デート・ア・ペルソナ   作:黒ソニア

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……この話の執筆中に、デアクラのサービス終了が決定しました。
これから技とかを参考にしようとした矢先にこのオチは悲しい…(泣)
何より、ラジエル狂三と澪をプレイキャラとして使いたかった…(泣)





第三話:七罪の正体

 

 

 

時を遡り…昨夜の事である───

 

士道が眠りについている中、緑色に強く光りに目が覚める。

体を起こすと宙に浮かぶ鏡の存在に、眠気を耐えながら警戒していると、鏡から───七罪の姿が見える。

 

 

「七罪…!!」

 

 

「ふふ、随分と良いご身分ね。

危機感が無いんじゃないかしら?」

 

 

「…一体、何をするつもりだ?」

 

 

「安心して。()()アナタには何もしないわ。

アナタには何もかも失って、絶望してもらうから。」

 

 

「何?」

 

 

士道の問いに応える事なく、七罪は鏡に以前送った写真に写る者達を映した。

 

 

「さあ、選んで頂戴。

アナタの手で大切なモノを切り捨てるのよ!」

 

 

「…何、だと?」

 

 

士道は七罪を睨む。

しかし、七罪はそれに一切怯まずに早くしろと言わんばかりの視線を送る。

 

 

「さぁ…早く選ばなさい。」

 

 

『…士道、ここはダメ押しで行くしかありません。

大丈夫です。外してしまっても、ここは私の指示によってやむを得ずに選んだと話を進め───』

 

 

「……………無理だ。

俺は……誰も、選べない。」

 

 

『士道……。』

 

 

士道は誰も選べなかった。

どの様な形であれ、彼に仲間や家族を裏切る様な真似は出来ないのであった。

 

 

「フッフフ……アッハッハッハッハ!!」

 

 

七罪は士道を嘲笑う様に高らかに笑う。

 

 

「やっぱりね! アンタの事はずっと監視してたから分かってんのよ!

アンタみたいな小物は、結局誰も選べられない事くらいね!

ウッフフフ…さぁ、そんなアンタに絶望を送ってあげましょう!」

 

 

「七罪…一体、何をするつもりだ!

頼む、皆んなには何もしないでくれ!

全ては俺が、俺が罰を受けるから!」

 

 

「駄目よ。アンタには独りぼっちまで残って、最後には絶望に染まってもらうんだから!

さぁ…眠りにつきなさい。

目が覚めたら…全てを理解するわ。

私を怒らせると、どうなるのかって事をね!」

 

 

七罪は鏡から謎の光を放ち、士道はその光に当たり、気を失うのだった。

 

 

『士道! 士道!!』

 

 

鞠亜の必死の訴えも、効果は虚しく終わってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

『……これが、事の顛末です。

あの光は士道だけで無く、私にも影響があって、抵抗虚しく意識が戻ったら全てが終わった後でした。』

 

 

「…そう、だったのね。」

 

 

琴里は顔を青ざめている士道を優しく宥める。

 

 

「大丈夫、大丈夫よ士道。

アナタは誰も指名しなかったの。

だから、何も悪くないからね?」

 

 

「……違うんだ、琴里。

俺が、俺が…俺が七罪が誰かに化けているのかを、しっかりと見抜いていれば…四糸乃と夕弦が…!」

 

 

「そんな無茶な事を考えては駄目。

それこそ七罪の思うつぼよ。

相手のペースに呑まれちゃ駄目。」

 

 

「だけど…。」

 

 

「…お願い。おにーちゃん、負けないで。

四糸乃も夕弦も、おにーちゃんのせいだと絶対に思わないわ。

2人は…私達はこんな事で心を折れたり、おにーちゃんの事を嫌いになったりしないわ。」

 

 

「……こと、り。」

 

 

「それに、2人は士道が辛い顔を浮かべている事こそ気にしちゃうわ。

だから、頑張って立ち上がって、おにーちゃん!」

 

 

「……けど、耶倶矢が…耶倶矢は、どうするんだ?」

 

