ティナにほぼ強制的に取材されたのだが、思いもよらない提案をされた。
「ちょっとティナ、何を勝手に!」
「いいじゃない!ガララワニの正体を映像に収めるチャンスなのよ!」
簡単にいうと、バロン諸島に連れてってくれると言う話なのだが。
グルメリポーター、ティナ。
グルメTVで世界のあらゆる情報を伝えるグルメキャスター。
俺からしたらこの提案は嬉しいのだが、やはりティナの独断らしい。
「無名の美食屋について行くとか、自殺行為にも程があるぞ!」
「だから、私の勘が大丈夫って言ってるの!」
「とにかく!許可はできない!」
「なんでよ!」
「別について行く必要ないだろ!持って帰ってきたものを撮影させて貰えばーー」
「そんなもの一ミリグラムも意味ないでしょ!」
……はぁ、俺が目の前にいる時に喧嘩するなよ。
「……おい。どうするのか早く決めろ」
「ヒッ!」
カメラマンさん、そんなビビるなよ。
流石にイラついてきた。
「こっちも暇じゃねぇんだ」
少し期待したが、時間の無駄だった。
俺は背を向けその場を後にすることに決めた。
「ビビリ!もういいわよ!私一人で行くから!いこ!クルッポー」
「クルッポー!」
その場を立ち去ろうとすると、後ろから怒鳴り声が聞こえ、再びティナが話しかけてくる。
……流石に無鉄砲にも程がある。
「ちょっと待ってってば!」
……しつこい。
粘着すごすぎだろ。
しょうがない、話で諦めさせるか。
「おい女、死にてェのか?」
「へ?別に死ぬ気ないけど?……ねぇ、その持ってる食材ってあんたが集めたやつよね?」
「……そうだが」
「ちょっと見せてよ!」
話の切り替え早すぎだろ。……はぁ、もういいや。
俺は昨日採取した食材を持ってきていた。
一応、高級食材だし、持っていれば交渉に使えるかと思ってきたのだが。
ティナはその食材に興味があるらしく、回り込み、逃さんとばかりに正面に立つ。
ああ、面倒なのに捕まったわ、そう思いつつ、持っていたグルメケースを地面に置いた。
「ひと目見てやっぱりって思ってたけど、金色イクラじゃん!捕獲レベル2……こっちは!蟹ブタ捕獲レベル8!これ、あんたが捕獲したんでしょ!」
なんだろう?この感じ。
褒められているのかな。
だが、少なくとも大変気分がいい。
「よくわかるな。……買って持ってきただけかもしれないぞ?」
「あんたはそんな一ミリグラムも意味ないことしないでしょ!私の勘があんたは只者じゃないって言ってるわ。だから、そんな凄腕美食屋のあなたに同行させてほしいの!」
「ティナとか言ったか……良く分かってんじゃねぇか、このゾンゲ様の凄さをよぉ」
「……うわチョロ。番組が船を用意するからね!お願い!」
この女見る目がある。
俺の実力を見抜くなんて……何よりこれは俺にとってもいい話だ。
まぁ、別にいいんだが、一つ確認しておこう。
「まぁ、この俺としちゃ思ってもない話だ。……だが、いいのか?さっきあのカメラマンと揉めていたようだが。船なんて借りられるのか?」
「大丈夫!番組所有の船があるから!私の権限で借りられるわ!」
つまり独断専行ね。
「何故そこまでして危険を冒そうとする?」
とりあえず、これが聞きたい。
何故そこまでこだわるのか興味が出てきた。
「私はどんな食材がどんな場所にあるのかを知りたいの。私が知りたいってことは世界のみんなが知りたいはずよ。この私が世界に美味しいニュースを届けたいの!バロン諸島の取材はまだ誰もしたことない!てんこ盛りスクープなの!……あんたはバロン諸島に行きたい、私は危険は承知で美味しいニュースを視聴者に届けたい……利害は一致してると思うけど?」
そこまでの向上心があるのなら、俺に止める権利はない。
危険は承知と言っているのだから。
「交渉成立だ。よろしく頼むぜ」