デート・ア・ペルソナ   作:黒ソニア

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令音さんとイチャイチャしてやるぜ。
毎章ごとにやりますからね!
だってメインヒロインだから!





第五話:風の精霊

 

 

 

「…痛かった。

まぁ…よそ見してた俺が悪いんだけど。」

 

士道はトイレの手洗い場で顔を洗っていた。

 

「ふぅ…」

 

息を吐くと背後から視線を感じて振り向く、と。

 

「…耶倶矢?」

 

ヒョコッと顔を出していた耶倶矢だった。

 

「あ、あのね…ちょっと士道にお願いがあるんだけど…良いかな?」

 

耶倶矢は可愛っぽく話す。

 

「ん? …良いけど、喋り方それで良いの?」

 

ハッ!と士道に言われた耶倶矢は咄嗟にポーズを取って話し始める。

 

「フッ!…我が道化芝居に謀られたな。

魔法の使い手が我が手の上で踊る姿は大層滑稽であったぞ!」

 

「…」

 

士道は頑張って演技?をしている耶倶矢を暖かい目で見る。

 

「な、何よ! その目は!

べ、別に無理してないし!

こ、コレが普通何だから!」

 

慌てて士道に説明する耶倶矢。

 

「いや、戻ってるよ?」

 

「うぅ…」

 

また素が出る。耶倶矢の素はどうやらギャルっぽいというのか、普通の女の子の様だった。

そして、諦めたのか、耶倶矢は素の状態で話し始める。

 

「だって、あれじゃん?

私、精霊だし。こう、超凄いじゃん?

だったらやっぱそれなりの威厳というかさ、そういうのが必要なわけじゃん?」

 

「必要かは知らないけど…まぁ…凄いのは事実だけど…」

 

士道は頬を掻きながら返答する。

 

「まぁ、それはともかく…今、私と夕弦はさ、士道に選んで貰えるよう競い合ってるわけじゃん? 」

 

「あ、あぁ。」

 

「それも、明日までにはその決着も着く。」

 

「…」

 

黙って聞く士道に耶倶矢は指を突き立てて告げる。

 

「士道、アンタ明日--()()()()()()()。」

 

「…え?」

 

なんと、耶倶矢は自身ではなく『夕弦』を選んで欲しいと告げたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…」

 

士道はトイレを壁沿いにして座っている。理由は一目瞭然であろう。

そんな士道の元に近づく者がいた。夕弦だった。

 

「発見。士道少し宜しいですか?」

 

「…夕弦?」

 

夕弦はキョロキョロと周りを見た後で士道に話し始める。

 

「疑問。先程、耶倶矢と何を話していましたか?」

 

「…ん? あ、いや…別に、大した…事は…」

 

士道はどう説明したらいいか分からず困惑する。

 

「了承。それよりも、士道にお願いがあって来ました。」

 

「…何?」

 

嫌な予感を感じるも、士道は夕弦の話を聞き始める。

 

「請願。士道、この勝負、是非

--()()()()()()()()()()()。」

 

「…!?」

 

…なんて事だろうか、夕弦は耶倶矢を選んで欲しいと告げる。

 

奇しくも、2人は全く似たことを考えていたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…」

 

崖の上から、1人悩んでいる士道を見つめる子がいた。

 

「…っ。」

 

本当なら直ぐにでも彼と会話がしたいと思っていたが、ある人物からの指示により、ただ彼が立ち上がってくれる事を祈るしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…こちら、アデプタス1。

連絡が遅れた事、謝罪します。」

 

エレンは夕日を浴びながら、体操座りをしていた。

 

『はい。

あの…何かあったのでしょうか?』

 

昨日とは違う人物が対応する。

 

「いえ、少し…それより、準備は出来ていますか?」

 

エレンは雰囲気を変える。

格好はボロボロだが…

 

『はい、いつでも。』

 

それを聞いて、エレンはフッと笑う。

 

「--今晩に仕掛けます。

目標は、プリンセスと思わしき人物。

夜刀神十香の捕縛です。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「…」

 

風呂と夕食を終えた士道はただ1人、無言でホテルの廊下にて窓から海を眺めていた。

 

「…あの2人。」

 

士道は先程の出来事--2人の会話を思い出す。

 

『--だって夕弦、超可愛いじゃん。

ちょっと愛想は無いかもしれないけどさ、従順だし、胸大きいし、もう男の理想がリミットブレイクしたような超絶萌えキャラじゃん?

