デート・ア・ペルソナ   作:黒ソニア

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原作やアニメとの同じ所は出来るだけ、早めに進めるようにします。





第二話:ラブレター

 

 

 

「はぁ…。」

 

 

放課後、士道は1人屋上にて溜め息を吐いていた。

 

その理由は昨日の事である。

 

七罪が急にキレた事により、フラクシナスに戻された士道は早速琴里からダメ出しを受けた。

まず一つ目は…帰ってきた時のボケーっとした顔だった。

マヌケ顔と捉えられた事により、琴里から制裁を受け、それを羨ましがる神無月といういつもの流れだった。

怒る琴里に令音が宥めるといういつもの流れ。

 

その後、士道のメガネ越しから見ていた鞠亜が士道の弁護があったお陰で、士道は許された。

 

 

『全体を見ていた意見からしても、初めて見た時の反応や士道が抱きしめられた反応以外、特に士道が何かをした事は何もありませんでした。』

 

 

勿論、令音や士織から説教を受けながらも、鞠亜からの弁明により琴里からの攻略の失態に関しては許された。

…失態に関しては、だが。

 

 

「にしても、女性陣(皆んな)の圧が怖かった…。

にしても、琴里は一度怒ったのが収まったかと思えば、すぐ次の事で怒るなんて…俺、そんなにヘマな事をしたか?」

 

 

『では、昨日の映像を見ますか?』

 

 

「いや遠慮する。自分が映ってる姿や声を見るとか地獄でしか無い。」

 

 

『…士道は少し、自分を毛嫌いしすぎはしませんか?

自分を美化しすぎるのは確かに良くはありませんが、卑下しすぎるのは良くありませんよ?

まぁ、自分には厳しく人には優しくという理念の元、行動する士道は素敵ですけどね?』

 

 

「ありがとう。」

 

 

『では、私は引き続き昨日のデータを元に、様々な攻略資料を纏めます。

勿論、それを元に攻略の手口としてサポートしていくので、士道は切り替えの早さを生かして常に平常心と覚悟を持つようにして下さい。』

 

 

「ああ…ただ、出来る限りまともなのを頼むよ。

今まで選択肢から出された内容では心が持たないからな。」

 

 

士道がそう言うと、鞠亜は『分かりました。』と、最後には笑っていた。

 

 

(笑い事じゃないんだけどな…やれやれ。)

 

 

と、カッコつけながら士道は教室にへと戻って行く。

 

自分の教室にへと戻ると…3トリオが物凄く怒火のオーラを纏って士道にあたって来た。

 

 

「え、何、何?」

 

 

「何々とは白々しいわね! 五河くん!

いえ、ナルシスト五河!!」

 

 

「はい?」

 

 

「『はい?』じゃ無いわよ!

十香ちゃんや士織さんがいながら…!!」

 

 

「何の…話?」

 

 

「コイツ…マジ引くわー。

学校生徒全員で粛清すべきだ、この最低女たらし!!」

 

 

(…ぐっ!! いつかは…いつか、そう言われるとは薄々思っていた…。

俺のやっている事は世界を救う事だけど、側から見ればただのナンパだ!

…まぁ、正直な話、こんな紳士とは真反対な事をしていて良いのかと思うし、その攻略した皆んなを同じ学校に入れさせるという事態…

いやそれは違うな。それは断じて違う。

俺があーだこうだの言われても良いが、皆んなで楽しく人間の生活を送れるのなら───)

 

 

「私達を口説くなんて、どういう魂胆よ!!」

 

 

「した事ないですけど!?」

 

 

「何て奴なの!?

亜衣には壁ドン、私には顎クイ、美衣には頭ポンとやったじゃ無い!!」

 

 

「はぁ!?」

 

 

「五河死すべし!!」

 

 

「待て待て! 俺はそんな事してないぞ!?」

 

 

士道は全く身に覚えのないことに強く主張すると…今度は十香がやって来た。

 

 

「し、シドー!」

 

 

「十香は…どうした?」

 

 

「……きゅ、急にびっくりするではないか。」

 

 

「何の…話?」

 

 

「なっ!? 惚ける気か!?

わ、私のむ、胸を…揉むとは…。」

 

 

「な!? そんな事してないぞ!?」

 

 

「何を言うダァ!? この男!!

