Project Moon RPG気ままに実況プレイ 作:とろねぎ
エイプリルフールn日目、突入...
「あ〜疲れたぁ〜...」
事務所の自室の形をしている、メフィストフェレス内の自室のベッドの上で体を丸める。
今日はなんだか、いつにも増してギスギスしてたなぁ...
まあ面倒なねじれだったのもあるんだろうけど、大半の囚人たちはダンテの指示そっちのけで喧嘩してたし。
...ダンテ大丈夫かな。
ねじれの飛ばした瓦礫が、モロに頭に入ってたけど。
でもファウストが見て、大丈夫って言ったなら...まあ大丈夫だよね?
「...ねむ...」
本当にこの体は燃費が悪い。
弱いし、脆いし、重いし。
「まあ...明日...朝イチに、見に行ってみる、かな...」
ゆっくりと覆い被さってくるような睡魔のまま、目を閉じた。
「おい...!...ヅ...!」
この声は...ヒースクリフかな。
起きろ起きろって言ってる?
たまに寝坊してくるのは誰だって話だよね、全く...
「時計ヅラ...!」
...ヒース?
なんか...声高くない?
「おい起きろって!時計ヅラ!」
〈......??!???〉
え?シンクレア?何その喋り方...!?
〈し、シンクレア?待って、何その話し方?何かあったの?〉
「てめぇには...何もねぇように見えてんのか!!」
〈え、えっと...なんの冗談?あ、ちょっと待ってシン...ヒース?ヒスクレア?ちょっと待って...ダンテぇ!私の声に被せてカチカチうるさい!!〉
「...は?お前...時計ヅラじゃねぇのか?」
〈はぁ?ついに頭イかれた?どこからどう見てもダンテなんかじゃ...はあぁぁあぁぁあ!?!?〉
「か、かかか、管理人さん!!」
今度は...今度こそ、ヒースクリフが駆け込んできた...
〈あ、ヒースクリフ...!シンクレアまで巻き込んで、今度は何をやらかし...〉
「ぼ、僕たち、ど、ど、ど、どうしましょう!!?」
〈...〉
険しい顔付きで物騒な言葉を吐き出すシンクレア。
真っ青な顔で慌てふためくヒースクリフ。
それから...
〈...これは...なんの冗談...?なんで私、ダンテになってるの...?〉
二本の足と二本の腕、それからカチカチと鳴る私。
「「え?」」
「か、管理人さんじゃないんですか?じゃ、じゃあ、誰、なんですか...?」
〈...アリスなんだけど。〉
「クソ...てめぇもかよ...!どうなってやがんだ?あぁ!?」
〈ちょ、ちょっとその顔で凄まないで...!おもし...ぶはっ!面白いからっ...!あははは!!〉
一通り笑って、状況を整理する。
目の前には中身が入れ替わったであろうシンクレアとヒースクリフ。
それから私はどういう訳かダンテに替わってる...のかな?
...ならさ、今のアリスは、誰が入ってるの?
〈...私の体!!私は誰になってるの!?〉
「今のてめぇは時計ヅラだろ。」
〈あぁもうややこしいなぁぁ!!〉
話だけじゃ埒が明かないと思って、もう直接私の部屋に行こうと、廊下に飛び出た矢先だった。
すぐそこに、良秀がいた。
でも...たぶんあれも中身は違うよね?
「わ、アリスさん大丈夫でしたか?そんなに急いで、お腹でも空いてるんですか〜?ふふっ。」
だって、良秀は私を持ち上げて、あんなにこやかに笑わないもの。
...ん?私?
〈あ!!私の体!!〉
「ダンテ様?私の体ってどういうことですか?」
誰これ?
...ホンル?
良秀の声でダンテ様って呼ばれるの鳥肌立ってきた...
「...私がいる。」
〈はあ!?こっちのセリフ!私の体返せ!〉
「...?あ〜...じゃあこのアリスさん、別の人なんですね?誰ですか?」
飲み込みが早い。
やっぱりホンルだこの良秀。
「...ダンテだけど...も、もしかして、そこにいる私は...アリス...?」
〈そうだよ!あなたが私の体にいるお陰様でね!〉
「も、もう...なにこれ...???」
うわ私あんな顔するんだ。
「他の囚人の方々も、先にバスで待ってますよ?行きましょうか?ダンテ様は歩けますか?」
「...ごめん。さすがに四足じゃ歩けないかも...これ、いつもはどうやって人の体になってるの?」
〈ふんってやってぐぐぐーってやるんだよ。〉
「いや無理なんだけど。」
〈...なら私が持つ。〉
「あ、そうですね。じゃあはい、ダンテ様をお願いしますね、ダンテ様〜。」
前足の下あたりを掴まれて、情けない脱力した姿で渡される私...ん?いやダンテだ。
ダンテを受け取って、抱き抱えておく。
〈......〉
もふ...
