Project Moon RPG気ままに実況プレイ   作:とろねぎ

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■-18 ずれた軸と歪んだ針

 

 

 

 

大罪が押し寄せる。2型が主で、時折3型が混ざっている小さな群れ。

 

それに対応する良秀、ホンルと...

 

「何をしている!飛び込め!引き裂け!奴らの首を跳ねろ!」

 

「チッ、つ・べうるさい女だ。」

 

「ふふ、なんだかウーティスさんみたいですね〜。」

 

〈あ、あの...私の指揮は...〉

 

...指揮部門チーフ、クィーン。

 

最初はとても物腰柔らかで落ち着いた印象だったんだけど...今はまるで、燃え盛る炎にしか見えない。

 

純白のドレスのE.G.Oが血を浴びたように深紅に染まり、クィーン本人の顔も血のように真っ赤だった。

 

「カチコチと音を出すのをおやめ!これ以上騒がしくするようなら壁に掛けてしまうよ!」

 

〈打首ってこと!?〉

 

「し・ヅ。」

 

「静かにしろ時計ヅラ。らしいですよダンテ様〜。」

 

「手を動かせェェェ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

少しして、大罪の波が収まった。

 

「ふう...皆さん、お怪我はありませんか?」

 

白くなったクィーンが柔らかい笑みで語りかけてくるが、怖い。

 

アリスたちと別れてからすぐ大罪が出てきて...それから二時間ぐらいずっとあの様子だった。

 

そのせいでもう前みたいに声をかけれる自信がなくなった。

 

「クィーンさんって、切り替えがとても上手ですよね。」

 

「二・人か?」

 

「切り替え、とは...?一体、何を仰っているのでしょう...」

 

〈別に二重人格ってわけでもなさそうだけど...たぶん、E.G.Oの影響じゃない...?〉

 

「はっ。み・じゅくなだけか。」

 

良秀とホンルが思い思いに伝える考えを、クィーンはただ頬をかいて気恥ずかしそうにしていた。

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

瞬きをした瞬間に、全員が指揮部門に集まっていた。

 

職員はどういう訳か一人もいなくて、ただ囚人たちがこの場に全員いた。

 

「...一日に定められた業務を終えたようですね。」

 

〈あ、そっか。〉

 

また、思い出したらバスに戻って休んだ記憶だけがねじ込まれたように沸いてくる。

 

不快と言うよりも、どちらかというと...怖い?

 

良秀はあからさまな苛立ちを見せつけるように三本目の煙草を加えていた。

 

「アリス殿...?そ、そう気を落とさないでくだされ!きっと何らかの幻想体の仕業であろう!」

 

〈どうしたの?幻想体って?〉

 

「おぉ管理人殿!聞いてくだされ!アリス君が消えてしまったようなのでありまする!!」

 

〈アリスって...あの落ち着きがない白髪の方?消えたってどういうこと?〉

 

「それがねダンテ〜!本当にそのままなの!チェシャさんが研修で〜って連れてったまでは良かったの。でも戻ってきた時にはアリスちゃんがいなくて...」

 

「問い詰めても何を言われているのか理解していないようでした。まるで、あの一瞬で忘れてしまったかのような感じでした。」

 

ロージャが説明し、イシュメールが補足する。

 

付け加えられた補足に良秀とヒースクリフの眉が動いた気がする。

 

「......誰も覚えてねぇのか?オレたち以外?」

 

「まだ、チェーちゃん以外は確認してないよ。でもたぶん...」

 

「でもアリスの姐さんはアリスの嬢さんのことかなり毛嫌いしてなかったか?やけに落ち込んでいるように見えるが...」

 

「まぎれもなくそこにあったものが切り取られた粗悪なデペイズマン。再配置の先が気になるってのは仕方がない話だろ。」

 

「...そ、その...良秀さんってやっぱり、アリスさんにはぅぐうっ...!!

