デート・ア・ペルソナ   作:黒ソニア

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投稿が遅くなって大変申し訳ないです。





第六話:彼女達の正体

 

 

 

不気味な真っ赤な空。

その空の下で、士道は目の前で霊装を纏った鞠奈を見て…彼女の告げた衝撃な言葉に息を呑む。

 

()()()()だって!?」

 

「そう。DEMインダストリーの技術はそこまでのレベルに至ったんだよ。」

 

鞠奈がそう答える…が、士道は何処か腑に落ちない感じを抱いていた。

 

(可笑しい…もし、本当に奴等が『精霊』を人工的に生み出せる様になったとしたら、何故この『電脳世界』にいるんだ?)

 

士道は一つ一つまとめていく。

まず『人工精霊』を生み出す要因…それは以前の旅行での一件。

その時に奪われた霊力の…恐らく大半はあの『TYPE-Ⅱ』と呼ばれた兵器に使われていた。

しかし、残った霊力はそのまま持っていれたままだと思われる。

そして、目の前にいる鞠奈という少女がこの『電脳世界』で…AIとして作り出され、立ち塞がっている。

その事から導かれる答えは───

 

「…人工精霊自体を生み出すことに成功したとはいえ、現実に再現する事は出来なかった…そう言う事だな。」

 

「…っ!!」

 

鞠奈は余裕でいた表情から警戒心を向けるものに変わる。

 

「…キミ、そこまでの答えに辿り着くとはね。

予想外だったよ…

…いや。そういえば、キミはこれまで女の子とのデートの時に他の女の子の事を一度でも言った事は無かったのに…

さっきあの子に指摘された時に若干ニブイ反応をしていたのって…

まさか探りを入れていたの…っ!?」

 

「…キミと初めて会った時、鞠亜の姿じゃないのに見た目と言動だけを変えた鞠亜と喋っている感じがしたんだ。

だから俺は鞠亜を信じれても、対面で会っている時は信じきれない感じがしたんだ。」

 

そう…実は士道、『試練』を受けている時の鞠亜は初めて会ってから少しずつ変わっていく様な感じ…冷たい感じから暖かい感じになる鞠亜に令音や琴里達に負けない位の付き合いみたいなのを感じていた。

…しかし、鞠亜にフラクシナスに繋がらないかと問い出した時に元の機械チックな感じに戻っていたのを忘れなかった。

その流れから鞠奈が現れたのは…今思えば偶然では無かったのだと理解した。

 

「…」

 

「お前は…鞠亜の中にいたんだろ?

いざっていう時のタイミングを狙って…!」

 

士道を甘く見ていた…鞠奈は手元にエネルギーを生成し始める。

 

「へぇ…どうやら私はキミを随分と過小評価し過ぎていたみたいだ。

それについては素直に謝罪してあげるよ。

…けど、キミは状況を把握できていないよ?

『この世界』ではキミはただの意識体だ。

意識である以上は…戦う術が無いって事をさ!!」

 

鞠奈は士道に目掛けてエネルギー弾を解き放った。

 

「!?」

 

今の士道は戦う術を持っていない。

冷静に考えれば、今の状況は絶体絶命。

鞠奈に挑発気味に接したのは失敗だったと後悔する。

 

(マズイ…!?)

 

士道は鞠亜を抱えて離さないようにすると───

 

ドカーンッ!!!

 

士道がいた場所は木っ端微塵となっており小さなクレーターが生まれていた。

 

「あっはははは!!!

威勢が良いから、正直何か策があるかと警戒していたけど損したわ!

───バイバイ、五河士道。

私の事を見破ったお礼として…ちゃんと現実のフラクシナスを───」

 

鞠奈は空に向けて腕を大きく翳して───

 

「───落としてあげる。」

 

その腕を大きく振り下ろした。

 

すると、『電脳世界』が揺れ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フラクシナス

 

士道が受けた『試練』を視聴終え…艦内は騒ついていた。

 

「はぁぁ…危なかったぜ。

四糸乃ちゃんの旦那役がよしのんだったからギリッギリで理性が保てたぜ。

…もし、士道だったら……俺はどうなっていか、分かんねぇよ…!!」

 

「落ち着けよ。ロリコン。」

 

静かにキレ始める翔太にチョップをする夢界。

 

「……良いなぁ。抱きしめられて…」

 

《おんやー? 四糸乃はよしのんより士道くんが良かったのー?》

 

「…うぅ。」

 

《冗談に決まってるじゃな〜い!

