デート・ア・ペルソナ   作:黒ソニア

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デアラでは多分珍しいだろう神無月にスポットライトが当たる回です。
そして、四糸乃にもスポットが当たります。





夢界
「…ねぇ、なんか最近の俺、影薄く無い?
もっと出番をちょーだいよ!」

夢界が駄々をこね始める。

黒ソニア
「ハイハイ。」

よしのん
《…因みに夢界くーん。
よしのん達なんて最後に喋ったの第5章五話何だよ?》

脅すように暗い表情で威圧するよしのん。
因みに四糸乃は涙目で作者の服の裾を強く引っ張っている。

夢界
「…すいませんでした。」

正座して謝る夢界。

よしのん
《…んで、作者さんは何か言う事があるんじゃなーい?》

作者に向けると--

黒ソニア「今回出番だよ。」

よしのん
《よっしゃーい!
出番だよ、四糸乃!》

四糸乃
「…っ! うん!」

夢界
「うわ、ずっりぃ…」





第八話:もう一つの舞台

 

 

 

時は遡り…

 

士道達が修学旅行へと向かった1日目のフラクシナス。

彼らは司令である五河琴里を見送った後、それぞれが不安な気持ちで一杯だった。

 

「修学旅行…

それは、親のいない場所にて男女仲が進展する可能性を秘めたる時間。

焦がれていた人に声をかけたり、気になっている子にお近きになるかもしれないビックイベント…ッ!」

 

副司令の神無月は1人、黙々と熱く語り始める。

 

「さぁ、士道くん!

キミは一体どの様な進展に辿り着くんでしょう!

実は、十香さんの事が気になっていたり。

はたまたは…同性愛に目覚めて夢界くんと仲が親密になったり。

それとも、教師たる村雨解析官と禁断な関係になったり!?

はたまた、離れ離れとなった四糸乃さんの魅力に気づいて…

ロリコニア建設の誓いを立てたりしているんでしょうか!?

この神無月恭平!士道くんの青春の一ページを存分に見届けましょうとも!」

 

…よくもまぁ、1人でここまで熱く語れるものである。

 

「…っ。で、でも士道くんが村雨解析官とどこまで進展するのかちょっと気になるのよねー。」

 

「あ、それはちょっと気になりますね。

夢界くんがその辺を裏で何かしてそうですよね。」

 

…っと女子クルーは女子トークをし始める。

最近の彼女達の仕事のやり甲斐としては、士道と令音との間柄について語っているのだ。ついでに言うと何故かその間に夢界も参戦するという…

 

「…と、ところでだ。四糸乃の方はどうだ?

彼女がストレスを抱えていないか定期的にチェックをしなければ。」

 

と男性クルーの1人がそう呟く。

 

「何!? それはいけません!

ちょっとそこの女子〜、しっかりしてよも〜。」

 

…と女口調で文句を言う神無月。

 

「何で女口調なのよ…心配ありません。

四糸乃は今アニメを観ていると思います。」

 

そう言って箕輪は手元の操作盤を弄り、画面に表示する。

 

そこに映し出されていたのは、四糸乃がアニメ観賞に没頭している所であった。

 

「はぁ〜良かったです〜。

彼女に何かあれば、この神無月恭平。

気が狂ってしまいますからね。」

 

「…その辺に関しては副司令に言われるまでもありません。

…というか、そんなに気になるのならご自分で相手をすれば良いじゃないですか…」

 

椎崎がそう言うと神無月は丁寧に話し始める。

 

「いえ、司令命令ですので、四糸乃さんには緊急時以外はなるべく直接会わない様に指示されていますので。

その命令を破る事は出来ません。

…あ! でも、その命を破って司令に踏み潰されるのもありですね!」

 

この場にいたクルー達は「この男と言うものは…」っと気が重くなる一向だった。

いつ精霊が現れるかも分からない中、司令は席を外し、解析官は士道達に同行しているためこの場にいない。

 

…そのため、不満で一杯のクルー達であった。

 

「はぁ…村雨解析官に定期連絡をしないと。」

 

中でも一番不安でいるのは、クルー内で一番若い椎崎であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、四糸乃はクルー達にオススメしてもらったアニメ作品の観賞をしていた。

 

「…っ!」

 

彼女が見ているアニメは中津川のオススメの一つ。

題材はサッカーなのだが、普通と違って炎のシュートを放ったり、手から大きな手を出してゴールを守るといったアニメである。

 

…因みに何故これを見ているかというと、私生活の中で士道と一緒にテレビを見る事は多く、中でも士道が夢中になっていたモノを一緒に見たいという乙女心で見ていたのだが…

今では、士道同様にそのアニメにハマりつつあった?