可愛い可愛い十香ちゃんを公衆の全面で汚しておいて!!」

 

 

「いや! 俺だって十香を穢す奴なんて許され…

あ、あの十香? 十香さん?」

 

 

「……人前では恥ずかしいでは無いか。

い、家でならば…わ、私だってだな…。」

 

 

『!?』

 

 

十香の反応に士道を含めた男子達が鼻血を噴水の様に発射する。

…しかし、直ぐに士道に向けてエレンよりも凄まじい殺気を向け始めた。

 

 

「(…エレンよりも、コイツらの方が怖い……って、ん?)

士織? もしかして、お前にも何か…。」

 

 

士織がいつの間にか近づいており、顔を赤くしていた。

 

 

「士道くん……優しく、してね?」

 

 

「一体何をしたんだ!? 俺の知らない俺は!?」

 

 

「ぼ、僕…し、士道くんと一緒にいられるなら…!!」

 

 

「本当に何をされたんですかぁ!?

って……お、折紙? まさか、お前にも何か…!?」

 

 

「…私には何も。」

 

 

「ふぅ…なら良かった…。」

 

 

「だから。」

 

 

「!?」

 

 

折紙は士道の手を掴んで、自身の服から下着もとい、胸にへと入れ込む。

 

 

「ちょっ、ちょっ、ちょっ!?」

 

 

「こ、コラァ!! 鳶一折紙!!」

 

 

「…何を、しているのかな? 鳶一さん?」

 

 

「これが、私と士道の普段のスキンシップ。」

 

 

「…士道くん?」

 

 

「そんな事出来る訳ないでしょ!?」

 

 

士道が折紙の胸から脱出し、背後に下がっていくと…

 

 

「士道さ…急にどうしたんだよ。

何があろうとな? 俺はずっとお前の友達…ズッ友! 親友! 相棒! ベストフレンドさ!」

 

 

「お前に何したんだよぉぉぉおおお!!

そして頬を赤らめるなよぉぉぉおおお!!」

 

 

「士道! 午後の授業なんてほっといてこれからパトロールに行こうぜ!

小さな女の子は人類の宝!

俺達が…俺達が! 世界を救うんだぁぁあああ!!」

 

 

「警察…。」

 

 

「そしたら、もれなくお前も捕まっちまうぜ士道。」

 

 

「何でだよ!?」

 

 

…どうやら、男性陣にも何かしでかしたらしい。

何をしたのか……知りたく無い士道だった。

 

 

「…シン。」

 

 

「令音さん!? まさか、令音さんにも何か───むぐっ。」

 

 

令音は公衆の前で士道を抱きしめ、その豊満な胸にへと誘い、頭を撫で始めた。

 

 

「疲れているんだね。シン、いい子いい子。」

 

 

「むぐっ…ぐぅ…。」

 

 

「キミの努力は知っている。皆んな知っている。

少なくても……私はずっと見ているから、ね?

だから……ね? あんな奇行な行動は止めるんだ。

私は、普段のキミが好ましいよ。」

 

 

「何をしたんだ、その俺はぁぁぁあああ!!」

 

 

そして、他にも何かされただろう…ざらざらと現れる。

 

 

「…一体、何がどうなって───っ!?」

 

 

階段の所で、ふと視線を感じて上をみると───

自分に瓜二つの自分が、士道を嘲笑うかの様に笑って去った。

士道をそれを追いかける。

 

 

「待てぇ!!」

 

 

「い、五河の奴めっちゃはえぇ…。」

 

 

そんな声なんて聞こえず、士道は先程いた屋上に辿り着くと…

 

 

「よう。」

 

 

「お前は…一体……ま、まさか!!」

 

 

「…気がついたみたいね。」

 

 

「七罪…!」

 

 

そう、目の前に士道と瓜二つ…いや、鏡越しとも言える存在は七罪だった。

 

 

「そうか……お前の『天使』。

昨日のASTや今の俺の姿…姿形を自在に変化させる能力なのか!!」

 

 

「!! ……へぇ、何だ、結構冴えるじゃない。」

 

 

「……けど、どうしてだ。どうしてこんな事を?

俺は何もしてないぞ!」

 

 

「嘘おっしゃい!! 見たんでしょ!?

私の…私のぉ…!!」

 

 

「…!」

 

 

士道は目の前に映る七罪を見て、数ヶ月前に丁度、この場所で触れられたく無いタブーに触れてしまった時の事を思い出してしまった。

 

 

(けど、本当に…本当に俺は何も見ていない筈…!)

