さぁ、始まりました、凜祢編。
結末は如何に…
※この投稿に応じて、過去編→追憶編に変更。
第一話:起動
バシュッ!
何かを切り裂く音。
誰かが黒きモノに攻撃する。
「くっ! 今日は数が多い!」
怪盗を思わせる黒いコートを羽織り、マスクをつけた男は苦言を漏らす。
そう言いつつも、目の前の敵を全員を消滅させる。
それを確認し終えると。
『--』
耳とマスクが連動して誰かが怪盗に通信を繋げる。
そのマスクは最近、ある者により誰が連絡を入れているのか、その怪盗の力に適合する事によって相手がわかるように施されたのだ。
「何!?」
その連絡内容を聞くと、怪盗は迷いなく走り出す。
そして、その場に到着する。
「--!」
怪盗を呼ぶ夜髪の女の子。
数の多い何かを剣を持って薙ぎ払う。
「フッ。俺が来たからにはもう大丈夫だ。」
優しくそう告げると怪盗は、女の子と共に何かを蹴散らす。
黒きモノを蹴散らして一安心する2人。
そこに通信が入る。
『--』
今度の通信はさっきの相手と違う人物。
その相手に士道は少々荒っぽく対応する。
しかし、その会話は誰もが仲の良い男子友達の会話だった。
「--!」
そう言って怪盗に飛びつく女の子。
『--』
通信相手は怪盗の反応を見ておちょくる。
『--』
『--』
耳から入る2人の声に怪盗は慌てる。
「いや、これは--」
怪盗が言い訳をしようと慌てると、背後から謎の攻撃が飛び込んでくる。
一体の黒きモノは完全には倒せていなかったのである。
過信してしまった故に、その攻撃を許してしまう。
「--!」
血が飛ぶ。
不意の攻撃に重い一撃をもらってしまった。
「--」
その女の子は、突然の出来事に唖然としてしまう。
そして--
その辺り一帯に眩い光が広がる。
「--『凶禍楽園(エデン)』」
誰かが、そう呟く。
それはとても優しい声だった。
【お願い、しっかりして。】
意識が暗い中、青い蝶が飛び回っており、何かを訴えかける。
【--っ! なんてこと、こちらからの干渉が--】
その青い蝶は、予想外の事態に困惑し消えてしまう。
青少年は体の異変に困惑し、そのまま意識を途切れてしまう。
チュンチュン
それは懐かしいような朝の始まり。
士道は布団に潜りながら、鳴り響くアラームを止め--再び眠りにつく。
「…Zzz」
士道の弱い所その一、朝に弱い。
朝起きれないことが多いのだ。
なので、そんな士道を“毎日”起こしにくる女の子がいる。
「--士道。」
緩いウェーブの掛かった、セミロングの薄い桃色の髪をかきあげながら士道の名を呼ぶ。
「士道。起きて、朝ごはんが冷めちゃうよ。」
「…凜祢?」
士道は“毎日”起こしに来てくれる、士道の幼馴染。
『園神凜祢』。
「うん、おはよう。士道。」
いつもと何も変わらない挨拶をする。
この関係が何年も前から行われている。
「…?」
しかし、何か違和感を感じた気がするが…気のせいだろう。
いや、おそらく罪悪感だ。
毎日起こしに来てくれる凜祢に対しての。
「どうしたの? 具合悪い?」
とても心配するように顔を覗く。
士道も無意識に顔を近づけてしまう。
「…!?」
「…? --あ、ごめん!!」
凜祢は顔の近い士道を見て顔を赤くし、士道は寝ぼけながらも凜祢の反応を見て、目が覚めて謝る。
「う、ううん、大丈夫。
私も近くに寄りすぎちゃったから…」
「いや、俺の方こそ寝ぼけていたとはいえ、近づきすぎた…」
「「…」」
同じような行動をとる、士道と凜祢。
