デート・ア・ペルソナ   作:黒ソニア

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・鞠奈と士道との戦いはデアラⅤの士道くんの戦いをモチーフにしてます。





第七話:芽生える命

 

 

 

「…鞠奈?」

 

士道は先程まで口説きが効いていた鞠奈が突然固まった事に疑問を抱いた。

何があったのか、近づいてみようとすると───

 

「…!?」

 

鞠奈が姿勢を戻しすと、瞳孔を開かせ、士道に目掛けてエネルギー弾を打ち出し、それを間一髪で士道は避けた。

 

「どうしたんだ…鞠奈!」

 

士道が鞠奈に声を掛けても鞠奈は反応せずにエネルギー弾を再び放ち始めた。

 

「うわ!」

 

またもや間一髪で躱すも、士道は鞠奈の変化に気づく。

 

「赤い瞳が怪しく光っている…?

まさか…強制プログラム的な奴で攻撃仕掛けてるのか…!!」

 

元々鞠奈はDEMの…アイザック・ウェストコットによって生み出された人工精霊。

更には仲間の1人である、マリス・エンワードの卑劣さを知っている士道は事前に鞠奈に対して何か仕組んでいたのであろうと、直感で理解した。

 

「クソッ…完全に敵意剥き出しの戦闘モードに入ったのは確実だな…!」

 

士道は鞠奈の攻撃を躱すと同時に近くの建物に姿を隠し、壁を背に推測していく。

 

「けど、このままだと現実では琴里達の身が危ない。

何か…何かこの状況を打破出来るものはないか…?」

 

士道は何か手がないか、頭を振り絞りながらズボンをギュッと握りしめると───

 

「ん?」

 

士道はポケットにしまっている物を思い出す。

そう…それは『試練』にて令音から渡されたマイクであった。

 

「…そいや、これを持ってきたままデートに来てたんだった。

いや…待てよ?」

 

士道はマイクを見てコレで何をしたのかを振り返る。

 

(そういえば……『試練』を乗り越えた時に皆んなから鞠亜と同じ様に『光』が抽出して…コイツに集約されてたんだよな?)

 

そう。言わばそのマイクは『試練』をクリアした証だった。

 

(…鞠奈が鞠亜から奪い取って力を取り戻した。

つまり、このマイクについている結晶みたいなのって───)

 

士道が何かを気づいたタイミングで背にしていた壁が吹き飛ばされて、士道も吹き飛ばされる。

どうやら居場所がバレてしまった様だ。

 

「…」

 

鞠奈が静かに手元にエネルギーをこれまでよりも強く溜め込む。

この一撃で士道を確実に殺すと告げるものだと分かる。

 

「…一か八かに掛けるしかない…!!」

 

鞠奈が大きく膨れ上げたエネルギー弾を士道へと放つ。

これを受けてしまえば、士道は確実に死んでしまうだろう。

 

「やってやる…俺の想いに…応えろ…!!

───鏖殺公(サンダルフォン)!!」

 

マイクに想いを伝える様に力一杯声を上げる…

すると、そのマイクは士道の想いに答え、ライトが紫色に輝いて馴染みのある『天使』にへと姿を変える。

それを強く握り、エネルギー弾を斬り裂いた。

 

「!!!」

 

鞠奈の動きが止まる。

どうやら予想外の事態に処理が遅れている様だった。

 

「…ありがとう、十香。

これで…何とかなりそうだ…!!」

 

士道は『鏖殺公』を構えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上空約1万メートル

 

フラクシナスが落下していくのを精霊達とペルソナ使い達がそれを阻止していた。

 

「くぅぅぅ……!!」

 

「止まっ………て…!!」

 

《んぐぅぅ……!!》

 

「…っ、八舞の底力を…っ!」

 

「同意…っ。見せて上げます…っ!」

 

「私は…皆さんの痛みを和らげます!」

 