 

 

「シドー!」

 

 

思い悩んでいる間に、十香達が一斉にやって来た。

 

 

「む、むむ!?」

 

 

「士道くんが…2人!?」

 

 

「て事は、さっき俺達が会ったのは偽物?」

 

 

「で、でもさ…どっち?」

 

 

「わっかんない!」

 

 

「ま、マジ引くわぁ…。」

 

 

「マジかよ…折角士道が同志になったのかと喜んだのに…。

研修行くのが嫌すぎて幻覚が見えてんのか?」

 

 

十香達はそれぞれどっちが本物の士道なのか分からず困惑していた。

それをしっかりと観察したいた七罪は行動に移す。

 

 

「コイツが偽物だ! 俺に化けて迷惑をかけていたんだ!」

 

 

「は、はぁ!!」

 

 

「コイツは最低野郎だ! 人を侮辱するクズやろうだ!

全員でコイツを粛清してやろう!」

 

 

『───!!』

 

 

七罪は士道に向けてそう言い放つ。

その言葉…というより、指差して悪口を言って来る事に対し、士道は脳裏に浮かぶトラウマが士道を襲い、苦渋の顔を浮かべ、汗を大量に掻くのだった。

 

 

「くぅ…!!」

 

 

頭が痛くなり、顔色が悪くなる士道に…寄り添う十香・士織・折紙。

3人は本物の士道を庇うように前に立った。

 

 

「お前が偽物だな。」

 

 

「な、何を言って───」

 

 

「そう。本物の士道とは幾つか違う点がある。

体の重心が士道よりも左に傾き、瞬き速度も速い。」

 

 

「は、はぁ?」

 

 

「貴様はシドーとは違う匂いがする。

それに、私とシドーとの繋がりを感じぬ。」

 

 

「つ、繋がりって…ア、アンタ…!?」

 

 

「「…(ジト)」」

 

 

「……お、恐らく、霊力のパスの事、かと。」

 

 

「…ん、んん! それとね。

士道くんはさっきの汚い言葉をそう吐かないんだよ。」

 

 

「………何なの、何なのよ、アンタら…!!

あり得ない……あり得ない…!!」

 

 

七罪は十香達に怯えながら後退り、この場から逃げ去った。

 

 

「シドー! 大丈夫か!?」

 

 

「士道くん!!」

 

 

「……大丈、夫…ありがとう、助かった。」

 

 

士道は汗を拭きながらフラフラとしつつも、十香達に支えられるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

あの学校での出来事から数日。

 

アレから七罪からの嫌がらせは無かった。

…他に何があったかと言えば、翔が家絡み…病院での出来事により、暫く学校や士道達のフォローに入れなくなった事だった。

 

 

『すまねぇ、兄弟。一緒にパトロール出来なくて…!!』

 

 

『いや、しないから…。』

 

 

あの一件で、翔は本気で士道をロリコン認定させようしてくる事となってしまった。

 

 

「……はぁ、色々と疲れる。」

 

 

「いつまでも落ち込むんじゃないわ、よ!」

 

 

「ぐはぁ!!」

 

 

琴里がソファで倒れていた士道に乗っかる。

そして、大勢を直しつつ、琴里はソファに座る士道の膝の上に座る。

最近の琴里の席は士道の膝の上となっていた。

 

 

「どうしたんだ?」

 

 

「士道宛に、ラブレター。」

 

 

「へぇそうか、俺宛にかぁ誰だろう……って!

ラブレタァァ!?」

 

 

「しゃらっぷ!」

 

 

「ぐっ……だ、だが、ラブレターって一体…誰から?」

 

 

「そんなの1人しかいないでしょ?

───七罪からよ。」

 

 

琴里はラブレターもとい…手紙を開けると、数枚の写真と一言の言葉が書かれたカードが一枚。

 

 

「『この中に私がいる。見つけられるかしら?

誰もいなくならないうちに。』

……これは、どういう?」

 

 

「どうもこうも、分かる事は一つ。

これは七罪からの挑戦状って事よ。」

 

 

琴里の言葉に、士道は息を呑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

『さて士道、準備は良いか?』

 

 

「あぁ。」

 

 

今現在、士道は街の中にいる。

インカムをつけており、こうした場合は精霊とのデートをするという状況でもある。

 

 

『念の為の確認をします。

今回の目的は七罪です。

彼女の能力はまだ断定してはいませんが、士道が述べた通り、何かに変化させる能力があります。

それに伴い、今回の一件では写真の中にある人物全員に容疑がかかってます。

つまり、その中に入っていた司令官である琴里も例外なく慎重にデートで見定めて下さい。』

 

