デート・ア・ペルソナ   作:黒ソニア

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この作品のエレンさんは、ネタにされるだけのもやしっこー部長じゃない様にしたつもりだけど…どうですかね?





第六話:目覚める力

 

 

 

「くっ…」

 

士道は悔しい顔をしながら、遠ざかって行く2人を見つめる。

 

「早く、2人を追わないと…十香!」

 

「うむ、大丈夫だ!」

 

士道は十香の手をとって追おうとすると、森から謎の人影が士道達を包囲する。

 

「な、何なのだ!?」

 

十香が驚きの声を上げる。

 

すると、顔の様な部分が赤く光り始める。

その時にその人影の全貌が顕になる。

 

フルフェイスのヘルメットらしき頭部、背中にCRユニットが搭載されている機械人形だった。

 

「ロ、ロボット!?」

 

士道が驚きの反応を上げると、士道達の正面にある人形の背後から声が聞こえてくる。

 

「--『バンダースナッチ』…と言っても、分からないでしょう。」

 

「っ!? その声は--」

 

スタスタと足音を立てて、バンダースナッチと呼ばれる人形の前に立つ人物。

その人物は--

 

「…エレン・メイザースさん。」

 

そう、士道達の修学旅行に同席した、首元にカメラをぶら下げたカメラマンのエレンだった。

 

「ようやく人気のない所に来てくださいましたね。

夜刀神十香さん。

それにアナタは…確か、五河士道さんでしたね。」

 

「名前を覚えてもらって光栄…と言いたい所だが、やっぱりアンタ、十香が目的で近づいて来たのか。」

 

士道の嫌な予感が的中してしまった。

 

「ほう…気がついていましたか、中々勘の鋭い少年だったのですね。」

 

エレンはそう答える。

 

「それにしても驚きました。

まさか、あの2人が“ベルセルク”だったとは思いませんでした。後ほど…」

 

エレンが1人で語る中、士道は周りの人形に背後に付いているモノを見ながら告げる。

 

「コイツらの背中についてるの…ASTの付けているやつに似ているな。

顕現装置(リアライザ)の一種か?

アンタ、ASTの者か?」

 

士道の言葉に一瞬驚くエレン。

 

「陸自の対精霊部隊の事をご存知でしたか…

それも、顕現装置(リアライザ)の事まで…

しかし、残念ながら私はその様な()()()とは違います。

…同列に扱わないで貰いましょう…っ!」

 

そう言って、エレンは威圧する様なプレッシャーを放つ。

 

ゾクッ!

 

士道は十香を守ろうと警戒心を高める。

 

「良い反応です。

私の実力を感じとりますか。

--ただ者ではないようですね。」

 

するとエレンは手を上げてバンダースナッチに指示を出す。

それにより、人形達はいつでも飛びかかろうとする態勢になる…が、一体が十香へ向けて飛び出してきた。

 

十香は限定霊装を纏い、鏖殺公(サンダルフォン)で難なく一刀両断にする。

それを見たエレンはニヤッとした顔つきになる。

 

「やはり本物でしたか…十香さん。」

 

エレンは十香を見て、もう片方の手を手招きする様に差し出す。

 

「コチラに来て頂けないでしょうか。

最高の待遇を約束致します。」

 

「誰が!」

 

十香がそう言い返すと、今度は士道が強気に言う。

 

「十香は、お前なんかに渡さない。」

 

「そうですか。--では、やってください。」

 

エレンは上げていた手を振り下ろす。

その命令に従ってバンダースナッチ達は士道達に襲いかかり、士道達は呆気なくやられた様に見えた。

 

「所詮、口だけの子供でしたか…」

 

エレンが呆れた様に呟くと--

 

「ペルソナッ!」

 

その掛け声と共に、数体のバンダースナッチが吹き飛ばされる。

 

「…っ!? バンダースナッチが!」

 

一体一体に、大きな爪で切り裂かれた後があり、エレンは驚愕する。

そして何よりも、士道の姿を見てエレンは瞼を大きく開ける。

 

