デート・ア・ペルソナ   作:黒ソニア

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先に報告します。
3章狂三編までタイトルを、一話と精霊名以外は二熟語で統一していましたが、正直限界ですので、アニメ一期分まではこのままのスタイルで行き、二期分、三期分、四期分、五期分で個人なりに変化つけて行きたいと思います。

番外編では、今作メインヒロイン攻略のために少しずつでも進展しかないといけないためにスポットライトを当てていく。

彼女は気持ちの切り替えというか、元々人間ではないから、人ならざる者が、人から愛をもらったら、その人しか見ないというのはある意味当然なのかもしれないから難しいとは思うけど…

けれど、自分は彼女には生きて幸せになる物語が見たいんじゃ。


番外編3:日常2

 

ーー!!!

 

時刻は夜21時頃、ある天宮市の町で何か奇妙な生物の悲鳴が鳴り響く。

しかし、その声で町の者達の耳に入る事は無かった。

奴らの現れる場は特殊な空間になり、普通の人間や機械では認知されないモノだった。

 

ーー!!!

 

奇妙な声は“シャドウ”と呼ばれる心の歪み・悪意の化身。

奴らは、人間の負の感情に反応して現れる。

今現在、世界でシャドウを確認されているのはここ天宮市のみである。

何故、天宮市だけに出没しているのか。

それは“空間震”が主な原因である。

 

ダダダンッッ!!

 

空間震、30年前に発生したユーラシア大陸で発生した謎の現象。

その6ヶ月後に日本でも南関東大空災が確認された。

そして、5年前の天宮市でも確認されている。

災害は多くの被害をもたらした。

中には大切な人を失った者や、大切な思い出場を奪われた者といる。

 

多くの負の感情が彼らを呼び寄せる。

近年においては天宮市で空間震は多発している。

これらの原因により、天宮市はもはや魔境の地である。

 

スタッ!

 

シャドウは負の感情により発生し、出現した場所で生きている人間達を襲う。

襲われた人間は自我を乗っ取られるか、捕食され養分にされる。いずれにしても害な存在である。

また、通常の武器。銃火器においても効果は薄いため、AST達が対処するのは困難であろう。

 

たがしかし。

そんな奇妙で謎だらけの生命体を刈る者がいる。

 

その男は普段は可愛い妹と共に生活しており、学校では基本目立たず、孤立してしている事が多く、家事全般ができる何処にでもいる学生。

 

それは以前までの話。今では、空間震によって現れる“精霊”を救い・守る者。

普段ヒョロっとしている彼だが、その身に宿す“ペルソナ”と呼ばれる力も持つ少年。

その男は夜、シャドウ達の出現しやすい時刻にて1人立ち向かっている。

 

フッ。

 

ニヒルな笑みを浮かべ、赤い手袋をはめ直す。シャドウを焼き払った男の名はーー五河士道

 

彼は、己が破滅の運命に抗うために戦う、怪盗。

今日も1人で町の平穏を守る。

 

 

 

 

 

「は、はくしょんっ!」

 

士道はくしゃみをし、鼻をすする。

 

「誰か噂しているのかな?」

 

そう怪盗(厨二病)の正体こそ、この男である。

 

「…なんか失礼な事を言われている気もする。」

 

「ちょっとお兄ちゃん!朝ごはんに唾かけないでよねー!」

 

朝から元気よくツッコミする赤髪の可愛い少女、五河琴里である。

 

「ハイハイ。わかっている。」

 

士道はクールに対応しながら朝ごはんを作る。

 

「おー!良い匂いがするなー!シドー!」

 

士道の料理している匂いに反応する夜髪の美少女、夜刀神十香である。

 

「……はい。美味しそうです。」

 

《うーん!よしのんもそう思うよーん!》

 

十香の意見に賛同する青髪の可愛い少女、四糸乃である。

ついでによしのん。

 

「…ん。確かに良い匂いだね。」

 