 

「…あぁ。」

 

 

『……士道の性格上、誰かを疑うというのは大変嫌な事だとは理解しています。

しかし、今回はそれを何とか呑み込んで下さい。

大丈夫、いつも通りに振る舞えば良いのです。

それに、何があろうが士道1人に責任は負わせません。

士道の相棒である高性能AIにして良妻賢母AIの鞠亜が、常にサポートに専念致しますので、大船に乗った気分になって下さい。』

 

 

「はは…助かるよ…。」

 

 

士道が苦笑いをしていると、コチラの方にへと駆けつけて来る…十香だった。

 

 

「(最初は十香だな。)

おはよう十香。悪いな、現地で集合だなんて。」

 

 

「む? そんな事は構わないぞ!

さ、デェトだデェト!!」

 

 

「はは…じゃ、行こうか。」

 

 

十香の『デェト』コールに周りの視線が痛かったが、何とか無視してショッピングに励んだ。

 

 

 

 

 

(うん…今の所、十香に違和感の様なものは一切感じない。

それにしても…十香、1人で女子らしい買い物をする様になったな。

……俺なんて、センスが無いから目立たない格好で過ごす事が多かったのに。)

 

 

『何を考えているかは分かんないが、今の所どうだ?』

 

 

「俺としてはいつもの十香だと思う。

そっちではどうだ? 夢界。」

 

 

『こっちも特に変化は無いな。』

 

 

「そっか……小腹も空いたし、昼ごはんにするか。

十香、お昼にするか。」

 

 

「…っ! う、うむ、そうだな…。」

 

 

「?」

 

 

士道は普段の十香らしからぬ反応に疑問を抱きつつも、レストランに足を運んだ。

 

 

「今日は何する? ハンバーグ定食にパスタ、ピザ、唐揚げでも頼むか?」

 

 

…物凄いラインナップかと思うが、十香ならそれを難なく食べてしまう。

何ならそれ以上に───

 

 

「…いや、今日はハンバーグだけで良い。」

 

 

[!?]

 

 

十香らしからぬ発言に士道とフラクシナスにいる全員が驚愕する。

クルー達が何やらあーだこーだの言っていたが、士道が問いかける。

 

 

「ど、どうしたんだ十香?

何処か具合でも悪いのか?」

 

 

「…いや、何でも無いのだ。」

 

 

「いや、可笑しい!

十香、何か悩みがあるなら何でも聞くぞ!」

 

 

「……実はだな。」

 

 

十香は昨日の出来事を話し始めた。

それは、テレビ語られていた食べすぎる女性は嫌われる傾向にあると…

 

 

「何だ、そう言う事だったのか。」

 

 

「むぅ? 何だとは何だ。私は真剣に───」

 

 

「俺はいつも沢山美味しそうにご飯を食べている十香が良いな。」

 

 

「!? そ、そうなのか!?」

 

 

「ああ。だから、気にせずに沢山食べるんだ。」

 

 

士道のその言葉に、十香はいつものの明るい女の子にへと戻り、この日のレストランの食材を食い尽くしてしまった。

 

 

(……どうしよう。純粋にお金が無い。)

 

 

士道がメガネを曇らせ、鞠亜に相談しようとすると───

 

 

「…キミの一番の頼れる相談役の令音だ。

これで払うと良い、シン。」

 

 

『…む。』

 

 

「!! 助かりました、令音さん!

…って、これ、ブラック…。」

 

 

「気にする事なく使うと良い。

…それから、これから買い物や外食などする時も、必ず私に相談するんだ…良いね?」

 

 

そう言って、令音は十香に健康調査だと告げて連れて行った。

 

 

『色々とあるだろうが、次に取り掛かるぞ士道。』

 

 

「あ、あぁ。」

 

 

『私が…一番の…。』

 

 

鞠亜は令音に先越された事に敗北感を感じていたとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

イギリスのとあるビル

 

 

「うぅ………うぅ…!!」

 

 

会議室であろう部屋に多くのお偉い人であろう者達が、長いテーブルにしがみついていた。

…テーブルには大量の血が流れており、その光景を見下ろすように見ているウェストコットに、横で立っているエレンとマリス。

 

 

「やれやれ、頭の硬い者達には困ったものだね。

素直に我々の言う事を聞いていれば良いものを。」

 

 

「珍しく意見が合いましたね。」

 

 

「そう言わないであげたまえ。彼等とてプライドがあるのさ。」

 