「なっ…その姿は!」

 

そう、今エレンの前に立っている十香と共にバンダースナッチを撃退した人物こそ、『ルパン』を名乗り、精霊を守る者などとほざいていた人物だった。

 

「フッ…大した事のないな。」

 

士道は怪盗姿となった事により強気な口調でいた。

切り裂かれていたのは、瞬時に黒の籠爪(ブラック・アームズ)でバンダースナッチを薙ぎ払ったからだ。

 

「うむ! 流石シドーなのだ!」

 

十香は自分の様に自慢げにする。

 

だが、士道の正体を知ったことにより、エレンの雰囲気が大きく変わる。

 

「フ…フフフ…フフフフフフ。

まさか、こんな所で出くわすなんて思いもしませんでした…っ!」

 

エレンはそう告げると、何かを起動させて姿を変える。

精霊達を排除しようとするASTの戦闘スーツに似た様な姿であるが、よく見れば違うモノだった。

今のエレンから発する殺気はAST(彼女達)とは比べものにならないモノだった。

 

「…っ! 十香、油断せずに行くぞ…コイツは相当強い!」

 

士道が十香に警戒する様に告げる。

十香はそれに応じて鏖殺公(サンダルフォン)を強く握りしめる。

 

「では--」

 

エレンが特攻をかける。

 

「はや--」

 

言いかける所で、エレンが素早く手に取ったブレードで士道に斬りかかる。

 

ガキンッ!

 

ギリギリの所で士道はナイフを取り出してガードする。

 

「…っぐ、重っ!」

 

「フッ!」

 

「クソッ!」

 

エレンが次の手、次の手と連撃を繰り返す。

士道は何とか耐え凌ぐ。

 

「…ほう。

思っていたより動けますね。」

 

エレンがそう述べると、今度はスピードと威力の両方を上げた攻撃をする。

 

「…ぐわぁっ!」

 

士道はガードするも、離れた所へ弾き飛ばされる。

 

「シドー!」

 

残ったバンダースナッチを片付けた十香がにエレンに切り込む。

 

「次はプリンセスですか、良いでしょう。」

 

エレンは難なく十香の斬りかかりをガードする。

 

キィンッ! キィンッ! キィンッ!

 

十香は攻めに攻めるも、エレンは十香の攻撃を平然と余裕な態度で応える。

 

「こんなものですか? プリンセス。」

 

エレンは十香を押し返す。

 

「くぅっ! はぁぁぁぁっっっ!!!!!」

 

十香が強く叫びながら、鏖殺公(サンダルフォン)を振りかざすも--

 

「呆気ない。」

 

エレンは十香の持つ鏖殺公(サンダルフォン)を一振りで粉々にする。

 

「なぁっ!?」

 

「フッ!」

 

「ガァッ!」

 

十香はエレンからのカウンターの肘打ちを受ける。

 

「くぅっ…」

 

十香は倒れてしまう。

 

「こんなものですか。

折角『ペンドラゴン』まで装備したのですが、期待外れです。」

 

エレンは十香を見下ろしながら告げる。

そして、十香を連れてこの場を去ろうと十香へ手を伸ばそうとすると--

 

「--アルセーヌッ!」

 

エレンに向かって素早く飛んでくる。エレンはそれを見て驚愕する。

 

「んなっ!?」

 

エレンは咄嗟にブレードでガードする。しかし、飛んできたモノは想像より遥かに力があった。

 

それは、赤いタキシードに大きな黒き翼、シルクハットと一体化させ、炎を燃やす黒く赤い仮面の者が鎌のような爪をたてて攻撃してきたからだ。

 

そして、その力に耐えきれずブレードにヒビが入り

 

ガシャンッ!