四糸乃の気持ちはよしのんが一番分かってるんだから〜。》

 

「よ、よしのん…!」

 

…側から見れば、1人で会話をしている様に見えるが…

最近、士道達はよしのんは『よしのん』という四糸乃とは全く違う生命を持っているのでは?っと、時折真剣に話題にしてるのはココだけの話。

 

「…はわ…はわわわ!!

ゆ、夕弦ぅ…わ、私達また…士道にやらしい事されてた!!」

 

「…羞恥。映っていたのは夕弦達とは違う夕弦達とはいえ…見ていてとても恥ずかしい気持ちになりました。

…後、何よりも羨ましいと…」

 

耶倶矢と夕弦は互いの手を握りしめながらも、モニターに映っていた自分達が士道に責められていた事に…流石に嫉妬していた。

 

「あぁん。だーりんってば私の胸をあーんなに強く鷲掴みにするなんて…強引ですぅ♡」

 

美九は恥ずかし…いや、嬉しそうにしていた。

 

「……士道くん、あんなに激しい事を僕以外にするなんて…!

でも…士道くんと一緒にステージ……悪くない…!!」

 

士織は他の皆んなと比べて過激な事はしていないのだが…女装した士道と大きい舞台で活躍する姿を連想し、満更でも無い様子を見せた。

 

「…全く、士道ったらやる事はちゃんとやっている癖に何してるのよ…!」

 

琴里は自分と他の者達との内容の差に内心で納得いかない感じを出していた。

…恐らく、後で神無月がお仕置き(ご褒美)を受けるだろう。

 

「む、琴里? どーしたのだ?」

 

「十香さん、あまり今の琴里さんに触れない方がいいですよ?

…多分、自分と他の皆さんの内容に納得がいかないって思ってやがるんですよ。

ま、その点真那は悪くなかったですねー。

兄様の女装を見れただけで無く、一緒に楽しんでましたので。

やはり…実妹こそ最強なんですよ…!」

 

ブチッ!

 

何かが切れる音がすると、琴里が真那に奇襲を仕掛けた。

 

「おやおや…琴里さん、自分が真那に劣ってるとはいえ、腹いせで暴力で解決するとは…兄様の『妹』として情けねぇですよっ!」

 

「…さっきから五月蝿いわね。

血が繋がってるからって調子にのってんじゃないわよ…

『妹』としてアンタに負けてる…?

私の士道への愛は誰よりも優ってるのよ!

だからつまり…妹としても何においても私が一番じゃあぁぁぁぁぁ!!!」

 

「…一番? 言ってくれやがるじゃねぇですか!

兄様への敬愛は誰よりも真那が一番なんですよぉぉぉぉぉ!!!」

 

琴里と真那による大乱闘が始まった。

 

「おいおい…」

 

「こ、琴里…!?」

 

夢界は溜め息を吐き、十香は驚く。

 

「琴里ちゃんと真那ちゃんの姉妹喧嘩…

本当なら止めなきゃならんのに、俺は…止める事が出来ない…!」

 

「そう…我々が出来ることは…!!」

 

「「2人の間に入ってご褒美を受ける事だ…!!」」

 

「駄目だぁ…誰か、変態と姉妹喧嘩を止めて…」

 

夢界が更に溜め息を漏らしながら、救いを求めた。

そして…この混乱(?)してるフラクシナス内で1人、真剣な顔つきにでいる───令音が立った。

 

「…皆、落ち着きたまえ。」

 

令音はまず、姉妹喧嘩をしている方へ向ける。

 

「…琴里、真那。姉妹喧嘩はこの辺で良いだろう。

これ以上キミ達が喧嘩をして、仲が悪化でもすれば…シンは悲しむだろうね。」

 

「「ううっ…」」

 

琴里と真那はピクリと止まる。

 

「…神無月、天宮翔太。

キミ達の趣味はそこまでにしておきたまえ。

キミ達2人の性癖は非常に難なのだが…そこだけ抑えれば常識ものだ。

この非常事態の中だ…弁えたまえ。」

 

「「…はい。」」

 

「…他の皆も落ち着きたまえ。

調べた所、『試練』の全ては6つだった。

そして、シンがクリアした『試練』も6つだ。

…この事実の事を踏まえれば───中津川、夢界藍。」

 