 

ウェストコットは椅子から立ち上がる。

 

 

「う、ウェストコット…!!」

 

 

「治療用顕現装置を用意してある。

命まで取る気は無いから安心したまえ。

何、今は大人しく私の言う通りに従ってくれれば良い。

事が済めばこんな会社くれてやるとも。」

 

 

そう告げると、ウェストコット達は部屋を後にするのだった。

 

 

「さて、次の段階に進めようじゃないか。」

 

 

ウェストコットはエレンを見つめるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

「ククク、待っていたぞ士道よ。」

 

 

「ああ。」

 

 

次の相手は耶倶矢であった。

 

 

「それで、何処に行きたい?

今日もカッコいい物を探しに行くか?」

 

 

「ふっふっふ。今日は違う。着いてくるが良い!」

 

 

耶倶矢は士道の手を取って目的地へと歩いて行き、暫くして目的地にへと辿り着く。

 

 

「ボーリングか。」

 

 

「士道よ、いざ尋常に勝負!」

 

 

「望む所だ。」

 

 

早速、耶倶矢と士道はボーリングの勝負に出た。

勝敗に関しては耶倶矢の勝利だった。

 

 

「やったぁぁああ!!」

 

 

「悔しい…!!」

 

 

「フッフッフ、士道も成長していおるが、我はその更に上にいるのだ!」

 

 

「次は負けない。」

 

 

「そのいきは良し。

……それで、だけどさ……勝ったから、お願いを聞いてもらって良い?」

 

 

「ん?」

 

 

大喜びだった耶倶矢が頬を赤めて、さっきまでの厨二全開な性格から乙女らしい感じにへと変貌していた。

その反応から士道は何を要求をされるのか、七罪の事を考えての不安と…女の子らしい顔の耶倶矢を前にしてドキッとしていた。

 

 

『…士道?』

 

 

「な、何でも無い……って、耶倶矢?」

 

 

何と、耶倶矢は士道の膝にへと顔を埋め膝枕を堪能し始めた。

 

 

「えっと…気分はどうかな?」

 

 

「うん、良い感じ。」

 

 

耶倶矢は満足していた。

 

 

 

 

 

「次は…ここか。でも…スーパーだけど…。」

 

 

『場所的に誰か分からないかぁ?』

 

 

夢界がニタニタとした感じの声により、士道は一瞬困惑するも、目の前に現れた…琴里を見て安堵した。

 

 

「琴里、待たせたかな?」

 

 

「それはこっちの台詞だから心配しないで。

さ、行きましょう───おにーちゃん!」

 

 

「ああ。」

 

 

琴里から手を差し伸べられ、士道はその手を取って行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

フラクシナス

 

 

「司令とのデートも良好。数値もとても安定してます。」

 

 

「ついでに言うなら、好感度に関してはぶっち切りだけどな♪」

 

 

夢界は好感度が2()0()0()を大幅に超えているのだ。

そう、『200』をである。

 

 

「……当然だろう。琴里はおにーちゃん大好きっ娘だからね。」

 

 

「せやねー……所で、令音ちゃんは何してんの?

七罪ちゃんが送った写真なんか見ちゃってさー。」

 

 

「……いや、何…七罪が一体、誰になっているのだろうと…考えていた、だけさ…。」

 

 

「……もしかしてさ、写真の中に自分が入ってなかったのが気になってたりする?」

 

 

夢界の一言でピクッと反応する令音だった。

 

 

「何を言ってるのかな?

私は決して、シンとショッピングをしたりとか、食事をしたいだの思ったなんて…。」

 

 

「それ、思ってるやつじゃないかーい!」

 

 

「…(ギロッ)」

 

 

令音は夢界を睨みついた。

 

 

「(ビクンッ!)な、何でもないですよー…

………そんな怒らなくても良くね…?」

 

 

『自業自得です。』

 

 

鞠亜がそう言うと、夢界は紛らわす様に士道と琴里のデートを見ながらも、フォローをするのであった。

 

 

『(…しかし。一体七罪は誰になっているのでしょうか?

そして、『誰もいなくならないうちに』…

写真の人物達の内、士道の学生達は兎も角、十香達『精霊』を相手にどう行動するのでしょうか?)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

「ふぅ、楽しかったな。

……あまりにいつもの日常で目的を忘れてしまっていたけど…。」

 

 

『ま、それで良いじゃ無いか?