「な、なんで耳触るの!?」
〈あっごめん。〉
気味悪いほど上機嫌な良秀に連れられて、メフィストフェレスの、囚人たちが集まっている方へ進んだ。
バス内に入った私たちを最初に出迎えたのは二人。
「ダンテ〜〜〜!もう!どこ行ってたの!探してたんだよ?みんな何だかごちゃごちゃになっちゃって大変なの!!おチビちゃんを抱っこしてる余裕なんて無いの!」
「...睡眠時間中、原因不明の理由で全囚人の精神が入れ替わったものと推察されます。推定発生時刻は昨夜...」
表情筋と高い声をフル活用して状況を伝えるムルソーと、眉一つ動かさず淡々と報告するロージャ。
.........頭痛くなってきた...あと私ダンテじゃないし
「ぶはっ、ね、あれ見てよあの真面目な表情!あ〜ウケる...ダンテ、『推定発生時刻は昨夜』...ぶははっ!お、面白すぎて真似出来な〜い!」
「...面白い?」
〈面白いのかな...?えっと、あの、ファウストはどこ?〉
「それなら前列より二列目にいます。」
「ごめん...指でさしてくれない?誰が誰だか、混乱してくる...」
「はい。あそこにおります。管理人様。」
〈あぁうん。〉
抱えられてる方がダンテって...まあまだ言わなくてもいいか。
ダンテも、今は情報収集を優先してるっぽいし、あんまり余計に騒がしくするのも良くないよね?
ムルソー入りロージャに指をさされた方へ歩くと、ひょこりと儚げな白髪が顔を覗かせた。
〈ファウスト。〉
「...あ。管理人...」
物憂げな瞳の中へ、途端に...ぐりんと星が瞬いた。
「ど!!!!の!!!!!!!!」
〈あ...終わった...〉
「なにゆえそのような評価を下されねばならぬのだ!それよりだな管理人殿!この体になってから、なんだかすぅ〜っごく賢くなったような感じがするのだ!目が開けた感じと言いまするか...」
なんで一番知ってそうな奴が、よりにもよってドンキホーテになってるんだよ。
私は今ほど、これの元凶を恨んだことは無いだろう。
「まるで目の前で描かれるように予測出来るのだ!数多の素晴らしい冒険を終え、小市民たちの前へ凱旋する白髪...いいや金髪が!!」
「ありまえせん。精神が移り変わったところで当該者の知識または権限を超過する内容は得られません。また、それは予測では無くただの妄想と言うのが正しいでしょう。」
やかましいファウストの隣に、正論をぶつけながら静かなドンキホーテがやってきた...