 

「大丈夫……耶倶矢には何とか私の方から伝えておくわ。

おにーちゃんは引き続き、七罪を見つける為に尽力を尽くして頂戴。」

 

 

『琴里の言う通りです、士道。

私も、この失態を覆す為に全力で士道をサポートします。

頑張りましょう士道。四糸乃と夕弦の為にも!』

 

 

「琴里…鞠亜…。」

 

 

士道は2人の優しさに包まれながら、何とか立ちあがろうとする。

 

 

「…」

 

 

その様子を、士道の部屋のドアの先で盗み聞きしていたのは…耶倶矢。

耶倶矢は夕弦がいなくなった事に不安一杯となって、士道の元に来ていた。

そして…士道がこの事態の事を把握しており、かつ何とかしようと頑張っている事を知り、士道を困らせない様に琴里に言われてもいつも通りに振る舞おうと決意した。

 

 

「頑張って、士道……夕弦を助けてね。」

 

 

耶倶矢は静かに隣の精霊マンションに戻って行くのであった。

 

 

 

 

 

「シン! 大丈夫かい!?」

 

 

少しして令音がいつものクールな感じとは違い、血相変えてやって来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

『準備は………いや、その前に調子はどうだ?』

 

 

「あぁ……一応、何とかな。琴里のお陰で、な。」

 

 

『そりゃ、良かった。

お前自身が元気じゃなきゃ、女の子もデートを楽しめないからな。

…良い妹ちゃんを持ったな。』

 

 

「あぁ、俺には勿体無いくらいの…

いかいんいかん、琴里も真那も2人とも自慢の妹だ。」

 

 

『よしよし。琴里ちゃんだけでなく真那ちゃんのフォローも入れれる位の気遣いが出来れば十分だな。』

 

 

『当然です。何せ、私達の士道ですから。』

 

 

「…はは。」

 

 

夢界と鞠亜とのやり取りで少しは調子を取り戻す士道。

そして…本日最初の相手がやって来る。

 

 

「だーりん!」

 

 

「や、美九。今日も元気だな。」

 

 

「はーい! 美九はいつでも、アナタのアイドルですからぁ〜。」

 

 

「!!」

 

 

士道は美九の爆弾発言で少し動揺を見せ、周りを見渡す。

 

 

「あ、うん……それは大変嬉しいんだが…

もう少し美九の立場を考えた方が良い。」

 

 

「あらぁ〜? 私は最悪バレても大丈夫ですよぉ?」

 

 

「俺が良くないんだよ…俺のせいでお前の人生を悪化させたくない。」

 

 

「きゃ! だーりん素敵ですぅ!」

 

 

『……士道。さっさと行動に移してください。

後、しれっと密着する美九のたわわを味わうなんて…後で説教ですね。』

 

 

「…(汗ダラダラ)」

 

 

「だーりん?」

 

 

「な、何でも無い。目立つ前に目的地に行こう。」

 

 

士道は鞠亜の圧と…令音(もう一つ)の圧に屈しかけながらも、気持ちを切り替え、美九を連れて目的地へ向かう。

 

 

 

 

 

「ここって…?」

 

 

『今日は天宮市でオーシャン・アミューズメントのハロウィンイベントの『コスプレフェス』があるとの事で、それを美九に活かさせてもらいました。』

 

 

「な、成程。」

 

 

「うふふ、というわけですのでぇ〜…!!」

 

 

美九は凄まじい速さでコートを脱ぎ去り、尻尾の付いた赤いボディスーツ。

サングラスで隠していた顔も直様赤い猫の仮面を付けるなどという所業を行った。

 

 

「どうですかぁ〜? だーりんや士織さん達の格好を真似て、私も怪盗になってみました〜!」

 

 

「……うん。とても、素晴らしいものを…ありがとうございます!!」

 

 

『…チッ。』

 

 