少なくても、3人の中にはいないって事でさ。』

 

 

「…そう、だな。」

 

 

『油断禁物ですけどね。』

 

 

「そうだな。てか……家に帰って来たけど、良いのか?」

 

 

『はい。問題ありませんよ。』

 

 

次の指示に従い、五河邸に帰った士道。

そのまま鍵をつけてドアノブへ手をかけると───

 

 

「お、お帰りなさい、士道さん。」

 

 

「四糸乃、ただいま。その服装…もしかして…。」

 

 

「は、はい! は、ハロウィンが近いとの事、ですので。

少し…早いですけど、き、着てみました。

…えっ、えぇと…と、トリック・オア・トリート…!」

 

 

四糸乃が顔を赤らめ恥じかしながらも、ハロウィンのお決まりを告げた。

 

 

「(成長したな…四糸乃。)

そうだなぁ、さっき買い物に行って来たのに大したオヤツが無いから…。」

 

 

「!!」

 

 

『おお? コイツはもしかして、士道を好きに───』

 

 

「今から、ホットケーキ作るか。」

 

 

「…っ、は、はい!!」

 

 

『何だよー、つまんねーなー。

って、あれ、令音ちゃん何をする───』

 

 

四糸乃は一瞬何かを期待したが、士道の冷静な対処により意気消沈仕掛けたが、士道の作るパンケーキにより気持ちは振り切れた。

…因みに、夢界の霊圧(気配)が絶たれた。

 

 

『気にしないで四糸乃の相手をして下さい。』

 

 

「あ、あぁ…。」

 

 

鞠亜の一言の後、士道はふとある事に違和感を抱いた。

 

 

(そう言えば……よしのんの奴、何も反応が無かったな。てっきり───

『四糸乃のハロウィン姿だよぉ〜ん。

どう? どう? オ・ス・ス・メは〜

四糸乃の成長中の綺麗な太ももだよぉ〜ん。』

…的なコメントが来るものだと───

って、いやいや! それはそれで一体何を考えているんだ、俺は!!)

 

 

士道は自分の身勝手な妄想に頭を痛め、気持ちを切り替えてしまうのであった。

 

 

「お待ちどうさま。」

 

 

直ぐに支度し、とても美味しそうなパンケーキを四糸乃に差し出す。

 

士道はスイーツが好きな為に様々な店などで完食し、それを料理の腕前で自己流で美味しそうに作り出せるのだ。

 

そして、目の前にある美味しそうなパンケーキに目を輝かせてパクパクと美味しそうに食べていく四糸乃を見て、士道は和むのであった。

 

 

(……今だけは、ロリコン()の気持ちが分からなくもないな。)

 

 

───だろ? なら今日からお前も、ロリコン(仲間)だ!

 

 

(全力で拒否する。)

 

 

───何!? お、おい、薄情者ぉぉおお!!

 

 

頭の中に突如現れた翔の亡霊?を自己完結させた士道。

そうしている間に───

 

 

「ん? どうした、四糸乃?」

 

 

「あ…あーん。」

 

 

「あ、あぁ、あーん。」

 

 

咄嗟の四糸乃の可愛さに敵わずに席を少し立って四糸乃が差し出したパンケーキを食べるのであった。

 

…っと、そうして、その瞬間───

士道の肘がコップに当たり、それがすぐ側にあったよしのんに当たろうとしていた。

 

 

「「!?」」

 

 

士道と四糸乃がが驚愕すると───刹那。

 

よしのんが氷を生み出して、中身のあるコップごと阻止したのだ。

 

 

「よ、よしのん、大丈夫?」

 

 

《…大丈夫だよー? んもう、士道くんってば、気をつよけてね?》

 

 

「わ、悪いな、よしのん。それから四糸乃も。」

 

 

「いえ、よしのんも無事でしたし、大丈夫です。」

 

 

「そうか。

(……それにしても、さっきのよしのんの行動…

これまで何度もよしのんの奇行というか、行動という何というか…

驚く事は多々あったが…今の行動、何処か不自然な気がする…様な…。)」

 

 

士道は更に疑問を抱きつつも、完食した四糸乃の頭を撫でつつ、片付けに入るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

(……これ、もしかしてなくても、気づかれてる?)

 

 

七罪(魔女)は姿を潜ませながらそう思った。

 

 

(五河士道……思っていた以上に油断ならないわ…!

……だから、()()()()()姿()を見抜いたのねっ…!!

