<オリ章作成中につき現在更新停止中>Project Moon RPG気ままに実況プレイ 作:とろねぎ
初めてのif√。もしもの世界をお楽しみください!
アンケート見てみたら、ほとんどが神狐鳴動に入ってて笑っちゃっ...タァ!
if√:『神狐鳴動』
そこは、出来て間もないにも関わらず大きな規模を持つ事務所。
そこは、折れた翼の職員を積極的に保護・雇用している変わった事務所。
そこは、一人の少女が居た事務所。
「居た。」とわざわざ過去形にするということは、つまりそういうことだ。
だが、可笑しな点は無い。
だって、子供が死ぬなんてこの都市では何一つ珍しい話でもないのだから。
ただ、その事務所のフィクサーたちには可笑しく、珍しい話であったようだね。
「...は?」
ウチの口からは惚けた言葉しか出せへんかった。
信じられん。「なんで、どうして」そんな思いが体中を血液のように巡る。
今朝だって、ウチの寝相の悪さにキレながら起きて、いつも通りに朝飯食って、いつも通りに振り分けた仕事に向かって...向かって。
なんで、■■ちゃんはそんな、せまっ苦しそうな所で寝てるの?
「なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで」
それでも■■ちゃんは眠り続ける。
意味がわかんねぇ。
なんでアイツが死んでんだよ。俺たちの中じゃ二番目に死にそうになかっただろうが。
それが何処かの組織、事務所の仕業なのか、はたまたそれ以外か。
いや、仲間が死んだのはこれが初めてじゃない。いままで数え切れないほどあった。気にする事はない。
筈なんだがな...どうしてだろうか。
「...お前を殺った奴に生まれてきたことを後悔させてやるよ。」
俺もこのバカに、見事に絆されちまってたみたいだ。
何が悪い夢でも見ているのか。いや、そうであって欲しい。
■■。オレたちの密かな心の支え。思えば、■■の能天気さにオレたちは救われていたんだ。
お前がいたから、十二協会の一つとも繋がれたし、事務所も賑やかだった。
「あぁ...お前が居ないと...静かだな。」
これに慣れることは一生無さそうだ。
...そっか。アナタも寝坊助さんの仲間入りかい?私としてはお昼寝仲間が出来て良いけどさ。
きっと、働き者でうるさい者な■■ちゃんには合わないと思うよ?
私だけじゃない、みんなそう思ってるよ。
「ねぇ、だからさ。」
早く起きてよ...!
そうか。
我ながらに冷たい男だとは思う。
だが、それを抜きにしても、アイツは直ぐに死にそうだとは思った。自分を大切にしていない。
典型的なやつだ。だから覚悟は出来ていた。
...そのはず、だったんだけどな。
「おい。」
次は、もっと上手くやれよ。
いやいや...嘘でしょ...?
意味わかんない...みんなは何言ってるの...?
殺しても死なないを体現してるような子だよ...?なんで...
みんなはただ見ているだけだし...
「わからないよ...」
もう、なにもわからない。知りたくない。
こういうことは何回もあったけど、やっぱり慣れないもんだね。このままみんなで、ぐだぐだわいわいと事務所を運営して過ごしていけると思ってたもんだから余計にさ。
次は誰だろう。
「はぁ、死にたく...ないなぁ。」
今まで死んだ子たちの為にもさ。
後悔、怒り、自己嫌悪、虚無。今の俺を表すならこんな所か。
何が懲戒部門チーフだ。調子に乗るなよ、お前はなんでも出来るわけじゃない。
お前は誰一人も守れない。
仲の良かった後輩に、みんなの大切な後輩。一人も守れない。だがお前は生きている。恥を知れ。
「お前は...お前は...」
生きていてはいけない。
それぞれがなにか思うところはあるようで、後悔、悲哀、決意や拒絶など様々だ。
少女を囲んで悼んでいるとき、ふと、一人がねじれた。
それに強く感情を揺らがされたのか、残されたものたちも連鎖するようにねじれていく。
疑問がねじれる。後悔がねじれる。悲哀がねじれる。願望がねじれる。慈悲がねじれる。拒絶がねじれる。怒りがねじれる。身体が、心が、価値観が、決意が、ねじれる。
少女はそれだけ愛されていたということなのだろうね。ただ、忘れないで欲しいことが一つ。
それは...
