俺様はゾンゲである   作:花河相

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危機

 

「どどどどうすんのよ!てんこ盛りピンチなんだけど!」

 

 目の前にデビル大蛇が現れた。いや、デビル大蛇とは少し違う。デビル大蛇より大きく少し肌が黒ずんでいる。 

 デーモンデビル大蛇。

 

 全長目視で紫色で50メートルほど。

 無数の腕、3つの目は顔から突出し、その顔一つ一つにライオンのようなたてがみが生えている。

 

 推定捕獲レベル25。

 

 俺はウエストポーチから出した暗視ゴーグルをつける。

 

 持ち運び用充電式で持続時間1時間。まだ試作品の段階だが充分。

 驚くことにこの世界に暗視ゴーグルは存在しなかった。

 

 無いなら作れば良い。そう思っていたのだが、俺に研究所の伝手はない。

 

 そんな時、ティナがグルメリポーターの取材でIGOの研究所を訪れると聞き、それに同行した。

 

 その際に金は払うから暗視ゴーグルを作ってほしいと頼んだのだが、断られてしまった。それに割く時間も人員もないとのことだった。

 

 諦めて別の手段を探そうとしたのだが……俺を気遣ってかティナが研究所のお偉いさんに突撃して直接交渉をしてくれたのだ。

 もちろん独断行動したので研究所からグルメTVに苦情がいき、謹慎処分になったのはいうまでも無い。

 

 が、ティナの交渉の効果はあったようで試作機を作ってくれるようになったのだ。

 

 ティナはガサツで後先考えず行動するのだが、交渉能力は高い。

 取引での相手との落とし所を見つけるのが上手いのだ。

 俺と初めて会った時もそうだった。今思えばあの交渉も俺が了承したというよりさせられたと考えられる。

 流れるように了承まで持ってかれたし。

 

 ……話が逸れたが、どうもティナは事前に研究所の取材に向けて情報収集をしていた。

 今、市場で物価が高くなっている素材を事前に調べていたのだ。

 試作品を作るための研究費もそれに割く人員にも限界がある。

 

 情報は鮮度が命とはまさにその通りだと思った。

 

 貴重な素材を購入するにも研究費から。美食屋に頼むにも難易度によって多額な人件費がかかる。

 

 ティナは研究所の抱えていた悩みにつけ込み交渉をしたのだ。その手腕は見事であった。

 

 結局、俺が一定期間研究所から資源採取の依頼を受けるという条件で互いに了承した。

 俺は資源採取、研究所で作成した試作品を現場で検証すれば必要なものを作ってもらえる。研究所も研究予算を最低限に抑えられる。まさに三方よしの交換条件となった。

 本当にティナ様様である。 

 

 まぁ、最終的に俺は資源採取で危険地帯に行くわけで……ティナも同伴して、報道のネタを確保していた。最終的に最も得をしたのはティナであった。

 本当にスクープのためならなんでもするなぁと感動すら覚える。

 

 

 そんな過程があり無事に暗視ゴーグルを手に入れることが出来たのだった。

 

「ヒシャァァアア!!!」

「ひやぁぁぁ!」

 

 デーモンデビル大蛇は捕まえるつもりなのか、手を伸ばしてくる。

 このままだと捕まるなぁ。……ティナだけ砂浜に行かせるか。いや、それだとデーモンデビル大蛇はティナをターゲットにするだろう。

 俺はティナを片手で抱えると飛び上がり、先ほど降りたばかりの段差に飛び上がる。

 

「痛い!」

「ティナ、お前は逃げろ!俺もすぐに向かう!あいつはやばい」

 

 ティナを洞窟の穴に放り投げ一言伝えるとその場から飛び降りる。

 

「はぁぁぁ!」

 

 デーモンデビル大蛇を威嚇し、注意を俺に向ける。

 腕を伸ばし筋肉に力を込め硬化させる。

 