そして、士道の作る料理に好感を持つ美女、村雨令音である。

 

普段の五河家での朝ごはんは、士道、琴里、十香、四糸乃と4人でとることが多いが、本日は村雨令音も参加する。

主に理由は、十香が「士道のご飯は最高なのだ!」と満面な笑みで語り、その話を聞いていた令音が「…ほう、そうなのかい?」と興味深そうにしていたところに、偶然士道が聞いていたので誘ってみたというところだ。

 

因みに彼女は普段眠たそうにしており、行動する時もフラフラと倒れそうな歩きをする。士道や十香のクラスの副担任である教師でもある。

副担任の時は、士道と同様に伊達メガネをかけ白衣の姿をしている。

 

「ーーはい。お待ちどう様。」

 

数分で全員分の食卓を用意する士道。もはや家政婦並のレベルである。

 

「おお!今日も豪華なメニューだな!シドー!」

 

「はい…美味しそうです。」

 

「だねー。」

 

3人がそれぞれの感想を言う。

 

「…あぁ。確かに美味しそうだ。」

 

令音も3人と同じような意見をする。

 

「じゃあ、いただきます。」

 

[いただきまーす。]

 

ーー食事中

 

「んー!このウィンナーの旨さがたまらん!それでこの目玉焼きも美味しいぞー!」

 

十香はこの中で、一番食欲が強いためできるだけ大きいサイズのモノや数を増やしたりしている。

 

「…美味しいです。」

 

四糸乃は、この中であまりガッツリとは食べないので十香と比べると少し物足りない量にしており、かつ熱すぎても食べずらいため火を少し緩めにしてある。

 

「おー!このベーコンもいい具合のスパイスだねー。」

 

琴里は味濃いめなのが好みなので、少し胡椒などを多めにする。

 

「…」

 

令音さんはキョトンとした表情で士道を見ていた。

 

「令音さんどうしました?あ、もしかして何か口に合わないモノありました?」

 

士道は疑問に持つも、すぐ自分の作った料理に問題があるのでは?と焦る。

 

「…いや、そんな事はないよ。シン。ただ、皆んなのを見て思ったのだが…1人1人別々に作っているのかい?」

 

「え?はい、そうですよ?どうせなら美味しく食べた方が良いじゃないですか。令音さんは刺激の強いモノは苦手って琴里に言われたので、最低限にしたつもりですよ。」

 

令音の質問に答えつつ、士道は淡々と微笑みながら語る。

 

「…!」

 

令音は驚く。苦もなく1人1人の好みに合わせて作りつつ、琴里からの指示で的確に令音の食べれる範囲に押さえつつ料理されていたのだ。

 

「…凄いね、シン。うん、美味しいよ。」

 

令音さんは優しい表情で士道に答える。

 

「それなら良かったです。」

 

士道はそんな令音さんを見て満足する。

 

「またいつでも来てください。何なら毎日でも構いませんよ。」

 

「…ん。フラクシナスでの仕事もあるが…前向きに検討させてもらおう。」

 

 

 

 

 

 -----

 

 

 

 

 

「…ここ最近、シャドウが現れるの多い。」

 

ボォウッ! ダンッ!

 

炎を灯してシャドウを焼き払う。シャドウが消え、空気も元に戻る。

士道は一仕事を終え、一息ついて溜め口を漏らす。

 

「空間震によって、人々の不安は高まっている証拠か…」

 

この春、空間震の発生原因を知り、それによって精霊と呼ばれるお伽話の様な存在を知った。その精霊である十香や四糸乃と出会って、彼女達が救いを求めている事を知り、助けたいって、救いたいと思った。

 

実際、2人や琴里との生活は楽しい。

それに個性豊かで優しいフラクシナスの人達。

中でも…俺はーー令音さんがとても気になる。

 

あの日、あの医務室で初めて出会ってから、彼女の事が頭から離れないことが多く、学校やフラクシナスで見かけると、目で追ってしまう事がある。この感情は一体…何だろう…

 