 

「くぅっ…!?」

 

ガードしていたブレードは破壊され、強い衝撃を受けて吹き飛ぶ。

 

「…っ! い、一体何なのです!?」

 

エレンはカードしたももの、不意打ちを受けた事により憎らしげに見つめる。

 

「…シドー。」

 

エレンによって重い一撃を食らったせいか、弱々しい声をあげて助けてくれた名を呼ぶ。

 

「…っ!?」

 

エレンは驚く。息を切らしながら十香に走り寄る士道を睨みながら。

 

「今のは一体何なのです?」

 

「…それを教える義理はないな。」

 

「…生意気な。」

 

エレンが本気で行くために立ち上がると--空気が重くなる。

 

 

 

ドクドク…ドクトク…

ジュクジュ…ジュクトク…

 

 

 

不気味な空気と雰囲気からして、間違いなくシャドウだろう。

別にこのタイミングでシャドウが出現する事は不思議では無い。

だが、問題は現れ方と場所だった。

 

なんと、先程士道達が退治したバンダースナッチと呼ばれる人形の内部からシャドウが溢れ出したのだ。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「な、何で()()()()()()()()()()()!?」

 

士道はその光景を見て驚愕な顔を浮かべていた。

 

「…!? 『()()()()()』?」

 

エレンもまた、バンダースナッチから現れたシャドウを見て驚愕していた。

 

「あの()っ!」

 

エレンはある研究員を連想し、静かにキレていた。

それは、自分には何も告げずに勝手な行動をとっていたからだ。

 

「お前、一体何者だ?

何故、シャドウを…それにどうやってコイツらを手懐けた!?」

 

士道はエレンに問い出す。

 

「…っ、これは『シャドウ』というのですか…

ですが、それをアナタに教える義理はないですね。」

 

エレンは先程の士道にやられた事をやり返す。

 

「クソッ…」

 

士道は返された事に苛立ち、周りのシャドウを蹴散らす。

 

「うぉぉ!」

 

士道は黒の咆哮(ブラック・ロアー)で攻撃をする。

 

「--!!」

 

次々と消滅するシャドウ。

 

(コイツらを片付けて、この場を離れて2人の所へ行かないと!)

 

士道が心で呟く中、エレンもまた襲いかかるシャドウを蹴散らしていた。

 

(!? あの人にも襲っている?

あくまでも、制御しきっているわけではないんだな。

なら--)

 

士道はシャドウを蹴散らしながら、気配を消す。

 

「ハァ!」

 

エレンは最後のシャドウを蹴散らす。

 

「これで後は…ん? 何処へ--」

 

エレンは姿を眩ませた士道を探すと--

 

「ぐぅっ!?」

 

背後からの奇襲に気付かずに攻撃を受けてしまう。

 

士道は気配を消してシャドウに対処しているエレンの背後まで近づき、最後のシャドウを倒す所まで待っていたのである。

 

「悪いな、今はアンタに時間を取られている余裕はないんでね。」

 

そう言って士道は、十香を抱えて走り出す。

 

「お、おのれ…」

 

エレンはフラフラとしながら立ち上がり追いかけようとすると、地面が沈みだす。

 

「へぇ? あぁ〜〜〜〜!!??」

 

エレンは謎の落とし穴に落ちて行く。

 

「ぐふぅ…!」

 

急降下して落ちた故に衝撃が強く、段々意識が遠のいていく。

 

「こ、こんな馬鹿な…むきゅう…」

 

最強の魔術師はとても可愛らしい悲鳴を上げて、気絶した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…追ってこないな。」

 

士道は後ろを横目で見ながら、追ってこないかを見ていた。

大丈夫な事を理解すると、前に向きある方向へ走っていた。

 

「ハァ…ハァ…」

 

士道は十香を抱えて離れた所で争っている2人の所へ走り続けていた。

 

「2人を…止めないと…ハァ…でも…十香を何処か安全な場所へ休ませないと。」

 

十香は気絶してしまっている。

先程のエレンの一撃を受けてしまい、士道が抱えて走っている最中に意識を失ってしまった。

 

士道は一旦、息を荒くしているため、息を整えながら十香を先に安全な所…ホテルへ連れて行くか、それとも双子の所へ向かい道中で休ませるか…士道は迷っていた。

 

「どうする…っ、時間がないっ!」

 

士道が苦悩している…と

 

ピキンッ!