士道は美九のプロポーションを活かした格好に…完全に紳士としての理性が飛んでしまった。

…因みに、士道達の周りにいる男性陣も士道同様の感謝の意を示し、女性陣はその光景を白い目で見つつ、美九のプロポーションに嫉妬していた。

 

 

「さーさぁ〜、だーりんも着替えましょうねー。」

 

 

「え? でも、俺着替えなんて…。」

 

 

『……シン。近くを見たまえ、箕輪がいるはずだ。』

 

 

士道はインカム越しからでも分かる、令音の不機嫌な声に正気に戻り、怯えながらも周りを見渡すと、箕輪と着替えらしき物を持っていたのに気がついた。

 

 

「士道くん、彼女は私が見ておくから…

早く着替えたほうが良いわよ?」

 

 

「……はい。」

 

 

士道は近くの洗面所に移動し、直様着替える。

その時、電話で鳴り響く。相手は令音である。

 

 

『……シン、そんなに胸が好きなら…この一件が終わった後で好きなだけ触らせてあげよう。』

 

 

「…!!」

 

 

士道の元気が上がった。

 

 

『…はぁぁぁ……これだから変態は…。』

 

 

代わりに話を盗み聞きしていた鞠亜は不機嫌となっていた。

 

着替えた士道が戻ると…

美九が箕輪に百合百合絡みで困らせていた姿を見て困惑していた。

 

…因みに、士道は白いシルクハットにタキシードにマントという何処かの紳士怪盗だったとか。

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

フラクシナス

 

 

 

『…(イライラ)』

 

 

───空気が重い…

 

 

クルー達は鞠亜の不機嫌な感覚を艦内で味わっていた。

 

 

「…」

 

 

中でも、令音は士道が自身の言葉に元気200倍になった事で満たされたのか、1人だけ平然としていたとか。

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

「ふぅ……大変だった。」

 

 

あの後、ハロウィンイベントを美九と共に様々なポーズを取ったりと、初めての経験でちょっと浮かれていた士道だが…美九のファンと思わしき男が美九の声と体型でバレかけたため、士道は美九をお姫様抱っこして逃げ回ったのだ。

とうの美九本人はバレようが士道がいるから何も怖くないが、士道の懸命な姿を間近で見ており、大満足していた。

 

 

「さて、鞠亜? 次は一体誰…鞠亜?」

 

 

『…何ですか? 変態士道。』

 

 

「へ、変態って……やめてくれって。」

 

 

『別に…私は間違った事を言ってませんが?』

 

 

「……えっと、その…鞠亜、今度何処かで2人で何か、するか?」

 

 

『…では、2人で天宮市を散歩する事を望みます。』

 

 

「分かった。」

 

 

『はい。では……次の相手は───』

 

 

「士道く〜ん!!」

 

 

鞠亜の返答の前に次の相手である士織が現れた。

 

 

「士織…その格好も似合っているな。」

 

 

「えへへ、ありがとう。」

 

 

別に、今回が初めてって訳でも無い筈なのに、何処か初々しい様なやり取り。

その光景をフラクシナスから見ている…鞠亜と令音が───

 

 

『さっさと、軽くデートでもして下さい。』

 

 

『…要件は速やかに済ませるべきだよ、シン。』

 

 

「あ……はい。」

 

 

2人の鋭いナイフの様な言葉により、士道はハッと正気になる。

 

 

「ささ、行こう!」

 

 

「ああ…でも、何処に行くんだ?」

 

 

「勿論───デートの定番と言えば、カップルでのスイーツでしょ!」

 

 

「よし、行こうすぐ行こう!(キリッ)」

 

 

士道の好みを完全把握している士織はそれに合わせて、シンプルで最大のデートを行うとし、士道はそれに本能のまま聞き入れた。

 

 

 

 

 

士道と士織が向かった先は、本日限定カップルモンブランパフェを開催している店だった。

 

 

「このモンブラン上手…!!

栗の甘さを出しつつ、それでいて俺好みのくどくない甘味…!!

