デート・ア・ペルソナ   作:黒ソニア

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さて、いよいよ凜祢編の後半戦。


第四話:真実

 

「で、デート!?」

 

凜祢は驚きすぎで素っ頓狂な声を上げる。

 

「あぁ。」

 

士道は真っ直ぐな目をして言う。そんな士道を見て、凜祢は迷うも--嬉しすぎる気持ちを抑えて答える。

 

「うん分かった。」

 

凜祢は笑顔で答える。士道はそれを見て、頬を赤らめて言う。

 

「ほ、本当か?」

 

「…うん。」

 

士道の問いに凜祢は嬉しい気持ちを抑えきれずに頬を段々赤く染めて言う。

 

「「…」」

 

互いに次に何を告げれば良いか分からず、間が生まれる。

 

「じゃ、じゃあ。また明日ね!」

 

凜祢がそう告げて、走ってその場を後にする。

 

「…凜祢。」

 

士道は何故かドキドキしている気持ちを抑えて明日のデートプランを考える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうやら、思い出したようだな。」

 

人気ない場所でスマホで様子を見ていた夢界は少し安心した表情で呟く。

 

「それにしても…へぇ…士道は凜祢ちゃん相手でもそんな反応するのかぁ…まぁ当然と言えば当然とも言えるし、仕方ないと言えば仕方ない。だってなぁ…」

 

夢界は画面を変えて、そこに映った人物を見て告げる。

 

「凜祢ちゃんは、彼女の写しみとも言え、一部とも言える存在。そりゃ…惹かれてしまうこともあるわな…いや、それだけじゃあないな。如何に偽りのモノとはいえ、幼馴染。嘘から出た真ならぬ…偽りから生まれた真実。と言った所から。」

 

夢界はそう告げるとスマホをしまい、その場を去る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「ふふ。」

 

嬉しい気持ちが抑えられない凜祢は、誰もいない干渉されない場所で喜びを露わにする。

 

「嬉しい。士道からデートの誘いを貰っちゃった。」

 

明日はどんな一日を過ごせるのかな…そんな事を考えていると。

 

何かから干渉を受け、凜祢の前に姿を見せる。

 

「冷静になりなさい。我が➖➖。」

 

その者は静かに告げる。すると凜祢は先程と変わって、一瞬で無表情になる。

 

「…うん。分かっている。」

 

「彼からの愛は、【私】にとってはこの上ない喜び、生き甲斐。しかし、それはあくまでも“この楽園”を存続させるためのもの。それを忘れてはいけない。」

 

「…そうだね。この楽園を…士道を守るために私達は--創造主にさえ歯向かおうとしているのだから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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夜、士道はベットで横たわりながら明日の凜祢とのデートプランを練っていた

本来なら、フラクシナスの協力を含めて行われるものだが、今回フラクシナスの協力は得られない

琴里の話では、この天宮市は謎の結界に覆われていて結界外の連絡手段がないらしい

無論、普通の人間達の外の出入り自体は問題ないみたいだが、俺達精霊の存在を知る者達との連絡手段はこの結界が妨害しているみたいだからだ。

 

「いや、このデートは俺自身で乗り切ってみせる。」

 

相手は幼馴染の凜祢。昨日の琴里との会話をして、凜祢が幼馴染では無いことが分かった。だがしかし、俺には…俺にとっては。

 

「俺にとっては幼馴染なんだ。例え偽りなモノでも、この数日での凜祢との日々は俺にとっては楽しい時間だった。嘘から始まった関係も、今では本物になったんだ。それはもう幼馴染で良いじゃないか。」

 

あぁ。なら、純粋に幼馴染の凜祢が喜べるデートをしよう。まずは--

 

士道は自分なりに凜祢への関係を守ると決めた上で、明日のデートに挑む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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時刻は10時前。

士道は昨日、デートには誘えたものの時間までは言えずにいたので、店が開く時間帯になるまで待ち、凜祢に連絡しようとしていた。

 

「よし、そろそろ凜祢に連絡を取るか。」

 

士道が凜祢に連絡を取ろうとした瞬間。

 

「士道?」

 

声のする方へ顔を向けると、そこには私服姿の凜祢がいた。

 

「--っ。」

 

士道は凜祢の姿に心が揺れる。

 

「ど、どうしたの士道?見慣れているでしょ?」

 

そう、まだ彼女は士道達が真相に近づいていないため幼馴染として振る舞っている。

 

「あぁ…いや、でも似合っているよ。その格好。」

 