 

そんな時に()()()()()()()()

 

それは…士道と()()の繋がりを一瞬感じさせるモノだった。

 

『…』

 

赤と黒のドレスを着た女性が一瞬脳裏に浮かび上がった。

 

だがそれを認識する前に、謎のビジョンが流れ込む。

この現象は今までなかった事だ。

 

「んっ!? なんだ…コレ…こんな時にっ!」

 

士道は頭を抑えると--

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『--村雨先生! 逃げて!』

 

令音へ悲痛な声を上げる折紙の姿に

 

『…!?』

 

黒い何かに襲われそうになる令音の姿

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「--今のは!?」

 

意識がハッキリして、士道はキョロキョロとしホテルの方角を向ける。

 

「令音さん…っ!」

 

士道は迷わず十香を抱えてホテルの方へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時刻は既に深夜。

既に就寝時間になっていたが、折紙は外の異変に気づいてホテルから出た。

 

「これは…?」

 

台風の予報も無い中、突然発生したありえない強風に折紙は疑問を抱く。

 

「…おかしい。明らかに異常な事が起きている。

何より、部屋に士道がいなかった。」

 

そう、折紙は士道の部屋に侵入し、士道がベットで横たわるのをずっと待っていた。

寝転んで、完全に油断している隙に彼の貞操に手をかけようと考えていたのだ。

しかし、どれだけ待っても士道は現れなかった。

そのためおかしいと考えた彼女は窓を見て異変に気づいたのだ。

 

「…?」

 

折紙は近くに何かいると思い、視線を向ける。

すると--

 

そこに謎の物体--バンダースナッチが10体ほどいたのだった

 

うち一体が折紙の方へ攻撃を仕掛ける。

 

「!?」

 

折紙は即後ろへと後退する。

 

「一体、誰の仕業?」

 

折紙は知らない。

目の前にいる存在の正体と誰が配置させたのかを。

 

そして、武器も持たない中でコイツら(バンダースナッチ)をどう対処すれば良いか考えていた所に--

 

「…鳶一折紙?

こんな所で何をしている。

外はこの通り強風だ、早く宿舎に戻りたまえ。」

 

教師の村雨令音がその場に現れてしまった。

 

「!? 村雨先生!?」

 

折紙は咄嗟にその名を呼ぶ。

 

「…ん?」

 

令音は折紙の元へ駆け寄り、少し離れた場所に謎の物体(バンダースナッチ)がある事を知る。

 

そして、攻撃してきたバンダースナッチは方向を令音へと向けて攻撃しだすと--

 

ダンッ!

 

「くぅっ…!」

 

折紙がバンダースナッチに向けて体当たりをする。

鈍い音をたて、バンダースナッチは勢いに負けて倒れる。

折紙はその上に倒れ込む。

 

一体は折紙が必死に当たり何とか止めれたが、後ろにいた数体が動き始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「間に合えっ…!」

 

必死に走り出す士道。

だが、それでもここからホテルまでに数分の距離があった。

 

ドクンッ!ドクンッ!ドクンッ!

 

心臓が嫌な鼓動を上げる。

まるで、()()()()()()と告げているようだった。

 

士道はそれを感じとり、嫌な汗を掻き始めた。

 

(このままじゃ…このままじゃ…っ!)

 

士道が慌てる中、再び脳裏にビジョンが流れ込む。

 

このままだと令音が先程の人形に攻撃されるビジョンだった

 

「!?」

 

士道は絶望する寸前の顔になった。

 

「そんなの駄目だ。

--駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だっ!!!!!」

 

士道はそのビジョンを全力で否定する。

次の瞬間、士道本人に変化が訪れる。

体に電流が走り出し、士道の体が黒と青の電流に包まれる。

 

 

 

 

 

「『高速移動』(アクセル)!」

 

 

 

 

 

新たな力に目覚め、地上を爆発的な速度で移動する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くぅ…」

 

折紙は金属に体当たりし、痛みを感じていたが、令音に向けて歩みよるバンダースナッチを見て慌てる。

 

だが--倒されたバンダースナッチが折紙を殴り飛ばす

 

「ガハッ!」

 

折紙は殴り飛ばされ、頭から血が流れる。

それでも、一般人である令音に向けて最後の抵抗をする。

 

「--村雨先生! 逃げて!」

 

逃げる様に叫ぶ。

これが折紙の最後の抵抗だった。

折紙は意識が朦朧とし、瞳を閉じかける。

 

「…!?」

 

令音は驚き、何かしようとするが--

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「させるかぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然、現れた士道によって助けられる。

 

「…シンッ!」

 

令音はその名を呼ぶ。

 

(…し、士道?)

