Project Moon RPG気ままに実況プレイ 作:とろねぎ
〈...戻って...きたのか...?〉
穏やかな日差しが、私と倒れている囚人たちを照りつけていた。
鉄臭さは多少薄まり、花の甘い匂いが漂って、透き通るような桜の花びらが静かに舞い散る。
〈...うん、死んでない。アリスは......えっ?〉
白い小さな子狐を探して、固まった。
確かにアリスはいた。
居たんだけど...
〈...ナオ?〉
問題は、それが見慣れた狐の姿じゃなく少女の姿をしていたことだった。
契約であの姿をしていたのは知っている。
リカルドに襲われた時だって、おそらく元の姿に戻ろうとしたところをファウストに契約違反を咎められた形だったし。
以前に見た着物姿のままだけど、あの時とは...威圧感がまるで無い。
「う、うぅ...」
〈あ、起きた。〉
まさかまた暴れたりしないよね...?
「...何この格好。」
〈自分でやった訳じゃないの?...あ、そういえばこの時は声聞こえなかったね...〉
「聞こえてる。」
〈あ、そ、そうなんだ?〉
どういうことだ?アリスとは契約で繋がっていたけど、ナオとは繫がっていなかったはず...
とりあえず、暴れる様子はないのが救いだろうか。
暴れる気力もない、が正しいのかもしれないけど。
「う...か、管理人殿...?ここは───」
〈あ、ドンキホーテ。起きたんだ「ギャッッッ!!!???」...ね...〉
憧れである深緑の特色フィクサーを眼前にしたドンキホーテは奇怪な叫び声を上げて倒れた。
「あー...ドンキ死んだ。私戻んないし...ほんと意味わかんない...」
アリスの頃には輝いていたような青と赤の瞳がやけに静かに、凪いでいた。
「...騒がしいな...一体なんの騒ぎ...は?」
ウーティスが珍しい声を上げるのを合図に、囚人たちも次々と意識を取り戻す。
そして示し合わせたかのようにそそがれるのは、私とファウストへの説明を求める目だった。
...主に、ドンキホーテは今にもナオに飛びつかんばかりだった。
アリスと呼ぶべきかナオと呼ぶべきかは分からないけど...今はきっと、ナオなんだと思う。
「テメェら知ってたのか?白髪女は知ってただろうが、時計ヅラテメェも...」
〈...うん。〉
「ぬぁあにぃ!?!?な、なんと不公平な!コソッと教えてくれても良かったではないか!!」
「各囚人の経歴や素性に関する開示は一切許可されていません。」
〈...ってことだから。〉
ナオは一言も話さず、桜の巨木を見つめていた。
「だったらこの状況、れっきとした契約違反じゃないんですか?U社の時だって、おそらくアリスさんが契約を破ろうとしたからファウストさんは殺したんですよね。」
「今回は処罰も抑圧もする必要はありませんでした。いえ、正確にはできませんでした。」
「で、できなかったって...どういうことですか?ま、まるでそれじゃ、別の何かのせいで───」
静かな、でもやけに大きく感じた足音がシンクレアの言葉を打ち切った。
「......あ?なんや、生きとったんか。しかも見慣れた姿になってもうてまあ〜。」
〈...!チェシャ...〉
N社の紺色の制服を柔らかい風に揺らしているチェシャは、私たちを一度虐殺したとは思えないほど、にこやかだった。
「みんな大好きチェーちゃんやで〜。」
「テメェ...テメェがしでかしたことも忘れちまったか?あ?」
「お下がりください管理人様。」
殺気立つ囚人たちが見えていないかのようにナオを見ていた。
「随分こじんまりしてもうたなぁ...わかるか?今のナオちゃん、ただの子供やで?裏路地のネズミにも殺されてまうような、貧弱な。」
「...何か、知ってるの...?」
「全部知っとるよ〜?どこぞの誰かさんみたいに、へらへら笑いながら旅行しとる訳やないんよ。ちゃ〜んと頭使うて、生きる計画立てとるんよ〜。」
「......何が目的なの?あんな不愉快なものまで見せて、結局...あなたまで私から奪うつもり...?」
「そんな目で見んといてや悲しいわぁ。奪う言うても...持ち主に返すだけやろ?まさか、自分一人の能力だけでそこまで上り詰めたとか思っとらんよな?」
「っ...黙って...」
「自前で発現させたんは偉いけど、それを制御したんは誰や?その目も、爪も...全部借りもんのくせに?」
「黙ってよ......黙れ...!」
「大事に大事〜に育てた娘がこんなくだらんオモチャで威張り散らしとるなんて知ったら、オカン悲しむで?」
「黙れよ!!」
「やっぱ結局はガキやんな。」
激昂して掴みかかろうとするナオにチェシャの拳が振り抜かれ、首があらぬ方向にねじ曲がった。
「ぅ...ごほっ...げほ、ごほっ...ぉうぇ...クソが...」
