嗚呼…休みって何で終わるの早いんでしょう…
早すぎて涙が止まりませぬ…
「--という訳なんだ…聞いているか琴里?」
フラクシナスで琴里に修学旅行についての話をしていた。
「話は聞いているわ。確かに妙な話よね。」
大事な兄からの話の為、話は聞いている。しかし琴里の様子は変だった。
「どうかしたのか?」
士道が聞くと琴里は溜息つきながら語る。
「実はね…士道達が修学旅行に行っている間、私はラタトスクの上から招集を受けてね、そっちに行く事になってんのよ。」
琴里は嫌そうな顔をしながら言う。
「まぁ、上層部全員が集まれる機会なんて滅多にないから行かないとね。だから私がいない分、十香のメンタルケアは自分で何とかしなさいよ。」
「分かった…って本来なら来る予定だったのかよ。」
士道はツッコミを入れる。
「当たり前でしょ。もし何らかの出来事で暴走したらどう対処するのよ?それに、もう前の事も忘れたの?」
「…っ。」
琴里の言葉に士道は黙り込んでしまう。
「まぁ、令音もいるから大丈夫ではあるでしょうけどね。」
「…任せておきたまえ。」
話を聞いていた令音が反応する。
「四糸乃は…どうするだ?」
「四糸乃はフラクシナスの船内で面倒を見るから安心して頂戴。」
そうか四糸乃は1人じゃないんだな。なら安心だ。
「というわけで、みんな聞いてちょうだい。」
琴里がそう告げるとクルー全員が手を止めて琴里の方へ見る。
「予想外の事態ではあるけど、私達のすべき事は変わらないわ。私がいなくても或美島で士道のサポートをお願いね、みんな。」
[はい!]
琴里の指示にクルー全員が返事を返す。
「…信頼されているな。」
士道は小声で微笑ましく琴里を見る。
「…琴里の人徳だね。」
令音も小声で士道にそう告げる。兄貴としてこれ程嬉しい事はない。
「私がいない間は副司令の神無月に任せるから、後は頼んだわよ神無月。」
「はっ!お任せ下さい司令。この神無月恭平、見事に使命を全うし士道くんをサポートしますとも!」
神無月が琴里からの命令に笑顔で対応する。それに反して--
[えぇ…]
士道を含めたクルー全員(令音を除く)が頼りなさそうに神無月を見ていた。
「司令、早く帰還して下さいね。」
「我々のメンタルが先にやられそうです。」
椎崎が言った後に続いてクルー達がそう告げる。信用がない副司令である。
士道と琴里は目を合わせて苦笑いをする。
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現在、士道達は飛行機で南の島に向かってる最中。
「…」
士道は無言でメガネを曇らせていた。何故なら--
「鳶一折紙!貴様、謀ったな!」
「座席を決める際、後先考えて無かったアナタが悪い。」
「き、貴様!それは私がおバカだと言いたいのか!」
「何の事?けど、アナタがそう自覚するならその通り。」
「ぐぬぬぬぬ!」
「…お、落ち着かない?2人とも…」
2人のやり取りに士道は困惑していた。
そう…士道は2人の言い争いに対処しきれないでいた。加えて--
「何だよ五河の奴、十香ちゃんと折紙さんの間に座りやがって!」
「イチャイチャかよ、ざっけんなよ爆発しろよ!」
「コロス!」
男性陣からはこの様な言われよう。女子からはヒソヒソとしていた。内容は聞こえなかったが、士道にとって碌でも無い話であった。
「すみません。すみません。」
CAに謝る担任のタマちゃん。ホントごめんなさい。
と、色んな事が起きており士道はあまり表情が優れないでいた。
(落ち着かない。)
そんな事を思っていたところ、士道は何かを感じ取る。
(? 視線か?)
士道は視線を感じる方へチラッと向けるとそこにはカメラマンの女性がいた。
その女性はノルディックブロンドの淡い金髪が特徴の士道達と変わらない外見をもつ人だった。
「…っ。」
士道は彼女を見た途端に妙な違和感を感じた。それは、まるで士道を…いや士道の近くにある
考えている最中、いつの間にか女性は近くまで来ており、カシャッ!とカメラで士道を含めた
(今、十香に対して撮っていたのか?)