そして互いに少し見つめ合って--
「「あはは!」」
笑い合う。
「はい、どうぞ。」
テキパキと動きながら朝食を用意する凜祢。
いつもながら凄いな。
「ありがとう、凜祢。いつも悪いな。」
凜祢に謝る士道。
「良いの。私がしたくてしていることだから。」
優しく対応する凜祢。
正直、凜祢のような幼馴染を持って俺は--
「あはは! おにーちゃん、凜祢おねーちゃんがいないと本当ダメダメだよねー。」
「う…」
隣に座る、白いリボンをつける可愛い妹。
琴里が事実を叩きつける。
「…朝弱いからなぁ。」
「後、影薄いー。」
「ゴハッ!」
触れたくない所を突かれ、倒れ込む士道。
そう、これこそが士道なのだ。
そう、士道は影が薄い。
凜祢という完璧かつ超絶美少女がいなければ、何も特徴のない男子高校生なのだ。
「もう、琴里ちゃん。
士道をそんなにいじめちゃダメだよ?」
「はーい、凜祢おねーちゃん。」
凜祢に言われ素直に応じる琴里。
「うん、よろしい。」
それにニコニコと笑顔で返す凜祢。
うん、今日も“いつもの日常”が始まるなと思う士道であった。
3人はいつも通り、学校へ行くために外へ出る。
すると、隣のマンションから女の子が元気よく手を振りながら寄ってくる。
「シドー! おはようなのだー!」
ニコニコと明るい笑顔が眩しい、夜髪の美少女、夜刀神十香。
「おはよう、十香。」
「おはよう、十香ちゃん。」
「うむ! 凜祢もおはようなのだ!」
「うふふ、十香ちゃんは今日も元気ね。」
何も変わらない日常の挨拶。
十香と合流し、琴里を交えて途中まで登校する。
「じゃあ、私はここまでだから、また学校終わったらねー!」
元気いっぱいに手を振って中学まで歩いて行く。
「俺たちも学校へ行こうか。」
「うむ!」
「うん。」
3人で来禅高校へ歩んで行く。
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「納得いかねぇ!」
士道達がクラスへ入り、席に座ると久しぶりにその声を聞く、クラスメイトが士道に話しかける。
「…?」
士道は首を傾げてそのクラスメイトの反応に困る。
「…なぁ、俺の事…ただのクラスメイトだと思ってないか?」
「え? …あ、いや…そんな事ないぞ、殿町。」
何やら久しぶりに話す…登場する気がするためつい存在を忘れがちになるが、クラスメイトの殿町だ。
一言で言うなら…うん、モブだろう。
俺もそうだけど。
「ぐすん…無性に泣けてくるぜ…」
「俺の机で泣かないでくれ。」
「酷い! 俺とは遊びだったのね!」
殿町の大きい声でクラスメイト達がこっちを見てヒソヒソと話始める。
ほんと、離れた所で泣いてくれない?
「…で、何が納得いかない?」
ため息吐きながら士道は問う。
すると、バンッ!
と士道の机を強く叩く。
「お前の身の回りだよ!
俺と変わらない一般人Aみたいなポジションなのに、十香ちゃんといい、凜祢ちゃんといい、鳶一といい…
何で校内でも人気女子と仲が良いんだよ!」
「…お、おう。」
士道は殿町が泣きながら訴えてくるため、反応に困る。
「おまけに謎の美人教師、村雨先生とも噂があるとも聞いているぞ!」
ピクッ
令音の名前を聞いて少し反応を見せる士道。
そう言われて、少し嬉しい気持ちになったりする。
「まぁ…皆んな優しいから。」
「ちっくしょー!!」
「いや、ほんと、俺の机汚さないでくれ…」
コイツ、俺に嫌がらせをするためにワザとやってないか?