令音がそう言うと、2人は頷く。

 

「はい。今回、士道くんが受けるべき最低限の課題数を…内容が変われど、全てクリアされました。

この事を考慮するに、向こうで何らかの動きがあるかと思います。」

 

「だな。未だ、こっちから士道に連絡をつけられないが…

士道だって向こうで何かをしているだろう。

そう…例えば、士道の前に現れた女の子を通して───」

 

夢界が言いかけた所で、フラクシナスの様子が変わる。

 

緊急アラームと赤いサイレントが展開される。

この事から察するに…

 

「…!? シン!!」

 

「何かは起きたみたいだけど、悪い状況になったな。

何々……コイツは!!」

 

令音は血相を変えて持ち場に戻り、夢界は直様状況調べ…理解する。

 

「ヤバイ状況になった…!

皆、落ち着いて聞いてくれ……このフラクシナスが()()()()()()()()!!」

 

[な!?]

 

「どう言う事よ!?

直ぐにフラクシナスの制御を!!」

 

「……駄目です!

こちらからフラクシナスのコントロールが出来ません!!」

 

「何ですって!?」

 

琴里がそう叫び、驚愕する。

その他の皆んなも琴里と同じ反応を示した。

 

「神無月!!」

 

「はっ!」

 

神無月はヘッドホン…顕現装置(リアライザ)をセットし、フラクシナスにリンクさせる。

 

「…っ、これはまた…随分と不味い状況になりましたね。

私の力を持ってしても、どれだけ持つか…」

 

「今はアナタが頼りよ! 踏ん張りなさい!!」

 

「琴里さん…いくら真那よりも顕現装置の機能性が高い神無月さんとはいえ、そんな無茶は───」

 

「はぁ…はぁ…司令からの無茶振り…

なんて…何ってご褒美なんだぁ…っ!!」

 

神無月は苦しい感じから一変して喜びの反応をしていた。

 

「…何か?」

 

「いえ、何でもねーです…」

 

「…神無月さんのお陰で、不可視迷彩(インビジブル)を起動しつつ抗えてはいるが…墜落までのタイムリミットを長引かせてるだけだな。」

 

「そんなのは分かってるわよ!!

……いえ、アンタの事だから何か策がある感じね?

言ってちょうだい。」

 

「さっすが、我らが司令官。

んじゃ、時間もないから手短に言うぞ。

十香ちゃん達は限定霊装を纏ってくれ、ワープシステムを強制発動してこの艦の外に出す。

何とか墜落を阻止してくれ!」

 

「…ちょ、夢界!」

 

「この場でじっと待っていられる訳ねぇよな。

だって…皆んな、士道の影響を受けてるからな。」

 

夢界がそう言って十香達を見る。

 

「うむ!」

 

「任せて…ください…!」

 

「呵呵、我等颶風の巫女たる八舞の力があれば墜落なんぞさせぬわ。」

 

「同意。皆さんには日頃から助けてもらってる分、ここで役立って見せます。」

 

「ですですぅ! 前の時には散々迷惑かけたので、ここで挽回ですぅ!」

 

十香達は既に限定霊装を纏っていた。

 

「アナタ達……悪いわね。」

 

「何する必要は無いぞ、琴里!」

 

十香の言葉に精霊達は頷いた。

 

「…それで、夢界くん。私達は?」

 

「当然、十香ちゃん達と同様にフラクシナスの墜落を阻止してくれ。」

 

「了解!」

 

「ですね!」

 

「うっし!」

 

ペルソナ組みも気合いを入れて頷き、怪盗服に姿を変えた。

 

「…夢界くん、士道くんは頼むね。」

 

「おう。」

 

「行こう、皆!」

 

士織がそう言うと、皆は気持ちを切り替えて頷く。

その反応に夢界は手元を操作して士織達を外へとワープさせた。

 

「よし…令音ちゃん、そっちの様子は?」

 

「…問題ない。不幸中の幸いと言うべきか、フラクシナスが墜落の方にコントロールを奪われているお陰で、シンにコンタクトが取れそうだ。」

 

「おーけー。俺の方でもヘルプに入る。

直ぐに士道と連絡が取れるはずだ!」

 

そう言って、夢界は直ぐに次の行動に移った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いっつつ…」

 

