蟹ブタを狩った日から数日、俺はバロン諸島に向かうため、トリ港に来ていた。
トリ港、それはトリコが数多く利用したことからトリコの名前を取ってそう呼ばれるようになった。
トリ港という名は最近ついたらしく、美食四天王トリコが利用したことを聞きつけ、美食屋からリポーターなど多くの人が押し寄せている。
まぁ、前世でいうところの聖地巡礼みたいな感覚か?
よく分からないが、バロン諸島まで送ってくれる漁船が見つかればいいのだが。
そんな心配をしつつ、俺は漁船が多く並ぶ場所へと向かった。
「バロン諸島だぁ?!嫌に決まってんだろ!船が壊れちまうよ。あんた死にてぇのか?」
「ち……腑抜けが」
「んだとゴラァ!」
「あ?」
「……い、いやなんでもねぇ」
俺、バロン諸島行けるのか?
今漁船の持ち主に交渉をするも全員断られる。
最後に至ってはイラつきのせいでついつい本音が出てしまった。
喧嘩になりそうだったので少し威圧したらすぐに相手が引いてくれたのでよかった。
俺の顔は怖いのだろう。体格も180センチ、流石に清潔感出すために髭は剃ってあるが、右目と左眉あたりに縦傷がついているので充分怖いと言える。
ああ、別に喧嘩をしたいわけじゃないのだが、どうしたものか。
……それにしても、ここまで困難を極めるとは考えていなかった。
ガララワニを調達しに行きたいと思っても、そもそもその場所に行く手段がないなんてな。
アニメでトリコが普通に行ってたけど、それはコネがあったからか。
あとは、美食四天王という肩書きがあったからかもしれないな。
俺はまだ新参者だ。だから、大丈夫だと言っても信用がない。
船を用意しようにも今日中に使える船は調達できない。
「出直すか」
……別に今日じゃなくてもいい。
素直に、一度出直してバロン諸島行きの船を探すか。
無駄足だったか。そう思い、トリ港から帰ろうとした。
その時であった。
「ちょっと!そこの怖顔の人!」
周囲から大声が聞こえる。
……それにしてもなんだよその失礼な呼び方は。
まぁ。少なくとも俺じゃないか。
「待ってってば!ちょっと!あんたよあんた」
「……は?」
だが、無視して歩いていたら背中を叩かれる。
怖顔の人、俺のことだったとは。
確かに本当のことだけど。少しイラつくもののここはグッと抑えて振り返る。
……あれ?この人テレビで見たことあるわ。
そこにいたのはピンクジャケットとタイトスカートの茶髪の女性、後ろにはカメラマンを引き連れている集団。
「ねぇ!あんたでしょ?バロン諸島に行こうとしてた美食屋って」
「……だからなんだ?」
少し失礼な連中なので威圧をする。
カメラマンの人たちはビビっちゃってるけど。
「行くの、行かないのどっち!」
「……行く予定だった」
だが、目の前の女は全く気にせずに平然と聞いてくる。
なんつう胆力だよ。
……そう、思いつつ返答を待つ。
「私、ティナって言うの。こっちは伝書風船鳩のグルッポー。提案があるんだけど、少し時間もらえる?」
……この強引さ……アニメオリジナルキャラじゃん。
そんな奴が何で俺に声かけるし。
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