頬を少し赤くしている士道はそう告げる。

 

「そ、そうかな…」

 

凜祢は頬をかきながら、嬉しそうにする。

 

「…あ、えと、じゃあ行こうか。」

 

士道が凜祢に手を差し出す。それを見て凜祢は一瞬驚くも、次は純粋に嬉しそうに笑顔を向けて応える。

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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一方その頃、琴里は十香と四糸乃を自宅へと招集した。

 

「琴里?一体どおしたのだ?シドーはいないのか?」

 

「どうか、しまたか?」

 

《だねー、何かありそうな予感がするねー。》

 

2人とよひのんは後ろを向く琴里に疑問を問いかける。そして、心の準備ができ、2人を見つめる。

 

「待たせたわね2人とも。士道は今、家にいないわ。」

 

「む?そうなのか…いや、では一体どういう要件なのだ?亜衣達のように女子会というのをやるのか?だとしたら楽しみだー!」

 

「…!じょ、女子会。」

 

《おおう!四糸乃がついに女子会に初デビューって感じー?》

 

「…いえ、残念だけど違うわ。まぁ、女子会はまた後でにしましょ?」

 

琴里としても女子会というのをしてみたい気持ちになるが、本題が本題なために今は抑える。

 

「ん?それにしても、いつもと何か雰囲気が違うではないか、琴里。」

 

「は、はい…私も、そう思います。」

 

《だねぇ。でも何故かその違和感がないのは何でかなー?》

 

よしのんが中々いい線をしていた。

 

「ええ、全てを思い出したからね。まずは--私達が一体何者なのかを理解し直さなきゃね。」

 

「む?」

 

「?」

 

琴里は深呼吸をし、告げる。

 

「私達は--精霊よ。」

 

琴里は自分達の正体を暴く。その言葉に2人は一瞬、困惑するが次第にその意味を理解していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あらあら、どうやらそちらももう問題なさそうですわね。」

 

その様子を陰から見ていた狂三はそう漏らす。

 

「それにしても。」

 

狂三は新天宮タワーの方を見上げる。

 

「この結界を張った精霊の正体が、士道さんの幼馴染を名乗り、唯の人間として生活を送っていた…」

 

狂三は顎に手を当てて分析する。

 

「目的はあくまでも士道さん。けれど、他の精霊を拒絶する事はなかった。それどころか、受け入れているような様子でしたわね。」

 

狂三は昨夜の士道達の様子を見ていた

笑顔で溢れる家庭で、誰がどう見ても微笑ましい光景であると、その時狂三は、くだらないと思いながらも自分では認めないだろうが、その様子を見ていた狂三はとても“羨ましそう”にしていた。

 

「…フン。」

 

狂三は一瞬、らしくない事を考えてしまったため切り替える。

 

「…」

 

とは言いつも、士道達の前では、表向き穏やかで気品のある女性を振る舞い、裏では人を殺す事に何も躊躇いもなく、人を見下す部分がある冷酷な人物ではあるが…

本当は--士道や十香達と変わらないはずの、唯の女子校生であったのだろう…そう、以前士道が狂三に問いかけた『狂三の過去』について…一体彼女を変えてしまったのは何だろうか。

 

「…さて、無駄な事は考えず、この事態を把握せねば…拝見させていただきますわよ。士道さん?」

 

狂三は気持ちを完全に切り替えて歩んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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向かったのは何処にでもあるデパート。その中にある若者向けの雑貨店に足を運んだ。

 

「士道、見てみて。これ可愛い。」

 

凜祢が士道に見せるのは、ピンク色の花のキーホルダーだ。それを見て、士道は持っている凜祢と交互に見る。

 

凜祢を思わせるキーホルダーだな

 

士道はそう思った。

 

「あぁ、凜祢にピッタリなキーホルダーだ。」

 

本心を告げる。しかし、その言葉に凜祢は--少し困った顔をしそうになったが、何とか押し殺して士道に笑顔を見せる。

 

「うん。でしょ?じゃあこれ、買っちゃおうかな。」

 

「あぁ、じゃあここは俺が出す。」

 

士道は財布を取り出そうとポケットに手を突っ込もうとするも、凜祢がそれを止める。

 

「え?凜祢?」

 

「だーめ、ここは私が自分で出す。」

 

「え?」

 

そう言って凜祢はお会計まで歩いてった。

 

あれ?俺何か凜祢に気をつかわせたのか?…しかし、紳士としては間違っていないはずだが…

 

