デート・ア・ペルソナ   作:黒ソニア

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記念すべき100話目!


龍紋夏月様
評価ありがとうございます。
お陰さまでこの作品に対しての意欲が高まりました。





第四話:試練完了

 

 

 

「ふぅ…さっぱりした。

仮想世界でもサッパリした感じもするし、お腹は膨れるんだ。」

 

シャワーを浴び終えた士道がそう呟きながら、自分の部屋に入る。

そのまま自然的にベットまで歩み、倒れ込む。

 

(…鞠奈と名乗ったあの女の子。

一体何者だろうか。

鞠亜にそっくりな見た目、同じ『管理AI』。

…鞠亜がいるのにもう1人いるってのはどうなんだろう。

夢界の事なら1人で補えるだろ…って言う、かな?

…そういえば、令音さんは鞠亜を見た時何か驚いて気がするけど───)

 

 

 

 

 

『何?』

 

『そんな馬鹿な…だとしたらキミの目の前にいる人物は一体───』

 

 

 

 

(あの言い方だと、令音さんだけでなく夢界も知らない事になるよな?

…だとしたら、鞠奈という子もそうだが、鞠亜も一体…どういう…)

 

士道は鞠奈と鞠亜について少しずつ整理しているも、『試練』の疲れがあってか自然とそのまま眠ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝(?)

 

外の景色は既に朝。

自分がいつの間にか寝てしまった事に起きて気づいた士道。

起きたばかりだが、自分が『仮想世界』でごく自然に寝ていた事に思う事があった。

 

「自分の部屋も全く違和感ないな。」

 

『はい、それは当然です。

何度も言っていますが、この世界は士道の意識から再現されている世界です。

特にこの部屋は士道にとって最も強い認識が強い為、現実でない事以外は一緒ですよ。』

 

「そっか。…って、鞠亜!」

 

『はい。おはようございます、士道。

よく眠れましたか?』

 

「ああ、うん。

…所で鞠亜、いくつか聞きたいことがあるけど、いいか?」

 

『はい、構いませんよ。』

 

「…昨日でいいのかな?

鞠亜に頼み事をした後で、キミに似た女の子…鞠奈って子と鉢合わせたんだけど、何か知っているか?」

 

『…いいえ? その人物に私は何一つ該当する記録はありませんが?』

 

「え? そうなの?

鞠亜と同じ『管理AI』でこの『プロジェクト』の判別係をしてるって言ってたけど?」

 

『…可笑しいですね。その様な人物及び役職は存在しません。

この『プロジェクト』の『管理AI』は私1人で全ては私が補っている筈です。」

 

「…そうか。」

 

鞠亜の言葉に士道はそう返事をすると───

鞠亜はメガネから現実(?)に現れ、士道の上に乗っかり、申し訳無さそうにする。

 

「…すみません、士道。

『管理AI』でありながら、この様な事態になっているとは…

その解決手段もない事…深く謝罪します。

その、私に…出来ることであれば、どの様な仕打ちも───」

 

「待て待て、そこまでしなくても───」

 

「お望みならば、十香にしようとしていた事を私にぶつけても───」

 

「しないから! しないから、取り敢えず落ち着いてくれ。」

 

士道は慌てて悲しむ鞠亜の頭を撫でながらそう言う。

 

「…兎も角、連絡がつかない事は心苦しいが、それは鞠亜のせいじゃないと思う。

きっと…何か故障があったんじゃないかって思う。

この壮大な『プロジェクト』だからな、仕方ないと思う。」

 

「…士道。」

 

「それに、手掛かりが何も無いわけじゃない。」

 

「それは…士道の前に現れた()()()()()()『鞠奈』の事ですね。」

 

「ああ、流石に流れからして偶然じゃないって俺でも分かる。」

 

「…はい。」

 

「…色々と思う事があるが、今はやれる事をしよう。

まず、鞠奈はその…俺の下心の行動が五月蝿いから連絡を遮断したと言っていたが…

冷静に考えればそれは可笑しいよな。」

 

「はい。士道が色々と問題を起こしやすいのは既に存じ上げいます。

寧ろ、その事にフラクシナスに伝達するのが普通だと思います。」

 