これはアタリだ…!!」

 

 

士道はモンブランパフェを口にして、テンションが上がっていた。

 

 

「ふふ、士道くんが気に入ってくれて何よりだよ。」

 

 

「ああ、ありがとう士織!

俺、SNSは余り見ないから、こういった情報とか知らないし…偶にテレビや学校の女子達が口にしたのを聞いて行くかぺぺさん所でしか食べないから、助かるよ!」

 

 

「うんうん。僕も、士道くんが無我夢中に頬張る姿を見て、シドニウムが満たされて助かるよ♪」

 

 

「そっか。………ん? シドニウムって何?」

 

 

「ふふふ…士道くんは分からなくても良いんだよ?」

 

 

シドニウム…それは、士道に想いを寄せる者達が命名した頭の可笑しいカルシウム…栄養、心が満たされる成分なのだ。

実際、士道はあまり笑わない為、シドニウムが得られる機会は少なく、得たものは好感度が爆上がりとなる。

さっきまで、士織にメロっていた令音と鞠亜も映像から得られるシドニウムで満たされていたのだ!

 

 

「でもね……士道くんは一つ、大事な事を忘れているよ?」

 

 

「え、何?」

 

 

「これが、“カップル限定”…つまり───食べ合わせる事を、ね!」

 

 

「!?」

 

 

士道は士織に指摘されて我に帰る。

実際その通りであり、注文する際も確認され…来た後、一口食べて夢中なる位美味しそうにしており、店員達もいい気分だが…一番はカップル同士での食べ合うというイベントの本質があって、さっきから見られているのだ!

 

 

「はい、あーん!」

 

 

「あ、ああ、うん…あ、あーん。」

 

 

周りから視線を感じながらも、士道は士織の差し出す栗を食べる。

 

 

「うんうん! じゃ、次は士道くんね!」

 

 

「……あ、ああ、はい、あーん。」

 

 

因みに士道は、最近黒リボンでも甘える事の増えた琴里に応える事が多く、逆に士道からやる側においては何も抵抗も無いのだった。

 

 

「ふふん…美味しい♪」

 

 

「…(恥ずかしそうに頬を赤らめる士道)。」

 

 

士織の笑顔に士道は押されるのであった。

 

 

 

 

 

「ふー…楽しかったね!」

 

 

「あ、ああ…そうだな。」

 

 

「うんうん!」

 

 

スイーツを食べきり、残りは飲み物を飲み干すだけの所で、士織が少し冷静なオーラを出す。

 

 

「士道くん。調子はどう? 大丈夫?」

 

 

「え?」

 

 

「……今、攻略の為のデートをしているんでしょ?

夢界くんからある程度の事情は聞いてるよ。」

 

 

「…」

 

 

「一つ、言っておくね?

仮に私が怪しいと判断して、指名しても、僕は士道くんの事を悪く思わないからね?」

 

 

「…!? ど、どうして?」

 

 

「決まっているよ。士道くんの事が大好きだからだよ。」

 

 

士織は真っ直ぐに答える。

 

 

「…」

 

 

「これは皆んなだって同じだよ。

何があっても、僕や皆んなは士道くんを信頼し続ける。

好きだから…理由はそれだけ。それだけで、十分だから。」

 

 

「……けど、俺は…俺はどうすれば、良いのか…分からない。

実際…本当は、怪しいと思っていたのが…四糸乃だったんだ。

でも…四糸乃は…。」

 

 

「……うん。そうだったんだね。

朝ご飯に四糸乃ちゃんと夕弦さんがいなかったから何かあったのは分かってた。

…そういう事だったんだね。」

 

 

「……ああ。」

 

 

「皆んな一人一人が大事だと思うキミは素敵だよ?