士道が悩んでいるうちに凜祢が会計を終わらせて来た。

 

「お待たせ、どうしたの?」

 

「いや…凜祢、俺何かやったか?」

 

士道の言葉に凜祢は一瞬驚くも、士道の考えている事を把握して告げる。

 

「ううん、違うよ。これにはちょっと訳があって自分で買ったの。」

 

「訳?」

 

「そ、ちゃんとした訳があるの。」

 

凜祢がいつもの表情で接する。士道は凜祢に気を使わせないために、疑問があるもそれを留める。

 

「わかった。」

 

「ふふ。それにしても士道ってば、紳士に振る舞っちゃって、可愛いね。」

 

ちょっとイタズラする顔になって凜祢は言う。

 

「な!?い、いけないか?」

 

士道は戸惑うも凜祢は優しく答える。

 

「そうじゃないよ。ただ士道が可愛いなって思ったの。」

 

「…」

 

士道は納得のいかない顔になって拗ねる。その様子を見て凜祢は優しく微笑む。

 

「それより、士道行こう。」

 

「…あぁ、そうだな。」

 

そうすると、士道は仕返しに凜祢より先に凜祢の手をとって手を繋ぐ。

 

「--っ!」

 

凜祢は頬を赤める。

 

「仕返しだ。行こう。」

 

「うん。」

 

それを満面な笑みで返す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…そろそろお昼にしないか?凜祢。」

 

「うん。そうだね、色々歩いたしお腹すいちゃった。」

 

あれから士道達は様々の店を回っていた。服、靴と一般カップルがするデートをしていた。そして、時間はお昼を少し過ぎ、13時頃にレストランに足を運ぶ。

 

「へぇ、色々美味しそうなのがあるね。士道は何が食べたい?」

 

「んー…よし、俺は唐揚げセットにしよう。」

 

「士道は唐揚げかぁ…じゃあ私はオムライスにしようかな。」

 

それぞれは敢えて違うメニューを頼む。注文し、待っている中で士道と凜祢は互いに作戦を考えていた。

 

「(唐揚げセットを選べば、複数ある内の唐揚げを凜祢に食べさせようとする事ができる。つまり凜祢をドキッとさせられる!)」

 

「(ふふ…このオムライスを士道に食べさせてあげよう。一体どんな可愛い反応するのかな?)」

 

両者互いに同じ事を考えていた。因みにその内容がかなり大胆な行動である事を忘れていた。

 

「お待たせしましたー。」

 

そう言って同時に料理が渡される。

 

「「いただきます。」」

 

ぱくぱく。もぐもぐ。両者がそれぞれの料理を口にする。

 

「「お(あ)、美味しい。凜祢(士道)も一口…え。」」

 

2人の声がハモり、かつ同じ事を考えていたと理解する。

 

「「…あ、あははは。」」

 

「同じ事を考えていたね。」

 

「そうだな。」

 

互いに反応しずらい感じになる。

 

「あ、でも凜祢のオムライスも美味しそうだな。少し貰っていいか?」

 

「士道の唐揚げも美味しそうだね。少し交換しよ。」

 

そう言って互いは箸とスプーンを同じタイミングで食べさせようとする。

 

「「…あ。」」

 

またもや同じ事をしていた。が、今度はそれだけではなかった。2人は周りからの視線も感じとり見渡す。すると、店内の皆さんが顔を赤くしながら見ていたり、嫉妬の目線を送っていたり、スマホを取り出している者達に気がついたのだ。

 

「「〜〜〜っっっ!!!」」

 

2人は顔を真っ赤に染め上げた。

 

 

 

 

 

「お、美味しかったな。」

 

「う、うん。」

 

2人は食事を終えレストランを後にする。あの後何があったかは…語るまい。

 

「そ、それより士道。次はどこへ行く?」

 

「ん?」

 

「午前中は私の行きたい所に連れてってくれたでしょ?なら、今度は士道の行きたい場所に行きたいかなって。」

 

…さ、流石は俺の幼馴染。俺の考えを読んでいたか。いや、だとすると困ったな。中々、行きたい所が浮かび上がらないぞ。

 

士道は凜祢が喜びそうな場所などを考えて、デパートを選んだ訳だが、自分が寄りたいと思っている場所は特になかったのである。

 

「そ、そうだなぁ…」

 

士道は悩むと近くにあったデパートの地図を見る。そこで目に入って気になったのを選んだ。

 

「…うん、映画とかどうだ?」

 