「あ!ファウスト殿!探していたのだ...あ、今はドンキホーテと呼んだ方が良いのか?先程からアクセス拒否と頭の中で響いているのだ!と、当人は何かの病気にでもなったのであるか!?」
「...長い話になりそうです。どうぞ座ってください。」
〈そんなことしてる場合?今は...〉
「うぉっほん。」
すぐ隣で、場を仕切り直すための咳払いが聞こえた。
〈ウーティス...いや待って、誰?〉
「この憂鬱そうな瞳は...」
「案ずることなかれ、ダンテ。私も未だ混乱せねど、かかる折にこそ沈静に状況を分析するが...」
あ、イサンだ。
「貴様ぁ!!!」
あ、イサンの皮を被ったウーティスだ。
「よくも私の姿を利用し、管理人様の右腕の座を奪おうとしたな!それに私の声で馴れ馴れしく管理人様を呼ぶな!!」
「ご、誤解なり。ウーティス嬢...」
「誤解だと!?この卑劣漢め!そんな邪悪な企みをずっと胸の内に隠していたのか!!」
「う、ウーティス?イサンの言う通りだとおも...」
「なんだ貴様は!!管理人様に抱えられるなど恥を知れ駄獣が!!貴様のその四本の棒はアクセサリーか何かか?えぇいどけ!首をいくら刎ねても足りない程の無礼を働きおって!!」
「う、ウーティスやめて...!?」
私の腕からダンテをひったくって地面に叩きつけようとばかりの勢いのウーティスに、内心にやにやしながら声をかける。
〈それダンテだよ。私と入れ替わってるの。〉
「...!?......」
これ以上ないぐらいに目を丸くしたかと思えば、改めてダンテを、ぬいぐるみを買い与えられた子供みたいに大事に抱き抱え直すと、頭を撫でくり始めた。
「も、もも、もち、もちろっ、もちろん気が付いて、お、おり、おりました、とも...!わた、私めの冗談、ではあ、ありませんか...!は、はは、ははは...!」
イサンが
「なんと!!管理人殿ではなくアリス殿だったのか!!全く気が付かなかったぞ!!」
〈ふふん、見下ろすって気持ちいいね。〉
「見下ろされるって、圧迫感あるね...」
「ね、ダンテダンテ〜!大変!グレッグの様子がおかしいの!!ず〜っと険しい顔してるから、話を聞いてあげて!」
ムルソーの顔でそうやってクネクネするのやめてくれない?
あの、本当に面白いから。
「お前がやればいいだろ。」
「あ...確かにみんな知り合いだけど、ほらその、何か入ってるチョコがあって、何が出てくるかドキドキする...みたいな?」
〈そんな、人をびっくり箱みたいな...あとウーティス返して、それ私の体なんだけど。〉
「は、断る。貴様のような狡猾な野獣に、管理人様を任せられるか。」
〈よし分かった戻ったらぶっ殺してやるからなお前。そのおしゃべりな口を縫い合わせてやる。〉
「その無駄に多い毛を全て刈ってやる。」
〈この世で一番苦しんでるのは自分だって思うぐらいの苦痛を味合わせて殺してやるからな。〉
「えぇと...グレゴールに話を聞きたいんだけど...」
「了解いたしました。」
あ、持ってかれた...
「...グレゴール?」
ダンテが声をかけたのは、口に煙草を咥えた、イシュメール...
「あ...管理人の旦那。なんだその、はは...起きたらこうなっちまってた。おかしなもんだよな。寝て起きて最初に見たものが、自分の腕を見て落ち込む自分の顔だったんだから。」
ちらと顔を向けた方には、未だに自分の腕を見つめて暗い顔をしているグレゴール。
「だって...ですね。私は...根っからの船乗りなのに...こんな腕...水とは相容れない、虫の腕が...」
「まあそう落ち込むなって。慣れれば案外大丈夫だぞ、それ。まあ俺も最初は見るだけで吐き気が抑えられなかったけど。」
「そういう問題じゃないですって。わざわざ避けてたのに、どうしてそう人をしんみりさせるような話題を...あと私の体で煙草吸わないで下さい。」
「いや火ぃ付けてないって。咥えてるだけだよ。どうにも落ち着かなくてな...」
「なんと情けない奴らか!姿が変わっただけでここまで取り乱すとは!」
「み、皆に詫び申す...あれは私の姿であれど、言葉は私のものではあらぬ...!」
「......地獄かな...」
まあベクトルは違えど確かに地獄だね。
〈性格が真逆、性別が違うとかで替わってる人達は本当に悲惨だね...〉
「む?呼ばれたりや?」
〈こんな状況でもそのボケは健在なのね。〉
「...ウーティス、ちょっと、あそこに座らせて...考え事がしたい...」
「あ、はい。気が回らず申し訳ありません管理人様。」