ナオの体が燃え上がり、ねじれた首が元に戻ったが苦しそうに血を吐いていた。
「深緑殿!生きておられるか!?...チェシャ殿、いかなる理由があって仲間へ手を出しているのだ。」
「何回も言わせんなや。お前が思っとるほどフィクサーはお高い存在やあらへんのやって。ただ目的が同じ人間が事務所ってもんに所属しとるだけや。なら、その目的がすれ違ったら末路は一つやろ?」
「テメェ...それ正気で言ってやがんのか?こいつはテメェのこと、マジの家族みてぇに話してやがったんだぞ?」
「みてぇに、やし関係あらへんやろ?実際の家族やないんやし。」
「っ...」
「ひょわッ...!!???」
ドンキホーテの袖を控えめに握るナオは、本当に無力な子供だった。
「うちからしたらなんでそんな殺気立っとるんかが不思議やわぁ。うちかてやらなかんことやっただけやし、恨まれる言われはあっても説教される理由はないわ。ナオちゃんも生きとる。あんたらも生きとる。うちは仕事終わり。全員ハッピー。それでええやろ?」
〈...〉
「...管理人様、あの者は...今ひとつ、発言と行動が噛み合っていないようにも見えます。」
「確かに不意打ちで襲ってきましたし、いまいち腹の内が分からない人なのは確かですよね。でも...違和感があるんですよ。」
ウーティス、イシュメールの違和感は私も薄々感じていた。
でも...上手く言語にすることができない。
「はあ...長く喋りすぎて疲れてもうたわぁ。」
チェシャが拳を握ると、着けていた指輪が淡く一瞬光り、目の前の空間が裂けた。
「ほな、置き去りにさせてもらうわ。まあまあ安心しいや。都市には戻れるやろし。」
「...ぁ...ま、待って......なにが、目的、だったの...?私の...E.G.O?」
「......ははっ、まあ、そやね。ナオちゃんのE.G.Oが目的や。もうええやろ。か弱いまんまでも、新しい家族ができたんやろ?」
「新しい家族ができたつって、昔からの家族をはいそうですかって切り捨てれると思ってのかテメェは。」
「知らんがな。そうしてもらわな困るっちゅーだけで。」
呆れたように言い放ったチェシャが裂け目に向き合うと同時に...
「...あ?」
ぴしり、ぴしりとひび割れるような音と共に裂け目が広く引き裂かれていく。
〈まさか...みんな離れて!〉
そこから現れたのは雪のように白い獣の太い腕だった。
「はっ...ちょ...話とちゃ...ぐぅッ...!!」
振りかぶられた獣の爪とチェシャが装着した工房製の爪が火花を散らし、チェシャの爪を弾き飛ばした。
「クソ、ほんま笑え───」
二回目をもろに受けたチェシャが鮮血を散らしながら撥ね飛ばされた。
二本の腕が裂け目を掴み、力ずくで引き裂いた。
そうして現れたのはあの白い獣だった。
「......おかあ...さん...」
『ナオ、久しぶり。』
爪に着いた血を舐めるそれは、神々しい白い狐だった。
まるで、アリスそっくりの...
「私は...おかあさんの子供じゃ、ないの...?私たち、家族だよね...?ねえ...?」
『笑わせないで。』
「え」
『家族?私と...あなたが?ふふっ...アハハハ...面白いわ...とっても面白いわ、ナオ...あなた、そんなに面白いことが言えたのね。』
「え...いやっ...なんでっ...まって、おかあさ...」
「管理人様...これは、我々の手に負える存在ではありません。至急待避を...」
「姐さん。気持ちはわかるが...あれから逃げて、どこに行くんだ?外郭でさまようつもりなのか?」
『利用されていたことも分からないのね。それで、自分が愛されていると本気で思っていたの。それはとても...気の毒で、哀れで...可哀想ね。』
「利用...?ね、ねえ...さっきから何言ってるの?冗談、だよね...?おかあさんが、そんなこと...」
ナオの喉が引きつった声を漏らして、何度かしゃくりあげていた。
『私の力を増幅させるためのただの器。あなたみたいなのでも、少しは役に立てていたの。ほら、喜んでいいのよ?』
「おかあさんが...私のE.G.Oを、奪ったの...?」
『奪った?何を言うのかと思えば...ただ、返してもらっただけなのに?』
〈...E.G.Oを返す?〉
『ねえナオ...まだ、返していないものがあるでしょう?』
獣の視線がナオの赤い左目に注がれた。
『返しなさい。いい子だから。おかあさんを...くくっ...困らせないで?』
「だって...これは、おかあさんがくれた...」
『いいえ。預けたの。充分に成長して、力を蓄えるまで...もういいでしょう?』
地の底から響くような重い足音が目の前に辿り着く。
「ぁ」
『用済み。』
そして次の瞬間には鋭利な武器のような牙が生え揃った口が、ナオを包もうとしていた。
ガキンッ!