「だよな……ちょっと傷つくけど。

それは置いておこう。

鞠奈の言い方は何か含みのある事が多かった。

目的は分からないけど、どのみち『試練』をこなさなければならない訳だから、俺達はこのまま『試練』に挑もう。

全てが終わり次第、鞠奈はやって来ると思う。

…この『世界』では俺は非力な存在だ、『ペルソナ』も『天使』の感覚がない。

だから力を貸してくれ鞠亜。」

 

「はい。お任せ下さい、士道。

何があってもアナタを守ります。」

 

「ああ。頼りにしてる。」

 

互いに頷き会う2人であった。

 

(そうさ、今は出来ることをやるだけだ。)

 

士道は着替えて、鞠亜の指示のもとに次の『試練』にへと足を運ぶ。

 

 

 

 

 

『第四試練:サキュバス八舞姉妹〜』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは…夜の公園?」

 

士道は暗い夜の公園でポツンと立っていた。

 

「何でまたこんな所に…

この『試練』の2人と何の関連が───」

 

士道が呟いていると、その士道の元に二つの影がやって来る。

 

「呵呵々、今宵の我らの供物を見つけたぞ。」

 

「宣言。大人しく捕まると良いです。」

 

「へ?───おわ!?」

 

士道は聞き覚えのある声に拘束される。

 

「その声、耶倶矢と夕弦か?」

 

「なぬ? 何故、我が名を知っているのだ人間?」

 

「疑問。何故サキュバスの夕弦達の事を知っているのですか?」

 

「…サキュバス?」

 

士道が2人を凝視する。

よく見れば、かなり露出の多いザ・サキュバスだと分かるコスプレだった。

 

「コスプレじゃないし!」

 

「え?」

 

「解説。耶倶矢の奇声です。

耶倶矢はいつも変な言葉を放ちます。」

 

「ちょっと、夕弦!

いい加減な嘘をつくなし!

…まぁいい。そこな人間よ、先程述べた様に我等八舞の供物として観念するがいい!」

 

そう言って耶倶矢は士道に───抱きつき始める。

 

「えっ、ちょっ!?」

 

「クフフ…我が快楽に溺れ落ちるが良いぞ。」

 

むにゅ むにゅ

 

士道達高校生組みの中でも抑えめな胸を押し付ける。

とはいえ、思春期の士道には効果は抜群だ!

 

「お、おい…な、何をするだよぉ…」

 

胸・腰・尻といった中で、士道の一番に好きな部位である胸。

これを当てられ、士道は言葉では否定しても…胸の感触に喜びを感じていた。

 

「クフフ…我は貴様の『せいき』をいただいているのだ。」

 

「せ、せいき!?」

 

「当然。夕弦達はサキュバス。

アナタを性に溺れさせて、そのありふれた性欲を───」

 

夕弦が豊満の胸を押し付け、指でこねくるようにさすりながら語ると…

 

「ね、ねぇ夕弦?」

 

「応答。何でしょう耶倶矢。」

 

「そのさぁ…性欲っていうのはやめない?

『せいき』って、幼く聞こえるけどコッチにしようよ…

恥ずかしい…」

 

カチッ

 

耶倶矢()の恥じらう声に士道の何かが目覚める。

 

「嘆息。耶倶矢はいつになったら大人になれるのですか。

子供なのはその慎ましい胸だけにしてください。」

 

「は、はぁ!?

慎ましくないし! 子供じゃないし!

これから成長して大きくなるんだし!」

 

「落胆。耶倶矢も夕弦ももう大人なのですから、成長は終わりました。

だから、胸の成長はもう終わってます。

南無三…」

 

「哀れみながら二回も成長が終わってるっていうなぁ!!

見てるし、これからこの男を私の魅力でコロコロと弄んでやる───し!?」

 

耶倶矢が急に声を上げる。

それは───士道が耶倶矢を片手で抱きしめ…女慣れした手で女体を触り始めた。

 

「ひゃ!?」

 

「ハハ…いい声だすじゃないか、耶倶矢。」

 

「ちょっ! 人間なにすん───ひゃん!?」

 

士道の手の動きは的確に耶倶矢の弱い所・敏感な所を攻めていた。

 

「きょ、恐怖。夕弦はたいさ───あ!」

 

士道の虜にかかった耶倶矢を見て、夕弦は咄嗟に逃げようとするもいつの間に士道に捕まってしまった。

 

「おいおい、夕弦。

大切な耶倶矢を置いてくなんて…

悪い子にはお仕置きだな。」

 

士道は夕弦にも女慣れした手つきで的確に弱い所・敏感な所を攻める。

 

「あ…あぁん。か、快ら…

ゆ、夕弦の弱点を初見で見抜くとは…

あ、アナタは一体…?」

 

「俺か? 俺が誰だって…?

