Project Moon RPG気ままに実況プレイ 作:とろねぎ
「いやぁ...まさか、おチビちゃんがあんなにヤンチャな子だったとはね?いやまぁ、今までの言動でそんな気はしてたけど。」
チェシャの後ろを着いていく最中、ロージャがいたずらっぽい顔でアリス...囚人の方のアリスを見つめた。
「あのバスの中で色々と不穏なこと話してたじゃないですか...幻想体で遊んでたとかなんとか。」
「それがどうしてこんな姿になっちゃったの〜!」
「は、離してよ。そんなの関係ないでしょ...!」
アリスの実際の正体は知っている。だから同じ名前の別人ってことは私だけが知っている。
アリス本人も勘違いされているこの状況を都合がいいと受け止めたらしく、あの白い好奇心の塊が自分じゃないと否定しなかった。
「とりま指揮部門から回ってくでな。良い子のみんなはちゃんと着いてくるんやで〜。」
「チェーちゃんチェーちゃん!今通ったお部屋に素敵な男の人が立ってたわ!」
「『F-02-S44』やな。あれが人に見えとるんなら自分の力不足の証拠やから入ったらかんよ。」
〈男の人...?〉
どう見ても、毛むくじゃらの大蜘蛛が死にかけているようにしか見えなかったけど...
「低ランクの職員に幻覚を見せるって幻想体かな。収容室の前通っただけで魅了とかされそう。」
「ほぉ〜、ちゃんと事前資料読んどったみたいやな?これなら期待でき......狐が喋っとる!?」
「えっ今更...?」
「あなた喋れるのね!すごいわ!てっきり時計さんたちのペットだと思ってたもの!お名前なんて言うの?」
「...アリス。」
「私と同じ名前!うーん、でもそれじゃ不便ね。決めた!あなたは今日からスノウドロップよ!雪みたいに真っ白だから!私、白って大好きよ。だって.........だって...?...私と同じ色だもの!」
「.........は?いや、えっ。」
「そう言えば時計さんたちのお名前を知らないわ。スノウ、教えて?」
「...」
アリス(スノウドロップ?)が助けを求める目で見つめてくる。
───旧L社支部指揮部門───
「はいここは指揮部門〜。チーフはちゃんとおるんやけど、忙しい人やし実質うちがチーフみたいなもんやな!ま、ここ回っとる間に顔合わせできるやろ。」
チェシャはアリスの相手をしてくれるなら助かるとばかりに案内を続行している。
「管理人が指示するほどのことでもない雑務とかこっちで適当に割り振るでな、まあ今んとこ指示従ってもらうだけやし詳しいことは知らんくてええやろ。」
〈...〉
私たちはただ、気の毒そうな顔をして頷いた。
「アリス君!アリス殿は決してスノウドロップという名前では無いぞ!」
いや...一人だけ違った。
「あら靴屋さん。どうしたの?」
「靴屋っ...!?と、当人は靴を売った覚えなど無い!当人は偉大なるフィクサーの夢へ駆けて行く者...ドンキホーテである!!フィ・ク・サー!」
「なにそれ、新しいお茶菓子?」
「な゙ッ...!?!?」
〈......あのドンキホーテが黙った。〉
「まあいいわ!ほら腕を広げて!」
ドンキホーテの腕を広げさせたアリスはそのままドンキホーテに抱き着いた。
「ぬおっ!?」
「これがよろしくの挨拶!」
「...???」
「面倒な囚人を任せれて楽ですね?ダンテ。」
〈イシュメール...そ、そういうわけじゃ...全く無いわけじゃ、ないけど...〉
「さあスノウ。あなたのお友達を紹介して?」
「だから私は.........はあぁ...」
諦めたように深くため息を着いた。普段のアリスからは想像もつかないほど重く低いため息だった。
「前から、イサン、ファウスト、良秀、ムルソー、ホンル。」
「カラスさん、幽霊さん、蝶々さん、マネキンさん、宝石さん!」
名前と顔を結びつけるように再びハグの連続。
「翼は欲すれど、鴉になりし覚えは無けり...」
「幽霊ですか。ファウストをその概念も定まらない不定形のものに当て嵌めるのは些か度し難いですね。」
「蝶々か...ハッ。」
「宝石さんって...僕のことですか?ふふっ、僕のお婆様方と同じことをおっしゃられるんですね?」
「ヒースクリフ、イシュメール、ロージャ、シンクレア、ウーティス、グレゴール。」
「オオカミさん、夕日さん、コインさん、ひよこさんに兵隊さん!それから...」
「...なんだよ。どうせあんたもゴキ「かまきりさん!」......ちょっと違うんだよなぁ...」
「くくっ、かまきりだとよ。ゴキブリよか良いじゃねぇか。」
「あなたほどでは的を得たものはないと思いますけどね。オオカミさん。」
「待って。コインって私?なんで?あんなまん丸で平ペったいものに...」
「そ、それだったら僕のひよこさんだっておかしくないですか!?僕ひよこなんかじゃ...」
「間・無。」
「ぴったりですね〜。」
「それ以外、なんて言やいいんだ?」
「シンクルは間違いないでしょ!」
「なんで!!?」
「ダンテ。」
「時計さん!」
〈うん...わかってた。というか、時折生き物じゃないものが入ってないか...?〉
「ほな次教育部門行こかー。あそこのチーフはさっきガイドやろうとして置いてった...ランディ言うやつや。覚えとる?」
〈...あぁ、あの。〉
「うさぎさんね!」
「うさぎって...まあ落ち着きないとことか似とるか?ちんまいし...いやでも可愛くないわ!却下!あと話したんなら分かるやろけど...あいつ...まあ包み隠さず言うんなら、頭おかしいんか思ったやろ。」
否定はしなかった。ただでさえ知らない場所で目を覚ましたのに、次の瞬間には早口でまくし立てられ自分の常識を疑うような意味の分からない言葉遣いを浴びせられたから。
「イかれてんのかと思ったな。」
「はは!素直!そんな......えっと、ヒースクリフ君に残念なお知らせやけど、ウチの支部やとあれがデフォルトやでな。みんなどっかに頭のネジ落としてきとんねん。そろそろ一箱500眼で売りに出せそうや。」
「それって、ただ厄介な人材だけがこの支部に集められてるってことですか?」
「いやぁちゃうちゃう。ここがN社支部なんが関連しとるんよ。N社って言ったらアレあるやろ。アレ...」
「経験缶詰。他者の経験を取り込むことができる技術。」
「ムルソー君その通り!アレ、お手軽に育成できるからええんやけど、色んな記憶がごっちゃになるせいでチーフクラスまで育った時にはもう見事なくるくるぱぁの出来上がりや。」
「チェーちゃんは大丈夫なの。」
「うちあんなん要らんわ。なんたって優秀やからな。配属された時から副チーフやったわ。」
「...うん、知ってる。なんとなく。」
ただの確認のような言い方だった。
でも、声からはどうしようもないぐらいの安堵が滲んでいた気がする。
「中には経験缶詰とエンケファリンで二重に...いやタバコも入っとるで三重にキマっとるやつもおるしなぁ...っちゅーわけでそいつんとこ行くでー。次は安全部門〜、安全部門〜。」