Project Moon RPG気ままに実況プレイ   作:とろねぎ

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■-17 全てを掘り起こすことができない

 

 

 

───旧L社支部安全部門───

 

 

 

 

「...俺たちをここに配属したのは、一体どういった嫌がらせなんだろうな...どうしたってこんな、煙たいところに...」

 

「私情を考慮されないのが集団というものだ。貴様もよく理解しているはずだろう。」

 

安全部門に蔓延する、白とも青とも紫とも取れる煙。

 

その中から見上げる二人の目はどこか死んでいた。

 

もう一人のアリスとチェーちゃんは作業とその付き添いでいない。

 

「やっぱり、煙戦争のこと思い出すの?」

 

「...なぁ、ちょっと遠慮ってものが...」

 

「戦争は終わってるんでしょ。どんな地獄みたいな場所だったのかは知らないけどさ。凄惨な記憶なんて忘れたいだろうけど忘れるべきじゃないだろうし。」

 

「そう簡単な話じゃないんだって...むしろ、脳みそいじくられて全部抜き出される方がよっぽどマシだと思うけどな、あんなこと...」

 

「人間がどうして嫌な記憶ばかり覚えてるか知ってる?それはね、未来で同じ失敗をしないためだよ。」

 

ふう、いいこと言った。

 

「......アリスの姐さん。それは一体誰の受け売りなんだ?」

 

「は?私が考えた私の言葉なんだけど?」

 

グレゴールの目が丸くなった

 

「えっ?」

 

「私を怒らせちゃったね。この恨み、その身に刻んでやる!中指は...忘れない...!」

 

「姐さんはいつから中指になってるんだ?うっ、や、やめ...」

 

「嘆かわしい。管理人様がいなければこの体たらくか。」

 

「旦那は今関係ないんじゃないかなぁ!?」

 

「そうそう。悪いのはグレゴールだけ...げほっ!ごほっ!」

 

グレゴールの虫の方の腕に噛み付いてぷらぷらしてると、SとHの形をした煙が吹きかけられた。

 

意外とスッキリとした匂いだった。

 

「静かに。逃げてっちまうじゃないか。」

 

「げほ...な、なにが...?」

 

「.........」

 

「いや答えろよ。」

 

「あー...無理だ無理。あの姐さん、話しかけては来るけど返事はしてくれないんだ。時々まあわかんないことを呟いてはあの調子だ。」

 

「話通じそうな感じで通じないんだね。なんか、慣れてきたっちゃ慣れてきたけどムカつくね。」

 

「はっ、この程度のことに一々苛立つとはやはり未熟だな。」

 

「何かにつけて私をバカにしないと気が済まないわけ?」

 

「必要のない会話は省けばいいだけではないのか。」

 

「...あっ確かに。」

 

呆れたような二人の顔から目を逸らすとちょうど、見計らってたみたいに二人が戻ってきた。

 

「あ、おかえ......なんかべとべと...それ泥?なにやってきたの?」

 

顔中泥まみれなチェーちゃんと浮き足立った様子のアリス。

 

「...なにやってたんやろ。」

 

「これひんやりして気持ちがいいわ!ほらみんなも!」

 

「なっ...やめんか!やめろと言って...ぐっ...!」

 

「おい待て俺もか?泥を塗りたくる趣味は...」

 

「あぁ無惨...えっと、そういうことで私は───」

 

「逃がすわけないやろ。」

 

「くたばるか死ぬか殺されるかして欲しいんだけど...うわ、ちょ...やめ...!」

 

 

 

 

 

 

 

「...確かに気持ちいいね。」

 

「でしょ!」

 

「不快だ。べたべたと顔に泥を塗りたくりおってこのアマが...」

 

「なんかこういうのは落ち着かないなぁ...」

 

「そんなことないわ!」

 

「さあ残すはトバムお前だけやで。大人しくそのまま書類漁っとりや。」

 

「......断る。」

 

「ぶっ殺してでも塗りたくったるわ!」

 

「え、そ、そんなだめよ乱暴なんて!」

 

アリスの制止も虚しく、二人はE.G.Oまで取り出して喧嘩を始めちゃった。

 

管理人がこれ見たら、殺人パニックかなんかと勘違いしないかな?鎮圧指示来たりしないよね?