士道は鞠亜を抱えながらも、体を起こした。

 

「…運良く、回避できたな。」

 

士道は鞠奈からの攻撃が直撃する瞬間に、回避する事で追加攻撃を受けるのを避ける事に成功した。

…その時発生する土煙に乗じて、身を隠そうとしていたが、思ってたよりも周りの影響が強く、士道が回避した場所も崩れて下の方にへと落ちたのだ。

 

「それより、鞠亜…鞠亜!!」

 

士道が呼びかけても、鞠亜は返事を返さなかった。

肉体も…実の所、直で触っていなかったせいか、体温が元がどれ位か分からないが…今の様に冷たかったのだろう。

 

「…鞠亜を救うには鞠奈を停めなければ。

けど───」

 

士道は頭上を見上げる。

士道達がいた場所では謎の結界(?)なのか、よく分からないシステムの様な何かが展開されており、更に周りを見渡すと、『電脳世界』が崩壊される様な光景が目に映った。

 

「…どうする…『ペルソナ』も『天使』も使えない俺が…」

 

士道が苦渋な顔をしていると、士道の元にファイルモニターらしきモノが展開された。

 

『…どう…士道、聞こえるか!』

 

「その声…夢界か!?」

 

『シン!!』

 

「令音さん!!」

 

『士道!』

 

「琴里!」

 

『…分かってはいたが、俺には対応薄いな。』

 

「そんな事はないだろうが…それより、通信が回復したのか!」

 

『…あぁ、良くも悪くもな。』

 

「…どう言う事だ?」

 

『あー、うん。細かく説明したい所だが、簡潔に言う。

士道、お前は通信が途切れる前に会った女の子と何かあったろう?

…手元にいるのが証拠か。』

 

夢界は辛うじて見える士道の手元で止まっている鞠亜を見て納得した。

 

『やはり…だが、思ってたのと違う流れだな。

何があった?』

 

「それが…」

 

士道は事の詳細を説明する。

 

『……成程な。』

 

夢界はそう反応する。

 

『ふむ……シン、良く無事だったね。』

 

「…いえ、俺は大丈夫です。

けど…鞠亜が…」

 

『自分よりも彼女の身が心配か…まぁ、シンらしいね。』

 

『それが士道だもの。

…けど、状況はかなり不味いわね。』

 

「琴里…そっちでは…どうなってる?」

 

『…ハッキリ言えば、絶体絶命ね。

状況から察するに、その黒い鞠奈って子がフラクシナスを地上に落とそうとしてる所よ。』

 

「…!? 何だって!?」

 

それを聞いて士道の顔が暗く曇る。

 

『念の為に言っておくが…お前は正しい事をしたからな? そこは間違えるなよ?』

 

「正しい…? そんな訳ないだろ!?

俺のミスで皆んなを危険な目に───」

 

『それは違う。』

 

令音がキッパリと素早く反応する。

 

「けど…」

 

『シン…キミを直接落ち着かせてあげたい所だが…この状況では無理だ。

だからどうか…落ち着いて聞いてほしい。

先ず、シンが判断した行動は我々がいたとしてもその様に指示しただろうさ。だから、キミは間違っていない。』

 

令音は最後優しく士道を宥める様に告げた。

 

「だけど…」

 

『それに、士道が思い切った行動をしたから、鞠奈は今行動に移したって可能性もあるわ。

相手は人工精霊。それも、DEMが生み出した以上、時間をかけて取り返しのつかない状況にされたかもしれないしね。

だから…おにーちゃんは自分を責めないで。』

 

「……令音さん、琴里。」

 

令音と琴里の言葉に士道は少し落ち着いて見せた。

 

『大丈夫、士道と私達の力があれば乗り越えられない状況なんて無いはずよ。───夢界?』

 

『あいあい。丁度、一つの案が閃いた所だよー。』

 

『よくやってくれたわ。それで…その案は?』

 

琴里がそう問うと夢界はその案を提示する。

 

「は?」

 

『ちょっ、そんな事が…出来るの?』

 

『分からん。正直、賭けだ。』

 

『はぁ!? ちょっと、ふざけないで真面目に───』

 

『いや、至極真面目だよ。』

 

「……それが出来る根拠が、あるんだな?」

 

『あぁ…話している最中でもコッチで別の事を調べて分かった事があってな。それがな───』

 