『アァ...■■...!何デ...!』
少女を愛していたのは彼らだけでは無いってこと。
先程までの厳かな空気から一変し、禍々しく、その場の酸素を吸っただけで体を蝕まれそうな存在たちが少女を囲むその場に、空間が裂けそこから彼女が現れた。
白い美しい毛並みに三本の足、そのうちの一本には紅白の花冠が結んであった。
本来なら神聖で暖かな彼女だったが、今はただの飢えた獣同然に殺意を振りまいている。
突然の来訪者に戸惑う素振りを彼らは見せていたが、そのうちの一体が彼女に頭を食いちぎられ、少し痙攣した後動きが止まった。
それを見た彼らが彼女に向かっていくが、その全てが切り裂かれ、潰され、燃やされた。
肉片が散乱するその場で少女だけは変わらぬ、汚れ一つない姿で眠り続けていた。
彼女は少女をシャボン玉を扱うように棺から取り出し、抱きしめる。すると、先程の荒々しい炎とは真逆の炎が溢れ、少女の姿が消える。
『ギャオォーーーン!』
月夜に吠える彼女は、とても美しかった。
遂には彼女も姿を消し、そこには肉片と血痕、燃え跡が残されるのみであった。
あの事務所の前に彼女がいた。
彼女が事務所を見つめていると、突然事務所が燃え始める。それも、種火からゆっくり広がっていくと言うよりは、まるで爆発のようにいきなり巨大な炎に飲み込まれた。
かすかに聞こえる肉が焼ける音、炎に喘ぎ苦しむ人間の声、燃えたところから次々と焼け落ちていく事務所。
『全て...無に...』
そう呟いた彼女は目の前に裂け目を作るとその裂け目に全神経を集中させ始める。
その夜から、都市に『怪物』が放たれた。
神が創りし狂像は永劫の時を走る列車の乗客を異なる世界への戦争へ駆り出し、正義を語る者は審問官も異端者も全て等しく鏖殺せしめ、煌びやかな賭博場は化け狸が闊歩し、愛を求める灰鳥は衰弱の霧により再生医療の発展を全て無意味なものとした。
これらはほんの一部である。
それに加え彼女は、支部を含む今は無きエネルギー会社跡地に裂け目を繋ぎ、そこで囚われているもの達を解放し続けた。
彼女の目的は「この都市を壊す」ことだ。つまり、これはまだ始まりに過ぎない。
あの日から幾ばくか月日が経った。
あれほど目覚しい発展を遂げていた都市は今や死の霧に覆い尽くされている。
助けを求めてはいけない。どこからともなくやって来た「ヒーロー」に殺されるから。
他にも、今の都市では人間を木の実にしてしまう妖精や、死体の山から生まれる怪物、都市の外からやってきた八足の獣なんかが蔓延っていた。
いくらかの翼が折れたにも関わらず、まだ頭は動いていなかったようだ。
人々は限られた物資をやりくりし、常に地下で過ごした。物資を確保するためと言って定期的に人が外に出ていくが、もう誰も期待していないだろうね。
それでも、都市の人々は支えあって生きていた。
でも、今日は違ったようだ。
「みんな!」
「...!帰ってきたのか!どうだ?」
「そんなことはいいんだよ!外の霧が...晴れたんだ!」
都市を覆う霧の根源はどうやら頭によって処理されたらしい。ついに頭も動き出したと知って、人々は安心した。
この事態の原因を、頭は知っているとしたら次はどうするんだろうね?
雲一つない満月の夜、しかし雨が降っていた。
その雨の中、彼女はとある者たちと戦闘していた。
『ハァッ...ハァッ...!』
彼女は全身から血を流しており、片目は潰れ、後ろ足の片方はひしゃげている。
それでも彼女の周りには目の前のものたちと同じような格好をした肉塊や、片腕が巨大な爪のようになっている肉塊が大量に散乱していた。
「妖精」
一人がそう言うと、他のものたちも一斉に妖精の特異点を彼女へ放つ。
彼女は避けようとするが、それでも四方八方から飛び交う妖精。無傷ではいられない。
『グゥッ...!』
彼女もさすがに危険を察知したのか、裂け目を作り逃げ出そうとする。しかし...
「逃がすと思っていたのか?」
開いた裂け目から複数人の爪が現れ、引き戻され、そのまま妖精に切り刻まれる。
『フゥーッ!フゥーッ...!』
それでも彼女は止まらない。彼女の怒りは収まらない。
『アァ...アァァ!!』
辺りをを炎が走る。荒野同然に荒れ果てた市街地でとにかく燃えるものを探すように炎を放ち、爪や調律者を複数人纏めて焼き殺す。
ところで、彼女は何にそこまで激怒しているのだろうか。
少女を守らなかったあの事務所の人たちへ?平気で少女の命をも奪う都市の無情さへ?
