「……うわ、なんだよ……ここら一帯妙な臭いがしやがる」
「えっと……小松くん何やっているんだい?」
「あ…トリコさん、ココさん!ご無事でよかったです。……デーモンデビル大蛇を調理しているんですよ」
デビル大蛇を倒したトリコとココは爆音が複数回聞こえたことに焦り小松の元へ急いだ。
途中香ばしい肉汁の香りにそそられ涎を出していたトリコだったが、香りの先と小松の臭いが同じ方向からもしかしたらと思っていた。
その予感は的中、倒れているゾンゲのそばにデーモンデビル大蛇を調理している小松とそれを撮影しているティナがいた。
小松が料理をしている理由はこの場が安全だとティナから言われたからだ。
ゾンゲが倒したデーモンデビル大蛇の周囲は猛獣が嫌がる刺激臭が発生していると聞き、小松はティナの言葉を信用し料理をした。
その後、ティナと小松から何があったのかを聞くと。
「……そうか」
「やっぱりトリコの考えすぎだったね。……後でお礼言っておくんだよ」
「はい。……レンゲさんがいなければ今頃僕は死んでました……いや、一回死んでるんですけど」
トリコ、ココ、小松がそれぞれ発言する。
説明を聞いてトリコはゾンゲへの評価を改め、ココはもともとゾンゲの評価は高かったのだが、小松の死相の占いを外してくれた事によりさらに評価が上がるのだった。
その後、ティナと小松から次郎についての特徴を聞かされ、正体が判明したのだった。
「ああ……なんで気が付かなかったのかしら……てか、コイツ初めから知っていて、あえて教えなかったのね。本当にこう言うところてんこ盛り腹立つ!」
そんなティナに苦笑いをするトリコたち一行。取材に一生懸命なティナであった。
「それにしても小松、それ美味そうだな。少し食わせてくれよ」
「ですからこれレンゲさんのだからダメですって」
「じゃぁ、ゾンビは俺が運ぶから食わせてくれ、涎が止まらねぇんだ」
「まぁ…少しでしたら……焼きすぎて運ぶのも大変そうですし」
「なら、肉は僕が持とう。どうせトリコに持たせたら全部食べてしまいそうだからね」
トリコがゾンゲを背中に抱え、出来上がった肉をココが運ぶことで話が纏まった。
ちなみにティナはスクープを逃してしまったショックから立ち直れていないため、トリコたちの会話に突っ込むことはしなかった。
ゾンゲの名前が間違っている事に気がつくのはいつになるやら。
「小松が世話になったみたいだな」
……この状況どうすればよいだろう。
俺が過食作用で気を失っているときにデビル大蛇を倒したトリコと美食四天王のココの二人と合流したらしい。
俺は気がつくとトリコに背負われていた。
確か警戒されていたよな。なんで背負ってんだよ。
……しかも、体が動かせない。筋肉も衰えてしまっている。
まぁ、食べもの食べればすぐに元に戻るから大丈夫なのだが。
説明を聞いたらどうやら俺はじいさん……ノッキングマスター次郎に助けてもらったらしい。
あの時本当に酒渡して恩を売っておいてよかったよ。
まぁ、じいさんいい人だから恩がなくても助けてくれたかもしれないけど。
とにかく過程はどうあれみんな無事ならなんでもいいか。
それにトリコたちに合流しないと多分帰れない。
洞窟には猛獣はいる。洞窟の外には銃を持ってる連中が多い。生きて帰るにはトリコたちについていく他ないのだ。
それにしても、じいさんが俺に飲ませてくれたヒレ酒の香りがまだ残ってる。
今度じいさんにお礼にいくか。
酒持っていけば喜びそうだしな。
「迷惑をかけるな。トリコ」
「細けぇこときにしてんじゃねぇよ」
今の俺は歩けない。だから、トリコの親切に甘えさせてもらうことにした。
主人公優しすぎでしょ。俺なんで初対面でガン飛ばしてんだよ。
内心後悔しつつ、俺たちは洞窟の砂浜へ向かった。
途中、四天王ココと互いに自己紹介をしたのだが、どうやら俺はココに好印象を持たれているらしい。
理由は定かではないが、確かアニメではココの占いで小松から死相が出ていた。
それを防ぐのに一役買ったと思っているのか、とにかく邪険には扱われることはなかった。
トリコの第一印象を失敗している身としてはありがたい。
ちなみにティナから事情を聞いた小松が俺のためにデーモンデビル大蛇を調理、巨大な骨付き肉をココが持ってくれていた。
俺を背負っているトリコが食べさせてくれた。
いろんな人に返し切れない恩を作ってしまった。
それにしてもデーモンデビル大蛇の肉はとても美味しかった。
食べ終わる時には歩けるまでに体力が回復した。
小松は手持ちの調味料を使い、栄養を摂取できるよう料理してくれたらしい。
恐るべし食材に愛された料理人小松シェフ。
それから歩くこと数分、洞窟の砂浜に辿り着いた。
トリコに下ろしてもらい、砂浜を歩く。
「……すごい」
その一言に尽きる。
水面は底まで透き通っており、洞窟の所々に青い水晶がある。
その水晶に海蛍の光が反射し、綺麗に輝いている。
神秘的な空間であった。
最後まで読んでくださりありがとうございました。