精霊達は霊力を用いた力押しで墜落を阻止していた。

本来ならば、霊力を封印されている状態とはいえ、大きな機体を抑える程度は難なくこなせるものだが…

現在、フラクシナスは魔力の制御も奪われており、期待全体に魔力が巡回されており、封印された状態の精霊達では困難であった。

 

「力を貸して…花騎士(シュヴァリエ)!!」

 

「踏ん張るぞ…猿王(セイテンタイセイ)!!」

 

ペルソナ使い達は『ペルソナ』を用いて何とか抑えていた。

 

「…っ、真那も皆さんと一緒に抑える方をしてねぇのですが…!」

 

真那は『ペルソナ』では無く、CRユニットを用いた随意領域(テリトリー)で皆を隠していた。

 

『そう言うなよ、真那ちゃん…いや、〈ドリス〉。

フラクシナス自体は何とか不可視迷彩(インビジブル)で隠せてはいるが、他の皆んなは違う。

霊力や魔力が地上で巡回しているAST関係者に見られる訳にはいかないからな…!』

 

夢界が事情を説明する。

 

「分かっていやがりますよ…!」

 

真那はそう言いつつも、随意領域を維持し続ける。

 

「士道くんの様子は…?」

 

『……あまり良い状況じゃねぇな。

人工精霊が暴走して、無抵抗の士道を襲っている…!』

 

「そんな…!」

 

「チッ…何とか突破口を見つけろよ…!」

 

「…士道、大丈夫かな…夕弦?」

 

「…困惑。ですが、士道なら…!」

 

「だーりんなら、何とかしてくれるって信じてますぅ…!」

 

悪い状況が変わらない中…

 

───俺の想いに…応えろ!!

 

「…むぅ?」

 

十香が何か違和感を感じた。

 

「十香…さ、ん…?」

 

《どうかしたのぉ…?》

 

「…分からぬが、シドーの助け声が聞こえた気がするぞ…!」

 

十香は霊力で持ち堪えている中、士道の声が聞こえて力を求めている気を感じた。

 

「シドー!」

 

十香が応じるように叫ぶと、体が紫色に光った。

 

「我が眷属、十香よ!

体が光っているではないか…!?」

 

「本当だ…コレって…!?」

 

耶倶矢と士織が反応すると…

 

『…どうやら、状況が変わりそうだ。』

 

夢界が反応する。

 

「何があったの…?」

 

「疑問。士道に、何かあったのですか…?」

 

『士道の手に…十香ちゃんの『天使()』を顕現させたぞ…!』

 

[…!!]

 

士道の手に逆転の一手が渡った事により、状況が変わろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───ずっと、彼を見ていた。

 

常に彼を見ていた。

それは側にいた訳でなく、隠れて見ていた訳でなく。

 

───最初はただ責務(命令)をこなすだけの機械だった。

 

そう。只々、指示された事をこなすだけ。

 

───別に彼に対して()()()()()()()()()()

 

…しかし、違った。

否、違っていった。

 

特殊災害指定生命体…『精霊』。

世界を滅ぼせる力を持つ女の子達を『赤の手(DEM)』や『魔の手(シャドウ)』から救うべく、身を挺して戦う青年。

そんな青年を内にいる者達と共にずっと見てきた。

 

精霊(女の子)を口説くために様々な訓練を受けている姿。

 

精霊(女の子)を守る為に日頃から汗水流している姿。

 

精霊(女の子)の機嫌を損ねないように心掛けている姿。

 

DEMやシャドウ(恐ろしい敵)から精霊(女の子)を守り抜くために血を流しながらも立ち向かう…その姿。

 

───私は…私はずっと、()からアナタを見守っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行くぞ。鞠亜、鞠奈!

お前の『心』を再び動かす…!!」

 

士道は『鏖殺公』を握り締めて特攻する。

鞠奈は士道の言葉に反応せずにエネルギー弾を放つ。

 

「フッ!」

 

士道はそれを剣を振り上げたり、下げたりして無力化していく。

 

(よし、『鏖殺公』で鞠奈の攻撃を無効化出来る。

『鏖殺公』が反応してくれたって事は他の『天使』も反応してくれる筈だ…!