ちがうよね。
全ては、少女を守りきれなかった自分への怒りだよね。
旧友との約束を果たせず、実の娘同然に愛情を与えて育てた娘を一番守らないといけない自分が守れなかったからだよね。
彼女は全てを燃やし尽くすつもりだろうね。自分の怒りを種火に燃やして、燃やして、燃やして...
そうして、全てを燃やし尽くしたあと、彼女には何が残るのだろうか。
彼女に残るのは太陽にも等しい熱を持つ憤怒と、何者にもなれぬ虚無だけ。
彼女もそれは分かっているはずなのにね。
それでも止めないのは、そうしていないと狂ってしまうからだろうか。
それとも、こうして苦痛を受けることを贖罪だとでも思っているのだろうか。
まるでアニメの怪獣みたいに街で暴れ回れば、正義のヒーローが現れ殺してくれると思ったからだろうか。
それとも、この事件は少女の死によって引き起こされたと理解させ、この都市で少女は確かに生きていたという証を刻み込むためなのか。
いずれにしても虚しいね?
彼女の力は決して万能ではなかった。
彼女の力は少女を救うのに機能しなかった。
それが外的要因なのか彼女自身の問題なのかは分からない。
どこまでも可哀想な彼女。
その場の調律者と爪を殲滅しても、次から次へとやってくる。
いつから戦っていたのかは知らないが、かなりの疲労が溜まっているようだ。
それでもヤツらは一切の躊躇無く、一つ一つが致命傷たりえる攻撃を放ち続ける。
穏やかな雨が降る月夜、彼女の悲鳴と肉が裂け、骨が碎ける音のみが響き渡った。
妖精に体表を切り刻まれ、柱には体の骨という骨を幾千・幾億もの破片になるまで潰し砕かれる。
彼女のトレードマークとも言える尻尾は引きちぎられ、肉をえぐられ体の所々からは骨が飛び出している。
それでも、彼女が止まったのはヤツらを半分ほどまで減らした時であった。
彼女は今や、原型を思い出せないほど凄惨な姿をしていた。それでも、腕の花冠だけは傷一つ付いてはいなかった。
「高々外郭の獣風情が都市の頭にその牙が、爪が、届くと思ったのか。...愚かとしか云いようが無いな。」
「貴様が放った獣共も直に全て処分し尽されるで在ろうよ。」
「嗚呼、それでも貴殿は善くやったよ。誇るがいいさ。」
そう締めた調律者が手を掲げるとそこから莫大な力の奔流が溢れ出す。
「去らばだ、憐れな獣よ。」
その力を彼女に放つ直前。
『もうやめて!』
彼女にだけ聞こえたのは誰の声だったのだろうか。彼女が倒れ伏しているその地面に裂け目が生まれ、落ちていった。
「...調律者。」
「好い、放って置け。直に果てるであろうよ。」
...二人の男女が荒野を歩いている。
「ねぇ、まだつかないのかしら。」
「ちょっと待てって。」
「はぁ...あなたが、見せたいものがある、だなんて事を言ったから、忙しい中着いて来てあげているのよ?」
「分かってるって!そう急かすなよ...」
「あんまり待たされると、ついにあなたが私を連れて堂々とサボろうとしているようにしか思えないのだけど?」
「そんな肝のすわったネツァクみたいな事するかよ...それに、向かっているところも図書館の外を調査していたゲブラーが見つけて、俺に教えてくれたものだし。」
「あなたが見つけたものじゃないのね。そんなことだと思ったわ、ローラン。」
「なんだよその言い方、そこまで言わなくてもいいじゃないか、アンジェラ...」
「...ねぇ、ローラン。」
「どうした?」
「都市を覆っていた霧、晴れたみたいね。」
「おっほんとだ。最初の頃は不安だったけど、案外すぐに納まったな。」
「なんだったのかしら。」
「さぁ。大方、どっかの組織か翼かがやらかしたか...はたまたねじれか、って所だろうな。」
「ふうん。」
「ふうんってお前な...っとと、アンジェラ。」
「着いたのかしら?」
「あぁ、この先...らしい!」
「らしいって...」
「しょうがないだろ、俺だって目印になるものを聞いてただけで始めてきたんだから。」
「やっとなのね...」
「それはそれは!大変お待たせいたしました!ささ、お先にどうぞ。」
「えぇ。...これは...」
「なんだった?...って、花畑?外郭にこんな場所があるなんてな。」
「私も...初めて知ったわ。」
「なんだよ、ゲブラーも案外可愛いところがあるな!」