 

《ねぇねぇ、四糸乃? この技なんてどーお?》

 

「…うん!」

 

何を見て何を考えているのだろう?

 

「…これ、なら。私も…士道さん、みたいに…っ!」

 

ある技を見て、彼女は決意し停止と巻き戻しを行い観察する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「可笑しいです…村雨解析官からの連絡が未だにありません。」

 

時は修学旅行一日目の夜、雑務をしながら定期連絡を待っている椎崎がそう告げる。

 

「確かに…村雨解析官が連絡を忘れるなんて考えられない。」

 

椎崎の言葉に箕輪が同意する。

普段の令音は常に眠たげで、フラフラとしながら歩いているものの、仕事の出来量はクルー内で一番である。

その事は琴里を含め全員が賛同する事である。

 

その為、令音が未だに連絡を返さない事に疑問を抱いていた。

 

「うーん、そうですねぇ…

確かに可笑しくはありますが、村雨解析官は普段から働き詰めになる事が多く見られます。

少しくらい、彼女を休ませては如何でしょう?」

 

副司令官として珍しく真っ当な意見を言う為、少し驚くクルー達。

 

「それに、何より士道くんがいるで問題ないでしょう。

彼は我々以上にできる男です。

きっと十香さんのメンタルケアをしつつ、村雨解析官にマッサージなどをしているのではないでしょうか?」

 

…この男、本当に()()()()()()()()()()()()()

普段の彼を知っている者からすると驚きを隠せないものである。

現に、話を聞いていたクルー達が業務を止め、思考が停止しているのである。

 

「おや? どうしましたか、皆さん。」

 

「…いえ、あの…本当に副司令なんですか?

頭でも打ったんですか?」

 

椎崎のコメントに皆が強く頷く。

神無月は椎崎のコメントにいつも通りの彼になって言う。

 

「いえいえ、特に痛い所はありませんよ?

…あ! でも、司令がいないせいか、正直ドエニウムが足りないので誰か頭を叩いてはくれませんか?

刺激が足りなくて困ってるんですよ。」

 

…いや、やっぱり彼は神無月(変態)なのであった。

 

クルーを代表して椎崎が立ち上がり、ハリセンを持って神無月の頭を適当に叩く。

 

「ぐへっ! …ちょっといきなり何ですか!?」

 

「えっ! だって叩けと--」

 

「そうじゃないです、頭を叩く時は慈悲なく容赦なくやって下さい!

後、叩く場所にもポイントがあるんです!

適当にやるんじゃなくて、ここを叩けば痛そうだなという所があるでしょうに!

ほら、丁度今だとこの辺です!

やるんでしたら、ちゃんとやってよもー。」

 

「…」

 

叩けと言われてやったのにダメ押しをされた挙句、説教までされた。それもどうでも良い事に…

 

やはり、この男は困った変態であった。

 

「あっ! いやっ! ちょっ!

雑にしないでよもー!

やるんでしたら痛気持ちくするように

--ぐはっ! ちょっと! 雑…

あ、でもそのゴミを見るような目は中々--」

 

…結局の所、令音との連絡が取れないのは疲れが原因だろうと判断し、一日様子を見る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

士道達の修学旅行二日目

 

時刻は13時台でこの時間帯は生徒達の自由時間の海で遊んでいる頃で、教師達の一休みをする時である為、連絡が来ていないか確認した所、椎崎は未だに通知が既読になっていない事に驚きを隠さないでいた。

 

「やっぱり可笑しいです!

未だに連絡が来ない所か既読にもなってません!