不審な目で見てしまっていたのか、女性は士道達に語りかける。
「失礼。クロストラベルから派遣されました。カメラマンの『エレン・メイザース』です。仕事上写真を撮らせてもらいましたが、無遠慮な撮影をしてしまいました。申し訳ございません。」
と、エレンという女性は謝罪する。
「あ、いえ。」
士道は手で『大丈夫です』の合図をする。
「ありがとうございます。では、お邪魔しました。」
エレンはペコリとお辞儀をしてこの場から離れる。
「何なのだ、あやつは?」
「ま、まぁ…カメラマンだから仕方ないな。」
「シドー、カメラマンとは何なのだ?」
「あぁ、カメラマンはさっきのカメラで写真を撮ったり、撮影したりするのが仕事の人だよ。」
「おお、そうなのか。」
士道の簡単な説明に十香は理解すると--
「そんな事も知らないの?」
折紙が十香に喧嘩を吹っ掛ける言い方をする。
「貴様!!」
「お、落ち着けって十香!」
十香と折紙のこの関係はどうにかならないかと思う士道であった。
「…こちらアデプタス1。“プリンセス”と思わしき少女と接触しました。そちらの状況は?」
女性が陰でインカムでやり取りをしていた。その女性は先程のエレンという女性。正体はアイザック・ウェストコットの秘書をしていた女性であり、アデプタス1の称号を持つ世界最強の魔術師(ウィザード)である。
彼女はウェストコットの指示によりカメラマンとして近づいてきたのである。
因みに折紙は彼女に気づいていなかった。理由はサングラスをしていて気づいていない。あの時士道以外の人物に眼中に無かったなどなど。
『…こちら『アルバテル』。問題なく或美島に到着した。』
インカムを通して男の声が聞こえる。声の主は或美島の上空2万メートルに浮かぶ空中艦アルバテルの艦長、ジェームズ・A・パディントンである。
彼は上司のエレンに対して快く思っていない故、機嫌が悪い。
「そうですか、それで--例のモノは?」
『…指示通り船内に搭載している。何なのだアレは?』
「それは--秘密兵器です。間違っても、余り触らないで下さい。」
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「やっと…着いたな。」
「お疲れさん。」
士道が背伸びをし、夢界が肩に手をやる。
「…ここからも、先が思いやられるけどな。」
そう言って士道が視線を向ける先は--
ゴゴゴゴゴゴッッッッッッ!!!!!!
飛行機から降りた事により、「これでいつでも殺れるな。」と言わんばかりの男子達による嫉妬だった。正直ここからが本番と思いやられる。
「…ハハハ。まぁ分かってたとは言え、大変な立場だよな。」
「まぁ…贅沢な悩みだから頑張るだけだとなぁ。」
「それは確かに。」
と友人トークをしていると、他のクラス達がゾロゾロとやって来る。
「しかし、これだけの人数でバカンスというのは凄いよなぁ。」
一クラスの平均人数は約30人程度。士道達2学年のクラス数は5組。故に大体150人の生徒が南の島に来ている。金銭に関しては沖縄よりも高いはず、それを旅行会社負担していると令音から聞いており、士道はより疑念を抱いていた。
「まぁ、色々と気になる事は多いけどよー。何でもかんでも疑いすぎるのも毒だぞ。楽しめる時は盛大に楽しまないとな!」
夢界が元気よく告げる。
「そうだな。」
士道はそれに同意して微笑む…と。
「ん?五河じゃないか?」
あまり聞きなれない声に顔を向ける。するとその人物は以前、真那や折紙の時に出会った…神無月に続く残念イケメン2号(ロリコン)の天宮翔太だった。印象が強すぎたせいで名前も顔も覚えていた。
「あぁ、天宮か。」
「お!この前、病院で士道と話してた奴じゃん!」
「あぁ、名前は天宮翔太で良かったよな?後は…ロリコンだったな。」
「ロリコンとは失礼だな…俺はただ小さい子と一緒に遊びたい、お風呂に入りたいと思っているピュアな青少年なだけだ!」
既にアウトな事を言っている。お風呂に入りたいとか…その時点でピュアな青少年とはかけ離れてるだろ。
「ハハハ…己の欲望に忠実すぎる奴だな…」
これには夢界も引き気味な反応になり困ってしまう。誰にでもフレンドリーな夢界が困る相手は相当の曲者である。
「ったく、理解されないって世知辛いぜ。」
「いや、お風呂の要素の時点でアウトだろ…」
「所で五河の隣にいるのは、来禅高校のナンバーワンイケメンの夢界で良いのか?」
「お前、そんな称号あったんだ。」
「どうも〜。」
夢界が士道にピースをする。満更ではないそうだ。そして、そんな夢界に天宮は近寄る。
「なぁ、お前にお願いがある…お前の女友達にロリはいないか?いたら是非紹介してくれ!!」
力強くお願いする。
「え?…いやー…流石に…」
夢界は反応に困っている。まぁ当然の反応だろう。
「チッ…いねぇのかよ…」
天宮は舌打ちをすると、今度は士道に矛先を向ける。
「五河、お前の妹の琴里ちゃんを紹介してくれよ〜。」
「ざけんな殺すぞ。」
士道は最大の殺気を向ける。そのせいか天宮はゾクッと身震いをする。
「じょ、冗談だよ…紹介してくれたっていいいだろうが(ボソ)。」
「聞こえてるぞ。ウチの可愛い琴里に手を出そうとするんじゃねぇ…病院にいる真那に手を出してねぇだろうな?」
士道はそう言って威圧をかける。すると天宮は少しビビりながらもとんでもない情報を漏らす。
「流石に寝ていた子に手はださねぇよ。紳士だからな!