--』

 

『--説明。耶具矢の方が夕弦よりも優れているからです。

悩む余地はありません。

士道も、耶倶矢の可愛らしさはよく知っているはずです。

--』

 

『--しかも、多分夕弦を選べば、色々サービスしてくれんじゃないの?

選べばない手は無いでしょ。

--』

 

『--多少強がりなところはありますが、一途ですし、面倒見は良いですし、触れれば折れそうな華奢な肢体をギュッと抱きしめた時の快感はもう天国としか形容できません。

--』

 

--待てよ、そしたら耶倶矢(夕弦)は--

 

士道の問いに、2人はそれぞれ頷いた。

 

『『当然--消えちゃうわね/消えてしまいます。』』

 

士道は拳をギュッと握る。

 

--…っ!

なら、どうして!

 

『そりゃ、私だって消えたかないけどさ。

でも、それ以上に--()()()()()()()()()()()()()。』

 

『願望。耶倶矢には生きて欲しいのです。

士道もこの2日でよく分かったでしょう?

耶倶矢こそ--()()()()()()()()()()()()()()()。』

 

2人は笑う。

それは、以前の十香の時と同じ様に自分を否定をする--死にゆく人の弱々しく痛々しくもある笑顔だったのだ。

 

士道は反論しようとするも2人は、目もくれずにそのまま続ける。

 

『念押。士道、明日は耶具矢を選ぶと言ってください。

でなければ--』

 

『明日は夕弦を選ぶが良い。

さもなくば--』

 

『『この島にいる友人や人間に--

不幸が訪れることになります/吹き飛ばしてやるんだから!)』』

 

そうして、2人は士道の言葉に聞く耳を持たずに、颯爽と立ち去った。

 

「…」

 

士道はジッとしていられずにメガネを曇らせたまま、ただ歩いていた。

 

すると--

 

ぽゆんっ!

 

何か極上の柔らかいモノに当たる。

 

「…ん、危ないよ。シン。」

 

令音の胸に顔を埋めていたのである。

 

「…!? ご、ごめんなさい令音さん!」

 

士道は慌てて謝る…も、直ぐに表情が暗くなり、令音の横を通ろうとしていた。

普段の士道なら、その後に謝り続けるだろうが、2人の事を考えておりそれどころでは無かったのだ。

 

だが、それに気づかない令音では無かった。

令音は素早く動いて、先程と同じ体勢に戻す。

要は再び士道を自身の胸に埋め直したのだ。

 

「んん!?」

 

士道は突然の事に驚き慌てる。

 

「…よしよし。シン、いい子いい子。」

 

令音は悩める子を慰める様に士道の髪を撫でる。

 

「…」

 

士道は顔を赤めながらも、満更でも無い表情だった。

 

「…何かあったのかい?」

 

「…はい。」

 

令音には敵わない士道だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「面白いもん見ちゃったな。」

 

ケラケラと笑う夢界。

士道と令音のやり取りを見ていたのだ。

 

「これ--ちゃんに見せたら…いや、やめておこう。

状況が状況だしな。優しいなぁ〜俺。」

 

そんな事を言っていると、ケータイのアラームが鳴る。

相手は先程、名をあげた人物である。

 

「もしもーし。--ちゃん、どうしたの?

何? 士道は大丈夫かって?

…んー、まぁ、アイツなら立ち上がるだろ。

そういう奴だし。

ってか、もしかして、士道の昼頃のやり取り見てたの?

…だとしたら悪いな、もっと良いところを見たかっただろ?

5年ぶりの士道なんだしさ。

…大丈夫? 色んな士道が知りたかった?

物好きだねぇ。

--それより準備は出来てる?