大丈夫、何があっても皆んなは士道くんの味方だから、キミは普段通りに対処すれば良いんだよ。

耶倶矢ちゃんだってそう思ってる筈だよ。

だって、こんな事で士道くんの事を悪く思うなら、苦労しないもん。」

 

 

「…あ、あはは。」

 

 

士道は苦笑いを溢した。

 

 

「それにしても…具体的な事は全部把握してないけど。

七罪さんは…一体、何に化けているのかな?」

 

 

「…どう、だろうな。」

 

 

「でも、一つだけ分かる事があるよ。

それは───相手は絶対に勝てるって断言している点だね。」

 

 

「それは、どう言う事だ?」

 

 

「恐らくね、こういったゲームを持ち込むって事は自分は絶対に当てられない、勝てて当然だから挑んでるって事だからだよ。

そうだね…もっと言うなら、子供の戯れって感じ?

難しく考える大人視点では見えず、子供っぽい視線で見ると分かる的な…ナゾナゾを解いてる感じかな?」

 

 

「…勝てて、当然…悪ふざけ、子供の視線、か…。」

 

 

士道の脳裏にもしかしたら…と、浮かび上がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

フラクシナス

 

 

「……ふむ。確かに、彼女の言う通りなのかもしれないな。」

 

 

「お? その心は?」

 

 

夢界は別のモニターに全ての写真を写す。

 

 

「残るのは折紙ちゃん、亜衣ちゃん、麻衣ちゃん、美衣ちゃん、殿町…士道に相手してもらいたい折紙ちゃんか、士道が密かに苦手としてる3人か、殿町か。」

 

 

「……いや、案外そう言った事でもないのかも知れない…という話だ。」

 

 

「と言う事は、写真に写っている一般人もって可能性もあると言う事でしょうか?」

 

 

「そ、そんなの、無理な話じゃありませんか!!」

 

 

「…難しい話になって来たなぁ。」

 

 

夢界は慌てるクルー達を見つつ、令音をチラッと見た後、写真の主要人物達を見るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

「…さて、これで殆どのデートが終わったけど…。」

 

 

「───それは、どういう事?」

 

 

「え、どうもこうも───って、折紙?」

 

 

士織とのデートを終え、一人考え事をしていると…いつの間にか折紙が隣にいた。

 

 

『…シン、丁度良いタイミングで彼女が現れたんだ。

このまま彼女の調査も行おうか。』

 

 

「りょ、了解でぇす…。」

 

 

「…今、誰かと話をしていた?」

 

 

「ん、あいや、何でも無い。

それより、折紙…少し、時間もらっても良いか?」

 

 

「士道が良ければいつでも時間を取る。

何なら、このままホテルにでも行っていい。」

 

 

「…いや、そういう事じゃなくてね…?」

 

 

 

 

 

士道はこの後、折紙の多々のアプローチに心身共に疲労するのであった。

結論として───

 

 

「……折紙は紛れも無く、本物の折紙だよ。

人前でテーブル下からストローで何かしようとしたり、席を外したら俺の飲み物を飲む挙句に新品のストローと変えるのは折紙本人しかあり得ない気がする…。」

 

 

『私もそう思います。鳶一折紙…色んな意味で侮れない相手ですね。』

 

 

「…んで、残るわ…。」

 

 

「───あ、あそこにいるのって、五河くんじゃない!?」

 

 

「ああ! 噂をすれば五河くんじゃない!」

 

 

「マジ引くわー。」

 

 

「……コイツらがいたんだった…。」

 

 

『士道。嫌がってないでここは───』

 

 

「分かってるよ…。」

 

 

 

 

 

「………はぁぁぁ…。」

 

 

『士道。溜め息ついてばかりは良くありません。

幸せが遠のいてしまいます。』

 

 

「そうは言うけど…アイツらの対応は本当に疲れるよ。

まぁ、言いたい事も分かるけどな?

