「ね……ねぇ、大丈夫なのよね?二体同時に相手とかできるの?」
「ふ……余裕だぜ……多分」
「ちょっと、一ミリグラムも説得力ないんだけど!多分て何よ!」
俺だって分かってるさ。
……だって、大きさも見るのは初めてだ。
捕獲レベルがどの程度かがわからないのだ。
ガララワニは150年生きた個体で推定捕獲レベル5。
二体現れるも、片方大きく、もう片方は一回り小さい。
でかい方で全長9メートルほど。片方は8メートルってとこか。
アニメでは20メートルだったからその個体とは別だろう。
「ふ」
「ひやぁぁぁ!」
「ポ!」
デカい方のガララワニが接近してくるので、悲鳴をあげるティナとクルッポーを抱き上げるとその場から飛び上がる。
「ガァァ!」
「……そう言うことか……よ!」
着地するタイミングを見計らってか、小さい方のガララワニが俺を噛み殺しにくる。
……獰猛な性格故に、同じ個体同士で行動しないと聞いていたが。
「番か……少し厄介だな」
「てんこ盛り危険すぎなんだけど!」
ティナを守りながら戦うと持久戦になる。
そうなると、不利になるのはこっちだ。
「安心しろ、お前はカメラを回すことを意識していればいい……久々に使うか」
美食屋たちには自分の必殺技が存在する。
もちろんこの俺にもある。
この5年間、ただ研鑽していたわけではない。奥の手となりうる必殺技も身につけた。
俺は2匹のガララワニの攻撃をかわしつつ、隙を伺う。
「ちょっと、崖に追い込まれてるんだけど」
「大丈夫だと言っただろう?」
2匹は狩の心得があるらしい。
協力しながら俺とティナを逃げ場のない崖に追い込んだようだ。
……そんなの気がついていたさ。
俺はティナを下ろし、クルッポーを手渡す。
「ふ……ゾンゲ様の晴れ姿。撮影忘れるんじゃねぇぞ」
「え…分かったわ」
信用してくれているのかは不明だが、しっかりとカメラで撮影しているので、よしとしよう。
「グルル」「グルル」
二体のガララワニは俺に殺気をむき出しにしている。
「はぁぁぁぁ!」
両拳に両腕を左右に真っ直ぐ伸ばし力を込める。
筋肉が膨張し、硬化。
鋼鉄をも叩き潰せる強度の武器と化す。
俺は筋トレをしまくった。
ひたすら虐め続け、両腕を互いに当て続けた。
それをひたすら繰り返すことにより俺の体も進化を重ね、いつしか俺の生命線となる技と化した。
「「グァァァァ!」」
ガララワニ二体は俺の威圧に触発され、同時に襲ってくる。
俺を左右同時に食い殺しにくる獲物。
「オラァァ!」
俺は迫ってきた瞬間左右二体の僅かに空いている隙間に入り込み顎に下からアッパーを喰らわす。
一瞬空中に浮かぶ二体のガララワニ。
俺はそのまま跳躍し、背後にある崖を足場に二体目掛けて飛び掛かる。
「めん棒ラリアット!」
ガララワニの目がある位置に両腕で二体同時に攻撃を喰らわす。
流石のガララワニも脳を潰せば仕留められるだろう。
「……ふぅ。……どうにかなったな」
やはり俺は運がいい。
この運に感謝しなければ。
「す……すごい」
言葉が出ないとはまさにこのことを言う。
ティナからしたらすごいことなのだろう、いつもクソうるさいのに黙ってカメラ越しに俺を見続けている。
ふ……まぁ、俺からしたらこんなの大したことないんだが、普通の人からしたら俺はすごいのだろう。
そう、俺様すごい!
「歯ごたえのない奴らだったぜ。ま、相手が悪かったな。このゾンゲ様に食ってかかったのが間違いだったな」
ふははは!
大変気分がいい。
さぁ、俺様を撮れ、崇めよ!
「スクープよ!」
ふははは!そうだろう。
このゾンゲ様にかかればこんなのちょろいぜ。
「番のガララワニなんて聞いたことない!これはてんこ盛りスクープ!」
……あれ?俺のことじゃないの?
まぁ、確かに番のガララワニの正体って映像に残ってるわけじゃないけどさ。
「な…なぁ、もっと他に撮るべきものあるよな?」
「……あ、そうよね!忘れてたわ!生き物の生態だけじゃ、視聴者は一ミリグラムも納得しないわよね!」
やっと気がついたか。
せっかく全国に放送するならこの俺様のことをーー。
「実食しなきゃね!全国にガララワニの美味しさを届けなきゃ!」
「そうじゃねぇよ!このゾンゲ様を撮れっつってんだよ!」
「は?何言ってんの?あんた撮ったところで一ミリグラムも意味ないでしょ?」
……こ…このやろう。
ティナは俺の発言に興味なさげに振る舞った。
その冷めた視線は俺の心に突き刺さったのだった。
少しショックを受けたが、その後ティナと共にガララワニは美味しくいただきました。
アニメで小松がやっていた、石焼の料理方法を試したのだが、
「外はサクッと香ばしく、中はジュワッとジューシーに。うめぇぇぇぇ!」
めっちゃ美味かったです。
最後まで読んでくださりありがとうございました。