今夜、動くだろうから。頼んだぜ。」

 

そう言って夢界は連絡を切る。

 

「…む? 夢界か。」

 

夢界を呼ぶのは十香だった。

 

「おおー、十香ちゃん。どうしたの?」

 

十香の表情は暗かった。

 

「…ビーチバレーの時、シドーにボールを当ててしまってから、元気が無いのだ。

鳶一折紙が私のせいだと言ったのだ…だから…私のせいで、元気がないのかと…」

 

十香ちゃんは涙目になっていた。

士道大好きっ子の十香は士道に嫌われたくないと必死なのだ。

 

(士道よぉ…令音ちゃんに甘えるのも良いけど…

せめて、十香ちゃんに一声かけてからにしろよなぁ。)

 

「…十香ちゃん。」

 

夢界がそう言うと、十香は顔を上げる。

 

「これから言うことと、やる事を教えるから、よーく聞いてくれ。」

 

そう言うと夢界は人目のない所へ歩みながら語る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 -----

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…厄介な事になったね。」

 

令音は士道の頭を撫でながらそう呟く。

因みに今は令音の部屋にいる。

あのままでは、色々と面倒になるため、令音は士道を引っ張って連れてきた。

 

「…あ、あの、令音さん。」

 

士道は顔を赤くしながら言う。

因みに士道は先程と全く同じ体勢のまま、話をしていた。

 

「…ん?」

 

因みに令音は特に普段と変わらずにいた…いや、何処か居心地良さそうな雰囲気を出していた。

 

「…」

 

(癒される。)

 

士道もまた、満更ではない様子だった。

 

「…それで。」

 

令音は撫でながら、話を戻し始める。

 

「--キミはどうしたい?」

 

「え?」

 

我に帰る士道。

 

「…耶倶矢は夕弦を、夕弦は耶倶矢を選んで欲しいと言った。

どちらかを取れば、片方はいなくなってしまう。

だが、そうなってしまえば、選ばれたもう片方からは恨まれる。

…だから、キミはどう選択すれば良いか分からないのだろう?」

 

令音の言う事は当たっている…が、士道が迷っているのは()()()()()()

 

「…本当に選ばないといけないんでしょうか?」

 

「…ん?」

 

「俺は--2()()()()()()()()()()()()()()。」

 

答え自体は出せていた。

 

「でも…どうしたら、2人を共存させる事が出来るのかと…悩んでいるんです。」

 

そう、士道の悩んでいる理由は、どうしたら2人は助かるのかという事であった。

自分に出来ることは、2人の気持ちを隠さずに告げる事だけ…だが、それを告げても2人は()()では納得しないため、士道は悩んでいたのだ。

 

「…そうか、そう言う事か。」

 

令音は士道の本心を聞き、理解する。

 

「…シン。キミには霊力を封印する力がある事を忘れていないかい?」

 

「え? わ、忘れていませんよ?

…でも、それが一体、何の解決に?」

 

「…2人の目的は、片方から見てもう片方を『八舞』として生き残らせる事だ。

…我々は自分が生き残るためだと思っていたが、実際は逆だった訳だ。

--なら、キミが霊力を封印して2()()()()()()()選択を与えれば良いのではないかな?」

 

「…!」

 

士道は大きく瞼を開いた。

 

(霊力を封印する事で、2人の生き残る選択を--)

 

士道は答えに辿り着き、令音から離れて立ち上がる。

 

「令音さん!」

 

「…ん、ようやくキミらしい顔になったね。」

 

令音は優しく微笑む。

 

「俺、行ってきます。」

 

士道は前に歩んでいく。

 

「…あぁ。気をつけて行きたまえ。

シン、キミは我々の--希望の光だ。」

 

士道は令音の言葉を聞いて、自信に満ちた表情を浮かべて部屋を後にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 -----

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

士道は耶倶矢と夕弦の2人を探す始める。

すると--

 

「…! シドー!」

 

十香が士道を見て走って駆け寄る。

 

「あぁ、十香。どうした?」

 

「えっと、だな。その…海が見たいのだ。」

 

十香は夜の海の方へと指を刺す。

 

(…耶倶矢と夕弦の2人を説得したい所だけど、十香の事も大事だな。)

 

士道はコクリと頷く。

 

「いいよ、行こう。」

 

「…! うむ!」

 

十香はパァッ!と笑顔になる。

 

早速2人はホテルを出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十香達が外へ出る所を監視している者がいた。

そう、エレンである。

 

「こちらアデプタス1。例の少女が外へと出ました。

好奇です。

--例の『バンダースナッチ』を試します。

半分はコチラに、もう半分はこのホテルの包囲をして下さい。」

 

エレンの指示にアルバテルが動き出す。

数からして20体。

内10体はエレンの元へ、ホテルの方に10体が放出される。

 

修学旅行二日目にして、最後の夜に波乱が起きようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し離れた場所で夜の海を眺める。

 

ザァ…ザァ…

 

「海というのは綺麗だな、シドー。」

 

波の音を聞き、感じながら、十香は髪をなびかせていた。

その自然な行い、振る舞いはとても男心をくすぐる仕草だった。

 

「…あぁ。」

 

「…シドー、バレーの時はすまなかった。」

 

「…え?」

 

「シドーは私の放ったボールを受けたから、あの場所を離れたのであろう?

