせる生物の骨を発見した。保護施設であるなら解体せずそのまま与えたことになり、野生下の生物であるなら火を使った者がいることになる。」

 

「暇な誰かがお世話しに来てるとかじゃないの?」

 

「それなら納得はできますけど、問題はここが都市のどこにあるかってことです。」

 

「一つ捕捉するなら、あの骨格を持つ鳥類は都市に存在しない。」

 

「...待って...今、なんかとんでもないこと聞いちゃった気がする...酔狂な人がお世話してるってだけ...だよね...?じゃなかったら、ここは...」

 

〈......〉

 

ロージャの言いたいことが分かったようで、ムルソーとアリスを除く囚人たちはどこか神妙な面持ちをしていた。

 

「外郭。」

 

「ちょ、ちょっと!嫌な予感がしてたから言わなかったのに、本当に外郭だったらどうするつもり!?」

 

「我々が元いた都市を見つけ、正式な手続きを踏んだ上で戻る必要がある。」

 

「そ...そういうどうするつもり?じゃなかったんだけど...あーもうどうにでもなっちゃえ...」

 

〈外郭って言うと...クリスマスの?〉

 

ヒースクリフの番の前、ドンキホーテに扇動されて向かった裏口の先を思い出す。

 

あそこの...ノームのような生き物がいる場所って認識なんだけど...

 

「はい、ヒースクリフさんのやつです。」

 

「それはあのうるせぇチビのせいだろうが!オレも...まあ、ちょっとは悪かったろうけどよ...」

 

〈ちょっと...?〉

 

「う、うるせぇうるせぇ!今はそんなことほじくり返してる場合じゃねぇだろ!どうにかしねぇとオレらは一生この何もねぇとこに置き去りだぞ!」

 

〈話、すり替えた...〉

 

「すり替えたね。」

 

「すり替えましたね。」

 

「あぁすり替えたな。」

 

でも、確かに昔のことで責めるより今の解決策を探すべきではあった。

 

都市の記憶すら忘れてる私に、外郭の記憶があるわけもないし、ここが本当に外郭なら、分断された囚人たちが心配だ。

 

私がいない間に囚人たちが死んだら...一体どうなるんだ?

 

「...?ロージャさん?」

 

「なあおい、その...どうしたんだ?顔真っ青じゃねぇか。」

 

いつの間にか囚人たちの関心は後ろでぎこちない足取りで進んでいたロージャに寄せられていた。

 

〈どうしたの?〉

 

「...ダンテ...あなた...なんともないの...?」

 

〈なんともって...うん、なんともないけど。〉

 

「歩いてたら...なんか...胃が、ひっくり返った感じが、して...どこに立ってるのかも、分からなくなって...」

 

血の気が引いた顔で硬い岩壁にもたれかかるロージャを見ていたムルソーが口を開いた。

 

「酔いの症状に近い。」

 

〈よ、酔い?酔っ払ってるってこと?〉

 

「乗り物酔い、と呼称するのが早いでしょう。冷や汗、吐き気、目眩。これらの症状に合致します。」

 

「でも変じゃないか?あのバスに乗ってる時は少なくとも、平気な顔してたじゃないか。しかも、こんな場所に酔うようなものがあったか?」

 

「付け加えるなら...私も囚人ロージャの述べる感覚を覚えました。心臓を含む全ての内臓が反転し頭頂部から指先までの全ての血液が逆流するような違和感です。」

 

〈そ、それ大丈夫なの?〉

 

「ごく一瞬であったため行動に支障はありません。」

 

「...私も。なんなら、この感覚には覚えがあるかな。」

 

今まで沈黙を貫いていたアリスが口を開くと同時に、囚人たちの関心を一身に受けた。

 

「ワープ列車。あれがワープ...っていうか、別の空間に入る時に似た感覚。さすがにこんなに酷くなかったけど、近い。」

 

いつもの声色じゃなくて、何かを確信したようなそれでいてその確信を否定しようとしているような声だった。

 

ここでふと、いつかのファウストの発言がフラッシュバックしてくる。

 

ホンルが次はH社で自分の番なのかという問い。

 

あの時、ファウストはどこか迷った様子で『その予定です』と言った。

 

それが嘘だった。もしくは予定が乱れた結果だとしたら?