「相変わらず元気だなー、殿町。」
そう声かけるのは、クラスの男子アイドル夢界。
「よ! 士道。
相変わらずモテモテですなー。」
「…お前まで…凜祢や十香達とは…」
そう言いながら、少し離れた所で女子達と話をしている凜祢達を見る。
「十香ちゃん、今日も肌ツルッツルよねー。
何かしてる?」
「実は、美容研究派だったり?」
「羨ましいー。」
常に3人組である亜衣麻衣美衣。
十香には非常に過保護で、士道には目の敵にしている仲良しトリオである。
「そうだよね。何かしているの?」
「む? 何をだ?」
今度凜祢祢が十香に問いかける。
「そう言う、園神さんも肌良いよねー。」
「そうそう。」
「モテる秘訣を我らにもご教授を。」
「え、えぇと…」
凜祢が答えづらそうにしていた。
全く、凜祢に迷惑をかけるなよな。
「皆さーん、おはようございますー。」
いつも通り、ホームルームを行う。
しかし、普段とは違う違和感を覚える。それは--
「…鳶一折紙はしばらくお休みするようだ。
皆、理解してほしい。」
眠そうにしている副担任の令音がそう告げると、クラスの主に男性陣は元気を無くす。
「鳶一さん、どーしたんだろ?」
「もしかして、五河くんが何かしたとか?」
「まじ引くわー、自首しろよ五河。」
「…あの、俺も初耳で驚いているのですが…
後、最後のは酷くないですか?」
亜衣麻衣美衣の三トリオからは、印象が悪い。
主に、美衣という子にはかなり嫌われている。
「うむ、そうか、鳶一折紙はいないのか。
そうかそうか。」
隣で「うむうむ。」と腕組んで、どこか嬉しそうに頷く十香。
折紙との仲の問題、早くどうにかしなくちゃな…
でも、どうしたらなぁ…
「ともかく、鳶一さんがいない間悲しいとは思いますが、頑張っていきましょう!」
[はーい。]
クラス全員が明るく反応する。
このまま終われば、団結力が生まれ良い感じで終われるものの…最後に爆弾を落とす。
「後、来週には期末テストがあるので、皆さん、頑張りましょう!」
[…]
さっきとは全く違い、お通夜状態になる。
当然である。
全国共通の学校行事の中で最も嫌な行事の一つ。
期末テストである。
うん、かくいう士道もお通夜状態だった。
「はぁ…」
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キーンコーンカーンコーン
今日一日の行事が終了する。
「シドー! 帰ろう!」
「あぁ、良いよ。凜祢は?」
「うん。帰ろう。」
俺と十香に凜祢が共に帰ろうとした途端、周りの男子からの殺気を感じたが、無視する。
「今日の夕飯は何なのだ? シドー!」
「そうだな…」
士道が顎に手をやりながら考えていると、凜祢が口を開く。
「ねぇ、士道?」
「ん?」
「今日の夜も、私が作って良い?」
凜祢がそう言うと、士道は申し訳なさそうに言う。
「え?
でも、凜祢は朝作ってくれたから、夜は俺が--」
「ダメ…かな?」
凜祢はどこか寂しそうな顔をする。
士道はそんな凜祢を見て「う…」と罪悪感に至る。
そして、悩んだ末に凜祢を見る。
「…じゃあ、頼んでも良いかな?」
士道が罪悪感を感じつつも、凜祢の美味しいご飯を食べたいという気持ちになり…更には彼女の寂しそうな表情に負けてしまった。
「…うん!」
凜祢の嬉しそうな顔をする。
そんな凜祢を見て、士道は頬を赤めてしまう。
「むむむ…」
十香はそんな士道達のやり取りを見てか、乙女心から悔しそうな顔をする。
「シドー! 私も料理が出来るように頑張るからな!」
「十香が? そっか、それは楽しみだな。」
一瞬、十香を見て戸惑うも、自分のために料理をできるようにすると告げる十香を見て士道は嬉しくなり、微笑みながら返す。
「…!」
そんな士道を見て、十香は嬉しくなり頬を赤くする。
「…うむ!」
そして、嬉しい感情が抑えきれず十香も笑顔で返す。
「ふふ。」
凜祢は互いに3人のやりとりをして笑いをこぼす。
--ああ、何て幸福なんだろう
「…?」
ふと十香は足を止めて思う。
そう何か違和感を感じたのだが…が。
「今日の夕餉が楽しみだ!」
るんるんと士道達を追いかける。
「おお! 今日はハンバーグだったのかー!」
ヨダレを垂らし、目を輝かせながる十香。
「お、美味しそうです。」
《イェース! 凜祢ちゃん、わかってるねー!》
四糸乃とよしのんも十香ほどではないが、目を輝かせていた。
「おおー! おにーちゃんが作るのより美味しそー!」
琴里も夕飯が好きなハンバーグのためかそう言う。
「…琴里ってば、そう言うのかー。
ふーん。」
べ、別に悲しくなんか思ってないからね?