非常事態が起きているのではないですか!?」

 

流石にここまで連絡が来ない事は可笑しい。流石の普段悠長にしている神無月も真剣な眼差しになる。

 

「確かに、ここまで連絡がないのはありえません。

村雨解析官がそんなミスをする事はあり得ないでしょう。」

 

副司令としての言葉にクルー達も真剣な表情へと変える。

 

「皆さん! 非常事態ではありますが、落ち着いて対処しましょう。

まずは、本当に連絡はないのですね?」

 

「はい、未だ返答なし!」

 

「次、或美島周辺に異常な検知は?」

 

「ありません、天候は正常および霊力反応もありません!」

 

「ふむ、問題はありませんか…

とはいえ、事態が悪化してからではいけません。

--我々も或美島へ向かいます。

総員準備にかかってください。」

 

副司令の指示に全員が取り掛かる。

 

「天宮市の安全確認は良いですね。

では次に、四糸乃さんはどうですか?」

 

「はい、問題なく船内で昨日に引き続きアニメを見ています。」

 

「よろしい。では、これより或美島に向けて--発進!」

 

[了解!]

 

クルー達は手元の操作盤を起動し、士道達のいる或美島へ向かって行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから数時間が経ち夜、或美島近くまで来たフラクシナスは異常さに気付き始める。

 

「可笑しい。本来なら、或美島の天候は快晴であった筈なのに雲行きが怪しいぞ。」

 

男性クルーがそう言うと、椎崎が表情を曇らせる。

 

「…やっぱり、可笑しかったんですよ。

村雨解析官から連絡がないし。

…士道くんの読みは当たっていたんですよ。

旅行先が変更になったのは可笑しいって。」

 

「そうね…調べてみたけど。

例の旅行会社…DEM社に属する会社みたい。

村雨解析官の読みも当たってる。

それに、本来の宿泊先の沖縄でのアクシデントにも絡んでいたみたい。

夢界くんの読みも当たっている。」

 

それぞれの意見を聞いて、背筋が凍ってくる。

 

その中で、神無月は手を軽く叩いて場を落ち着かせる。

 

「落ち着きましょう皆さん。

冷静でいる事が大切です。

まずは、状況確認が大事です。

--魔力反応はありますか?」

 

場を落ち着かせると、真剣な顔つきになる神無月。

 

「少々お待ちを…っ! --コレは!?」

 

中津川が調べ驚きの声を上げる。

 

「前方に謎の魔力反応あり! 敵船かと!」

 

その言葉に場に緊張感が走る。

 

直後、フラクシナスに何かが当たり揺れる。

因みに船は防御を張っていたため無傷ではあるが…

 

「敵艦からの攻撃です!」

 

敵からの攻撃でクルー達が騒めく中、神無月はクネクネとしながら悠長に攻撃の感想を述べる。

 

「うーん、中々刺激的な攻撃をするではないですか、相当自信があると見える。」

 

そんな神無月を見て椎崎は、琴里に緊急連絡を入れる。

 

『もしもし、どうしたの椎崎?

士道がまたやらかしたの?』

 

琴里がそう言うと椎崎は現状を伝える。

 

『あら、なら問題ないじゃない。

そこには神無月がいるでしょ?』

 

と特に焦りもせず優雅に対応していた。

 

「一時方向に防御領域(プロテクトテリトリー)の座標132、50、39、範囲255、246。

…聞こえませんでしたか?

防御領域の指定をお願いします。」

 

すると、敵からの攻撃が来る前に神無月はクルー達に細かく指示をする。

クルー達は言われるがまま操作を行うと、敵艦からの攻撃をピンポイントでガードする。

 

「ピ…ピンポイントでガードした!?」

 

「次--」

 

神無月の采配にクルー達は戦慄していく。

この男、精霊攻略には全く活躍しない上に、足を引っ張る様な事をしてばっかりなのに、昨日の士道個人へのフォローをしたり、顕現装置(リアライザ)の扱い、戦線での指揮ではまさしく副司令に相応しい活躍をする。

 

神無月の手際を見て賞賛する思いと同時に--

 

[(こ、この人ただの変態じゃなかった!?)]

 

と全員満場一致の思いだった。

 

「んー、もう少し刺激が欲しい所ですが…

生憎と時間もありません。

手短に終わらせましょう。

--ミストルティンの用意を。」

 

副司令の指示により、クルー達は収束魔力砲ミストルティンを放つ操作をする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「何故当たらんのだ!?」

 

そう叫ぶのはアルバテルの艦長、ジェームズ・A・パディントンである。

彼は、エレンの指示を嫌々と聞く中で、不可視迷彩(インビジブル)で存在を隠していたフラクシナスを見つけ、上司であるエレンよりも功績をあげて見返そうと考え攻撃の指示をしていたのである。

 

しかし、彼の指示による攻撃は全て防がれていた。

 