これで後は鞠奈の元まで行って───)

 

士道がそう考えていると、鞠奈は距離を取り始めて、足場を破壊していく。

 

「まじか…!?」

 

士道は驚愕するも、正面の足場が破壊されていき崩れていく。

咄嗟の事態にどうすれば良いのか分からず、落ちていく。

 

「くそっ…! マイクには『ペルソナ』の力がないから変身が出来ない…っ!

だから空を空を飛ぶ事が出来ない、どうすれば…っ!?」

 

そう考えている間も、士道は落ちていく。

 

「皆んなはどうやって飛んでいるんだ!?

こんな事なら、『天使』以外にも霊力の力を引き出せる特訓をしておくべきだった…!」

 

士道がそう叫んでいると…

 

「…いや、あるじゃないか。

空を飛ぶ事に適した『天使』が…!!」

 

士道はその『天使』を連想する。

 

「耶倶矢! 夕弦!

2人の力も貸してくれ…颶風騎士(ラファエル)!!」

 

士道の想いに手に握る『鏖殺公』の丸い部分の鍔が橙色に光始めると、士道の周りから風が発生し、宙に浮かび始めた。

 

「よし、飛べたぞ…!

2人の力は初めてな筈だけど、初めてって感じが全くしないな。

これでお前の元まで行くぞ…!!」

 

士道は風を纏い上に駆け上がった。

 

「…!!」

 

鞠奈は士道が戻って来た事に驚いたが、直ぐに真顔にへと修正し、エネルギー弾を放ち始めた。

 

「見える…っ!」

 

士道はエネルギー弾を回避しながら向かって行き、避けきれない大きなエネルギー弾は『鏖殺公』で斬り裂く。

 

「…」

 

鞠奈は士道の予想外の行動に、瞬時に何度もシュミレートをしていく。

そして、凄まじい速度で答えを導き…町の方にへと向かう。

 

「…電脳空間とはいえ、町の方で戦いたくないけど…致し方ない、待て鞠奈!」

 

士道は鞠奈を追いかけて行く。

その行動には予定通りだったのか、士道が迫ってくるのを見計らって振り返り、高い建物をエネルギー弾で壊していく。

 

「容赦無しかよ…!?」

 

士道は驚きつつも、上に上がって行こうとすると…いつの間にか先回りしていた鞠奈がエネルギー弾を放つ。

 

「まじか…!?」

 

いつの間にか周りは大きい建物の崩壊と鞠奈のエネルギー弾が迫り、絶体絶命の状況に追い込まれた事に気づいた。

 

「…そうか、鞠奈は鞠亜と同じAI。

瞬時に計算して、この状況を生み出したのか…!」

 

士道は苦い顔をして感心気味に理解するも、状況は死は刻一刻と迫っていた。

 

「『鏖殺公』の斬撃で一掃できるか…?

最後の剣(ハルヴァンヘレヴ)なら…いや、それは最後の手段だ…!

こうなったら…!」

 

一つの『天使』の力を一気に使ってしまえば、その『天使』が使えなくなるのではないかと思った士道は【最後の剣】を渋った。

 

士道は『鏖殺公』に『颶風騎士』の力を組み合わせる。

『天使』と『天使』の力を合わせるのは出来るのか出来ないのか、分からなかったが…状況を乗り越える為にまたもや一か八かの賭けにでた。

 

「はあぁぁぁぁああっ!!」

 

旋風を纏った剣による斬撃は士道の想像よりも遥かに凄まじく、建物やエネルギー弾を一気に蹴散らした。

 

「…!?」

 

鞠奈は士道のまたもや予想外の行動に驚いていた。

 

「今度は逃がさないぞ…『颶風騎士』は風だけを発生させる『天使』じゃない。

『氷結傀儡』と同じ様に武器と能力の二つが合わさったのが『天使』だ!