 

「拒否権なんざあるわけないやろ!」

 

「ど、どうしましょう...!スノウ、ど、どうしたら...!?」

 

「放置でいいと思う。気が済むまでやらせればいいでしょ...あとスノウって呼ばないで。」

 

「あなたって時々、ここの床よりも冷たいわね!ふんっ、もういいわ。私が止め...きゃーっ!」

 

「......あほらし。」

 

全身を震わせて泥を振り払うと同じように剥がしていたグレゴールとウーティスが少しだけ嫌そうな...いやウーティスは思い切り嫌そうな顔をした。

 

「ロボトミー・コーポレーションの職員の勤務態度がこれとはな。」

 

「例外中の例外だとは思うけどね?」

 

「ハッ、貴様を見ればわかることだったな。」

 

「どういう意味だよそれ。」

 

「あ゙ーッ!ギブ!ギブギブギブ!!」

 

事件性のある悲鳴は、関節をキメられているチェーちゃんから発せられていて、アリスはわたわたとその周囲をうろうろしていて...

 

「ぷふっ。」

 

...なんでこんな光景を懐かしいと思うんだろう?

 

「お、やけにご機嫌じゃないか姐さん。」

 

「......いいや?なんにもだけど...あと姐さん言うな。」

 

グレゴール、すっかり私を年上だと思ってる。

 

『ほんと失礼だよね〜。こ〜んなにちっちゃくて可愛いのに〜。』

 

『うわ。■■こっちに来るんだ。小児性愛者の魔の手が迫ってるぞ。』

 

『えっちょ酷くない?おいちゃんにも傷付く心はあるんだよ?やっぱりお兄ちゃんの方はこっちに当たり強いよね?』

 

「...誰...?」

 

「誰ってなにがだ?」

 

また新しい声が加わった。

 

脳に直接流し込まれるように響いて、目の前で影がじゃれあっている。

 

それはまた一つ二つと増えて、閑散とした()()()の中を騒がしさが蔓延する。

 

『ほんとほんと、妹ちゃんはこんなに人懐っこいのにー...』

 

『死ね。』

 

『うえーん。嫌われちゃったよー。』

 

『日々の積み重ねだろ大人しく殺されとけ。』

 

『昔みたいにパニックのフリしてぶっ殺したれ!あ、外でやってな。昨日このソファ買ったばかりやあ゙ーッ!!??』

 

なんなんだよこいつら...頭おかしいんじゃないの...?

 

ていうか最後のはチェーちゃんじゃ───

 

「ひい、ひい...し、死ぬかと思った...死んだわ...管理人...HP弾撃ってくれや...」

 

「......死人が喋っちゃダメでしょ。ちゃんと死の?」

 

「ひっど!!うぅ傷付いたわ。ふて作業する。可愛い方のアリスちゃん行くで。まだ今日やっときたいこと仰山あるねん。」

 

「えぇ!」

「うん。」

 

「...愛想がええ方呼んだんやけど。」

 

「違うの?」

「私でしょ。」

 

「自信があるのはええことやね...いやまあ...今日一日はどっちも連れ回す予定やしええんやけどさ...」

 

次は中央本部部門らしく、情報部門をまた通った。

 

相変わらずムルソーは真顔でカップを煽ってたし、ファウストは遠い目をしてたし、イサンはさっきよりも青くなってた。

 

私はただ目を合わせないようにすることだけを心がけた。

 

 

 

 

 

 

 

───旧L社支部中央本部部門───

 

 

 

ここは確か、ドンキ、イシュメール、ロージャだったっけ。

 

あの強烈な印象を残した血の繋がってない双子の部門にドンキホーテって...大丈夫なのかな...?

 

「すなわち!フィクサーとは高潔と契約と礼節の三位一体なる正義の使者なのである!!」

 

まあうん、そうなるよねって感じの光景だった。

 

「ねえドンキ...その話何回するつもり...?もう覚えちゃったんだけど...」

 

「聞かない方がいいですよ。」

 

「聞いてないよ、聞こえちゃうんだって〜...ここ静かでしょ?だから余計に...」

 

「耳栓でもしたらどうですか?あの二人はずっと耳を塞いでましたよ。元凶なのにいなくなってますし。」

 

「あの黄色い子いつもこんな感じなん?自認双子共どっか行ってもうとるし。」

 

「いつもよりマイルドだね。」

 

「それほんまかぁ?」

 

「靴屋さん!何を話してたの?」

 

「えっ...あ、アリスちゃん!?」

 