十香を大事に思ってくれるから怒ったりするのも、士織とも仲睦まじい所も見かけるから、大切な友達として…俺に文句言ってくるのは理解できるさ…。

でも、コッチはコッチで都合があるってのに…。」

 

 

『はい。なので、何があろうと我々が密かに情報操作や環境作りをして、決して士道の将来に支障が出ない様に最大限のサポートを行います。』

 

 

「それは凄く頼りになるよ。

……けど、アイツらの場合は別格だがな?」

 

 

『まぁ、彼女達クラスメイトについては合間見て解決策を講じますので、あまり思い詰めないで下さいね?』

 

 

「頼りになるよ、鞠亜…。」

 

 

士道は鞠亜に感謝しつつ…最後に残った殿町の居場所へ歩んで行く。

そして、歩んだ先で遠目で見た殿町を見た士道は…

 

 

「……殿町は良いや。アレは絶対本人だな。」

 

 

『俺もそう思うな。』

 

 

夢界も同じ意見だったので、士道はさっさと退散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

フラクシナス

 

 

「……んで? 七罪ちゃんが誰に化けたのか分かったか?」

 

 

「…」

 

 

鞠亜に頼んで、時間を掛けながらフラクシナスにへと足を運んだ士道。

皆に声をかけた後、士道は令音の誘導で琴里の司令席に座る。

 

 

「俺なりの答えは、一応出ているんです。

正直に言うと、昨日の時点で怪しいと思ってた事があったんだ。

それは今日、士織とのデートで確信に近い位には…。」

 

 

「何だよ、んじゃ解決じゃねーか。

……あぁー、成程読めた。

お前は間違えていた場合を考えると怖いんだな?

それは、誰かを悪く言うと感じて。」

 

 

「………そうだよ。」

 

 

夢界の考えは正に士道の最大の悩みであった。

士道のこの答えは、これ以外にあり得ないと思う程である。

…それはつまり、間違えだった場合もう士道にはお手上げレベルなのだ。

加えて、士道の弱点とも言える…誰かを裏切るという行為に他ならないからというのが、ある意味一番な理由なのだ。

 

 

「大丈夫…大丈夫だよ、シン。」

 

 

令音は不安で怯える士道を正面から抱きしめ、怖がる子を落ち着かせる様に、誰よりも愛情を注ぐ様に頭を撫でる。

 

 

「キミのその考えは決して間違えでは無い。

それが何より、キミの強さである。

我々はそれを誰よりも理解している。

…だから、元気を出して欲しい…私はそんなキミが好ましい。」

 

 

「……令音さん。」

 

 

「そこは、そんなキミがす───」

 

 

「さ、シンの答えを我々に教えてほしい。

先ずはそこからだ。」

 

 

「…ふーん。」

 

 

あからさまに遮られて、落ち込む夢界だったが…令音の必死な所を感じ取ったのか、次第にニヤニヤと訳ありの様に感じ取っていた。

 

 

「俺の答えは───」

 

 

士道は七罪が化けておる正体を口にする。

その答えに…令音達は一瞬驚きはしつつも、同時に納得した様な顔をした。

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

時は進み…深夜。

 

時刻は12時近くにへと迫っていた。

だが…七罪が士道の前に現れたのは昨日と同じこの時間であった為、士道と琴里達はとある一室に待機していた。

 

 

「…そろそろね。」

 

琴里が腕時計を見て、そう呟いた。

すると、士道のメガネから鞠亜の姿が表した。

 

 

『七罪…いえ、〈ウィッチ〉の霊力を感知しました。

来ます、士道!』

 

 

「ああ、任せてくれ。」

 

 

士道が鞠亜へ頷くと、士道の前に宙に浮く鏡が現れ…そこから七罪の姿が表した。

 

 

「フフフ…さぁ、今夜も楽しい時間よ?」

 

 

「…悪いが、七罪。こんな茶番は終わりにさせてもらう。」

 

 

「…何ですって? 昨日はあんなに情け無い姿を晒しておいて、よくもまぁそんな口を叩けるわね。

…いいわ。その代わり、外した場合は全員を───」

 

 

「全て語る必要は無いぞ七罪。

…直ぐに答えを出そう、七罪…お前が化けているのは───『よしのん』だな?」

 

 

士道が四糸乃の写真…それも、四糸乃の手につけているパペットを指差しながら宣言する。

 

 

「……一応理由を聞いておこうかしら。」

 