そんな事を考えていると、ふと何かに見られている気がした。

 

「…?」

 

目線だけで全体を見渡す。しかし、誰もいなかった。

 

「気のせいか?…いや、まだシャドウが隠れているのか?」

 

士道は歩き出す。

 

「そういえば…シャドウは何処からこの世界に現れて、何を目的にしているんだ?」

 

士道は根本的な事を疑問に思い始めた。

 

 

 

 

 

士道のある所から少し離れた電柱の陰に、ある女性がいた。

黒髪を左右非対称のツインテールで、黒と赤を基調としたドレスの格好をし、士道を遠くから観察していた。

 

「あらあら、アレが…へぇ…」

 

 

 

 

 

 ーーーーー

 

 

 

 

 

「シドー!アレは何なのだ?」

 

「アレはゲームセンターだよ。気になるか?」

 

「うむ!」

 

士道と十香はこの日、デートをしていた。

琴里から十香のメンタルケアを心がけるように言われて、俺から勇気を振り絞ってデートに誘ってみた。

結果は、大喜びだった。十香の楽しそうな表情・嬉しそうな笑顔に俺の疲労は一瞬で消え去るほど嬉しかった。

 

「おぉー、色々すごいな!シドー!」

 

十香は初めて入るゲーセンにキョロキョロと興味津々な表情になる。

 

「ここでは、ゲームと呼ばれる機械で遊んで楽しむんだ。」

 

「おお!シドーはどんなのをやるのだ?」

 

「…ん、そうだなぁ。」

 

士道は少し悩む。

実はこの男、ゲームをほぼ全くやらない、珍しい男子である。

士道は幼少期からの影響で、遊ぶことに対する欲を満たす事に対して効果ぎ薄いのである。

家では、必死に苦手な勉学や、リラックスで音楽を聴いたり、テレビを見たり、料理をするぐらいしかしない。

俗に言う、他者からすればつまんない生活をしていた。

 

なので、ゲームをやらないため十香の疑問に困っていた。

 

『全く、普段から子供らしい事しないから、こういう時困るのよ。』

 

インカムから琴里のキツイコメントが炸裂する。

 

耳が痛いなぁ。

 

『仕方ないから、私が指示してあげる。そうね…UFOキャッチャーでもやってあげなさい。それで景品を華麗に取るの。』

 

難題だった。でも、他に俺がやれそうなのもないしなぁ…

 

「あぁ…えっと、アレとかやってみるか?」

 

俺は指差して見る。

男女で遊んでいる者や、1人で景品を必死にとろうと踏ん張っている男子中学生らしき子がやっているUFOキャッチャーを

 

「うむ!」

 

 

 

「シドー!?全然取れないぞ!?」

 

アレから数回やっても景品が取れなかった。

因みに取ろうとしているのは、きな粉パンの枕だった。

十香は段々苛立ちを隠せないでいる。

 

『ほら、十香の精神状態がみるみる下がっているわよ!士道なんとかしてあの景品を勝ち取るのよ!』

 

…とれるなぁ。でも、あんなに熱心にやっているし…

 

「…よし、十香。今度は俺がやってみるよ。」

 

そう言って俺はゲームに挑戦する。

 

 

 

 

 

フラクシナス

 

「案の定下手ね。そこは意外な才能を発揮して一発ゲットを求めていたのに…」

 

琴里はチュッパチャップスを咥えながら、「はぁ…」と小言を漏らす。

 

「…まぁ、だが、いい線はいっているんじゃないかな?」

 

令音はモニターに映る士道を見ている。最初は気乗りしない感じだったが、段々と負けずと十香の為に真剣に取ろうと頑張っている。

 

「そうですね。後もう少しというところでしょうか?」

 

「同じ意見です。」

 

クルー達も士道の努力を見守っている。

 

『…クソッ…この…あと少しっ。』

 

「…」

 

士道の熱心に踏ん張っている彼を見て、ある日の出来事を思い出す。

 

ーー取ってやろうか?