 

私たちが巻き込まれる事件に囚人たちが関与していないことはなかった。

 

なら、今回はまさか...

 

「やけにハッキリ言ってるとこワリーけどよ、オレはなんにも感じなかったぞ?」

 

「ワープ列車...なるほど。確かにワープする感じがダメな人はとことんらしいですからね。問題は...」

 

「ここが列車に見えんのかってことだよな?」

 

「まあ外に出て見ればわかるよ。ロージャ、収まった?」

 

「......な...なん...とか...?ぐ、グレッグ...肩、貸して〜...」

 

「そういうのはムルソーさんに頼むべきじゃないかなぁ。俺じゃ安定感に欠けないか?」

 

「いいの...これぐらい、低い方が...」

 

「俺にも傷付く心はあるんだからな?」

 

「オイ...それマジかよ...」

 

「おぉ〜い。おっさんいじめて楽しいか〜?」

 

バスの日常の一部が後ろで繰り広げられ、余分に抱いていた不安を少しはその場に落として歩くことができた。

 

斜め前で揺れる白い毛はいつも以上に静かで、いつも以上に焦っていたような感じがする。

 

やがて、夕焼けを思わせるような色の光が見えてくる。

 

もうそんなに時間が立っていたのかと憂鬱感が込み上げてきたけど、そのすぐ次の瞬間には、私たちは陽の光を浴びていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───黒い森───

 

 

〈......え?〉

 

真っ黒な、森の中で。

 

「...ここ、オレの他に見覚えがあるヤツいるか?つかいねぇ方がいいんだけどよ。」

 

「黒い森。管理人様と出会った場所です。」

 

「ムルソーさんはこの短時間で聞きたくない言葉をたくさん言ってくれるなぁ。」

 

「じゃあ本当にここ、外郭じゃないですか...どうするんですか?こんな...ロクな装備も人材も無い状態で外郭に放り出されて...」

 

〈...どうして...?一体、何が起きて...〉

 

「えっと...おチビちゃんは、どうしてダンテがあんな反応してるのかわかる?」

 

「仕方無いよ。だって私たち、こんなとこ通ってないもん。」

 

「なにがどうなってるのやらだね。」と付け加えるアリスだけど、そこまで驚いていないように感じた。

 

どちらかというと...懐かしんでる?

 

それは私と出会った時のことなのかそれとも別のことなのかは分からないけど、つい直前の焦燥感は鳴りを潜めていたように思う。

 

〈これ...私たち、大丈夫なのか...?〉

 

「いんや、なんにも大丈夫じゃねぇだろうな。どこのバケモンか知らねぇけど、今もオレたちを見てる奴がいるしな。」

 

〈えっ?〉

 

「前に来た時はそんなもの感じなかった覚えがありますけど...いや、外郭の生態系を私たちの基準で考えたらいけませんね。外郭ですし、何千km先からも獲物を監視する視力が異常に発達した怪物がいてもおかしくありませんね...」

 

〈...もしかして、外郭って私が思ってるより危ないところ?〉

 

「まあ、間違ってもピクニックで来るような場所じゃないよな?」

 

「ランチにしようとブルーシートを広げた瞬間、私たちがランチになるでしょうね。」

 

「...思い出したら...お腹すいてきた〜...」

 

「ロージャさんは相変わらずだな...」

 

「そういえばお昼抜きのまま放逐されちゃってたね。」

 

「あぁ相変わらずが二人目...って、放逐って言うのはやめないか?な?有り得なくてもなんか恐ろしくなるから、な?」

 

「アリスさんの言う放逐は冗談に聞こえませんね...」

 

「見た目?見た目のせいなら...」

 

「な、なんで俺を見るんだよ。」

 

「ふふ、賑やかですね。ダンテ様は、ここからどうされるんですか?」

 

〈...ここで、囚人たちを探そう。私たちに理解の及ばない現象が起きるのは今に始まったことじゃないから。だったら今回はきっと...〉

 

「きっと?」

 

〈これが、流れなんだと思う。〉

 

「そうなんですね。ダンテ様がそう仰るなら、皆さんを探しましょうか。」

 

あっさり受け入れたホンルと、後ろで騒がしくしている囚人たちを読んで、囚人たちの...というか、生き物の痕跡を探すことにした。

 

 

 

 

 

 

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