「ローラン。あれは?」
「どれどれ。...!!」
「ねぇローラン。なによあれ。」
「...アンジェラ。いいから、ゆっくり、後退して、そのまま来た道を戻るぞ。」
「だからなによあれは。」
「いいから...!こんなところで死にたいのか...!?」
「...ローラン?」
「やっと自由になったってのにこんなところであんなモノの胃袋にでも収まりたいのかって言ってんだよ!」
「ローラン!」
「なんだよ!?」
「アレ、死んでるわよ。」
「...え?」
「さすがの私でも生きているものと死んでるものの区別ぐらいつくわ。」
「...ごめん。」
「別にいいわ。私を助けようとしてくれたんだし。結果はあれだけど。」
「そう思うのなら言わないでくれると嬉しいんだけどなぁ...」
「ま、まぁ、これで安心してこの花畑を見て回れるな!」
「...ふぅ。そうね。」
「じゃあ、まずはここの端っこまで「いいえ。」
「アレ、調べるわよ。」
「え?いやいや、かなり珍しいものなのは分かるけどさ。」
「いいからほら、置いてくわよ。」
「...わかりましたぁ〜」
「ねぇ、なんでこんな四肢のほとんどが無い状態なのに私に逃げるように言ったの?」
「あー、アンジェラにも教えておくけど、外郭の生き物は自分が殺すまで死んでると思わない方が良いんだよ...こんなのなら余計に。」
「死んでたじゃない。」
「お前は分からないかもしれないけど、コイツめちゃくちゃヤバいからな!?正直、今でも気を抜いたらコイツが俺の喉元に飛びかかってくるんじゃないかって錯覚するし。」
「...結局、コレはなんなの?」
「俺もわかんないよ。元々外郭に居たヤツじゃないかな?ただ確かなのは、図書館で戦ったあの調律者と足爪よりは遥かに強いだろうな。」
「そんなモノがなんでこんなボロボロなの?」
「...これよりも強いヤツに殺されたとかじゃないのか?それか、無いとは思うけど...外郭にいたコレを危険視した頭が始末したか...」
「調律者と爪より遥かに強いんじゃなかったの?」
「単体じゃあな。アイツらって複数いるから。それでも頭にかなりの被害が出たとは思うけど。」
「何かしらこれ。」
「...ってなに不用意に触ってくれてんの!?」
「...花冠?」
「え?ホントだ。コレが花冠を作るとは思えないし...誰かと一緒にいたのか?」
「スイートピーとカスミソウね。」
「へぇ、詳しいのか?」
「私を誰だと思っているの、あまりバカにしないでちょうだい。」
「じゃあ、折角だし花言葉を教えてくれよ。」
「確か...スイートピーは『門出・別離・優しい思い出』。カスミソウは『幸福・感謝・親切』ね。」
「...別離...か。」
「ローラン?」
「いや、なんでない!それにしても、この花冠だけ綺麗なままなのってなにか意味があるのかな?」
「...」
「アンジェラ?」
「あ...ごめんなさい。少し...考え事をしてたわ。」
「どうしたんだ?」
「いえ...なんて言えばいいのかしら。...そうだ、こうしましょうローラン。」
「...?」
「コレ、図書館に持って帰るわよ。」
「あぁ〜はいはい〜...ってえ!?」
「今度は何?」
「いや、何、じゃなくて!コレ運ぶの!?俺が!?」
「あなた以外に誰がいるのよ。そこまで大きくないから、難しくないでしょ?」
「いやっ、そういう問題じゃ...!」
「...?」
「はぁ...分かりましたよ。運べばいいんでしょう運べば!全く、館長サマは人使いが...」
「人使いが...どうしたの。続けていいわよ。」
「なんでもありません!喜んで運ばせていただきます!」
「...ふふっ。」
これが彼女の結末だ。
だが、これはもしもの世界。こうなるかもしれないし、ならないかもしれない。
つまりは、彼女が少女と共に並び立ったとしても。憤怒に狂った果てにこの思い出の場所で永い眠りにつこうとも本来の世界の彼女には関係は無い。
無数に屈折した鏡の世界の一つに過ぎないのだから。
(救いは)ないです。もっと後味悪くしたかったけど文才がなくて断念。
今回は図書館の後でしたが、時代によっては図書館にキツネぇさんがカチコミかましてました。
頭に七割殺しにされたキツネぇさんを図書館でおもてなし()するか、九割殺しからの外郭ボッシュートか悩んだ結果、後者になりました。