必死にぬいぐるみを取ろうと踏ん張っていたあのーー

 

「…」

 

その人物はぼーっとしながらモニターに映る彼とーー過去を重ねていた。

そして

 

『…っ!よっし!取れたぞ十香!』

 

彼は数十分かけてようやく景品をゲットしたのである。

 

令音はその光景を見て思わず目を見開いた。その時の言動も仕草もあの頃の彼にそっくりだった。思わず口元が緩む。

 

『おぉー!!凄いぞシドー!!』

 

士道が景品をゲットした事に十香は嬉しそうにピョンピョンしていた。

周りの人達は微笑ましそうに見る者もいれば、カップルを見て苦々しい顔をしていた者もいた。

 

「何とか取れたみたいね。見ていてハラハラしていたわ。」

 

琴里は中々景品を取らないで苦戦している士道を見て段々「頑張って、お兄ちゃん」と漏らしていたため、周りから暖かい目で見ていた。

 

「ちょっと!?何見ているのよ!?わ、私はあくまでも司令として!」

 

琴里は顔を赤くしながら暴れていていたが、ふと親友の令音を見た。

 

「…令音?どうしたの?」

 

「…いや、何でもないよ。」

 

琴里の声に意識が戻る。

 

 

 

 

 

 -----

 

 

 

 

 

「……士道さん、今日はありがとうございます。」

 

《いんやー、今日は助かっちゃったよー》

 

四糸乃とよしのんが礼を言う。

 

「いや、構わないさ。」

 

士道は優しく答える。

 

「…こちらからも礼を言う、シン。今日は助かった。」

 

令音も士道に礼を言う。

 

今日は四糸乃の訓練に付き合っていた。四糸乃の霊力を封印した後、四糸乃は人間生活に慣れてもらうため、フラクシナスで顕現装置(リアライザ)を用いたシミュレーションで訓練を行っていた。

十香も無論、最初は受けていたが、私生活では問題なかっため数週間の最低限のマナーを受けただけであったが、四糸乃はそうもいかなかった。

理由は、彼女が人との付き合いが苦手だったからだ。

士道との出会いでも、目を合わせて会話が出来なかったため、最初にバーチャル技術を用いた練習を行っていたのだ。

 

「中々成長していると思うよ。四糸乃。この調子で頑張ろう。」

 

士道は頭を撫でながら、今日の感想を言う。

今日の訓練は実戦で、買い物をするという訓練であり、内容は、今日の夕飯の食材を買ってもらう事だった。

人間生活での環境慣れる事、わからない事があれば周りに聞く、お会計で最低限の会話をするという訓練であった。

 

「はい…でも、まだ…です。」

 

《いやー、士道くんには陰で色々手伝ってくれてありがとねー!》

 

士道は令音と共に近くで四糸乃達を見守っていたのだった。

四糸乃が困って身動きできない時に士道がヘルプに入るという形で。

 

「…だが、シミュレーションの成果は出ている。この調子だね。」

 

令音も褒める。

 

「はい…ありがとう、ございます。」

 

四糸乃が礼を言う。

今俺たちは買い物袋を士道が持って五河家へ向かって帰宅する所である。そして、その光景に周りのおばちゃん達は何やら言っていた。

 

「あら?中の良い夫婦かしら?」

 

!?