「ぁえ...?ドンキ...なんで...?」
「友を守るのに...理由など、あるものか...!」
「ハッ、たまにはいいこと言うじゃねぇか!」
「同・意。お前らもさっさと出すもん出せ。」
ドンキホーテの槍が牙を受け止め、ヒースクリフのバットと良秀の刀が獣の顔面を叩いた。
『...脆弱な人間如きが、私に敵うとでも?』
「こんままやと...そうやな......やったら、同じレベルまで、引きずり落としたるわ...!」
直後、獣の体に飛来した黄金色の何かが突き刺さった。
〈あれは...黄金の枝!?〉
飛来した方向からはチェシャが体を引きずりながら戻ってきていた。
枝は突き刺さったまま少しずつ獣に潜り込み、穏やかな光を放ったまま消えた。
それと同時に、潰れるほどの息苦しさが消える。
「ナオちゃん殺すんは...聞いとらんぞ...この大嘘つきが。見下しとった人間と、同レベルになる気分はどうや。」
『殺すとも生かすとも言っていなかったはずだけど。』
「嘘も方便言うても限度あるやろがぁ...おい、手伝えや。一時休戦ってやつや。」
「なに?貴様、自分がしでかしたことをもう忘れて───」
「あーもーそういうのええから。後ろから刺したりせんよ。全員食い殺されるかそのくだらへん意地捨てて抵抗するかどっちや。」
武器を取り出したチェシャの視線は試すような色で私に注がれていた。
『こんなところで決裂だなんて...残念。私たち、いい友達になれたかもしれないのに。』
「やかましいわ。お前舌何枚あんねん。」
再び人の手によって生まれた武器と生まれ持った武器がぶつかりあった。
〈...みんな、戦闘準備。〉
囚人たちは全員、私の選択を予想していたようだった。
「私も...」
手早く人格を被せていく中で、ナオは弾き飛ばされた爪型の武器を引きずり、装着していた。
〈...ナオは...〉
「やらせて。何かの...誤解だと思う。まだ全部話してない...話し足りないの...だから、お願い。」
〈...わかった。ドンキホーテとムルソーでナオを守って。〉
当然とでも言いたげに頷くドンキホーテと静かに頷くムルソー。
軽く後退したチェシャは武器を握り締め、踏み込んだ。
深く息を吸い込むと、足元から小さな炎がたち上り、まとわりつく。
「...焼けた灰にも...いつか、華は咲くもんやろ。」
白を基調とした聖職者のような身なりに赤い線が走り...だけど煤に塗れていて、汚れている。
手には杖が握られており、その先端は血のような赤い玉が着いていた。
『開花E.G.O:終楽園』Lv89
体力??? 斬(耐性) 貫通(抵抗) 打(耐性) 防御レベル+4 速度7〜10
混乱区画(60%)
憤怒(0.25)色欲(1.0)怠惰(0.5)暴食(0.5)憂鬱(0.5)傲慢(1.0)嫉妬(2.0)
『打ち払う』打撃 色欲 コイン3 攻撃レベル+2
基本威力22 コイン威力3
呼吸回数5につきコイン威力1(最大+2)
《Ⅰ・的中時》出血3、出血回数3、火傷5、火傷回数2付与
《Ⅱ(破壊不能コイン)・的中時》次のターンに攻撃レベル減少5を付与
《Ⅲ(破壊不能コイン)・的中時》次のターンに束縛2を付与
『弾き落とす』打撃 憂鬱 コイン1 攻撃レベル+1
基本威力21 コイン威力8 破壊不能コイン
呼吸回数3以上ならマッチ威力+3
《Ⅰ・的中時》出血回数5、火傷回数3増加。次のターンに麻痺3を付与
『紅き柄を握りなさい』打撃 傲慢 コイン2 攻撃レベル+-0
基本威力19 コイン威力3 破壊不能コイン
『祝福』を保有する味方の数だけ基本威力増加(最大+3)
《戦闘開始時》『祝福を保有する』編成順が1番、2番、7番、8番の味方に次のターン終了時まで攻撃威力増加2、ダメージ量増加3を付与
《Ⅱ・的中時》次のターンに束縛2を付与
『恩寵の光に包まれなさい』打撃 憂鬱 コイン1 攻撃レベル+2
基本威力23 コイン威力8 破壊不能コイン
《戦闘開始時》『祝福』を保有する編成順が3番、4番、9番、10番に保護2を付与しスキルを破壊不能コインに変更、破壊された破壊不能コインの与えるダメージ+30%
《Ⅰ・的中時》次のターン終了時まで脆弱1を付与