…だから、そのぉ…。」

 

十香は珍しくモジモジしながら語り始めた。

 

「あぁ…いや、それ自体は全然問題ない。」

 

士道は優しくそう返す。

 

「そ、そうか。」

 

十香はそれを聞いて、安堵の笑みを浮かべる。

 

美しい夜空の中、月の光に照らさられている十香の笑顔は美しかった。

普段でも十香が美少女であるのは間違いないのだが、この夜空の浴衣姿でいる十香はとても優雅な女性に見えていた。

 

なので、士道はその容姿に目を奪われてしまっており、咄嗟に目を晒す。

 

「…むう? どうしたのだ、シドー?」

 

「ん、あぁ、いや、別に…」

 

そう返すと、2人は再び夜の海を見直す。

 

「「…」」

 

無言になっている中、十香は士道に問いかける。

 

「シドー、一体何があったのだ?」

 

「え?」

 

士道は十香を見る。

 

「いや、その…訳は分からぬが、シドーが何か迷っているというのか、戸惑っていると夢界から聞いたのだ。」

 

士道はそれを聞いて、少し驚いた。

 

(アイツ…)

 

勝手な事をしてくれると考えると--

 

(ん…待てよ?

…っ!? まさか、見られたのか!?)

 

士道は内心焦りだした。

令音に抱きしめられている所を人に見られていると思い、士道は体を震わせ始めた。

 

「どうしたのだ、シドー?」

 

「あ、いや…問題ない。」

 

士道は少し首を横に振って紛らす。

 

(いや…アイツの事だ…夕食の時に見られて、それを十香に伝えたって所か?)

 

士道はそのように考える。

 

(きっと、十香にも頼れって言いたんだろうな。)

 

なんだかんだで、士道も夢界の考えを読んでいた。

 

「…シドー?」

 

考えている士道に十香は呼びかける。

士道は悩んだ上で結論を出す。

 

「十香。」

 

「む?」

 

「一緒に、耶倶矢と夕弦を説得するのに協力してくれるか?」

 

士道は十香に協力を仰いだ。

 

「おぉ! 任せるのだ、シドー!」

 

十香はムキッとポーズをして応える。

 

「ありがとう。」

 

「それで…耶倶矢と夕弦に何があったのだ?」

 

「実は…2人が--」

 

士道はこの二日間の事と2人の事を説明する。

 

「…何とその様な事態になっていたのか。」

 

十香は納得し、難しそうな顔をする。

 

「あぁ…だから、その事で悩んでいたんだ。」

 

「そうであったか。」

 

「だが、令音さんのお陰で答えは出せた。」

 

「おぉ! 流石はシドーと令音だな!」

 

十香はそう語ると、腕を組んで告げ始めた。

 

「うむ、まさか耶倶矢が夕弦のために、夕弦が耶倶矢のために争っていたとはな…だが、2人の気持ちは分かるぞ。

もし、私も似た様な事になれば、きっとシドーを選ぶからだ…」

 

十香は2人の気持ちを理解する。

 

「十香…大丈夫。

俺がそうならない様--」

 

士道が言いかけると突然、強風が吹き荒れる。

 

「はぁ? 意味わかんない。

夕弦が私を?」

 

怒る声をして現れる耶倶矢。

 

「耶倶矢!?」

 

士道が現れた耶倶矢の名を呼ぶと、今度は冷んやりする風が吹き始める。

 

「復唱。要求。耶倶矢が夕弦のためと?」

 

反対側からは夕弦が現れる。

 

「夕弦!?」

 

夕弦の名前を呼ぶと、二つの風が重なってしまい、2人と会った時と…いや、それ以上の風が巻き起こる。

 

「「ふざけるな!!」」

 

風は更に強くなり、士道は吹き飛ばされそうになる十香を抱え、耐え凌ぐ。

 

「やめろ! 2人とも!」

 

士道が止めようと叫ぶも、2人の耳には届かない。

 