 

折紙はその様子を見えなかったが、その名を聞いて気絶してしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫…ですか?」

 

士道は息を荒くしながらも、目の前の敵に対峙する。

 

「…あ、あぁ。キミのお陰で無事だ。」

 

令音は驚きつつも、そう答える。

 

「よかった。」

 

と安堵するも、倒れている折紙を見て驚愕する。

よく見ると、頭から血が出ていた。

 

「折紙っ!?」

 

士道は十香を下ろして瞬時にバンダースナッチを吹き飛ばし、折紙へ駆け寄る。

 

「しっかりしてくれ! 折紙!」

 

士道は折紙を抱えながら名を呼ぶ。

 

「…ぅ…ぁ。」

 

微かに声を上げた。

士道は令音の元へ駆け寄り、問いかける。

 

「令音さん! 折紙が!」

 

「…あぁ…大丈夫だ。

まだ、息はある。

直ぐ治療を施せば助かる。」

 

令音は折紙の出血した所をハンカチで押さえながら言う。

 

「そうですか。」

 

それを聞いて士道は決意を固めて目の前の敵を睨み、前へ出る。

 

すると、バンダースナッチの様子に異変が生じる。

 

ガタガタと震いだし、中の()()によって変化する。

何か…シャドウが内部から溢れ出し、バンダースナッチを侵食するような動きをする。

そして、大きさが先ほどよりも一回り大きくなり、シャドウと融合した機械生命体へと変貌を遂げた。

 

シャドウの出現により、この一帯の空気が重くなる。

 

「…っ!」

 

士道は目の前の変貌を遂げたバンダースナッチを見て、ナイフを構える。

 

そして、一体のバンダースナッチが仕掛けて来る。

 

攻撃をナイフで受け止め、切り返そうとするも、先程と対峙していた時とは違い、パワーとスピードが段違いに上がっていた。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ぐぅ…」

 

士道は苦戦する。

 

ガキンッ!ガキンッ!

 

黒炎を纏ったナイフで斬りかかるも、防御力も上がっており、一発では耐えられてしまい、素早く二回目の攻撃でようやく一体を倒す事に成功するが…

 

ブォンッ!

 

無論、残るバンダースナッチ達がすかさず士道に攻撃を仕掛ける。

 

「ぐっ…クソッ!」

 

攻撃を避けたり、受け流したりして回避するのに手一杯だった。

 

「ハァ…ハァ…」

 

後退し、冷静に分析する。

 

「…どうする。

コイツらの強度が段違いに上がっている。」

 

士道は後ろにいる令音達を見る。

十香は先程のエレンとの戦いで気絶してしまい、折紙は令音を庇って重症の身。

戦えるのは士道だけだった。

加えて--

 

ギシンッ! ギシンッ!

 

音のする方では二つの光が争っていた。

士道は双子のベルセルクを止めるためにも、この様な所で躓いている場合ではないのだ。

 

「あぁ…こんなヤツらに苦戦しているようでは、ダメだ!」

 

士道はバンダースナッチへ特攻をかける。

 

「ハァッ!」

 

士道はナイフに黒いエネルギーを凝縮し、放つ。

 

「黒無の剣(バイシクル・ソード)!」

 

士道は以前、狂三との戦いで身につけた大技をバンダースナッチへと放つ。

 

それにより、命中したバンダースナッチの数体が吹き飛び、破損する。

 

「ハァ…よし…」

 

士道が安堵をするも、束の間。

 