 

 

魔女は唇を噛み、腕を強く握りしめていた。

 

 

(…けど、問題は無い。だってそう…

私は彼の弱点を、この前、そしてこの数日の間でハッキリと見抜いたもの。

だから───)

 

 

魔女は強く決心するも…何処か、怯えている様で、身を守る様に更に強く腕を握りしめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

「…こんな時間なのに、デートって何処へ行くんだ?」

 

 

士道は人目のつかない目的地近くに転送され、指定された地に向かいながら歩いていた。

そうしていると、目の前にこの時間に士道にデートを申し込んだ本人が現れた。

 

 

「指摘。遅いです、士道。

女性を待たせるなんて、紳士にあるまじきです。」

 

 

「夕弦! って、待たせたのは申し訳ないと思うが、どうしてこんな時間に?

因み、何処へ行きたいんだ?」

 

 

「誘導。目的地まで案内します。

とはいえ、士道は当然知っている場所ですよ。」

 

 

と、夕弦は士道の手を取って歩き出す。

 

 

(……この道は、展望台だな。

この時期、こんな所で何かあったっけか?)

 

 

「到着。着きました。」

 

 

「あぁ…けど、特に何も…。」

 

 

そう言いかけると、士道は夕弦の視線に沿ってその先を見上げる。

そこにあるのは───とても美しい夜空の星々だった。

 

 

「…綺麗だな。」

 

 

「肯定。とても綺麗です。」

 

 

2人は海の様に広がる夜空に心を奪われていた。

そうしている間、次第に夕弦は士道の方へ顔を向けると、自分よりも星に心を奪われている事に腹を立て、可愛らしくむくーっとした顔をするのだった。

 

 

「……むっ、激怒。夕弦よりも星に夢中になっているとはどういう事ですか?」

 

 

「ん? あぁ、悪い。

けど、何処かで言ったと思うけど、星が好きなんだよな。

昔、色々あって…夜まで家に帰らなかったことがあって、その時にここでこの夜空の星を見ていてな。

それを思い出して、つい…。」

 

 

「…理解。しかし、それでも夕弦よりも星に夢中になるのは許せません。

今は夕弦のデートなのです。

それに、この場合は星よりも夕弦の方が綺麗や、魅力だと語るべきでは?」

 

 

『その通りです。これは失態ですよ、士道。』

 

 

「ん? 何を言ってるんだ?

そんなの当たり前のことじゃ無いか?」

 

 

「『え?』」

 

 

「あぁ…それを先に言わなかったのは申し訳ないと思うよ。

でも、本当に思ってるんだ。

なんなら、俺にとって、夕弦達は『星』なんだ。」

 

 

士道は星を指しながら語り始める。

 

 

「見てみろ、あの星なんて夕弦と耶倶矢みたいだろ?」

 

 

「疑問。どの辺りですか?」

 

 

「ん? あぁ、分からないよな。

なら───」

 

 

士道は夕弦の肩を寄せ始め、顔も夕弦の顔に密着する。

 

 

「!?」

 

 

突然の大胆な行動に、夕弦は驚愕しつつ次第に顔を赤らめていく。

 

 

「いいか? あの二つの橙色に輝く星だよ。

交互に輝いていて、普段互いに競い合いつつもお互いを支え合うように二人を表している様な星…宝石で例えると、トパーズだな。

その左の方には赤色に輝く星は琴里だな。

当たりが強かったり、時々弱々しくなっていたりしている光なんて、普段の大変さを表している様な星…アレはルビーだな。

逆に右の方にあるのは紫色の星の十香だな。

常に光り輝いている様な感じなんて、それを表している様だろ?

あの星は…アメジストだな。

その隣にある水色の星は四糸乃だな。

光は弱めだけれど、星の綺麗さがあって存在感が一番強いな、あの星は…サファイアだな。

それらの上の方には紫銀色の星は美九だな。

大きめで、キラキラと鮮やかな感じがそれを示してるな。

あの星は…アイオライトかな?」

 

 

「…っ、ぁ、ぅぅ。」

 

 

「下の方にあるのは濃い水色の星の士織だな。

煌びやかな輝きが吸い込まれそうな感じを彷彿して、幾つかの星の中でも珍しい感じがするな。

あの星は…アレキサンドライトかな?

その隣が強い青色の星の真那だな。

暗い夜を閉じ込めている様な輝きを放っているのが、何処か真那っぽいよな。

あの星は…ラピスラズリだな。

その近くにある赤黒い星が狂三だな。

真那の星に拮抗してる様で、多くの星の輝きを活かして自分の存在感を高めてる感じが、それっぽいな。

アレは…アルマンディンガーネットだな。

そして、白く輝いている星は鞠亜だな。

色鮮やかな星を手助けしている感じがするだろ?