恐らく彼よりも優れた指揮官による采配によって防いでいるのであろう。

その事により苛立ちを見せていた。

 

「か、艦長…」

 

「おのれ…っ!」

 

ガンッ!と手を叩くと、目の前のフラクシナスから高密度の魔力が検知される。

 

「何事だ!?」

 

「敵船から高密度の魔力を確認! き、きます!」

 

アルバテルのクルーがそう告げると、モニターに映るフラクシナスの主砲が光を収束させ、今にでも放とうとしていた。

 

「…っ! 防御領域を最大限に展開しろっ!!」

 

焦った声で防御領域を展開し始める。

そして、フラクシナスの砲撃がアルバテルを襲う。

 

とてつもない威力が襲い、艦内が大きく揺れる。

出力最大の防御領域を展開しても攻撃を完全に防ぎきれないでいた。

 

以前、琴里がシャドウに取り込まれた時にこの主砲を放出させれば…

琴里を取り込んだシャドウどころか、街にも大きく損傷させていただろう。

 

…コレを見ると、ラタトスク機関の上層部はコレを使用しろといった意図がまるで分からない。

それではまるで--

 

「くぅ…」

 

艦長はヨロヨロとしながら立ち上がる。

 

「奴らめ…こんなモノを持っていたとは…っ!

反撃にしろ!

コチラも目に物を見せてくれるわ!」

 

そう言うも、クルー達が操作するも、エラー表示を示すように警報が鳴る。

 

「だ、駄目です! 先程の影響か…制御室(コントロール・ルーム)がやられたそうです!」

 

「な、何だと!? ふざけるなっ!

制御室は()()()()()()()()()()()()()にあるのだぞ!?」

 

そう、主砲を受けたのはあくまでも正面側。

決して制御室のある場所ではない。

 

だが、モニターに表示されてる制御室のある所から煙が上がっていた。

 

「ばっ…馬鹿なっ!? …っ!?

い、一体アレは!?」

 

彼の瞳に映るのは、制御室の方は向けられている小さな装置だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「アレって『世界樹の葉(ユグド・フォリウム)』の顕現装置ですよね?

い、一体誰が?」

 

「我々全員、ミストルティンの操作で手一杯の筈…」

 

「誰?」っとクルー達が目を合わせる中、誰もが首を傾げていた。

誰もやっていない…となると必然的に導き出される答えは--

 

「〜〜〜♪」

 

鼻歌をあげていた神無月だった。

この男、ただ指示していただけでなく自ら顕現装置を作動させ、誰にも察知されずに制御室のある部屋を特定し、攻撃させていたのである。

 

「ふ、副司令コレは…」

 

「ん? あぁ…実は私、元はASTに所属していたんですよ。

だから、敵船の構造をある程度把握していましてね。

いやー、お陰で手間が省けて良かったです。」

 

神無月はそう言いながら凛とした表情で語る。

 

「我らが愛しき五河司令の美しき『世界樹の葉(ユグド・フォリウム)』に傷をつけるわけにはいきませんからね。

こういうのはさっさと頭を潰すのに限ります。」

 

クルー達は唖然とする。

この男、凄すぎる。

これまでの悪態が全て塗り潰される様な実力を持っている。

ある意味当然だ、何せ解析官として、人として優秀な令音を差し置いて副司令となっている人物だ。

当然、只者ではない。

 

「さて、これで敵も撃破した事ですし、士道くん達の所へ--」

 

神無月が言いかけるも、全員がモニターに映る現象に言葉を奪われる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「か、艦長!」

 

「おのれぇ…あの女に見返す筈だったはずが…っ!」

 

こき使われエレンを見下すために、敵艦を落とす手筈だったが、見事に失態に終わる。

 

艦内が赤いランプで点滅する中、一本の通信が入る。

 

『やぁ、どうかね調子は?』

 

「ウェストコット卿!?」

 

クルー達がどよめくも、ウェストコットからの通信に何処か安堵の顔を浮かべる。

 

「…! ウェ、ウェストコット卿!