士道が問うと凜祢は頷く。

 

「うん。士道と映画を見るの、初めてだから嬉しいかな。」

 

そうして2人は映画館のあるエリアへ向かう。

 

 

 

 

 

士道達は映画館に着き、どんなジャンルを見ようか迷っていた。

 

「んー、何が良いかな?」

 

凜祢と迷う中、宣伝スクリーンに目が動く。そこに映されていたのは恋愛モノの映画だった。そのタイトルは『愛の園』だ。

 

「これにするか。」

 

士道が指を刺して凜祢に告げる。

 

「…うん。じゃあこれにしようか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある女は孤独の世界で生きていた。苦しい思いから逃げる為、違う世界へと逃げる。すると--

 

『私、あなたが好き。あなたの為なら何でもするわ。』

 

その女がある男に恋に落ちる。

 

『ダメ、行かないで!行かないでぇぇ!!』

 

だが、敵が現れ男は女を庇い、命を落としてしまう。

 

『そうよ。私達だけの楽園を築き上げましょう。』

 

女は妖精だった。人間である男に惚れ、彼と自分のために誰にも邪魔されず永遠に愛を育む楽園を作ろうとする。そして、人ではない力を使い男を蘇らせる。

 

『あぁ、会いたかった。』

 

女は蘇った男に抱きつく。しかし、男は悲しい表情をしていた。女は力で多くの犠牲者を生み出し彼を蘇生させた。それを知り、男…後の男は女を否定する。

 

『どうして?私の何がいけなかったの?』

 

女は人に近い姿をしていたが、人間ではないため人とは違う価値観を持っていた。それ故に、何がいけないのか分からなかった。

 

『本物のあなたではないのね。』

 

女は力で男を変えようとする。しかし、後の男は女の力を宿しており、その力で女の求めていた前の男の魂に会わせる。

 

『幸せになってくれ。』

 

前の男はそう告げ、女を後の男に託す。そこに女を探していた敵が現れ男を殺めようとする。怖がる男、それを見た女は“愛した男”に似た男を庇う。女は自らの過ちを謝罪しながら男を守り、力の全てを使い相打ちにする。

 

『あぁ、悲しい…でも、これであなたに会いに行ける。』

 

こうして女は愛した男の元へ向かう。そこで女は愛した男のいる園へ向かう。

 

愛の園、それは人ではない女が愛したただの人の男を取り戻そうとし、最後は男が1人残った。という悲しい物語である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方。

 

「…」

 

士道達は映画を見終わり、デパートから出て近くの公園のベンチで一休みをしていた。

 

「…切ないお話しだったね。」

 

「あぁ。」

 

2人は互いに映画に見入ってて何ともいえない様子になっていた。

 

「…人を好きになるっていうのは難しいものだな。」

 

士道は映画を見てそう呟いた。

 

「…そうだね。」

 

凜祢は士道の呟きにそう答える。

 

「--っ。」

 

士道は深呼吸をしてある決意をして凜祢に問う。

 

「なぁ…凜祢は誰かを好きになった事はあるか?」

 

「…士道?」

 

凜祢は士道の問いに戸惑うも答える。

 

「--うん。あるよ。」

 

凜祢はそう答える。紛れもない本心を

 

「それは…一体誰なんだ?」

 

「それはね?」

 

凜祢は士道の顔を見て答える。

 

「--士道だよ。」

 

ザーザー

 

周りの草木が揺れる

 

「…俺?」

 

士道は驚いて戸惑いながら問う。

 

「うん。私ね、士道の頑張っている所が好き。何かに一生懸命になって走り続けている士道の姿が好き。ずっと、ずーっと見てきたから。」

 

…ずっとか

 

「あはは…何か恥ずかしくなってきちゃった。恥ずかしいなぁ。」

 

凜祢は言葉通り頬を赤く染め上げ、手で頬を押さえながら語る。

 

「凜祢。」

 

士道は勇気を振り絞って問う。

 

「ずーとって…いつからだ?」

 

士道がそう言うと周りの音が突然静まったような雰囲気になる。

 

「俺には…凜祢との昔の記憶が思い出せない。凜祢が俺の事を何でも知っているのに違和感がないけど、俺には凜祢との過ごした思い出が無いんだ。」

 

士道は琴里との会話を思い出しながら、凜祢に対して思っていた違和感を問う。琴里との会話で凜祢が幼馴染ではない事は理解していた。

けれど、凜祢が士道の事を知っているのは、何かあるんじゃないかと考えていた。精霊や天使の能力によって知っているのではなく。--本当に士道のこれまでの事を見てきたかのように。