 

俺はその声が聞こえていたため、顔がつい赤くなってしまう。

令音も聞こえていたのか、普段のクールの表情から驚いた表情をしていた。

 

「いや、あの子、確か学生だった気がするわよ、だってあなたの子と同じ学生服着ていたの見た事あるもの。」

 

一緒にいた人が否定する。

 

「あら、そうなの?まぁ、確かにあの子では、ちょっと頼りなさそうに見えかもねぇ…」

 

…耳が痛い。おそらく覇気がないからだろう。ちょいちょい聞く事だ。

 

「…」

 

「シン。」

 

令音さんが俺の名を呼ぶ。

 

「どうしました?」

 

「大丈夫かね?」

 

少し暗い顔をしてしまったのか心配する顔で俺を見ていた。

 

「いえ、慣れています。それに事実ですし。」

 

周りの嫌な視線や悪口は、普段の日常から慣れているため、特に辛くはない。寧ろ

 

「寧ろ、俺のせいで令音さんや四糸乃に悪い印象を持たせたくないだけです。」

 

士道は本心を言う。それも苦しそうでもなく真顔でだ。

 

「そんな事はないよ。キミはとても頼りなる。それに、何も悪い印象なんてないさ。」

 

「はい。そんな事ないです。」

 

《そうだよー!》

 

俺を気遣ってそんな事はないと言ってくれる。それだけで、嬉しかった。

そう思っていたら令音さんが誰かとぶつかってしまったようだ。

 

「…っ!すみません。」

 

「あぁ?どこ見てんだ、あんた?」

 

当たってしまった人は、いかにも性格の悪いチャラいヤンキーだった。

ヤンキーは令音さんを見るといやらしい顔になって問い詰める。

 

「おいおい、痛かったじゃねぇか、これは反省してもらわなぁとな。」

 

そう言うとヤンキーは令音さんに触れようとする。

それを見た士道はその手を止める。

 

「あぁ!?何だテメェ?ガキどもはさっさとお家に帰んな!」

 

ヤンキーは俺を見るなり態度を変える。

 

「軽くぶつかってしまっただけです。それに謝ったじゃないですか。」

 

士道は平常心で応じる。

 

「うるせー!その女に責任をーー」

 

ヤンキーが言いかけている間に、士道は男の手を強く握り、ヤンキーに殺意を贈る。

 

「ぶつかった事は謝ります。それで、何とか許して下さい。お願いします。」

 

「あぁ!?テメェ調子に乗んなよ!?」

 

そう言うとヤンキーは拳を振るおうとする。

四糸乃は咄嗟に帽子で顔を隠し、令音は士道の前に立とうとするも

 

「!?」

 

ヤンキーは突然、全身が動かなくなる。まるで全身が巨大な大蛇に巻かれて、首筋に噛まれそうな幻覚を覚える。

 

「ひぃっ!?」

 

男とは思えない悲鳴をあげる。男が横を見ると士道がいつの間にか、ヤンキーの顔を手で覆い、首筋を中指で突き立てていた。両手から殺意を体へと贈っていたのだ。

 

「そこまでだ。」

 

士道は変わらない顔で優しく告げる。だが、手は違う回答をする。

「これ以上何かをすれば殺すぞ。」と告げていた。

 

「わ、わかった。こっちも悪かった。」

 

そう言うと士道は離す。

すると、ヤンキーは怯えて「ひぃ!?」と転びかけながら逃げ出す。

 

「ふぅ。物騒だな。」

 

士道は買い物袋を持ち直すと、令音さんに優しく語る。

 

「大丈夫ですか?令音さん。」

 

「…あぁ。キミのお陰で助かったよ。」

 

令音さんは驚きながら答える。士道は令音の手を優しく両手で握る。

 

「大丈夫です。何かあっても俺が守りますから。」

 

微笑みながら令音に告げる。

 

「…」

 

令音は士道を見て硬直する。今の彼が昔のーー彼に似ていた。

 

「令音さん?」

 

「…ん、あぁ大丈夫さ。頼りにしているよ。」

 

「はい。ほら四糸乃もう大丈夫だよ」

 

士道はそう言うと、四糸乃の頭を撫でる。

 

 

 

 

 

 -----

 

 

 

 

 

フラクシナスにて令音は作業をしながら、最近の士道の事を思い出す。

彼との会話や行動をしていて昔の彼を思い出す。

 

彼にそっくり容姿。彼にそっくりの優しさ。彼そっくりな行動。

 