そうだな…敢えて言うならば…

───お前達のご主人様だ。」

 

その言葉と同時に士道は2人を同時に攻め上げる。

 

「「〜〜〜!!!!」」

 

2人は士道の魔の誘惑(?)に取り込まれる。

本来、彼女達がすべき事を逆に士道がしている。

2人の心は…既に士道に奪われた。

 

「「ああああぁぁぁぁ!!!!」」

 

2人のハートの部分から橙の光が抽出され、士道の手に収まった。

 

 

 

 

 

『攻略完了!』

 

 

 

 

 

クリア告知と共に士道は白い光にへと呑まれる。

 

「フフフハハハハハ───」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハハハ…は?」

 

『…ケダモノです。

士道はとんでもないケダモノモンスターです。

普段は大人しめで、女の子に攻められっぱなしで、指摘ばっかり受けてるのに…

いざとなった時は女誑しを発揮するとは…』

 

「えっと…鞠亜?

引かないで! お願いだから!

つい…つい、なんて言うか…スイッチが入ったというか…何と言うか…」

 

『…記述しておきます。

士道の素性はナンパ男そのものだと。』

 

「お願いだからやめて!

皆んなに嫌われたくない!

令音さんや皆んなに嫌われたくないぃぃぃ!!」

 

士道の必死の声が鳴り響く。

…ともあれ、十香の時といい四糸乃の時といい、『試練』は順調にクリアしている。

それもまた事実だ。

 

 

 

 

 

『第五試練:水泳部の主将美九先輩』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「次の場所は…学校のプール?」

 

士道の目の前には綺麗な水が広がっているプール。

 

「困ったな。俺、大量には自信がついつきたけど…

あまり泳げないんだけどな。」

 

ここで新たに明らかとなった士道くん情報。

何と我らが士道くん。

実は水泳が得意じゃなかった!

 

「おう、士道!」

 

「共に県大会を目指そうぜ!」

 

「俺、水泳で結果を残して女の子にモテるんだ!」

 

ぞろぞろと士道の顔見知りがやって来る。

そう、上から翔・夢界・反町だった。

 

「殿町だよ!」

 

「どうした、殿町。

美人の先輩が指導してくれるからって興奮しすぎだぞ。

…あ、士道だけに指導ってネタが…っ!」

 

夢界はやっちまったという顔で項垂れる。

 

「何言ってるんだお前…」

 

士道が本当に呆れていると───

 

「元気そうにしてますねー。」

 

むさい男共しかいない場に一輪の花がやって来る。

そう。エロくないタイプの水着なのに、素体がエロい為にすんごいエ●い(えってい)な格好をした───美九だった。

 

「っ!」

 

「おいおい、五河。

期待に胸一杯にしている所悪いが、美九たんは俺を指導して───」

 

「あらー? 殿町くんはそこの男子2人が面倒を見るって聞いているのですがー。」

 

「え?」

 

「忘れたのか? 先輩、男性恐怖症だぜ?

…士道を除いて。」

 

「何で!? 俺じゃなくて五河なんだ!?」

 

「士道は女装したら女の子になるかららしい。」

 

「ですですぅ! なので、教育後には女子制服を着ましょうね?」

 

「嫌ですけど!?」

 

『士道、話が進まないので堪えて下さい。

女装はキチンとしてもらいますけど。』

 

「は?」

 

士道に拒否権は…無い!

 

「文句しかないのだが…」

 

「だーりん、早速教育を始めますよ。」

 

「あ、いや、あの…み、美九?

俺、一応泳げるけど?」

 

「あらぁー? だーりんは泳げないって聞きましたけど?」

 

「そんな事は───!?」

 

1人で泳いでみようとするが…

 

「ゴボゴボッ!?」

 

何故か泳げなかった。

 

(何これ!? 体が重石にでも巻きついてるのかって位に身動きとれん!?)