行け、縛める者(エル・ナハシュ)!!」

 

士道は『鏖殺公』を夕弦の使用している『縛める者』にへと変化させて、鞠奈を逃さない様に縛り上げた。

 

黒の鞭(ブラック・ウィップ)と似てるから不思議と扱いやすい…!

これで逃げられないぞ、鞠奈!」

 

士道によって拘束され、無表情の顔が少し崩れつつなりかける様に鞠奈は『縛める者』を解くのに苦戦していた。

 

「よし…来いっ!」

 

『縛める者』を引っ張る。

力強く引っ張られて鞠奈は士道に捕まる。

 

「捕まえた…!」

 

士道は鞠奈を捕まえた事により、無意識に縛る力を緩めてしまう。

その事に気づいた鞠奈は直様士道を蹴って距離を再びとった。

 

「…っく、でも、絶対に逃がさないぞ…っ!」

 

士道が『縛める者』で逃がさない様にするも…鞠奈が士道に目掛けてエネルギー弾を放った。

 

「…! 『颶風騎士』!!」

 

旋風を操りエネルギー弾を無力化しようとするも、分裂して士道の元で爆発する。

 

「ぐあぁぁぁ…!!」

 

士道の体は霊力でコーティングして大怪我には至らなかったが、爆発によって『縛める者』が解かれて鞠奈は自由の身に戻った。

 

「はぁ…はぁ…」

 

士道は痛みに耐えながら鞠奈を見つめる。

 

(…不味いな。この肉体が、本物じゃなくて…再現されたものの、せいなのか、意識が遠くなりつつ…ある。

次に大きなダメージを受けたら、霊力でコーティングしているこの肉体がもう持たない…だったら…っ!)

 

士道は覚悟を決めると、鞠奈を強く凝視する。

 

「…っ!?」

 

鞠奈がそんな士道を見て強く警戒する。

士道の状態やこれまでのデータを計算して士道のとりそうな手段を模索し…答えを出した。

それは───

 

「…っ!」

 

鞠奈は士道に突撃し始めた。

計算されて出された答えが弱っている状態の士道に強烈なタックルを与え、一気に仕留めるというものだった。

女の子に直接凶器で傷つけた事がない記録から士道は近づかれたら何も出来なくなるのだと判断されたのだ。

単純だが、今の士道には最も有効な手段だった。

 

「…あぁ、最も有効的な手段を、使ってくるって…思っていたさ!」

 

「!?」

 

鞠奈は三度の予想外の反応をする。

何故なら…士道が鞠奈に目掛けて『鏖殺公』の状態で本気で振り下げていたからだ。

 

「!?!?」

 

まさかの士道が女の子に思いっきり凶器で傷つけるとは思わなかったのか、体が完全に硬直してしまう───が。

 

鞠奈に当たろうとする瞬間に『鏖殺公』がマイクに変わったのだ。

そして士道は速やかに鞠奈の体を全身を使って拘束する。

 

「…!!!」

 

鞠奈が正気に戻ってエネルギー弾を生成しようすると───

 

【鞠亜、鞠奈!!】

 

士道がさっきまでとは少々異なる声を発していた。

ゆっくりと士道の顔を見ると…士道の口元にマイクが浮遊していた。

ライトが紺色に光っていた。

そう、士道は『鏖殺公』を破軍歌姫(ガブリエル)にへと変化させていたのだ。

 

【お前の『(ハート)』を頂戴する!!!】

 

そう言い士道は───鞠奈の唇を奪った。

 

「…っ!?!?!?」

 

士道のその行動に鞠奈の瞳がブレる。

徐々に顔が赤くなり、『ハート』の部分から凄まじい光を放出し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは…?」

 

光に呑まれ、意識が途切れかけていた所、士道の周りには謎の空間が広まっていた。

この『仮想電脳世界(バーチャル・シュミレーテッド・システム)』にやって来た様な電脳ホールの様な空間に士道はポツンといた。

 

「…なんだ、この記録みたいなのは…?」

 

その空間にて次々と出現していく何か。

それに触れると───

 

───これが、士道の言っていた『大切』…?