『死を乗り越えてゆきなさい』打撃 色欲 コイン2 攻撃レベル+-0
基本威力21 コイン威力5 破壊不能コイン
『祝福』を保有する味方3人につきコイン威力+1
《戦闘開始時》『祝福』を保有する編成順が5番、6番、11番、12番と13番は敵よりも速度が高ければコイン威力+1、次のターンクイック3を付与
《Ⅰ・的中時》最も回数の多いマイナス効果の威力+5
《Ⅱ・的中時》最も威力の高いマイナス効果の回数+3
『受け止める』強化防御 傲慢 防御レベル+2
基本威力19 コイン威力10
マッチを代わった時、敵の破壊されていたコインの数だけ基本威力増加
《マッチ勝利時》『祝福』を保有する最も精神力の低い味方3名の精神力+10
パッシブ
『致命的な傷』
この戦闘の間、速度最低値-3、速度最大値-2、攻撃レベル-40、防御レベル-45、最大体力の70%減少、全てのスキルの基本威力-15
『瞬間呼吸法』
ターン開始時、呼吸回数3を得る
戦闘開始時、呼吸回数だけ精神力回復
『幻想狩り』
破壊されたコインが与えるダメージ+100%
『兎の跳躍』
マッチ勝利時、次のターンにクイック1を得る
マッチ時、相手よりも速度が高いならマッチ威力+3
『素晴らしきなんでもない日』
ターン開始時、マイナス効果をランダムで3種類除去
『祝福』
ターン開始時、1番から控えの13番まで編成順に3人ずつ『祝福』*1を付与。
『私は主であり其方の先導者である』
『祝福』を持つ味方がマッチ敗北時、『受け止める』でマッチを代わりに受ける(1ターンに2回)
『私は死を許さず』
『祝福』を持つ味方の体力が0になるとき、一度だけこのターンの間1より減らない
『死もまた私を許すことなかれ』
死亡時、『祝福』を持つ全ての味方に『恩寵』*2を付与
パニックタイプ
『灼け堕ちた楽園』
士気低下効果(精神力-20以下)
・自身を除く全ての味方に威力増加2を付与
・脆弱3、束縛2を得る
パニック効果
・マッチ威力+3
・全ての味方に脆弱2を付与
基本精神力回復条件
・マッチ勝利時、マッチ数+10回復
基本精神力減少条件
・マッチ敗北時、マッチ数+5減少
『輪廻の化生』Lv■■■ 外郭の獣 母
体力1865 斬(弱点) 貫(耐性) 打(耐性) 速度2〜5 防御レベル+-0
憤怒(0.25)色欲(1.0)怠惰(1.5)暴食(0.5)憂鬱(2.0)傲慢(0.5)嫉妬(1.5)
『引き裂く』斬撃 傲慢 コイン3
基本威力2 コイン威力3
《戦闘開始時》全ての敵に脆弱3を付与
『噛み砕く』貫通 憂鬱 コイン1
基本威力6 コイン威力10 破壊不能コイン
《Ⅰ・的中時》与えたダメージが10以上ならコインを再使用(最大3回)
『圧し潰す』打撃 憂鬱 コイン2 攻撃加重値5
基本威力4 コイン威力6
《マッチ勝利時》メインターゲット、サブターゲットの受けるダメージ+30%
『咆哮』打撃 傲慢 コイン1 攻撃加重値7
基本威力15 コイン威力8 破壊不能コイン
《Ⅰ・破壊されずに的中時》次のターンに威力増加1を得る
パッシブ
『強制調律』
戦闘開始時、『黄金の枝の調律?』*3を得る
『人智の及ばぬ獣』
出血・火傷・破裂・振動で受けるダメージ-70%
沈潜が発動する際、数値の半分は精神力減少、半分は憂鬱ダメージとして受ける
『抉り取る』
アリスを除く囚人への与えるダメージ+50%
アリスへ与えるダメージ-50%
アリス以外に使用するスキルの加算コイン威力+1
『生存競争』
この戦闘の間、お互いにマイナス効果を与えるコインのダメージ-20%
マイナス効果を付与しないコインのダメージ+20%
『引き裂ける』
敵死亡時、アリスに『ひび割れる心』1を付与
『ひび割れる心』が3以上の場合、戦闘に敗北する
パニックタイプ
『ひび割れていく』
士気低下効果
・与えるダメージ-20%
パニック効果
・与えるダメージ+30%、マッチ威力+2
・次のターンに精神力を10へ変更する
基本精神力回復条件
・マッチ勝利時、固定で15回復
基本精神力減少条件
・マッチ敗北時、マッチ数+5減少
・アリスとのマッチ敗北時、マッチ数+7減少
・アリスから攻撃を受けた時、4減少