アレは…パールだな。」

 

 

『…』

 

 

「そして、最後にそれらの星の中で一番上で強く煌びやかに強く光る透明だけど銀河の様な星が令音さんだな。

あの心を魅了する様な淡く、取り込まれそうな力強い光の星…アレはダイヤモンドだな。」

 

 

「………ぅぅぁ…ぎ、疑問…士道は、無いの、ですか?」

 

 

「…俺は無いな。」

 

 

「…疑問。どうして、でしょう、か?」

 

 

「俺は……皆とは違い、輝きとは反する者だから、だな。」

 

 

「…」

 

 

「けど、良いんだ。俺は……夜空に輝く星の…皆を目立たせる為の裏方である『夜』そのものだな。

俺は…綺麗な所なんて、無いからな。」

 

 

『…』

 

 

「だが、俺がいるから、皆んなが強く光れる。

俺が、皆んなの生きる道になれるなら、俺は暗い夜でもいいのさ。

だから、気にしなくても良いんだぞ?」

 

 

「…(プルプル)」

 

 

夕弦の顔が更に赤くなる。

 

 

「ん? どうしたんだ? 夕弦?

もしかして、寒くなったか?

なら、俺の着ているこのジャージを着ると良い。

少しはあったまる筈さ。」

 

 

「か、感謝ぁ…。」

 

 

「あ、でも臭うならコートを出すぞ?

なーに、霊力封印の対策として夢界に頼んで、出し入れする顕現装置があるから大丈───」

 

 

「羞恥! そ、そう言う事では有りません!

きょ、今日のデートはここまでで良いです!」

 

 

夕弦が見たことないくらい顔を真っ赤にして逃げ出そうとすると、士道が急いで手を取る。

 

 

「!!」

 

 

「こんな夜道に女性一人でなんてさせるかよ。

ほら、帰るぞ。」

 

 

「はぅぅ……りょ、了承、です…。」

 

 

士道は夕弦の手を握り、帰るのであった。

 

 

『……これが、天然。

相変わらず、この士道が恐ろしいです。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

翌日───

 

 

「士道! 大変よ!!」

 

 

「……んん? どうしたんだ、琴里?」

 

 

「落ち着いて聞いて頂戴……

───四糸乃と夕弦が姿を消したわ。」

 

 

「何だって…!?」

 

 

士道は飛び上がるように体を起こす。

 

 

「どう言う……いや、まさか!?」

 

 

「ええ。その通り、七罪の仕業よ。

……って、士道? どうしたの?

!! どうしたの、おにーちゃん!!

そんか真っ青な顔をして…!!」

 

 

琴里は事情を把握した士道が何かを察し、徐々に顔を青ざめていくのを見て、士道の側に駆け寄って体を軽く抱きしめるのであった。

 

 

「落ち着いて、おにーちゃん!

……一体、何があったの?」

 

 

「…………それ、が…。」

 

 

『事情は私が説明しましょう。』

 

 

情緒が不安定になっていく士道を察し、鞠亜が士道のメガネから映像が飛び出し、語り始めたのだ。

 

 

 






次回、『七罪の正体』
七罪によって消えた四糸乃と夕弦は何処へ…?
そして、明らかになる魔女の真の姿が───!!


───『デアペル⭐︎オ・マ・ケ』───




椎崎
「士道くん……すっごい事言ってる自覚あるんですかね?」


箕輪
「無いでしょ。にしても……見ている側も、すんごく恥ずかしくなるわね、コレ。」


夢界
「普段からこの流れを出せればなぁ〜。」


令音
「…(画面から逸らして頬をポリポリと掻いてる。)」


あの何事にも動じず、クールな令音が嬉し恥ずかしそうにしている姿に男性クルー達は「おおぉ…。」と声を漏らしていた。


令音
「……羨ましい。私も、あんな風にされ───」


と、言いかけた所で周りの視線に気づき、速やかにいつものクールな令音に戻るのであった。


夢界
「……これが、クールな令音ちゃんがデレた姿。
その名も、クーデ───」


言いかけた所で、夢界が気絶していた。
その光景を見ていた一部の者が…


「これが、村雨解析官の覇王色…!!」


と、呟いていたとか何とか…


おしまい。


…何だこれ?



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