こ、コレは…」

 

艦長の額に嫌な汗が流れる。

この失態をどう言い訳しようかと…

すると、画面のウェストコットが淡々と話し始める。

 

『あぁ、言わなくてもいい。

キミ達はよく働いてくれた。

それだけで十分だよ。』

 

その言葉にクルー達は助かると思い、表情を明るくする。

 

しかし、それは罠だった。

 

『我々のためによく頑張ってくれた。

それ故に心苦しいのだが

--私のために礎となってくれたまえ。』

 

彼は心苦しいなんて微塵たりとも思っていない。

故に躊躇いなく人の命なぞ簡単に使い潰す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、ウェストコットは手元のタブレットに表示されたボタンを押し、アルバテルに搭載していた装置を起動させる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

刹那、装置からシャドウが吹き出し始め、瞬く間にアルバテルを艦内から侵食していく。

 

「な、何だこれ!? うわぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

クルー達が慌てるも、束の間。

シャドウに飲み込まれる。

 

誰1人助からず、シャドウの養分となる。

 

そして、内部から吹き出したシャドウがアルバテル全体を包み込み、異形な姿へと変貌を遂げる。

 

それは、以前“精霊イフリート”を吸収した時と同じ現象が起こる。

 

アルバテルを吸収したシャドウは、異形で不気味な船艦へとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「な、何ですか…アレ?」

 

船内の者達は戦慄する。

画面に映る目の前の怪物に恐怖が襲う。

 

「間違いなく、シャドウでしょう。

しかし…これは相当不味い状況ですね。」

 

先程ミストルティンを放った事により、フラクシナスの魔力を考慮するとあの怪物は厄介だ。

 

「何より、ミストルティンで処理できるのか…

いえ、恐らくそれは--」

 

神無月が思考している間に、目の前の怪物はコチラに何かを仕掛けようとしてくる。

 

「か、怪物が来ます!」

 

全員が覚悟を持った顔をする。

 

刹那、目の前の怪物はフラクシナスへ光線を放つ。

 

「退避!」

 

神無月が強く言うと、クルー達は回避する様に動作するが…

 

[…っ!?]

 

攻撃は避けたものの爆風が巻き起こり、船内は揺れ、フラクシナスは大きく逸れる。

 

「あ、当たってないけど、この攻撃…」

 

「もし当たれば、我々は…」

 

嫌な緊張感が彼らを襲う。

世界を滅ぼす力を持つ精霊に関わる都合上、いつ死が襲うか分からないと覚悟はしているものの、それがいざ今となると、クルー達は表情を暗くする。

 

「…」

 

神無月の額に嫌な汗が通る。

自身は、戦場における経験がある故に覚悟は持っているが、クルー達は違う。そのためクルー達に何と声をかけたら良いのか困惑していると--

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あの…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然の声に全員が驚きの声と顔をしてその人物を見る。

 

「よ、四糸乃!?」

 

「部屋から出てしまったか…」

 

「あれほどの揺れがあったんです。

出てきてしまっても仕方ないでしょ。」

 

クルー達が言い合う中、神無月が紳士に対応する。

 

「すみません、四糸乃さん。

突然の揺れでビックリされたでしょう。

大丈夫です。

我々で対処しますので、四糸乃さん達は安全な所へ避難しましょう。」

 

神無月はモニターが映らないように対応し、クルー達にせめて保護対象の四糸乃だけはこの場から離れさせるべきだと判断し、誘導しようとすると、四糸乃は強い瞳を持ってモニターの方へと指を刺して告げる。

 

「あ、あれは…四糸乃達に任せて下さい。」

 

[!?]

 

四糸乃の言葉に驚愕を浮かべる。

 

「四糸乃さん…もしかして、この状況を見ていたんですか?」

 

「嫌な、感覚に…覚えがあったから…」

 

《よしのん達は一度戦っているしね!》

 

そう言われて、クルー達は「ハッ!」とした表情をする。

確かに四糸乃は士道達と共にあの怪物に琴里のために立ち向かった。

故に感覚で察知したのだろう。

しかし--

 

「お気持ちは大変嬉しい限りです。

しかし、あなた方は我々が命をかけてお守りする事を誓った精霊。

そんなあなたを戦場に出すなんて事は--」

 

神無月がそう言うと、四糸乃は勇気を出して告げる。

 

「あ、あの!

…私は、ただ守られるだけでなく…

士道さんみたいになりたんです。

優しくて、カッコよくて、ヒーローに。

…そ、それに…いつも、優しくしてくれる人達もいますから…」

 

そう言って四糸乃は椎崎と箕輪を見る。

女性だから四糸乃の面倒を見る事がある。

加えて、琴里や令音もよく面倒を見ている。

 

「よ、四糸乃…」

 

「何て、健気な子…っ!」

 

2人は四糸乃の言葉に感激を受ける。

 

「し、しかし…」

 

《それに、()()()()()()()があるんだよねー。》

 

よしのんが訳ありな言い方をする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…っ!」

 

《四糸乃!