適当な空いている席に降ろされたダンテは、なんかこう...座るのが下手くそな猫みたいな姿勢で悩み始めた。
〈ねえもっと綺麗に座れないの?〉
「いきなり出来るわけないでしょ!?」
怒られちゃった。
「それでファウスト、お前はこの現象の原因をなんだと推測する?」
「ふむ......いやぁ!ここまで視線が集まると、自然と頬が熱くなってくるであるなぁ〜!」
「くっ...!お前には聞いていない!なら、ドンキホーテ!」
「うむ!お呼びか!」
「この野郎...!!」
「...一つ、推察出来ます。一昨日の夜、250401の夜、W15Hという彗星が通るとされていました。」
「今喋ってるのは...ファウストだよね?あ、えっと...中身の話。ごめん、もう三人以上で喋らないで...頭がおかしくなる...!」
一応誰が誰だかは把握しているけど、やっぱりこうも...顔と発言が合っていない事を言われると、私も混乱してくる。
「そしてその彗星にはごく低確率で願った者の願いを叶えるという逸話もあります。」
「何?それが本当だとして、一体誰だ!このようなふざけた願いを頼んだのは!!今ゲロるなら首を三度跳ね飛すだけで許してやる!」
「...あ...の...」
話が進み始めたところで、私...じゃない、ダンテがおずおずとバランスを崩しながら前脚を上げた。
「もしかしたら...私、かも...昨日、みんなが私の指示を聞いてくれなかったでしょ?だからその時...『囚人全員入れ替わったら、指示を聞いてくれるのかな』って...」
直後、水を打ったように静かになった。
〈......んで、ウーティスはダンテの首三度跳ね飛ばすんだ?〉
カチコチ言いながら笑ってやると、ウーティスは今までに見たことないほど額に汗をかいていた。
「いやぁできるわけないだろ。第一、本当に旦那のせいでなったって確証も無いわけだし。」
「ってあ!グレゴールさん!私の体で煙草吸わないでください!」
「あぁいや火はつけてないって。咥えてないと落ち着かなくってな...」
〈棒付きキャンディでも舐めてたら?ほら、ぺろぺろするやつ。〉
「あるわけないだろ、こんなバスに...」
そんなグレゴールの顔の真横に、すっと...ホンルが棒付きキャンディを差し出していた。
〈...あった。〉
「ポケットに入ってました。ふふ、良秀さんも案外可愛いところがッ...!?」
ホンルが良秀の拳で沈んだ...良秀、ホンルの体で10本目ぐらいの煙草行ってるし...
「口を閉じろ。それ以上何もするな。いいな?」
〈......なんで持ってたんだろう。〉
気にはなるけど、たぶん聞いたらダメなやつってフィクサーの勘が叫んでいる。
「ま、まあ貰うよ。あんがとな。」
「ふう...全員く・へだ。そして時計を回す。それでいいだろ。」
「む?しかし今の管理人殿はアリス殿でアリス殿は管理人殿であろう?時計を回せるのか?」
〈.........あっ。〉
「解決策も見つからない以上...僕たち、この人のまま生きていくのもいいんじゃないでしょうか?」
〈...は?〉
「あー!それいいかも!いつかは戻るだろうし?ちょっとした気分転換ていうか〜。」
「それを行うには当人同士の相互協力が必要になる。」
「そうご...なんて?」
...私、このまま...?
こんな、ひょろひょろで...頭が時計の...カチカチしかいわない変な体で...?
顔を触っても硬い針しかなくて...ご飯も食べれないような、こんな体...?
...今のダンテの、目。
左目。
赤くて、炎みたいで、太陽みたいに暖かくて。
それがずっと......ダンテのものに...?
〈......せ...〉
「...?アリス...今なんか言った?」
〈返せッ!!〉
「えっうわ!?」
「アリス殿ー!!?い、いや管理人殿!?」
〈返せってお前...!その目だけでも返せ!泥棒時計!!〉
「待って待って待って!!やめて!アリスやめて!!」
「管理人様から引き剥がせ!!早くしろ!」
「お、おチビちゃん気持ちはわかるけど落ち着こ!ね!?」
〈うあぁぁ!!この体よっえぇぇ!!!!この棒切れボディがぁぁぁ!!!〉
「...アリス、落ち着いた?」
〈はい...申し訳ございませんでした...〉
ロージャとムルソーに押さえつけられて、完全に動けなくなっていた。
「...ダンテ、話があります。こちらへ。」
そんな中で、ダンテはファウストに連れられて内緒話をしに行った。
〈...もうやだぁ...ほんとに泣きそう......あ、涙腺ないんだった。クソが死ねよ。もう死ね...全部死ね......くたばれ万物...〉