夢界が語る…それはとんでもない衝撃な内容であった。

 

『嘘…そんな事が…』

 

『…俄かに信じがたいが…嘘ではないのだろう?』

 

『あぁ、それにそうじゃなきゃ、士道に対しての反応の一つ一つに納得がいかん。』

 

『…でも、そう言われればそうかもしれないわね。

だって…士道だもの。』

 

『そうだね。』

 

夢界が述べた事に琴里は最初、信じられなかったが、よくよく考えればそうなる可能性もあるのか…という感じであった。

 

「えっと…」

 

『取り敢えず、士道。

お前は…このまま鞠亜を置いて、鞠奈って子の所へ迎え。』

 

「…けど、鞠亜は。」

 

『どの道、その子を抱えたまま人工とはいえ、精霊とタイマンはれるか?

正直、このまま行かせるのにも…令音ちゃんからのキッツイ視線で俺の身を考えて行かせたくないけど…それしか状況を覆す手段は無いと俺は思う。』

 

「…」

 

『そうね。夢界が令音に怒鳴れようが正直知ったこっちゃないし、逆に令音の怒る所が見てみたいとは思うけど…』

 

『酷い!』

 

『けど…おにーちゃん。』

 

「…分かった。

琴里、心配してくれてありがとな。

大丈夫、琴里も皆んなも必ず助けるからな。』

 

『…うん!』

 

「令音さん…俺の事を心配してくれてありがとうございます。

これからも…今からも心配をお掛けします。

けど…俺は必ず帰りますから。」

 

『……ん。キミが無事に帰ってくる事を祈っている。

帰ってきたら、キミの好きな紅茶を淹れよう。』

 

「ありがとうございます。」

 

士道達のやり取りに夢界やフラクシナスのクルー達は微笑む。

鞠亜を安全そうな所へ置くと…士道は上を方を一瞬見て、モニター先の令音と琴里を見る。

 

「行ってきます。」

 

『『気をつけて。』』

 

士道の言葉に令音と琴里は信じて士道の背中を見届ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

士道と動かなくなった鞠亜を吹き飛ばした鞠奈は展望台にて崩壊する『電脳世界』を見下ろしていた。

 

「アッハハ! 消えちゃえ、こんな世界。」

 

鞠奈はヒビ割れていく空、崩壊していく建物を見て笑っていた。

…けれど───

 

「うぐっ!」

 

鞠奈は胸が苦しくなり、膝をついた。

 

「何…で? 私はこんな世界に何にも……

そうか……アンタね、鞠亜。」

 

鞠奈は崩壊していく『電脳世界』を見て苦しくなる理由を理解した。

それは『鞠亜の心』を奪い、吸収したからだ。

 

「何でよ…私は…鞠亜のデータを奪って吸収して直ぐ、アナタの記録とその時の感情の一切を削除したというのに…

どうして…どうしてこんなに苦しいの…!?

こんなふざけた世界なのに…!!」

 

鞠奈が苦しさに悶えていると、脳裏に様々な光景が流れる。

それは…鞠亜が見てきた士道の記憶。

 

十香、四糸乃、狂三、琴里、耶倶矢、夕弦、美九といった精霊達との出会いと楽しい日々を高いところから見守っている光景。

士織、真那、令音、夢界、翔太と学校に行ったり、休日を共にしたりとしている光景。

彼ら彼女らが過ごす町を再現したこの景色。

どれもこれも、大した事のない普通の日々、何処にでもあるような街並み…なのに、なのに…

 

『…フッ。』

 

その皆んなと一緒にいて小さく微笑む士道の姿。

 

士道のその姿を見て、次々と流れる記憶と感情。

 

『試練』に嫌々ながらも、真剣に取り組む勇姿。

 

それを陰ながらに見守っている自分が…

悔しくて、一緒に成りたいという劣情…

 

士道への『愛』が鞠奈を変えつつあったのだ。

 

「こんな…嘘…!!」

 

鞠奈は頭を振りながら、忘れようと抗うも───

 

「鞠奈!」

 

その声と共に振り返る。

そこにいたのは…そう、こんな苦しい…苦しい…

会えて()()()という感情にさせる元凶がそこにいた。

 

「…五河、士道…!!」

 

鞠奈は士道を見て睨んだ。

 

「…生きていたんだ。」

 

「あぁ…そして、お前に正面から向き合う為にここにきた。」

 

「…何を言っているの?」

 

鞠奈は士道を見て警戒する様に構える。

 

「鞠奈…俺はお前が欲しい。」

 

「……はぁ!?」

 

鞠奈は士道のカッコつけた感じで、告白じみた言葉に素っ頓狂な声を上げる。

 

「…っ、キミはさぁ…頭が可笑しいんじゃなの?

