俺様はゾンゲである   作:花河相

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決意

「とりあえず現状を確認しないと」

 

 起こってしまったものはしょうがない。

 一先ず、整理しないと。

 

 まずは服装と持ち物。

 どこの民族かは不明だが、茶色い毛皮を着ていた。

 顔をみる限り、むさくるしい長髪と口髭、割れ顎、顔にデキモノがある。

 

「臭いなぁ」

 

 体臭も臭い。てか、何日風呂入ってないんだよ。

 後は、持ち物は……斧だけか。

 

「もうあれだな。……山賊だな」

 

 ショッキングなんだけど。

 ああ……俺、これからどうなるんだ?

 

 捕まるのかなぁ。

 てか、なんで身分わかるもの持ってねんだよ。

 せめて道具にくらい……なま…え…書いてあった。

 

「せめて名前くらいはわからないとな。ええっと……なんだよ。汚ねぇ字だなぁ」

 

 斧の持ち手に名前が書いてあった。

 多分、ひらがなだ。少なくともここは日本かもしれない。

 言語は日本で通じるかもな。

 

「ええ……と。ぞ…ん…げ。ゾンゲか。……あれ?」

 

 ゾンゲってどこかで聞いたことある名前なんだけど。

 ……あれ、この容姿と名前すごく覚えがある。

 

「ここってトリコの世界?」

 

 そう結論がつくと今までのおかしな生物や木、湖に説得がいく。

 こんなそこら中に食べ物があるのってそれしかあり得ない。

 

 少しトリコについて思い出す。

 

 「トリコ」は週刊少年ジャンプで連載され、アニメ化した人気作だ。

 世界中には未知の食材が溢れており、その未知を探究する「美食」が世界的流行になっている「グルメ時代」が舞台になっている。

 

 主人公は美食四天王トリコでコンビの料理人の小松と共に世界中を旅する物語。

 

 ただ、未知の食材を求めて旅するなら別にいいのだが、この世界は。

 

「安全地帯なんて存在しないんだよなこの世界」

 

 トリコの世界は人間界とグルメ界が存在している。

 グルメ界とは今は説明を省くが、ざっくり説明するととにかくやべぇ化け物がたくさんいるのだ。

 

 この世界には「捕獲レベル」という食材の捕獲する難易度を表す数値が存在する。

 

 

 捕獲レベル1でなんと猟銃で武装したハンターが10人必要なレベル。

 

 グルメ界はそんな捕獲レベルが5000とかいう化け物が存在している魔境なのだ。

 

 少し話がそれたが、人間界にも物騒なモンスターは多い。

 捕獲レベル10を超える化け物がザラにいる。

 

 アニメでは捕獲レベル100を超える化け物が人間の居住区に攻め込んで、人間を何万人も丸呑みにしていたくらいだ。

 

 人間界に住むだけでも、物騒なのだ。

 

 こんなのは序の口だ。

 

 この世界には捕獲レベルを定めたり、食材の市場価格を決めるなど世界の食材流通を適正にコントロールしている「国際グルメ機関IGO」という、地球でいう国連のような組織がある。

 そんなIGOと対立し世界中の食材の独占を狙い戦争を引き起こす悪の組織「美食會」も存在するのだ。

 

「……よりにもよってゾンゲか」

 

 アニメで見た程度だが、大まかな内容は覚えている。

 俺が憑依してしまったゾンゲというキャラは……いわゆるネタキャラ的存在だ。

 

 名前をゾンビとかレンゲとか間違えられり、見栄っ張りで田舎出身の世間知らず、普通の人なら知っている有名人を知らなかったり、自分は優れている美食家だと思い込んでいたりと。

 

 別に嫌ってわけじゃない。

 どんな猛獣に出会っても生還するものすごい食運の持ち主であり、手下を絶対に見捨てない仲間思いの人格者であり、間接的にだが自身のもつ食運で世界を救ったりと……物語ではいなくてはいけないキャラだ。

 

 常人よりは遥かに優れているものの、実力で物語のインフレについていけるかと聞かれれば満場一致でノーと答える。

 

 食運で生き残れるかもしれないが、俺が憑依してしまったことで多少は変わっていくかもしれない。

 

「……強くなるか」

 

 ゾンゲも美食屋だ。

 伸び代がないわけじゃない。

 

 鍛えれば強くなるかもしれない。なら、生き残れるくらい最低限は強くならなければ。

 

 ……それに。

 

「美味いものを食べてみたい」

 

 この世界は食べ物に満ちている。表情筋が崩壊するほどの美味い食べ物が。 

 

 なら、食べてみたいじゃないか。

 

 この世はグルメ時代!未知なる味を求めて探求する時代なのだから!

 

 




最後まで読んでくださりありがとうございました。
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