そんな士道を見て、「ハッ!」となり琴里は士道に慌てて語る。
「あ、いや、違うのだぞー!
凜祢おねーちゃんの作るハンバーグが美味しそうだからつい…
おにーちゃんのも美味しいぞー!」
「…本当かなー?」
士道はつい、可愛い妹を揶揄う。
「うー。」
琴里は涙目になる。
それを見た凜祢が士道に指摘する。
「こーら、士道。
琴里ちゃんが可愛いからって揶揄っちゃダメだよ。」
「あ、バレたか。」
士道は「いやー。」と言いながら頭をかく。
そして、揶揄われた琴里は「うがー!」と吠え、士道を襲う。
「可愛い妹を揶揄うなー!」
「あ、いて! おいおい、ちょっと揶揄っただけだろ?」
「うーうー!」
両手で可愛く回しながらポコポコと攻撃する。
「2人ともその辺にしようね?
みんなの用意できたから食べよ?」
凜祢は全員分のハンバーグを並べて、席に座る。
[いただきまーす!]
みんなが同時に凜祢の作ったハンバーグを食べ--
[美味ーい!]
凜祢以外の4人が一斉に言う。
「美味しいぞ! 凜祢!
むがむが。」
「はい、美味しいです。」
十香は無我夢中になって食し、四糸乃はグーと可愛く反応する。
「美味しーね!おにーちゃん!」
「ああ、琴里の言う通りだな。
俺の作ったのより美味い。」
士道はうんうんと頷きながらハンバーグを食べる。
「そんな事ないよ、私は士道の作った料理のが好きかな。」
凜祢が士道にそう言うと、士道は面食らったのか、頬をかきながら照れていた。
「そ、そうかな。」
「うん。」
笑顔で答える凜祢。
それを見て、士道は徐々に頬を赤めていく。
カチャ、ガチャガチャ。
凜祢のハンバーグを食べた後、士道と凜祢は食器を洗っていた。
そして、十香と四糸乃と琴里はテレビを見ていた。
「士道もみんなと一緒にテレビ見てても良いんだよ?」
「そう言う訳にもいかない。」
士道は優しく言う。
「いつも、凜祢ばかりに任せっぱなしは出来ないよ。」
「私は…別に良いの。
士道達と一緒にいるだけでも楽しいし、幸せだから。」
「え?」
凜祢のその言葉に士道はつい凜祢を見入ってしまう。
その言葉に何かを感じて。
「凜祢?」
「え? あ、ううん。何でもないよ。
ほら、続けよ。」
「…といっても殆ど終わったけどな。」
士道と凜祢の共同作業により食器はあっという間に綺麗になっていた。
まるで新品同然の輝きを発していた。
「あはは、いつの間に終わっちゃってたね。」
「フッ、そうだな。」
士道はそう言うと食器を片付け始める。
「じゃあ、私はコーヒー淹れるね。
士道は飲めないから紅茶で良いかな?」
「あぁ、頼む。」
士道と凜祢は手を動かしてながら会話する。
その光景はまるで--
「--なんか、おにーちゃん達夫婦みたいだね。」
琴里がそんな士道達を見てそう呟く。
「「え?」」
2人の声がハモる。
士道と凜祢は突然そう言われて、互いに頬を赤める。
「そ、そうか?」
士道は頬をかきながら、そう呟く。
「はい…少し、羨ましいです。」
《2人とも家庭的だからねー。
四糸乃も凜祢ちゃんに負けないように頑張らないとねー。》
「よ、よしのん!」
「うむ…なんか羨ましいぞ…」
琴里の意見に十香と四糸乃はそれぞれ意見し、3人は凜祢を羨ましそうに見る。
「まぁ…凜祢の方は家庭的だから将来良いお嫁さんになるだろうけど…俺はなぁ…」
士道はそう告げる。
「お、お嫁さん!?」
凜祢は先ほどよりも顔を真っ赤にする。
「え、あ、いや、そのぉ…」
予想外の事態に士道は困惑するも。
「「「じー…」」」
3人は士道に対して睨みつける。
「…」
士道の弱い所。
困惑した時、目線を外す。
しかし、この弱点はある意味『ある物』で隠されていた。