敵にかける言葉じゃないよ…?」

 

「正常だよ。ただ…俺はこうやって、精霊達と向き合って来たじゃないか。」

 

フッ…っと、またもやカッコつけながら言う士道。

 

「はぁ…!? ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()…!?」

 

鞠奈は士道に対して()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「…やはり、そうだったのか。」

 

「……何よ。」

 

「鞠奈…お前は確かに俺達の敵として、DEMの…アイザック・ウェストコットの刺客としてココヘ来たんだよな?」

 

「…そうよ。だからこうして…キミを───」

 

「でも、今は『或守プログラム』の…鞠亜の『心』を取り込んだ事で迷ってあるんじゃ無いのか?」

 

「!!」

 

士道にそう言われた鞠奈は弱い所を突かれた顔をする。

 

 

 

 

 

そう、夢界が立てた案は───

 

『鞠奈という子を口説け。』

 

それを聞いた士道や令音に琴里は驚く。

更に───

 

『鞠奈…それとお前がつけた或守鞠亜という女の子達は元はDEMが生み出した人工精霊…〈ウイルス〉という呼び名もそのまんまだが、理にかなっているだろうな。』

 

それを聞いた琴里達は反応する。

 

『だが…()()()()()()()

彼女は元々鞠奈…〈ウイルス〉と同一の個体だった。

〈ウイルス〉がフラクシナスのシステムに侵入した先に、『電脳世界』にいる士道を守る為の防衛プログラム『或守プログラム』と衝突し、その一部が融合する形で…〈ウイルス〉は二つに分離してしまったんだ。

…ここまで言えば分かるな?』

 

そう、鞠亜は『或守プログラム』によって分離してしまった()()1()()()()()だったのだ。

加えて、『或守プログラム』は『五河士道を守る』という定義の元で構築したプログラムだからこそ、鞠亜は士道に対して好意的だったのだと、夢界は結論付けた。

 

『無茶苦茶だが、士道を守るっという強い概念がAIに『心』を与え、士道に対して好意を抱いちまった…てのが、俺の結論さ。』

 

だからこそ…夢界は鞠奈を口説く様に士道に告げたのだ。

 

 

 

 

 

「…とまぁ、夢界からのアドバイスによる口説きはここまでとして。

ここからが、俺の本音。

鞠奈、俺達共に楽しい事を一杯しないか?」

 

「…はぁ?」

 

「俺とお前が睨み合う必要はない。

俺達は分かり合える!」

 

「…そんな事は───」

 

「鞠亜の思いを通して分かったんじゃ無いか?

鞠亜は俺と『試練』を乗り越えた事も、さっきまでしたデートを本気で楽しんでたと思う。

だって…デートって本来互いに楽しむ事が一番大事な事だからさ!」

 

「デート…楽しい…?」

 

士道の言葉に鞠奈は再度胸が胸が苦しくなる。

 

「何…で…こうも苦しい…の?

どうして…消えないの…?

私は…私は…お父様によって…生み出された…

この…思いは…私のものじゃ…ない…

これは…鞠亜の…っ!!」

 

「…あぁ、そうさ。その思いは鞠亜のものだ。

だけど…鞠亜と鞠奈は()()()()()()だったんだろ…?

だったら…俺達は分かり合える、仲良くなれる!」

 

士道は力強く手を差し伸べる。

 

「…!!」

 

その士道の行動を見て動揺する。

 

士道の熱い訴えが鞠奈の『心』を熱くさせる。

恐らく…鞠亜の思いがあってか、強く反応しているのだろう。

 

「私…───」

 

鞠奈が強く悶えていると…

 

「…」

 

すると急に…鞠奈の様子が激変する。

 

 

 







さて…ここから先、どうなるのか。
墜落して行くフラクシナスにそれを防ぐ精霊達とペルソナ使い達。
鞠奈に手を差し伸べる士道。
それを見た鞠奈に…
───事態は更に加速する…!!


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