 

「ほらぁー、言った側からぁー。」

 

美九は士道の両手を優しく握る。

 

「ぶはっ! あ、ありがとう美九。」

 

「いえいえ♪」

 

息を整えていると…ある疑問に辿り着く。

 

「…ん、そう言えば何で水泳なんだ?」

 

「あらぁ? だーりん達は共に───」

 

「世界を取るって誓ったろ?」

 

「そうそ。泳がなくたって、共に頑張るって言ったろ?」

 

「例え、世界に行けなくたって…

一緒に目標立てて頑張る事に意味があるしな!」

 

翔と夢界は親指を立ててイケメンオーラを放出していた。

 

「お前らぁ…」

 

友達って良いよなって感情に目覚める士道。

 

「むー、男子同士で盛り上がるのは良いですけどぉー。

私もいる事を忘れないでくださーい。」

 

美九は士道に甘える様に訴える。

 

「お、おう。」

 

「因みに俺はモテるためだ。

…美九たんと良い雰囲気のお前は此処でくだば───」

 

「さ、お前はこっちで教育なー。」

 

「先ずはその邪念を取り除くべく、冷水除菌シャワーだな。」

 

「除菌って何だよ───って!

ギャアアア!! 臭い! キツイ!」

 

殿町の悲鳴が五月蝿いが、『試練』を優先のために犠牲となった殿町だった。

 

「さて、邪魔者は勝手に変えてくれたが…」

 

士道は深く考え始める。

今の自分は泳げないカナヅチと同然だ。

 

「だーりん? 怖いのは分かりますが、兎に角練習あるのみですよ?」

 

「あ、あぁ。」

 

「はーい。最初から手順を追って行きましょうねー。

手を伸ばして、1、2、1、2!」

 

美九が士道の手を引っ張って誘導していく。

この光景は泳げない児童の先生が一から教えるアレだ。

 

(想像以上にキツイな。

何とかして…そもそも今回はどう攻略すれば良いの?)

 

士道が疑問を抱いていると───転機はやって来る!

 

「あぁん!」

 

美九が若干艶めいた声を上げる。

理由は…隅までやって来た所で、士道の顔が美九の大きな大きな夢が詰まったポヨンとしたメロンに突っ込んだ!

 

「んぶぅ!?」

 

「あぁん…だーりん、今は教育中ですよ?

後で…後でお相手してあげま───」

 

美九が言いかけた所で…士道に大きな変化が起きていた。

 

「ゴボゴボ…!」

 

士道は何と…この場でまた溺れかけていた。

 

(何でぇ!?)

 

良いところでカナヅチが発生する。

そんな割と危ない中、ゴーグルから鞠亜が映し出される。

 

『はぁ…このタイミングでカナヅチになって───』

 

鞠亜が溜め息を吐くも、士道の心拍数の数値が異常なまでに急降下していき、冗談抜きで不味い状況だと理解する。

 

『士道! しっかりと意識を持って下さい!

今は状況が状況です。

美九にしがみつく様に頑張って下さい!』

 

鞠亜の助言で士道は必死にしがみ付こうとすると───

 

「ひゃん!」

 

美九が声を上げる。

その理由はなんと…士道は必死に美九のポヨンメロンを鷲掴み、溺れないようにして抗っていた。

 

『…』

 

その状況をただ1人、冷静に判断できる鞠亜は半眼になる。

 

「(溺れる、溺れるぅ!!)ゴボゴボ…!!」

 

「あぁん…だーりん。は、激しいですぅ…」

 

それは側から見れば発育の良い女の子を襲っている様にしか見えなかった。

 

「うぅぅぅ…だ、だーりんってば大胆ですぅぅぅ!!!」

 

美九は心を許した存在である士道からのアプローチ(?)により、メロメロとなってしまった。

 

すると刹那───

美九のハートの部分から紺色の光が抽出し、溺れかけている士道の手に渡る。

 

「(だずげでぐれぇ…)ゴボボ…」

 

士道は体力を使い果たしてしまったかの様に沈んでいき、光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………死ぬかと思った。」

 

士道は息を荒くした状態で意識がハッキリとした。

深い深呼吸をして整える。

 

「すぅぅぅ……はぁぁぁ…」

 

「落ち着きましたか?」

 

鞠亜は士道を案じるかのように腕を握る。

 

「………あぁ、ありがとう。大丈夫だ。」

 

「そうですか。それは良かったです。

───それはそうと、誘宵美九のポヨンメロンは如何でしたか?」

 

鞠亜は最初、真剣に士道の身を案じるも…

大丈夫だと理解すると、瞬時に人が変わった様に、美九のポヨンメロンの感想を半眼でジト目で睨み始めた。

 

「如何でしたかレベルじゃないだろ!?