 

「……簡単な話だったんだ。先ず、よしのんに化けた発想は良かったが、昨日あまり喋ってなかったのは失敗だったな。」

 

 

「!?」

 

 

「それから、あの時コップを凍らせたのもまずかった。

……よしのんは度々奇怪な行動を示すが、あくまでも霊力の力は四糸乃か俺のどちらかの意思を通さないかぎり、使う事が出来ないんだよ。」

 

 

「あっ…! くぅっ…!?」

 

 

「その反応からして、どうやら当たりみたいだな。」

 

 

「おおっ! なんか、士道が探偵みたい!」

 

 

「きゃー! だーりんってばすごいですぅ!」

 

 

「うんうん!」

 

 

士道の推理に皆が歓喜の声が上がる。

 

 

「成程ね。そういう事だったのね。

よく気がついたわね、士道!」

 

 

「…そうでもないさ。皆が勇気をくれなかったら、俺は今も恐怖で震えていたさ。

それに…もし、化けているのが、所々に写っている一般人だったならば分からなかったからな。

つまり、これは同時に言えば七罪の優しさだったんだ。」

 

 

「…士道?」

 

 

琴里は士道の発言に疑問を抱いた。

…士道はこれを口にしていないが、こう思っていたのだ。

七罪は…自分が誰に化けているのか、()()()()()()()()()のだと。

そうでもなければ、『ずっと監視してた』と言っていた以上、よしのんの性格も容易に真似ていただろう。

つまり、七罪は何等かの理由で、心の底では自分を見つけて欲しいという無自覚な所を演じてしまったのだ。

…因みに、この事はあくまでも黙っておく。

無闇に言ってしまえば、狂三の時の様に地雷を踏んで暴走してしまう恐れがあるからだ。

 

 

「まぁ、それは兎も角として…士道はアナタの正体を見抜いたわ。

四糸乃と夕弦を返して頂戴。

……後よしのんもね。」

 

 

「くっ…!!」

 

 

琴里の強気な行動に七罪は更に苦渋な顔を浮かべ…ボンッ!と大きめの煙を上げる。

すると、煙から見覚えのある二つの影…四糸乃と夕弦の姿が現した。

 

 

「夕弦! 夕弦!!」

 

 

「……困、惑。苦しいです、耶倶矢。」

 

 

「大丈夫? 四糸乃、それから四糸乃。」

 

 

「……は、はぃ。なん、とか。」

 

 

《……目、目が回るぅ。》

 

 

「無事みたいだね。」

 

 

「あぁ。」

 

 

耶倶矢は夕弦を涙目を浮かべながら強く抱きしめ、四糸乃は琴里に支えられていた。

その様子を見て士織と士道は安堵する。

 

そして、煙からもう一つの人影が現した事で、士道はゆっくりと駆け寄る。

 

 

「七罪、怖いゲームはここまでだ。

二人を誘拐した事に俺達は何も言わない、けどちゃんと話をしよう。

どうして、そんなに怒っているのか───」

 

 

七罪の近くに来た途端、士道の言葉が止まる。

何故なら、七罪の姿が違っていたからだ。

目の前にいる人物は髪色や服装からして、七罪本人なのは間違いないのだろう。

問題なのは…さっきの七罪とは全くの別人の様に変わっていたのだ。

雰囲気や身長が、大人の女性とは反対の小柄で子供の女の子の姿だったのだ。

 

 

「これは…!?」

 

 

「え!?」

 

 

「まぁ!!」

 

 

士道達が驚きの声を上げると、自分の身の事に気がついた七罪がワナワナと怒りのオーラを放出し出したのだ。

 

 

「見たわね…またしても、見たわね!」

 

 

「これは、一体…!?」

 

 

「許さない…許さない許さない許さないっ!!