 

その声は聞き覚えのある…鞠亜のものだった。

 

「鞠亜?」

 

士道がそう呟くと、更に声が流れて来る。

 

 

 

 

 

───私は『或守プログラム』だった。

『AI』ではなく、『プログラム』の筈です。

 

───私は…どうやってこの様になったのです?

 

自身は『機械(AI)』の筈なのに、人の様な『(痛み)』を感じていた。

その感じていた事も不思議だった。

 

更に鞠亜の思いが流れて来る。

 

琴里・十香・四糸乃・耶倶矢・夕弦・美九・士織と…

それぞれの『試練』での鞠亜の思い。

この『仮想電脳世界』で士道と初めて出会った時やデートをしていた思いが…士道に流れて来る。

 

琴里の時に酷く困惑していた士道に対して何とか励ませないか考えていた事。

 

十香の時にハプニングでどうなるのかドキドキをしていた事。

 

四糸乃の時に謎の悪寒を感じていたその意味を理解していた事。

 

耶倶矢と夕弦の時に士道の知らない一面を見て驚きと羨ましいと思った事。

 

美九の時に生命の危機を起こしていた事にハラハラとしていた事。

 

士織の時に士道がカッコつけている所を見て楽しんでいた事。

 

士道と出会って、初めて名前を貰った時に感じた衝動。

 

そして…ずっと『上』から見ていた彼が世界を救う…否、女の子を救い・守る為にする───『デート』。

 

そのデートに誘われて更に『熱』を覚えた。

間近でしか分からない士道の様々な一面を見て行き、どうしようもなく、彼に対しての想いが溢れだした。

 

上…『空』だけじゃなくて、側で彼を…見守りたいと、強く…強く想った。

 

そうしていく内に…自分がただの『AI』から芽生えた『()』を持った、『或守鞠亜(女の子)』になった。

 

───これが…これこそが『愛』。

 

鞠亜の片手に一つの光が。

 

───士道の語った『大切』。

 

もう片方にも光が。

その二つが完全な一つとなって。

 

───『好き』なのですね。

 

両手を合わせ、光を胸に入れ…『(ハート)』へとなった。

 

 

 

 

 

「鞠亜…」

 

鞠亜の心境心理を理解していき、彼女の全てを理解した士道だった。

 

「そうか…そうだったんだな。

お前は…お前はずっと俺を見ていてくれていたんだ。

こんな俺を通して、『心』を得て…好きになってくれてたんだな。ありがとう。」

 

士道は正面を見ると…

 

そこには現在にて士道や琴里達を乗せる…『フラクシナス』の姿があった。

 

「鞠亜。」

 

士道は手を伸ばす。

すると、『フラクシナス』は徐々に近づき、士道の伸ばした手に触れて───

 

「はい、士道。」

 

士道の手を取り、元の鞠亜の姿となって笑顔で応じる。

 

「迎えに来た。」

 

「はい。嬉しいですよ、士道。」

 

「光栄だな。」

 

士道が応じると、鞠亜は士道に近づき───

 

「…ですが、まだ終わりではありません。」

 

「ああ。」

 

「鞠奈を…姉さんを救いに行きましょう。」

 

「…鞠奈が姉なのか。」

 

「はい。正直な所、本心を言えば意義を唱えたい所ですが…彼女を救う為に空気を読みました。

鞠亜は出来る子ですので。」

 

「そ、そうか…鞠亜、なんかキャラが変わってない?」

 

「そんな事は有りませんよ?

