推しの犬   作:ゴロゴロ鼠

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第4話

とうとうアイが出産をした。

 

いやびっくりしたね。深夜に社長の携帯が鳴ったと思ったら出産が終わったと連絡が来た。

 

俺と社長は車で・・・は遅いので朝飛行機に乗ってアイの元へ向かったそこで俺はアイと、アイに抱かれる双子を・・・・

 

「騒がしいから連れてきたけど・・・アイたちには会えなかったな」

 

「ワフ・・・(犬なの忘れてた)」

 

そうだよ、アイも出産したばっかでもうしばらく入院。そんな状態で行っても犬の俺が病院に入ってアイに合える訳が無い

 

(犬になって結構経つのに。俺も出産に動揺したのかな)

 

その後は飛行機で斎藤社長の家に帰った。あまりにも俺が元気無いので帰りに社長がお高めのドックフードを買ってくれた。ペットに高いエサを食べさせると以前の安いエサを食べなくなるという聞いたことがあるけど確かにこんなに味が変わるなら前のエサが嫌になるやつがいるのも納得だった

 

 

アイが出産して一週間くらい経った頃。とうとうアイが帰ってくる日になった。社長が迎えに行ったが俺はその時寝ていて置いて行かれてしまった。後で社長を軽く噛んでおこう

 

「トパーズ、さっきからずっと待ってるけど帰ってくるのはまだまだ後よ」

 

「ワン、ワワン(分かってるんだけど何か玄関で待っておかないといけない気がするんだよミヤコさん)」

 

何だろうかこれは。人間の時の様に時間を潰す手段が少ないと言うのも理由の一つだろうが

 

(まあここでじっとしてるのもあれだからミヤコさんと遊ぶか)

 

ちなみに遊んでる途中外からの物音に敏感になって音がするたびに玄関の方へ体が動いてしまう

 

そんな事をしていると玄関から待望の声が聞こえる

 

ガチャと扉が開く音がして赤ちゃんの声とアイの声が聞こえた

 

「おっと、駄目よトパーズ。今は赤ん坊がいるんだから危ないわ」

 

玄関に行こうとした俺をミヤコさんが押さえる。あらかじめこうしようと考えていたのか動きが速くあっさりと捕まってしまった

 

「ワフフ(フッ、ミヤコさん。俺も元は人間なんだからそんな事分かっているさ)」

 

ちなみに尻尾は凄い動いてる。アイに飛び掛かりに行けと俺に言う様に俺の尻をベシベシと叩く

 

(・・・犬の尻尾は独立稼働しているらしい)

 

俺が人間だったら何処かで発表して雑誌やニュースなどになり有名人になれたかもしれない

 

「ごめんね~トパーズ、ちょっと待っててね」

 

アイは双子をベビーベットに寝かせて双子たちから離れ周りに何もない所に座ると「こい!」と笑顔で言った。ミヤコさんが俺から手を離すと俺は全力でアイに向かって走り勢いのままアイに突撃。アイはしっかりと受け止めてくれたが大型犬の全力突進を完全には受け止めきれず後ろに倒れてしまった。

 

「おっとと、トパーズしばらく会わない内に力強くなってない?まさか押し倒されるとは」

 

「まあジャーマン・シェパードは大型犬だしな。他の犬と比べたら力は強い方だろう」

 

(他の犬と力比べみたいなことしたこと無いからよく分からないんだよな)

 

そういえば子供のいない斎藤社長の家に何でベビーベットがあるのかと思ったがアイの為らしい。流石に出産後直ぐにアイ一人に育てさせるのは色々と不安という事で一週間ほどアイを泊めて斎藤夫婦がアイのサポートをするらしい

 

(まあアイって色々と抜けてるところがあるからそれも教えて行かないといけないしな)

 

そこから双子のご飯やオムツ替えなど色々とアイは行っていった。寝る頃になると初めての連続で疲労が溜まっていた

 

「それじゃあそろそろ寝るか。何かあれば呼べよ」

 

「分かった」

 

そういって社長たちは自分たちの寝室がある二階へと上がっていった。今一階に居るのはアイと双子に俺だけだ

 

(俺も寝るか)

 

「トパーズ」

 

「ワフ?(ん?)」

 

「久しぶりに一緒に寝よ」

 

 

「久しぶりだね。一緒に寝るのも」

 

「ワン、ワフワン(まあしばらくアイは入院してたしお腹が大きくなってきた時は寝相でお腹を蹴ったりしないか怖かったからな)」

 

「これであの子たちが泣いた時気づかなくてもトパーズに起こしてもらえるね」

 

「ワフゥ?(えぇ~?)」

 

そこは自分で起きようよ

 

「本当はトパーズの手を借りずに一人でこの子たちの世話を全部出来るのが良いんだろうけど。この子たちを産んだ後、病室で寝てるときに夢を見たんだ。私がアイドルしてる時や手が空いていない時。泣くあの子たちをあやしてあげるトパーズ(長男)を」

 

「・・・」

 

「お兄ちゃんとして・・あの子たちを・・・」

 

「ワン(寝たか、まだ寒いんだから掛け布団しっかりと掛けろよ)」

 

犬の状態で掛けるの難しいんだよなあ

 

(・・・お兄ちゃん、ね。兄弟のいなかった俺が犬に転生したと思ったら好きだったアイドルを憎む原因になった子供の兄になるってどんな人生何だか)

 

はっきり言ってまだ少し複雑ではあるけど

 

「ワフ(顔も名前も知らない医者を見習うとしますか)」

 

布団の中に戻ろうとしてした時自分の前足をみてトパーズは心の中でポツリと呟いた

 

(俺は何年お兄ちゃんでいられるのかね)

 

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