…あ、けど、その真那ちゃんって子、一週間前に行方不明になってんだよ。」
「は!?なんだって!?」
士道は天宮に問いつける。
「どういう事だ!?真那が行方不明って!」
「お、落ち着けよ…実は朝方に看護師が病室を覗くと昏睡していた筈の真那ちゃんがいなくなっていてよ…怖い関係者に連絡したら直ぐに駆けつけて探し回ってるみたいなんだよ。」
「え?どういう事だ?」
「こっちが聞きたいぐらいだ…で、恐らく夜中に窓から逃げ出したとか言ってたみたいだけど、5階だぜ?結構な高さがある筈なのに、窓から病院から抜け出したみたいなんだよ。」
「ま、窓から!?」
(な、何で夜中に?しかも窓から出てった?)
「しかも、痕跡がないから「無傷だが、周辺にいるはずだ、探せ!」って、怖い連中が探し回ってる話らしい。しかも現時点で見つかっていない。」
「…」
(…真那。)
拳を強く握りしめ、士道は真那の顔を思い浮かべる。
すると夢界が士道の考えを読んでか、士道を落ち着かせる様に肩を叩き、小声で士道を説得する。
「(落ち着け、今は修学旅行中だ。後で令音ちゃんに相談してフラクシナスへ連絡するようにお願いしよう。)」
「(そうだな…ありがとう。)」
士道はコクリと頷く。
「まぁ、俺としては多分、お前の所にいんのかな?って黙ってたけど…一緒にいるわけではないんだな。」
「…あぁ。」
士道の暗い顔に天宮は察して告げる。
「…連中や親父にはこのまま黙っといてやるよ。早いところ見つけろよ。」
「…ありがとう。」
「気にすんなよ。これでもお前とは仲良くやれそうだしな。それにあんな可愛い妹だ心配しない兄貴なんていないはずだぜ。」
「天宮。」
「それにあんな小柄なで可愛い子を俺も放っておけないしな。
2、3年後したらサヨナラだけど。」
それが冗談であると分かってはいるが、同時に本心でもあると分かってしまう。
「…」
士道はそれを聞いて爽やかな笑みで天宮に告げる。
「殺すぞ♡」
死刑宣告である。忘れがちかもしれないが…士道はシスコンである。その対象は琴里だけでなく真那も同じである。
例え、真那と士道が血が繋がっていないとしても、あんなに士道を思ってくれた子を溺愛しない士道ではないのだ。
何故なら、士道は家族に対して一般とは違う考えと認識をしているのだ。
それを知るのはそう遠く無いだろう。
加えて、士道に新たな友人が出来た。しかし、変わった性癖を持ったイケメンだが…
そして、そんな士道達のやり取りを夢界はただ黙って聞いていた。
--まるで、何かを知っているかの様に。
「どうした、夢界?」
「いや…真那ちゃんの事も気になるけど…それより結構時間経ってね?」
「あ、そういえば…」
周りを見渡すと4組の生徒は士道と夢界だけだった。
そして、士道を探していた副担任の令音が士道を見つけてやって来る。
「…シン!」
「あ、令音さん。」
「…探していたよ。4組の生徒は皆、資料館へ向かっている。早く向かおう。」
「すみません。ご心配をおかけしました。」
士道は申し訳なさそうに令音に謝る。
「…いや、シンが無事なら良いんだ。」
令音が安堵の顔を浮かべる。
そして、そんな状況を見ている夢界達は--
「副担任の村雨先生だよな、スゲー五河に距離近くね?」
「あ、分かる?」
「流石にな。それに五河の悪い噂に村雨先生も入ってるし。」
「へぇ〜」
夢界はそれを聞いて面白そうにしていた。
「…さ、行こうか。」
「は、はい。」
令音は士道の背中に手を当てて誘導する。
「あの?れい…村雨先生?俺もいるのですが?」
「……いたのかい?」
「酷い!」
夢界がワザと泣をするも、令音は夢界を無視して士道を押して行く。
「…さぁ行こう。」
「流石に酷くね!?令音ちゃん、俺に対してスゲー冷たいよね!?」
今日も令音は夢界に対して冷たいのでした。