死にかけてたんだぞ!?」

 

「どうでしたか?」

 

「触り心地は令音さんに次ぐ───って、何言わせようとしてるの!?」

 

「…やはり、窮地の状況を敢えて起こしてたのです?」

 

「んな訳ないでしょ!?」

 

なんと言うか…『試練』を受ける度に鞠亜に説教される士道だった。

 

「…ワザとじゃないんだよ…」

 

士道は懸命に弁論するかの様に項垂れ。

 

「…」

 

鞠亜は胸がチクチクする『痛み』を感じていた。

 

「(これは…一体なんでしょう。

私は…『AI』。

士道達『人間』とは違い、『()』を持っていない筈なのに。)」

 

胸を抑える鞠亜を見て、何かを感じた士道であったとか。

 

 

 

 

 

『第七試練:アイドル士織♪』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「此処は…天宮アリーナ会場?」

 

そこは見覚えのある場所だった。

以前、天央祭があった会場だ。

 

「俺はここで何を───」

 

「あ、士道くん!」

 

背後から士道の手を両手で掴む者がいた。

そう、士織である。

 

「士織? って、何だその恰好は?

ア、アイドルのコスプレ?」

 

「何を言ってるの?

取り敢えず、早くコッチに来て!」

 

「え? あ、あぁ。」

 

士道は士織に引っ張られてそのまま控室にへと連れてかれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこにいたのは───

 

「あ、兄様!」

 

「真那!?」

 

そう、そこには士道の血の繋がった実の妹である真那がいた。

それは良いのだが、問題なのは着ている恰好である。

 

「な、何で真那までアイドルの恰好を?」

 

「何言ってやがるんですか、兄様。

真那達は今大ブレイク中の『ブルーレディース』ですよ?」

 

ふふん!と胸を張って可愛いくドヤ顔をする真那。

 

「え、あぁ…そ、そうだったな…

(よく分からないが…流れ的に士織と真那のユニットアイドルか。

よく見れば…2人とも凄く可愛い…っ!

真那は中学生らしく可愛らしいコスチュームで、この真那を写メして大切にしたいくらいだ。)」

 

真那を見てシスコンモードでホワァッとした顔になる士道。

 

(士織のは最初、驚きすぎてあまり意識してなかったけど…

清楚を意識したコスチュームで良い…っ!

士織のスタイルの良さが更に強調されてて、目の保養だ。)

 

今度は士織を見て頬を赤らめる士道。

 

「「…」」

 

士道に交互に凝視されていて顔を赤らめる士織と真那。

 

(このまま2人を観察していたい…っ!)

 

今の士道は頬がゆるゆるに緩んでおり、それはもうお前誰やねん感が強かった。

もしかすると、『試練』を受けている士道が五河士道の本質なのかもしれない。

 

「フフ…」

 

「…楽しんでいる所、すまないね。」

 

ポンッ!と士道の肩に手を置き───

ギシギシッ!と力強く握り締めていた。

 

「れ、令音…さん?

い、痛い…っ! 物凄く痛いです…っ!」

 

「…あぁ、すまないね。

キミを泣かせるつもりではなかった。」

 

そう言って令音は痛めつけるのをやめた。

 

「そ、それで令音……さんはアイドルではないのか…」

 

士道は令音がアイドルの恰好ではなく、レディーススーツであった。

 

「…ふむ。まぁ、その機会は何処かで…」

 

「絶対ですよ?」

 

「…まぁ、あまり期待しないでもらえると…ね?」

 

令音のアイドル恰好が見れると期待を抱いて、項垂れていた状態から一気に回復する士道。

 

『…何変な期待をしているのですか?

ここはそもそも『仮想世界』ですので、この『試練』は全てフィクションですので、そのふざけた幻想は捨て置いた方が良いですよ?】

 

「うっ…!」

 

「…ねぇ、士道くん。

何マネージャーに下心を抱いてるのかな?」

 

「…兄様。」

 

鞠亜に現実を突きつけられ、士織と真那からは鋭い視線と足を力強く踏んづけていた。

 

「ご…ごめんなさい。」

 

誠意を籠めた謝罪をする士道。

この綺麗な角度の謝罪は私が───

 

「それで…俺は何を…

あっ、俺は士織達のライブを守る役割とか?