「アリス殿が今までに見たことない落ち込み方をしておりまする...」
「ヤ・クだな。」
「ヤケクソ...ですか?た、確かに、いつも笑いながら言っているような死ねとか殺すとかと全く違う声色ですね...」
「ただの強化施術とかならあそこまではならないんだろうけど、おチビちゃんの場合はね〜...」
「仮に眼窩からあの目を摘出したとしても管理人様の肉体に装着する箇所はない。」
〈うるさい!わかってんだよそんなこと!アホ!バカ!アホバカ!アホソー!〉
「罵倒の語彙力幼稚園児かよ。」
しばらく取り留めのない話題をいくつも繰り返していると、不意にバスの扉が開いた。
「...」
そこにはいつもの様に無表情のヴェルギリウスと普段通りに見えるカロン。
「あ...やっと来た...!」
「行きましょうか、ダンテ様〜?」
待ってましたとばかりにダンテが立ち上がり、ホンルに抱き抱えられて行った。
〈...戻るといいんだけど。〉
ダンテの声は大きいんだけど、ヴェルギリウスの声がやたらと小さい。
いつも以上に静かで、なんか気持ち悪さまで感じる。
「ねえおチビちゃ〜ん!なんかね、ホンル...えっと、体がホンルの方がさっきから全員しん・いきすればいいって言ってるの〜!」
「体は同じなんだ。と・ヅにできてお前にできない道理は無いだろう?」
〈それ信頼じゃなくて無責任って言わない?〉
「アリス殿!思いついたのだが、今この姿であれば北部の雪原姫のコスプレをかなりのクァリティでできるのではないか!?」
「許可しません。」
〈ドンキがうるさいからもう許可してよぉ...〉
「許可しません。」
「何話してるんだろうな...声が小さくて聞こえないんだこれ...あ、旦那が固まっちまった。」
「...あ、アレ...ヴェルギリウスさんが抱いているアレはなんですか...!?」
ヒースクリフ...違うシンクレアが指さす先には、運転席で赤い熊のぬいぐるみを抱くヴェルギリウス。
......んん?
〈これ...聞いたことある。キャ......キャップ投げ?〉
「ギャップ萌えじゃないんですか?どうしてグレゴールさんみたいなことを...」
「カロンが大事にしているぬいぐるみ...コミだ。」
なんか流暢なカロンがやって来た。
...なんか流暢なカロン?
〈...え?そっちも変わってんの?〉
「案内人殿も入れ替わっているのかと問うているな!」
「呆れた時計頭の仕業らしいな。」
〈私じゃない私じゃない!〉
「...中身が元のままよりわかりやすいな。そのままでもいいんじゃないのか?」
〈冗談でもやめて。そっちだって愛想が良くなったじゃん。そっちの方が親しみあるよ?〉
「キャンディー。くれなきゃただじゃおかないって。コミが。」
「ただじゃおかないとはなんの事だこの野郎!」
「ウーティス嬢...カロン嬢にまで声を荒げるは宜ざりけり...」
「ただじゃおかないって...おい!誰が誰にそんなこと言ってんだ!」
「や、や、や、やめてください!そ、そんなことしたら、僕たち、ヴェ、ヴェルギリウスさんと、た、戦わないといけないかもしれないじゃないですか...!」
「...オイ...オレの顔で3回以上どもったら殺すからな。」
「コミの構成成分は木綿7%、合成繊維7%、コットン90%だが、戦闘状況においては単純な拳程度の威力には収まらないだろう。」
ムルソーがなんか嫌な補足した。
戦闘って言った?だって囚人たちの戦闘って...ダンテが指揮してるじゃん。
「特に、何度も縫い直された痕跡はその戦闘経験を表している。」
武器にしてほつれたから縫い直したとかじゃないと思うんだけど...
「あら〜ヴェル〜!こうしてみると可愛いじゃないの〜!」
「い〜〜〜や〜〜〜!!どうして当人の大切なベェアッジを根こそぎ剥がしていくのだ〜!!!!」
「戦闘時の邪魔になります。」
「せ、せめて痕にならぬように丁寧に...!」
〈あぁ無慈悲...〉
カチコチ鳴らしているとダンテと目が合った。
ほじくり出してやろうかってまだ思う今のダンテの目と。
「...はは...気が狂いそう。」
「ダンテ様が弱音を吐いていらっしゃいますね〜。」
「ダンテ...どこぞ痛めしか...?」
〈私の体なんだから大事にしてよ!?〉
「あぁなんかもう全部どうでもいい...」
「...キャンディー、ないの?」
「ねえこれ...戦うしかないの...?でももしそうなった場合...」
またダンテと目が合った。
懐を漁ると、ダンテがよく触っているあの無機質な横長な薄い板。
...私に指揮しろって?