 

なにかに気付いたらしいシンクレアは鋭い下腹部への一撃で黙らされていた。

 

良秀...そんなに照れなくてもいいんじゃないかな。

 

「おい、と・ヅ。」

 

〈な、なんにも言ってないよ!?〉

 

「こいつを持ってろ。う・ちょしやがって邪魔...」

 

良秀が眉をひそめた。

 

「...どうしてそうビクビクしてやがる。」

 

〈い、いやなんにも!〉

 

「ひゃあ!」というか細い悲鳴と共に腕の中に白い影が放り込まれた。

 

それを見下ろすと、赤と青の瞳が私を捉えた。

 

「え、えっと...???」

 

...アリス、うろちょろしてたっけ...?

 

「じゃ・ま。」

 

「......良秀さん、やっぱりうぐっうぅぅ...!!

 

「オメェ懲りねぇな。」

 

「ま、まだ何も言ってなかったんですが......!?」

 

 

 

 

 

少しすると部門の扉が開いた。

 

「ひっ」

 

か細い喉の音...誰から漏れたものだったのだろう。

 

「いやーすまんすまん。電車遅延しとったわ〜って、社員寮あるやろがい!って.........ん?どしたんそんな物騒なもん構えて。』

 

確かに声はチェシャだった。

 

でもあれは...

 

〈...ねじれ...?〉

 

鋭い鉤爪が伸びる手。尾てい骨の辺りから伸びている薄紅色の尻尾は時折輪郭だけを残して消える。

 

「チェーちゃん...その姿、なに...?」

 

「あ、わかってまう?今日リップ変えてみたんよ。オトナやろ?』

 

チェシャの縦長の瞳孔が引き締まった。

 

「け、化粧ってレベルじゃなくない?」

 

「えぇ?化粧意味ないぐらい顔ええって?照れるわ〜。」

 

「言ってない!」

 

「ダンテ...これどうするのさ。一回鎮圧してみる?」

 

〈いや...確かにねじれとか幻想体みたいな見た目にはなっているけど...人間だ。〉

 

「なんや変なの。ほいほい。今日の配置は  ってことでな。』

 

〈...ん?〉

 

「まあ今日も 屈かもし へん ど、退 ならそ はそれでええや ?働かん って済むん し!』

 

ノイズのようなものが走って声がぶつ切りになる。

 

「チェーちゃん...?ど、どうしちゃったの...?」

 

「あ、あと中央 部の第2廊 には立ち寄ら よう な。新しいア ノーマ ティ入っとる よ。まだ観 も進んどらんで りあえず近 らんよう な?』

 

時折、骨がズレるような生々しい音がする度に囚人たちの武器を持つ手に力がこもる。

 

でもチェシャは全く意に介さないように手に持った一枚の紙を叩きながら続けていた。

 

「まあ んなところ ろか?は ちゅーこと 今日も死なん ように 張ろか〜』

 

ノイズが走っているチェシャはいつものようにからからと笑い、そしてブツリと消えた。

 

久しく感じていなかった重たい沈黙がのしかかり、しばらくの間ひそめた呼吸音だけがかろうじて聞こえた。

 

「...ダンテ。」

 

沈黙を破ったのは腕の中にいたアリスだった。

 

何かを顎で指し示しているようでもあった。

 

「あ?なんだアレ。」

 

ヒースクリフを始めとした囚人たちも違和感に気づき、視線を向けた。

 

〈...ヒビ...?いや、裂け目...?〉

 

裂け目としか言いようの無いものがこの部門の中央に鎮座して、青白い空間を覗かせていた。

 

「こは...W社の人格をこうむりし時に見知りし色なり。」

 

〈どこかに繋がってるとか?ここに入ったら、外とか...〉

 

「ほう?見・無・珍・芸になりたいなら俺は止めやせんが。」

 

〈...〉

 

「冗談。何も無いただのガワ。見せかけだけのハ・ボだな。」

 

良秀が無警戒に裂け目に手を突っ込むのを何人かは顔を顰めていたけど、少なくとも今は安全なことは知れたからか安堵の表情をしていた。

 

アリスを下ろし、良秀に続くように触れてみた。

 

誰かが、呼んでいた気がするから。

 

そうして触れた瞬間に...

 

 

 

 

 

 

 

世界が闇に包まれた。

 

 

 

 

 

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