「…っ!? アレは!?」

 

士道は目を疑った。

何故なら、士道達が先程のエレンとの戦いで対処した筈のバンダースナッチの数体が、破損した部分を無理矢理凝縮された形で森から現れたのだ。

 

「…ちぃ…ロボットだから、そういう事も出来るのか…っ!」

 

敵の数が増えて万死救済の事態だ。

 

そして、後ろから心配する令音の視線に気づいて横目で見る。

士道は令音や意識を失っている十香達を見て、強く思う。

 

(令音さん達に情けない姿を見せ続けるのは…カッコ悪いよな。)

 

士道は深呼吸する。

 

(けど…敵は強くなって、数が増えた…状況は最悪だ。)

 

バンダースナッチを見据えながら考える。

 

(連戦が続いて、黒無の剣(バイシクル・ソード)を使ってヘロヘロ…2人を止めないといけないのに…いや、弱音になってる場合じゃない…考えろ。)

 

士道が弱気になって苦悩していると、聞き覚えのある声が響く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『弱音なんて吐いてる場合じゃないわよ!士道なら乗り越える筈よ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その声の主は、とても強気のある声だった。

偉そうに告げて、いつもなら文句の一つを言ってやりたい所だが…今はそのおかげで気合いが入る。

 

士道は不敵に笑う。

 

「そうだな。」

 

弱音なんて吐いてる場合じゃない…

目の前のコイツらを力尽くで倒せばいい。

それだけの事だ。

 

「…シン。」

 

士道の様子に令音は心配する。

 

「心配するな。」

 

士道はナイフを鎧腕へと形状を変える。

 

「え?」

 

そして、士道は普段の優しい声で令音に告げる。

 

「--俺が守るから。」

 

士道の言葉とその姿に令音は何かを感じ取った。

 

「…士道?」

 

今の令音の瞳に映るのは--

 

そして、士道が言葉共に決心すると、再び誰かの繋がりを感じさせた。

 

ピキンッ!

 

今度はその姿が一瞬見える。

それは、炎の大斧を持つ赤髪の少女だった。

 

「力を貸してくれ--琴里。」

 

士道は手を上げ、琴里(炎)の天使を出現させる。

 

 

 

 

 

「来い、灼爛殲鬼(カマエル)!」

 

 

 

 

 

天使の名を呼び、士道は大斧を握り締める。

すると、炎が溢れ出し、力を解き放つ様に放出する。

 

「行くぞっ!」

 

士道は言葉と共に、バンダースナッチの群れに飛び出し、炎を纏った大斧を降り舞う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「--士道?」

 

振り向く琴里。

この場にいないはずなのに、兄の声が聞こえた様な気がして咄嗟に呟く。

 

 

 







バンダースナッチを強くしちゃいました。
シャドウとの融合体の名称については後に明かす予定です。
シャドウと融合したバンダースナッチの強さは、大体霊力を封印された十香達で苦戦するレベルですかねー。

分かりやすくしてみますと

精霊を取り込んだシャドウ>
精霊>
シャドウトークン=士道>
封印された精霊=バンダースナッチ(シャドウとの融合体)>
AST部隊=シャドウ

こんな所ですかね。





そして、士道くんの成長が始まります。

アクセルはその名の通り、高速移動。
FGOにおけるエドモンのクイック(Q)攻撃における高速攻撃とワンピースの六式の剃(ソル)をイメージしていただければ。

続いては…敢えてカマエルですね。
戦闘スタイルとしましては、ヘブンズフィールの士郎がアーチャーの腕での状態で発動した『是、射殺す百頭(ナインライブズ・ブレードワークス)』をオマージュさせたモノです。
はい、やりたかったんです。
カッコいいんだもん。
だから、今後もやるつもりであります。
まだ具体的にどの場面でやるかは未定だけど…

…もう一つの力であるビジョンを見たアレに関しては…ここでは語らない方がいいかな?
まぁ、ざっくり言うと彼女の恩恵・加護ですね。
琴里の蘇生の力と似た様なモノです。


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