〈い、いや無理!ムリムリムリ!!〉
「アリス殿...諦めた方が良いのではないか...赤...カロン君が、今にも飛びかかってきそうだぞ...!」
〈あ〜...とっても汚い言葉が出そう。〉
「一つ教えてやる。カロンはグラディウスの使い方がわからない。俺の体であろうとお前たちにとっては十分なアドバンテージだろう。」
もうヴェルギリウスまでそのつもりで話進めてるし...
「しかし...もし今回のことを誇張して赤い視線に勝っただの......ふざけた噂がバスの中に流れていることを少しでも認知すれば...その時は、しかるべき対価を支払わせてやる。」
〈...カロンの姿で言われてもあんまり怖くないね。〉
私の言葉が聞こえていたかのようにカロンとヴェルギリウスの目が光った気がした。
...気のせいだね。
「コミ、もうおこった。全員、げ、しゃ。」
〈えっ本気なの!?〉
「まさか本気だったなんて...」
呑気な言葉を漏らしながら尻尾を足の間にしまっているダンテを引っ張りあげた。
〈「本気だったなんて...」じゃないでしょ!?どうしろって!?この板っきれで何しろって言うのさ!!ダンテがやってよ!〉
「...でも、今の私の手だと...反応しない...」
〈はぁぁ〜〜???〉
「お、教える!教える!!簡単だから!!ほんとに簡単!」
「きこえなかった?げ、しゃ。」
〈あ、あー!!聞こえてる!聞こえてるから引っ張らないでぇ!!腕取れるぅ!!〉
「...なんか、見た目ダンテで中身アリスさんだと、なんとも情けない絵になってますね。」
「えっと...今ドンキホーテとファウストが隣合ってて、同じ色のやつがあるでしょ?それを繋ぐと共鳴を起こして攻撃が少し強くなる。」
〈...うん。〉
今は、ダンテと一緒に板を見ていた。
そこには囚人たちとカロンが相対している光景を俯瞰できていた。
「あ、あとイサンとウーティスとロージャ...あ、中見の話。囚人を指す時は中身でいくよ。その三人が並んでて、同じ水色を繋ぐと完全共鳴が発生して...」
〈......うん。〉
「右側に見えるのが罪悪資源っていうので囚人たちの能力を引き出すときに指定の個数ないとだめだったり、あとさっきの共鳴で発揮するものとかもあるから。」
〈.........うん。〉
「基本的には相手の攻撃にぶつけても競り勝てるように...えっと、私は便宜上マッチって呼んでる。勝てるようにマッチを組むってことだけ覚えてればたぶん大丈夫...たぶん。」
...やばい、ほとんど何言ってるかわかんない。てか頭に入んない...
〈...ん?〉
「あ、でもたまに特殊な対処が必要な敵とかいるから、その時は敵をタッチしてみると〈なにこの勝率ってやつ〉ちょ、ちょっと!!それは...!」
〈あ、やべなんか始まっちゃった。〉
「ちょっと!!それ勝率とか書いてあるけど信用出来ないからね!?」
〈はぁ!?じゃあなんのボタンなんだよこれ!!〉
私たちがいがみ合っていると、ファウスト入りドンキホーテがコミの一撃を食らって裏路地の壁面に叩きつけられた。
〈...あ。〉
この弱い体じゃ目でも追えない速度でカロンが駆け回り、囚人たちにコミを叩きつけていく。
〈い、今なんかやばい音したんだけど...!〉
カロンの猛撃が一旦止んだところで、またさっきの画面。
ウーティス、ファウスト、ホンル、イシュメールの人格牌にヒビが入っていた。
〈な、なにこれ!ねえなにすればいいの!?〉
「混乱した囚人は動けなくなって、しかも受けるダメージが大幅に増えるから守ってあげて!」
〈...わかんない!教えて!!〉
「ま...まず、良秀に橙色のスキルがあるから、それとカロンの赤色のスキルとマッチ。あとは左から順にムルソーの赤色、グレゴールの水色、シンクレアの橙色、イサンの水色!」
〈え、えっと、えっと...〉
良秀はホンル、ムルソーはロージャ、グレゴールはイシュメールでシンクレアはヒース、イサンはウーティスだっけ?