「「--『神威霊装・八番(エロヒム・ツァバオト)』!!」」

 

2人は身を浴衣から霊装へと変える。

 

「頼む! 聞いてくれ!」

 

士道の必死で叫ぶ声も暴風によりかき消される。

 

 

 

 

 

「颶風騎士(ラファエル)

--穿つ者(エル・レエム)!」

 

「颶風騎士(ラファエル)

--縛める者(エル・ナハシュ)!」

 

 

 

 

 

天使の名を呼び、耶倶矢は右肩、夕弦は左の肩からそれぞれ機械の翼が生える。

更に、耶倶矢は大きな突撃槍を構え、夕弦は菱形の刃がついたペンデュラムを手に携える。

 

「…ふざけた事してくれんじゃない、夕弦。

私を選べですって?」

 

「反論。耶倶矢こそ、何のつもりですか。」

 

「やっぱり駄目ね。

この決闘方法なら穏便に順当に決着が付くと思ったけど、あんたの阿呆さを計算に入れるのを忘れてたわ。」

 

「同意。耶倶矢の馬鹿さ加減には愛想が尽きます。

--結局、こうなる運命なのです。

二人で始めた闘いを、誰かの手で終わらせてもらおうだなんて虫が良すぎたのです。」

 

「やっぱり、最後は私たち二人でやるしかないみたいね。」

 

2人は武器を向けて、最後の狼煙を上げる。

 

「決闘方法は--」

 

「当然。知れた事です。」

 

「「--倒れた方が勝ち!!」」

 

双子の精霊による、『八舞』をかけた戦いが幕を開ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 -----

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある高級ホテルにて、ウェストコットが電話を鳴らしていた。

 

「--やぁ、マリス。」

 

『やぁ、ウェストコット。

ごきげんよう。そろそろ連絡が来る頃だと思っていたよ。』

 

電話の相手は朗らかな声で返事を返す。

 

「それは、良かった。

キミは研究部長であるが、研究熱心な故に中々連絡がつかない時が多々あるからね。」

 

ウェストコットはそう告げる。

 

『それについては、申し訳ないと思っている。

だが、許して欲しい。

--何せ、研究し甲斐がある事だらけだからね。』

 

マリスと名乗る男はそう答える。

 

「構わないよ。

今の私は気分がとても良い。

それは、キミのお陰でもある。」

 

『そう言ってくれると、助かるよ。』

 

互いにお世辞を言う中、ウェストコットは本題に移る。

 

「先程、連絡を受けてね。

これから仕掛けるそうだ。」

 

『ほう? では、私の傑作達を早速披露するんだね?』

 

「あぁ、どれも興味深い代物だ。

成果を期待している。」

 

『ふふ、そうか。

では、吉報を待つとしよう。』

 

「…ところで、アレを起動させた際どのようになるのか、キミに問い直しても良いかな?」

 

ウェストコットは手元の資料を見つつ語る。

その資料を作成したのは連絡相手のマリスである。

 

『もちろん。私の読みでは…いや、間違いなく--()()()に乗っている者達は誰一人助からず、()()()()()の餌食となる。』

 

「それは構わないさ。

本題は、どの様な事態になるかさ。」

 

『例のホワイト・リコリスから抽出したデータを参考にして…吸収したモノを完全に乗っ取り、新しい生命体として活動。

次なる高エネルギーを求めて活動すると読んでいる。』

 

「…フム。」

 

『…どうかしたのかい?』

 

「いや、その場合だとエレンに影響が…

いや、世界最強の魔術師(ウィザード)だ、何とかするだろう。」

 

『…意外だな。彼女に情があるのかい?』

 

「エレンとは長い付き合いだからね…これから忙しくなる。

消えられては困るさ。」

 

『…なるほど、つまらない質問をしたね。』

 

「構わないさ。」

 

ウェストコットはテーブルに置いてある端末を見る。

それは、ある仕掛けを起動させる引き金である。

 

「…フフフ。それより、早く開始させたい気分だよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

或美島の上空に浮かぶ船、アルバテルの船内に搭載されている怪しい大きめの箱が少し揺れていた。

 

 

 







はい、ようやくここまで来ました。
双子による騒動に、もやっしこー…いや、エレンの暗躍、ウェストコットと謎の研究部長との会話、船内の怪しい箱…士道くん達は乗り換えられるかな?


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