 デビル大蛇の複数の手、毒や溶解液も飛ばしてくるので、地面を駆け避け続ける。

 

 一度でも捕まればゲームオーバー。

 

 今は少しでも時間を稼ぐ。

 だが、全てを避け続けるのは不可能だ。

 

 だから、俺に迫ってくる攻撃で回避ができないものは右腕で、

 

「めん棒ラリアット!」

「ヒシャァァ!」

 

 叩き返す。

 一度、足が止まってしまった。再びデーモンデビル大蛇の手が3本迫ってくる。

 

 俺は1本目をバックステップで躱し、その場で飛び上がり空中で前転し2本目をかわす。

 

 そして3本目。迫ってくる手を前転で勢いをつけ、両腕で上から、

 

「ツインめん棒ラリアット」

 

 叩き落と──キン!

 

「しまった!」

 

 だが、叩き落とそうとした瞬間、俺の攻撃の威力を殺されそのまま捕まってしまい、壁に押し付けられる。

 

 ……そうだ。デーモンデビル大蛇の皮膚は伸縮性に優れている。

 それを使うことで強度を上げて、弾き飛ばしやがった。

 瞬時に対策してくるとかどんだけ学習能力が高いんだよ。

 

「ぐぁぁぁ!」

 

 ……苦しい。

 洞窟の壁で押し潰す気だ。だが、甘い。

 残念ながらこの程度で押し潰されるような柔な鍛え方はしていない。

 

「すぅぅぅ」

 

 落ち着け。こう言う時は冷静に対処するんだ。

 ゆっくり息を吸い始める。

 前回使ってから十分な時間は経っている。

 

「シャァァ」

 

 デーモンデビル大蛇は俺を捕まえるなり、口から緑色の液体を飛ばそうとしてくる。だが、溜めるのに少し時間が必要らしく、後数秒ある。 

 

 ……充分すぎる。

 

 俺は生成していた悪臭を吹きかける。

 

「フォールブレス!」

「ヒシャァァ!?」

「ぐぁぁ!」

 

 悪臭を吹きかけた瞬間、俺は投げ飛ばされてしまう。俺はすぐに受け身を取り体勢を整える。

 

 デーモンデビル大蛇は突然のことに混乱しているようで、未だに暴れ回っている。

 どんな生物にも呼吸はある。特に蛇なんかは臭いを嗅ぐことで周囲の状況を判断しているので、俺のフォールブレスは効果が高い。

 卒倒して欲しかったのだが、流石はデーモンデビル大蛇ということか。

 俺はそのまま駆け出し、デーモンデビル大蛇の──

 

「めん棒ラリアット!」

「ヒシャァァ!」

 

 胴体目掛けて攻撃をする。

 混乱しているので、その隙を突いたつもりだったのだが。

 直撃しても、デビル大蛇は倒れることなく更に暴れる。

 しかも、時間が経つにつれ少しずつ落ち着きを取り戻し始めやがった。

 

 本当にこいつ厄介すぎるだろ。

 

「やっぱり今の俺じゃ倒せねぇ」

 

 引き際は肝心だ。

 あまりこのまま続けても体がもたない。

 

「飛ばされすぎたな。少し遠い。急ぐか」

 

 俺は諦め、急いでティナが入った段差の場所に向かおうとする。

 だが、今日の俺はとても運が悪いらしい。

 

「デーモンデビル大蛇!さぁ、とっとと飛び降りろ!こいつがどうなってもいいのか!」

「え、ちょっと落ち着きなさい。ね。そんなことやって一ミリグラムもいいことなんて」

「んー!んー!」

 

 段差上の穴から二人の男と一人の女が現れた。

 ひげを生やした男は小松にナイフを向けて、ティナを脅していた。

 

 

 まじですか。




最後まで読んでくださりありがとうございました。

ふと気になった本作ティナについて

  • 再現できている。
  • 全く似てない。
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