それとも握手会とかで過剰な客の対応係か?」

 

普通ならどちらかだろう。

しかし、3人は首を横に降った。

 

「ん?」

 

「士道くんにやってもらうのは───」

 

「他でもありません───」

 

「───キミにもアイドルとして出場してもらう為だよ。」

 

「あぁ成程、俺も舞台で───何だって?」

 

士道は目を疑う。

 

「「「???」」」

 

「いやいや! 俺、『男』なんですが!?」

 

「そうだねー。」

 

「そんな俺がアイドル!?」

 

「です! 兄様も真那の兄で、士織さんも同じ青髪。

『ブルーレディース』の条件を満たしてますよ?」

 

「いやいやいや!!

そう言う問題じゃなくてね?」

 

「つべこべ言わずに以前託したマイクで変身したまえ。」

 

令音は士道の手を取り、もう片方の手で士道のポケットにあったマイクを取り出して手に渡す。

 

「え、えぇ? 何自然な感じで渡してるの?

ていうか、琴里の『試練』から続いてるのこれ!?」

 

士道の問いに令音は答えず、3人から早よ着替えろといった視線を送る。

…それどころか、令音はまたもや何処から出したのか分からない高級そうなカメラを取り出し、士織はスマホで録画をしだして、真那はノリノリで士道を変身させるようにジェスチャーをしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

わぁぁぁぁぁ!!!!

 

アリーナ内の盛り上がりが凄まじかった。

その理由は───

 

「しおりぃぃぃぃん!!」

 

「今日も綺麗だよぉぉぉぉ!!」

 

「まななぁぁぁぁん!!」

 

「超可愛いよぉぉぉぉ!!」

 

ドルオタ達の歓声が凄じかった。

中でも───

 

「今日のセンターをしてる新メンバー、超可愛くね!?」

 

「綺麗だぁ…〈しおりん〉と似てて超良い!」

 

「いや、〈まななん〉にも似ているぞ…っ!」

 

一応ここで分かりやすく解説…

士織は〈しおりん〉、真那は〈まななん〉で呼ばれている。

 

「…」

 

そして…今回センターにいる女装した士道は懸命にアイドルをしていたが、内心では恥ずかしくて恥ずかしくて死にそうだった。

因みに、歌は天央祭で歌った曲である。

 

「〜〜〜♪♪

(…死にてぇ。『仮想世界』で何でこんな精神が滅茶苦茶になりそうな事をしなければならないの…?

てか、令音さんが一生懸命にカメラをコッチに向けてるし…)

 

士道の目先には令音が高級そうなカメラで士道を撮っていた。

 

「〜〜〜♪♪(早よ終わってくれ…)」

 

切実に終わるのを願っていた士道であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ステージが終わって、今は握手会。

 

「萌ぇ〜! 〈しおりん〉マジ最高!」

 

「ありがとー。」

 

「はぁ…はぁ…〈まななん〉、今日も可愛かったよ。」

 

「あ、ありがとうです…」

 

(士織の列凄いなぁ…

にしてもさっきの真那に迷惑かけてたオッサン。

そのまま家に帰れると思うなよ…っ!)

 

士道がそう思っていると───

 

「あのキミ、センターだった子だよね?

新メンバーみたいだけど、すっごく可愛いね。」

 

「だよなだよな。握手、握手をお願いします。」

 

…いつの間にか士道の握手ゾーンも形成されて、多くの行列が出来ていた。

 

(えぇ〜…なんで男の俺までやらないといけないんだよ…)

 

士道の不満に応えるかの様にメガネから鞠亜が反応する。

 

『皆は士道が男とは知りませんからね。』

 

ごもっともな意見であった。

 

(…ここからどうやってこの『試練』をクリアするんだ、

そもそも攻略相手って…)

 

士道が『仮想世界』だから適当に握手の対応していると───

 

「はい、お願いしまーす♪」

 

「はい…って、〈しおりん〉!?」

 

なんと相手は士織こと〈しおりん〉だった。

 

「何で?」

 

「ふふ…これが女装した士道くんかぁ…フフ、フフフ…」

 

士道の手を危ない顔付きで堪能する〈しおりん〉。

決してアイドルのしていい顔ではなかった。

この士織は美九の事を言えないだろう。

 

(ちょっと!? 士織がとんでもない顔してるんだが!?)