ぜっっっったいに許さなぁぁああいっっ!!!」

 

 

怒号共に霊力を爆発させる七罪。

 

 

「止めろ、止めるんだ七罪!!」

 

 

「知るかぁぁぁ!! 私の事を見た奴は全員許さなぁぉぁぁいっ!!」

 

 

「くっ…!!」

 

 

どんどん凄まじい光を放出させていく中、士道は全員を庇う様に手を広げて皆を光から出来る限り守る。

 

 

「士道!?」

 

 

「シドー!!」

 

 

『士道!! 止めてください!!

アナタの身が───!!』

 

 

「うっっっ……あぁっっ……!!

ああぁぁぁああああっっっ!!!」

 

 

士道達のいる部屋一室が凄まじい光に覆い尽くされる。

そして…徐々に光は収まっていく。

 

 

「うぅ……皆んな、無事?」

 

 

「何とも無いよ……それより、士道くんは!?」

 

 

琴里達が士道のおった場所へ視線を向けると……そこにいたのは───

 

 

「あっははははっ!! 言い様ね!! 傑作だわ!!」

 

 

「…」

 

 

七罪は元の大人の姿にへと戻っており、高らかな声を上げていた。

そして、肝心の士道はというと……さっきまで着ていた筈の服が全く合っていないものになっており、メガネも服と一緒に落ちていて───士道本人は小さな子供の姿にへと変化してしまった。

 

 

「……ふふ、ふふ、いい気味ね。

どう? 子供になった姿は。」

 

 

七罪は士道に問いかけると、士道は怯える様…いや、もっと言うなら、絶望に染まった様に怯え、涙もポロポロと流す有様にへとなってしまった。

 

 

「……あ、あれ。私、『贋造魔女(ハニエル)』で見た目だけを…子供に変えただけなのだけど…。」

 

 

「あ、アンタ…士道に何してんのよ!!

泣かせたわねっ!!」

 

 

琴里は怒りによって、限定霊装を纏う。

 

 

「あ、いや、その……こ、今回はこの位にしてあげるわ!!

ま、彼が悪いのだから、自業自得よね!!」

 

 

「な訳ないでしょうが!!」

 

 

「逃さないよ!!」

 

 

士織もいつの間にか怪盗服にへと姿を変え、琴里と共に武器を構える。

 

 

「そ、それじゃサヨナラ!!」

 

 

命の危機を感じ取ったのか、七罪は一目散に逃げ去った。

 

 

「逃がすかぁ!!」

 

 

琴里達が勢いで追いかけようとするも───

 

 

「……ぉ…ぁぅ、ぉ…?」

 

 

涙目に涙声で震える士道を見て、固まるのであった。

 

 

 






あいええええ!?
し、士道が子供になっちゃった!?


次回、『予想外の事態』
子供になってしまった士道に、行方を眩ます七罪…
そして、それに戸惑う乙女達───


───『デアペル☆オ・マ・ケ』───



とある人物…詳細を省かれた殿町のシーン。


殿町
「ふふふ…どうしたんだい、マイハニー?
そんな怯える事ないぜ?」


人混みが多い中、殿町は建物を背に女の子…では、あるが。
スマホに映る架空彼女に喋りかけながら、歩き出す。
……本人はカッコつけている、或いはイケてると思っているかもしれないが…側から見れば、頭のイかれた奴か…彼女が欲しいが、出来なさすぎて戻って来れない領域に辿り着いてしまったか。


士道
「……殿町、お前…等々…。」


夢界
『アイツ…ずっと、スマホに映る女の子が俺の彼女だと豪語していながらも、密かに彼女欲しいって光の灯っていない瞳で呟いているのをチラッと見ていたけど……等々、あっち側に至ったか?
…って、中津川さん? 何凄く共感できるみたいに頷いているの?
あんな事したって、女の子に嫌われるだけ……
あ、いや、まって、静かに泣かないで!!』


令音
『…シン、彼に何か声をかけてあげたらどうだい?』


鞠亜
『多分、士道が言っては無駄になるかと思います。』


鞠亜の意見は実に的を射抜いていた。


殿町
「ふふ…急かさないでくれよ、マイハニー…。」


おしまい。


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