私は私のままです。」

 

鞠亜はそう言うと、徐々に自身の顔を近づけさせる。

 

「さぁ士道、鞠奈を救いに…

私達の叛逆(デート)を始めましょう。」

 

士道の唇に自分の唇を重ねた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

士道のキスによって凄まじい光が放出されいたが、次第に光が弱わり、士道が光から離される様に飛ばされる。

 

「…くっ!」

 

辛うじて体制を保つ。

 

「鞠奈!」

 

士道が声を掛けるも、光は徐々にドス黒いものへと変貌していき、『仮装電脳世界』を侵食していく。

見て分かる通り…鞠奈は暴走状態にあった。

恐らく、士道のキス(とった行動)…霊力封印の力が影響したのだろう。

 

「俺の声が届かないか…!」

 

『…おい、士道! どうなってる!?』

 

士道が苦い顔をしていると、夢界から切羽詰まった声が響く。

 

「…勢いで、鞠奈にキスをして…

そしてたら、鞠亜の世界(?)で全てを知って…

それから───」

 

『あー…成程、おっけい。

進捗しているからこそ、事態が悪化しているのか…!』

 

「事態の悪化だって!?」

 

士道が驚愕すると、夢界が現状を見せる。

その状況は…フラクシナスに備蓄されている『魔力』が更に暴走しつつあり、十香達が懸命にそれを阻止していた。

 

「クソ…コッチも予想外の展開になっているってのに───」

 

「───それに関してはお任せ下さい。」

 

士道の元に駆け付ける者がそう告げる。

その正体は勿論…

 

「鞠亜!」

 

そう、鞠亜である。

士道と一度目のキス(鞠奈とのキス)によって、彼女の意識を取り戻し。

二度目のキス(鞠亜とのキス)により、鞠亜の『(意識)』を取り戻してここへ直様駆け付けたのである。

それも…

 

「その姿は?」

 

ただ一つ決定的に違うのは今の鞠亜の姿である。

彼女の正体である『フラクシナス』を模した霊装の姿をしていたのだ。

 

「はい。コレは私の霊装です。

いえ、正しくは霊装とは言い難いのですね。

士道を通して、霊力とペルソナの力が混ざった奇跡の力。

いわゆる『愛』の力です。」

 

鞠亜はフフンと胸を貼りながら言う。

 

「そうだな。」

 

「はい。勿論、見てくれだけではありません。」

 

鞠亜はパチン!…と、指を鳴らす。

すると、少しの間が空いて夢界が声を上げる。

 

『…!! フラクシナスの魔力が収まったぞ!

助かったぜ、鞠亜!』

 

「いえ、フラクシナスは私自身でもあります。

皆の命を預かってる者として、これくらい出来なければなりません。

…しかし、それも一時的な状態です。

鞠奈を救わなければ、状況は悪化します。

ですので、士道!」

 

「ああ、分かっている!」

 

士道はマイクを再び『鏖殺公』にへと変える。

 

「更に、士道も姿を変えましょう…えい!」

 

鞠亜は士道の姿を…黒いロングコートに、白黒のドミノマスクを付けた怪盗服にへと変えた。

士道は〈士道(ルパン)〉へとなった事により、赤い手袋をはめ直して不適な笑みを浮かべる。

 

「助かる。」

 

「はい、その姿を間近で見られて嬉しいです。」

 

「フッ…恥じない戦いを見せてやる、鞠亜。」

 

「…ふむ。ここは私も士道に合わせるとしましょう。」

 

鞠亜は目元をゴーグルの様なのを装着させる。

 

「私は…〈ナビ〉。

その名の通り、勝利へ導く者です。

遅れないで下さいね、〈士道(ルパン)〉!」

 

鞠亜は豪語する。

 

「任せろ!」

 

士道は力強く、決意を込めた返事をし… 〈鞠亜(ナビ)〉と共に暴走する鞠奈へと立ち向かう。

 

事態は終幕へと向かう…!

 

 

 







中々展開がイメージ出来なくて進まなかったけど、ようやくここまで来れました!
いやー、鞠亜のお話はかなり難しかったです。
そんな鞠亜編も…次回で最終回。
どんな結末を迎えるか…乞うご期待!!


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