 

士道が驚愕していると───

 

『士道、この『試練』の攻略相手は雨宮士織の様です。

折角のチャンスです。

…適当にメロメロにしてクリアしましょう。』

 

鞠亜が最初、AIとしての助言をするも、最後には何故か職務放棄をした。

 

(え、鞠亜?)

 

士道が困惑するも、『試練』を何とかしてクリアしなければならない為に瞬時に気持ちを切り替える。

 

(士織だったのか。

幸いにも目の前にいるけど…どうやってこの状態からデレさせるんだ?)

 

士道が困惑していると───

 

「〈しおりん〉! 早くしやがってください!

次が待っていやがるんですから!」

 

「もう少しだけ…」

 

「え、真那…〈まななん〉も並んでるの…?」

 

「…〈まななん〉の言う通りだ、〈しおりん〉早く退いてくれ。」

 

〈まななん〉の後ろにいる令音さんがいつの間にかグッズ化されていた『しどりん』と記されていた団扇やタオルを纏っていた。

どうやら士道の場合は〈しどりん〉の様だ。

 

(何故、令音さんがオタク化してるんだ?)

 

士道が疑問を抱いていると鞠亜が指摘してくる。

 

『…士道、このままでは雨宮士織…いえ、〈しおりん〉が離れて行き、失敗する可能性があります。

ここは一発大きくかましてみましょう。

そうですね…ここは逆転の発想で、士道がカッコいいと思った返事をしてみて下さい。』

 

(え、ええ!? か、カッコいい返事…

ええい、ここは思いついたコレをやってやる!)

 

士道は〈しおりん〉に向けて───

 

「ハハッ、これで〈しおりん〉はお…私の虜だね?

なら…キミのハートを───バンッ。」

 

士道は〈しおりん〉のハートの所に指鉄砲を構え片目ウィンクをしながら、打ったアピールをする。

 

「おかわわわわ!!!」

 

…少々、的外れの反応をする〈しおりん〉だったが───

 

士織のハートの部分から桃の光が抽出され、士道の手に渡った。

 

 

 

 

 

『攻略完了!』

 

 

 

 

『試練』の完了したアナウンスが告知され、士道は光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ふむふむ…予想とは違う反応をしていましたが、雨宮士織の攻略も完了。

…これで『試練』は達成されましたね。』

 

鞠亜がその様に語ると───

 

『…』

 

今度は胸が締め付けられる様な感覚が襲った。

 

『何故…?

AIである筈なのに、人間の様な痛みを感じるのは…

私は…私は…士道が『試練』を攻略した事には『()()』を感じているのに、どうして…?

いえ、喜び?』

 

初めて『痛み』を感じて疑問に抱いたが、鞠亜はそれを支障をきたすと判断し、一時忘却していたのだが…

再び『痛み』に対しての疑問から、今度は『喜び』を感じた事に更に疑問を抱いた。

 

『私は…一体…何が起こっているのでしょう?

そもそも…私は『或守プログラム』だった。

『AI』ではなく、『プログラム』の筈です。

…どうして、今になってその事に『異常』として認識したのでしょう?

私は…どうやってこの様になったのです?

気になる…とても気になります。

でも、一番に気になるのは───』

 

鞠亜は『試練』の世界から出る士道を見る。

 

『───皆さんと同じ『ハート』の部分から感じるこの『()』は一体…?

まさか…これが、士道の言っていた『大切』…?』

 

鞠亜がその事に気付くと、自分に初めて達成感に近い何かを覚えた。

 

『…』

 

その鞠亜を見て、ニヤリと笑う者が背後にいる事も気づかず…

 

 

 







・攻め攻めのお話が前回で終わったと思いました?
…残念、終わってませんでした〜。
……すいません、調子こいてすみません。
でも…『試練』はこう進めるって決めてたんです。
ただし、こういった話は今回までで次からは鞠亜絡みの展開となります。


・来週で『デート・ア・ライブⅤ』も最終回…
嗚呼…リアタイで見たかった(泣)
いや、なんかもう…情緒がぐちゃぐちゃになってる。
ヤバイ…


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