〈こ、こう!?〉
「そう!それでいこう!」
今回は、目に見えて良くなった。
囚人たちの強力な攻撃が的確にカロンの攻撃動作を潰して、その隙を空いた囚人たちが攻撃を叩き込んでいく。
〈お、おぉ...!見直したよダンテ!ただの愉快なおもしろ時計頭じゃなかったんだね!管理人!〉
「ど、どうも...?」
順調に攻撃をいなして、またあの作戦会議タイム。
〈......ん?〉
なんか...カロンの行動が一個だけになった。
〈ダンテせんせー、これどうすればいいですかー?〉
「...強力な攻撃だね?こういう時はE.G.Oをぶつけよう。E.G.Oだから...えっと、中身に左右されるはずだから...ムルソーの人格牌長押しして、投げられたものってあるはずだからそれを使おう。」
〈えーっと......あれ?ダンテせんせー、なんか使えないですー。〉
「...えっ!?じゃ、じゃあホンルの森羅炎象ってのを...」
〈...使えなーい。〉
「えっなんで!?憂鬱1傲慢3もあるし憤怒2色欲2もあるのに!?」
〈ごめん何言ってるかわかんない。〉
「じゃ、じゃあせめて防御させ───」
ダンテの言葉が途切れ、私たちを眩しい光が照らした。
〈.........は...?〉
「メフィストフェレス...?」
その横にはカロンがいて、私たちも含む囚人たちを見ていた。
そして...
「ぶるんぶるん。」
〈あ...〉
メフィストフェレスは容赦なく加速して、私たちを...
「...ダンテ起きないね〜。」
「うむ...一晩空くれば良くなりしと思いけれど...」
「まさか朝からあんな調子なんてねぇ。ファウストは問題ないとは言ってたけど...あ、そこいい。あ゙〜ぎぼぢぃぃ〜。」
〈ふわあぁあぁあぁぁっっっ!!!?〉
イサンにブラッシングしてもらってると、いきなりダンテが席から転げ落ちた。
「...なにやってんだ時計ヅラ。また頭が爆ぜそうなのか?」
〈...ヒースクリフ?ほ、本物のヒースクリフなんだよね...!?〉
「うわっなんだいきなり気持ちわりぃな!」
〈本物だ...!〉
...ダンテ、結構打ちどころが悪かったみたい。
ヒースクリフのほっぺむににしてる。
「か、管理人さん!起きたんですね!全く目を覚まさないので心配してましたよ...!」
「ふん。ぜ・だ・よ。」
「ゼンマイさえ回るならそれでいいと言ってますね...」
「ファウスト嬢が異常なしと所見を下すまでは皆案じたりし、ダンテ。」
「ていうかなんかうなされてなかった?」
「ダンテ様の針がやけにぷるぷるしていらっしゃいますね〜。」
「これ...ホーエンハイムさんに一度見せた方がいいんじゃないですか?」
「ぐすっ...うぅ管理人殿申し訳ない...まさか破片があのような軌道を描くとは思わなんだ...」
「従来より後方に配置すれば管理人様が危機的状況に陥る可能性は下げられる。」
「まあ、あんまり前のめりになっても仕方ないしなぁ。ほどほどにやろうぜ、旦那?」
「くっ...申し訳ありません。このウーティスが付いておりながらこのような失態...!」
〈......みん、な......や、やっぱり私は...このままが、いいな...〉
感極まってる。
変なダンテ。
〈...アリス...今までごめんね...これからは見下ろすんじゃなくてちゃんと目を合わせるね...〉
「は?急に何...?」
〈他の囚人たちにも、いきなり耳とか尻尾を掴んだり、後ろから持ち上げないようにって注意するからね...〉
「え、きも。」
〈きも〉
オウム返しをしたダンテから、何かが折れるような音がした...気がする。
「き...貴様ーッ!!管理人様の心遣いを無下にするつもりかこの狐畜生!!」
「は〜?今まで気にもしてなかったこと勝手に気にされるのチョーきもいんだけど?」
「管理人様のような偉大な方であれ初歩的な気付きを得られるのが常であろうそれをきもとはなんだきもとは!」
「私子供だから分かりませ〜ん。」
〈......あはは...やっぱりこれがいいや...一番落ち着く...〉
それからしばらく、ダンテが挙動不審だった。
あとがき
キツネぇさんと入れ替わりして一人だけ上位種していく案もありましたが、故狐になりましたのでボツとなりました