しかし、今の士道にはそれがない。
-----
「…」
ある男は外で五河家を見ていた。
「士道自身や十香ちゃん達に大きな変化はないが…まぁ、若干一名いるけど、まぁそれ事態は問題ない。
だが…」
すると、彼は彼女の出現と共に現れた“謎の塔”を見る。
「…時間は限られている。
もし、士道がこのまま何かしらの“違和感”でも気づかないまま時間が過ぎていけば、バッドエンドまっしぐら。
それは、何としてでも回避しなくちゃいけない。
けど、自分で気づけない様では…【破滅の運命】によって士道もこの世界も…」
違和感とは何か、そもそも彼に待ち受けている『破滅の運命』とは何なのか。
「しっかりしろよ、士道。
これはまさしく『試練』。
お前が、彼女を攻略出来るかというテストでもある。」
そう1人で呟くと彼は五河家を後にする。
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「それじゃ、士道、みんなもまた明日ね。」
時刻は夜21時、凜祢の帰宅と共に十香達も隣のマンションに戻る。
「うむ! シドーも凜祢もまた明日なのだ!」
「はい…おやすみなさい。」
《待ったねー!》
そうして3人は帰宅する。
「おにーちゃんも隅に置けないねー。」
白いリボンの琴里はそう告げる。
「ん? 何が?」
「…何でもなーい。」
ぷい。と琴里は不機嫌になって士道を無視する。
「琴里…?」
士道は考える。俺は何かしたのかと…
そして、一つの答えを出す。
「琴里。」
そう言って士道は…琴里を撫でる。
「ふぇ…?」
琴里は恐る恐る士道を見る。
「揶揄った事をまだ怒っているのか?
アレは悪かったって。
今度琴里の時には、少し大きめにするから。」
この男は鈍感であるため、わかっていなかった。
「そうじゃないもーんだ!」
琴里は士道に蹴りを入れる。
「ガハッ! お、おい琴里…?」
「しーらない!」
琴里はそのまま家に帰って行く。
「あ、おい。」
前途多難。
士道はこの異変に気づくだろうか。
「士道に何も変化なかった。
うん。順調かな。」
1人になった凜祢はそう呟く。
「それにしても…夫婦、お嫁さんか…うん、もしそれが叶うなら…」
凜祢は瞳を閉じて、両手で胸を押さえ、あの時のことを思い出す。
琴里が夫婦みたいだと告げ、士道が良いお嫁さんになる。
そう言ってくれた時、凄く嬉しかった。
心が満たされるモノがあった。
「ふふ。」
つい笑が溢れてしまう。
カツンカツン
足音が凜祢の近くに歩み寄る。
「…随分、嬉しそうだね。」
白衣を着た、目元に大きな隈があり、胸元にクマのぬいぐるみを覗かせている女性が凛祢の前に現れる。
「…うん。とても嬉しいから。」
凜祢は彼女を見ると、笑をなくす。
「…そうか。」
その女性はどこか不機嫌なオーラを出し始める。
「…」
凜祢は警戒する。
女性は少し彼女を見ると、オーラを抑え向きを変える。
「…いや、今はキミの思うがままにするといい。
あの時、キミが瞬時に動いてくれなかったら--シンが危なかった。」
その女性は事の全てを把握している。
「…」
「では、失礼するよ。」
ふらふらとしながら、どこかへ戻ろうとする。
「ねぇ…」
女性がその場を後にしようとすると、凜祢は止める。
「何かな?」
「あなたは士道が好き?」
「…!」
凜祢の問いに、女性は--
ゲームの凜祢ユートピアでは、確か士道が暴走してそれを守る形で閉じ込めたというストーリーだったと思うけど、さてさてこの物語ではどう進んでいくのか…
あぁにしても…俺、別れてしまうキャラ好きすぎだろ。
凜祢や万由里のキャラ凄く好き。
この2人を含めて幸せな未来が原作で見たかった…