「む?おぉ!アリス君らでは無いか!あと当人は靴屋ではないぞフィクサーなのだからな。今は...んん、えへん...少しばかり、フィクサーの基本を説いておったのだ。覚えておいて損は...いや!覚えるべきである!脳髄にまで染み渡らせてこそ真のフィクサーというものに───」

 

「はいはい。二人はやることやってきてよ。ここにもなんかいるんでしょ?新人育成用アブノーマリティ的なのが。」

 

「察し良すぎて別支部の職員かと思うぐらいやわ。昔働いとった?」

 

「いや...別に。なんとなくそう思っただけ。」

 

少し白々しい感じもしたけど大丈夫だったみたい。

 

「アリスちゃん行こか」と向いた背中に安堵すると同時に、視界がぐんと高くなった。

 

「ひゃあ!?」

 

「まさかこのような場所で再びあいまみえることができるとは、いかに当人であろうとも驚きを隠せないのである!アリス殿は最上層ではなかったか?」

 

「あ、それは私もちょっと気になるかも。どうしたのおチビちゃん。サボり?」

 

「そんなヒースみたいなことしないよ。私はうるさい方のアリスの...制御装置...みたいな...?要するに、新人研修に連れ回されてる。」

 

「?うるさい方ってどっちむぐぐ」

 

「そ、そうなんだね!納得!」

 

イシュメール、今なんか言おうとしてなかった?

 

『どうしたんだ?そんな細かいことを気にする性格でもなかっただろう。』

 

『ほっとけ。どうせいつもの気まぐれだろ。』

 

『■■の気まぐれは先輩並に恐ろしいんだが?お前らもわかるだろ...!?』

 

「...黙ってろよ。」

 

「え?」

 

「はい?」

 

「......あ、いや。なんでもない。」

 

「なんでもないワケはないのではないか?一体どうしたというのであるか?」

 

「本当になんでもないんだって。強いていえば頭痛ぐらい...」

 

「そ、それは不味いぞ!頭痛とは冷静な思考を蝕む毒牙そのものである!」

 

「...わかったから黙って。うるさい。」

 

「なぬっ!?んぐぐ...」

 

前脚でドンキの口を塞いでようやく静かになった。

 

「...ふう。」

 

「静かになった」

「殻に籠った?」

 

「おぁっ!?い、いつの間に!?」

 

「あ、ちょっとちょっと!どこ行ってたのさ〜!」

 

「嵐が来てた。」

「津波が来てた。」

 

なんとなく、ドンキホーテのこと言ってるんだろうなとは思った。

 

「天災じゃん。」

 

「てんふぁい!?」

 

「そっちの意味じゃないから照れないで。」

 

ぐっと押さえつける前脚に力を込めると同時に───ばつん。

 

部門の照明が黄色から赤色に変わった。

 

「な、なに!?」

 

「収容違反...でしょうか。あ、いえ...違いますね。」

 

イシュメールの視線を追うと見慣れた面々が這い出てきていた。

 

「大罪ですね。」

 

「うわぁ...また?もう飽きたんだけど...」

 

「飽きられる程度の雑魚で良かったじゃん。退屈してたなら、3型とか出たらロージャ一人でお願いね。」

 

「そ、それはちょっと違うんじゃないかな〜って...」

 

「たとえ貧弱であろうと無辜の者たちに危害を加える者たちである!迅速に成敗せねば!!」

 

「あっおい!私を下ろしてけ!やめろバカドンキ!おいこら!」

 

「......あっ。わ、私達も行かないと!」

 

「変な間がありましたね...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...よわっ。」

 

「まあ1型ですしね。」

 

「でもでも、人格もダンテの指揮も無かったにしては結構安定感あったよね?かなり強くなったんじゃない?」

 

「冗談はそのポケットのお菓子だけにしてよ。」

 

「えっ!?な、なんのこと...?」

 

いつも甘ったるい匂いプンプンさせといて白々しい...

 

「んおっ。おーい。なんかまた変なの出とったんか?いやぁ助かるわぁ。いくら弱くても多い分手間かかってまうしなぁ。」

 

......あれ?アリスがいない。

 

「チェーちゃん。アリスは?」

 

「んぁ?目の前におるやん。」

 

「いや私じゃなくて。」

 

本当にこのボケ好きだよね...

 

「はあ?んじゃ他に誰がおるねん。」

 

「しつこいなぁいい加減にしてよ。もう一人の方に決まってるでしょ。」

 

「いやだから...アリスちゃんは一人しかおらへんやろ。」

 

「............は?」

 

 

 

 

 

 

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