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「五河くーん!夢界くーん!」
担任のタマちゃんが手を振っていた。
「すみません!」
そう言って士道は謝る。
「いえ、私も全員の確認不足だったのがいけないんです!次からお互い気をつけましょう!」
タマちゃんはそう言って微笑む。良い先生だよ、タマちゃん。
「さ!五河くん達も資料館に入ってください!用紙一枚分の感想を書いてもらいますので!」
…中々鬼な事を笑顔で語る教師の鏡であるタマちゃん先生であった。
士道達が資料館に入る。すると、十香と折紙が士道の元へと駆け寄る。
「シドー!どこへ行っていたのだ!」
「士道、行動する時は私もついて行く。」
「何だと!?シドーは私が付いているのだ!」
十香と折紙が睨み合う。目と目の間に電撃が走り火花が飛び散る様に見える。
「…」
士道はただ汗をかきながら、メガネを曇らせて困惑するだけだった。
それは--
[…]
ただ黙って「五河コロス。」と男子達が殺意を飛ばしていたからである。
「…今の所、不審な点は見られませんね。」
カメラで周りを撮影しているように見せながら、エレンは士道達…否、“精霊プリンセス”と思わしき人物である十香を見ていた。
すると、インカムから通信が入る。
『手筈通り、アシュクロフトーβを起動して、島との電波通信を遮断した。そちらはどうだ?』
「ご苦労様です。コチラは近くで監視をしています。
…しかし、随分と目上からの言い方ですね。立場を理解していますか?」
エレンが冷たい声で圧をかける。そのエレンの声に艦長は息を詰まらせて渋々礼儀正しくして応える。
『…もちろん理解して存じ上げます。執行部長殿。』
と、不服な言い方をして通信を切る。
エレンは「フッ。」と笑い監視を続ける。
「それにしても、必要以上にあの少年に付き纏っていますね…彼女まで少年に固執してますね…」
ターゲットの十香と、ウェストコットが庇った折紙の2人が1人の少年を取り合っている。見ている側にしても不快であった。
「あの少年の何処に魅力を感じるのでしょうか?何処にでもいる平凡な学生にしか見えないのですが…」
エレンがブツブツと呟いていると背後から気配を感じ取る。
「っ!」
振り向くと3トリオがエレンを見ていた。
「何ブツブツしてるの?エレンさん?」
「ちゃんと写真撮ってる?」
「マジ引くわー。」
「い、言われなくても撮ってます!」
エレンはキレ気味に答える。
…エレンは早いうちに理解するだろう…この3トリオはエレンにとって最大の天敵になるだろうと。
-----
「はーい!皆さんいますねー!これからホテルに向かいまーす!」
そう言ってタマちゃんは生徒達を誘導して行く。行き先は少し先にある高さそうな旅館である。
「…」
クラスの皆んながタマちゃんに着いていく中、十香は立ち止まり後ろに振り向く。
「どうした?十香?」
「…誰かに見られている気がする。」
そう言って十香は走って行く。
「あ、待て十香!」
士道は十香を追いかけて行く。
「…?士道?」
折紙が士道がいないことに気づいて振り返ろうとすると、夢界が壁になっていて疑問を問いかける。
「どうした?折紙ちゃん?」
「士道がいない。」
「トイレだろ。」
「なら、私もついて行く。」
「トイレくらいで一々待たなくても良いでしょ!それより、前に進まないとタマちゃんが心配しちゃう。」
そう言って折紙の肩を押して前に進んで行く。
「な、一々押さないで下さい!写真なら撮ったでしょう!」
「えー!私達を撮った回数少なくなーい?」
「私達よりも景色を撮りたいのー?」
「マジ引くわー。」
そう言って3トリオはエレンの両腕を掴んで引きずって行く。
「え?えぇ!?」
エレンはなす術なく連行されて行く。その様子を横目で見ていた夢界は心中で笑う。