ーーあぁ。キミは、キミなんだね。シン。

 

ーー早く、早くキミに会いたい。

 

ーーでも…

 

彼女はふと胸ポケットから飛び出してる、年季の入ったクマさんに触れる。今どういった感情でそれに触れているのか。

 

村雨令音は今の彼ーー五河士道と会ってから、本人が気づいていないだけで崩れ始めていたのだ。

彼にしなかった。以前やった士道へのご褒美。

そもそも、何故あんな事をしたのか、士道が帰ってから彼女自身も疑問に思っていた。

 

令音が考え事をしていると琴里が喋りかけてきた。

 

「ねぇ、令音?」

 

「…ん?」

 

「えーっと…前からそのぬいぐるみ持っているけど、どうしてなの?結構年季入ってるみたいだけど。」

 

「…あぁ。これはーー昔、彼から貰ったモノなんだ。」

 

彼女がそう告げた途端、空気が変わり、視線が令音へと向けられる。

 

「へぇ…令音彼氏いたの?」

 

「どんな人なんです?」

 

「実は、結婚していたんですか!?」

 

女子達は興味津々に聞いてくる。男子クルー達も顔は向けなかったが耳はコチラに意識を集中していた。

 

「…あぁ。昔いたよ。」

 

令音はそう告げる。そう昔。

 

「昔…って事は…」

 

琴里はこれ以上聞かなかった。彼女との交友に亀裂が入りそうだったから。

 

「…彼は…昔に…ね。寝れないのも、彼の最後を思い出してしまう。」

 

令音は悲しい表情をする。そんな彼女を見たのは皆初めてで戸惑った。

 

「悪い事聞いちゃったわね。ごめんね?令音。」

 

「…いや、こちらこそすまない。場を悪くしてしまった。」

 

令音の暗い話しで、周りが何とも言えない顔になる。

 

「えーっと、それにしても士道ったら困ったものね。」

 

琴里は突然、士道の事を言い始めた。

 

「ん、何故そこでシンが出てくるんだい?」

 

「だって…最近の士道、令音をチラチラ見ている気がしてねぇ…令音が美人だからって困っちゃうわよねー。」

 

士道くんの行動はバッチリ見られていました。

 

「そうなのかい?」

 

「…ねぇ、令音は士道をどう思ってる?」

 

琴里は前から思っていた事、声かけた時から聞こうとしたことを問う。

 

「…そうだね。素敵だと思うよ。」

 

「それは、恋愛面?」

 

琴里はムッとした顔で令音を見る。

 

「…いや、彼にそういった目では…見ていないかな?私は…彼の事を忘れられない。忘れたくない。」

 

士道(シン)に対して強く思っているのもーー彼のため

 

ああ、そうだ。この違和感もきっと

 

 





さぁ現状の彼女の心境を書いてみました。
冒頭の士道の件は狂三が陰でシャドウ狩りをしていますよ。という場面を今まで書けなかったからここで書きました。
にしても、番外編ってスラスラ書けるね。不思議。

本編も色々変えて不評かもしれないけど…自分の厨二心が爆発して止まらないんです。許してください。

令音さん好きだからしょうがないね。17巻、18巻、19巻読むと色んな事で情緖不安定になる。士道くんが彼女をデレさせられなかったのも仕方ないって理解できる。
けど生きて幸せになって欲しかったし、一途でいるのも素敵だし…あぁ、本当に5期終わったら完結ゲームだして、令音ルートを作ってくれ、原作では彼女はトゥルーエンドを迎えたけど、ハッピーエンドが見たいんじゃ。好きなキャラだから。




ここからは次章のあらすじ



「お兄ちゃん…!」

炎の鬼姫は救いを求める。

彼女を取り巻く2つの巨大な影。

囚われた姫を前に彼は本性を露わにする。

第四章 琴里編
燃える女:シスター

ーー俺を信じろ
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