怖いだろうけど、ここが正念場だよ!

それに、頑張れば士道くんにいっっぱい褒めてくれるかもだよ!》

 

よしのんの言葉に四糸乃は勇気を振り出す。

限定霊装の姿になって目の前の怪物へ立ち向かう少女。

 

「よしのん…行くよっ!」

 

《あいさー!》

 

よしのんが口を大きく開けて、冷気を溜め込む。

それは次第に大きな氷塊へとなり高密度なエネルギーに圧縮される。

 

そして、怪物は四糸乃を見て行動とろうとする。

 

四糸乃はそれを見てフラクシナスから離れる。

 

怪物が四糸乃へと向けている間、フラクシナスはミストルティンを再び放つ準備をする。

 

そして、四糸乃は振り翳して捉えようとしてくる怪物の攻撃を避けながら、氷塊にエネルギーを注ぎ込む。

 

「…っ。…っ!」

 

怖い。けれど、負けたくない。

 

こんな自分を毎日相手をしてくれて、守ってくれている人達に恩を報いたい。その意思で、怖くても目の前の怪物に立ち向かう。

 

そして、今度は士道(ヒーロー)と共に戦える強さを身につけて。

 

その意思が四糸乃を成長させた。

 

《行けるよ! 四糸乃!》

 

よしなんの言葉に宙で留まり、高密度なエネルギーを怪物に向けて放つ。

 

 

 

 

 

「《氷結の矢(アイス・アロー)!!》」

 

 

 

 

 

強大にして巨大な弾丸の様な矢を怪物へと放たれた。

この技は、ここに来るまで四糸乃がアニメを見ながら、士道ならどんな風にするのだろうと考えながら辿り着いた答えだった。

 

ガッシャャァァァァンンッッ!!!!!

 

そして、強大な氷矢の一撃が怪物を襲い、悲鳴のような奇声を上げる。

 

ーーーーーーー!!!!!!?????

 

怪物は氷塊の攻撃を受けて、怯みだし、体中が凍っていく。

動きが鈍くなり、反撃も出来ない状態になる。

 

「………ぁ…今…です…っ!」

 

疲れているも、四糸乃は曲げずに合図を送る。

そして、その勇姿に報いるフラクシナスの攻撃が怪物へと放つ。

 

『ミストルティン発射!』

 

神無月の声が耳につけてるインカムを通して伝わる。

 

そして--

 

ドオォォォォォォォンンッッッッッ!!!!!

 

凄まじい音が鳴り響く。

爆風に四糸乃が襲われるが、神無月が操作する顕現装置によって防御領域をもって相殺させる。

 

「…ぁ、ありがとう、ございます。」

 

『いえ、こんな事礼にも及びません。』

 

神無月はそう告げる。

 

ミストルティンの攻撃を受け、怪物を仕留めたと思っていたが--

 

ーーーーーーー!!!!!!!

 

怪物は煙を上げながら、何かを察知して下の方へと落下する様に降りて行く。

 

『怪物が下の方へ逃げていきます。

行き先は…

っ!? あ、或美半島です!』

 

「《『!?』》」

 

四糸乃達は驚く。

怪物の向かって行く先は士道達の修学旅行先。

最も士道達に何かがあって或美島近くまで来ていたが、どうやら空中戦をしている間に或美島まで来てしまったのである。

 

自体は刻一刻を迫っていた。

 

 

 







ここで語るのも何ですけど、フラクシナスの男性クルー達のおっさん2人に関しては全然名前が覚えられないです。
中津川だけは何故か覚えてる…中の人の影響かな?
あ、神無月は絶対にキャラ濃いんで忘れる事はないです。
強いて言うなら、検索ワードで漢字が間違えない様にしないといけない所を気をつけないといけないですかねー。

そして、何とここからこの章の大ボス戦。
第一ラウンドがフラクシナス+四糸乃による交戦になるなんて、予想出来た人いますかね?

それにしても、神無月をカッコよく書きすぎたかもしれん(笑)

久々に前書きでキャラ達の会話(雑談トーク)を初めて見たけど…どうですかね?いらないですかね?


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