(世界最強の魔術師様が現役女子高生に振り回させるとは…手間が省ける上に面白い状況だな。)
クククっと笑ってしまいそうになる夢界だが。
(おっと、目立たない様にしないとなぁ。)
と、心で呟きながら堪える夢界であった。彼はエレンの正体を既に知っており、この修学旅行に着いてきた目的も何となく読んでいる。飛行機の中で士道達に近づいていたのを後ろの席から見ていたのである。
ヒュウヒュウ
突然、強めな風が吹き始める。
夢界は士道達の向かった方向へ軽く顔を動かすと、そこには黒い雲がこの南の島にへと迫っているのを確認する。
それを見て夢界は愉快そうに心中で語る。
(それしても、こんな所でも精霊が現れるなんてな。運が良いのか、悪いと言うのか…まぁ裏でサポートしてやるから頑張れよ、士道。)
-----
「おい、待てよ十香!」
士道は十香を追いかける。そして、急に十香は立ち止まる。
「すまん、シドー…どうにも視線を感じて…」
十香は士道が追いかけて来たことに気付かなかったため謝る。
「視線?」
士道は周りを見渡すも誰もいなかったが。
「…天候が急に悪くなって来たな。急いで皆んなの所へ戻ろう。」
そう、十香を追いかけて行くうちに天候が悪くなっていった事に気がついていたが、いつの間にか快晴だった空が真っ暗な雲に覆われ、如何にも大雨…台風が迫って来そうな天候へと変わり果てていた。
そして徐々に風も強くなっており、今では台風の様な暴風が吹き荒れる。
「とにかく、急いで--」
士道が言いかけると十香に目掛けるようにゴミ箱などが飛んで来る。
「危ない!」
士道は十香を抱き抱えて地べたへと倒れ、十香を守るように身を挺して守る。
「ぐっ!」
数回ゴミ箱が士道に当たる。コレが地味に痛いのである。
「し、シドー!?だ、大丈夫か?」
「大丈夫。」
士道は安心させる様に言うと空から妙な音が鳴り響いている事に気づいて上を向く。
ギシンッ! ギシンッ!
何かと何かがぶつかり合っている様な現象だった。それを見て士道は呟く。
「まさか、精霊!?」
もしシャドウが出現する場合は不気味な感覚に襲われるが、そんな感覚がない。なら今回は精霊の引き起こした現象かと推測できるが--士道は一つ不審に思う事があった。
(けど、もし精霊なら空間震警報が鳴っていないのは何故だ?)
そう思いながら見ていると、次第にこの暴風の
「--呵呵、やるではないか夕弦。流石は我が半身。この我と25勝25敗49分けで戦績を分けているのだけの事はある。だがそれも今日で終いだ。」
長い髪を結い上げた少女が、口元を嘲笑めいた笑みで語る。
「--反論。この100戦目を制するのは、耶倶矢ではなく夕弦です。」
今度は長い髪を三つ編みに括った少女が、冷静に応える。
士道は瞼を大きく開いて見る。何故なら彼女達は瓜二つの容姿をしていたからである。
橙色の髪に水銀色の瞳を持ち、鎖付きの首輪と、ボンデージの様な格好をしていた。
違いを取り上げるなら片方は不敵に笑い、もう片方は気怠そうな半眼をしている。
不敵に笑う子の方は拘束具の様な右手首と右足首に引き千切られた鎖の付いた錠を付けていた。
もう片方の気怠そうにしている子は逆に左手首と左足首に付いているくらいでそれ以外は見分けようのないくらいそっくりだった。
彼女達の外見に驚いていたが、それよりも士道は今までと違う事に気付く。
「精霊…それも
そう…今回、士道が遭遇した精霊は2人であった。
はい、最後の方でこの章のメインである八舞姉妹登場!
さぁ、ウチの士道くんはどう攻略していくのかな?それに、士道の怪盗服や戦闘シーンや戦闘スタイルなど見て、耶倶矢がどう反応するのかも実は楽しみである。
因みに、天宮翔太というオリキャラ…何のキャラクターを意識してるか、分かる人いるかな?…いやー、あのハゲ好きなんですよ。声優もスイートホームの人だからより面白い。