 

「…っ!」

 

凜祢は士道の言葉に驚く。そして、次第に表情を暗くしていく。

 

「そっか…士道、気づいちゃったんだね。」

 

凜祢は心の底から残念そうな顔になる。

 

「この前のナイトメア…狂三さんが士道の前に現れたせいかな。」

 

「凜祢…お前は一体何者なんだ?」

 

士道は恐る恐る問いかける。すると凜祢は無表情になって語る。

 

「私は“ルーラー”。凶禍楽園(エデン)を守護し管理する者。そして--五河士道。あなたをこの楽園に留めさせる者。」

 

凜祢は告げる。すると、この天宮市全体に変化が生じる。まだ夕方の橙の夕日が一瞬で真っ赤に染まる。まるで狂気に包まれたかの様に。

 

「こ、これは!?」

 

士道は周りの風景を見て驚愕する。そして、今の凜祢を見て息を呑む。

以前、狂三から俺を助けた人物。顔をヴェールで覆われ、神秘的な姿になっていた。恐らくこの姿が彼女の霊装。

 

「何をしたんだ?」

 

「この“現実”をリセットします。あなたが真実に辿り着けないよう。今度はより過保護に接するとしましょう。」

 

凜祢がまるで別人になったかのように士道に接する。その変貌に士道は戸惑う。

 

「どうしたんだよ…凜祢。まるで別人になったみたいに…」

 

「五河士道。暫しの別れです。ですが、また会えます。今度はあなたを--」

 

そう言うと凜祢…ルーラーは士道に向けて何かをしようとする。

死だ。死が士道に迫ろうとする。しかし、士道は動けずにいた。

 

「くぅ…」

 

死を覚悟し目を瞑った瞬間--

 

 

 

 

 

「「「シドー!(士道さん!)(士道!)」」」

 

 

 

 

 

3人の声が聞こえ、士道を守る。

 

「--っ!?十香!四糸乃!琴里!」

 

そう士道を守るように前に立つのは士道が霊力を封印した精霊達だ。

 

「その姿は…!」

 

3人は封印される前の霊装の姿になっていた。

 

「うむ、士道に何か迫っていると感じた。そしたらこの姿になっていた。だが、安心してくれ士道!」

 

「はい…士道さんを守ります!」

 

《かっこいい所見せちゃうからねぇー!》

 

十香と四糸乃によしのんは士道を守ると威勢を見せる。

 

「恐らく、この結界内では士道との封印が擬似的に切れている状態なのよ。でも、問題ないわ。暴走なんてせずに士道を守るわ。」

 

琴里は自分達の事を簡単に説明し、十香達同様に士道を守ると意志を見せる。

 

「みんな。」

 

士道は安心する。みんながいれば何とかなると。

 

「--」

 

士道達の目の前にいるルーラーは十香達を見て、何か思う事があったのかただ傍観していた。

 

「…そう、士道の影響でみんなも元に戻っちゃったんだね…」

 

その声はルーラーによるものではなく、園神凜祢によるものだった。

 

「凜祢。よくわからないが抵抗は止めるのだ、士道なら何とかしてくれるはずだ。」

 

十香は琴里の説明を受け、凜祢に少し敵意を持っていたが、少しの期間とはいえ凜祢に対し好感を持っていたため普段のように言う。

 

「はい…きっと士道さんなら。」

 

四糸乃も十香と同じように告げる。

 

「えぇ…経緯はまだ完全に把握できてないけど…士道なら丸く収めてくれるわ。だから、抵抗はやめて…凜祢おねーちゃん。」

 

記憶を思い出した時は、凜祢に対して対抗意識が生まれてしまったものの、士道が凜祢に対する姿勢を見ていて、琴里も士道の思いに応えていつも通りに接する。しかし--凜祢は

 

「…この楽園は終わらせない。でも、どうしても私を止めたいのなら…私の所までいらっしゃい。」

 

そう告げて、凜祢…否ルーラーは姿を消した。

 





自分の作品の狂三さんが難しい。でも、何とか自分の理想の狂三さんを再現できるようにしたいです。

後やっぱり…ペルソナ使いは全員で5人かな…元々3人は確定で決めてたんですよ。ただ残りの2人はどういったキャラにしようかと。あ、因みに5人の中には主人公士道くんが含まれているので、他のペルソナ使いは4人になりますね。
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