アリーナ会場に現れた精霊ディーヴァ、一声かけただけで好感度最低値の1まで下がってしまった。
さぁ、どうする士道くん。
「俺…俺は…」
士道が呆然としていると、インカムから夢界の声が聞こえる。
『士道、目を覚ますんだ。
気持ちは分かるが皆んな心配しているぞ。」
「みんな…はっ!」
皆んなに心配させまいと、正気に戻った士道。
だが、現実は非情である。
「何しているんですかぁ?
不愉快ですから早く消えてくださいよぉ。」
「…」
(辛い…女の子から不愉快だとか、息をしないでとか…
昔を思い出しそうになる。)
士道は一瞬、小学生の頃を思い出してしまう。
───五河くん、やる気ないなら───
「…くっ、思い出すな。」
頭を振って現実へ戻る。
目の前の精霊ディーヴァが何かを仕掛けようとすると───天井が崩れ始める。
士道とディーヴァは後ろへと後退する。
上を見ると、ASTが現れていた。
「…っ、ASTも来てしまったか…ん?」
士道は空にいるASTの中に異なるCRユニットの格好をした者達に気づく。
彼女達はASTの連中とは違い、異様なモノを感じていた。
(何だ? この嫌な感じはこれはまるで───)
士道が疑問を抱く中、空のASTは銃撃を開始する。
数が数だけに銃撃の雨に士道は更に後方へと下がっていく。
「ASTも来てしまった以上、普段の姿を見せるわけにはいかないな。
───行くぞ、ペルソナ!」
メガネがキランと光る。
士道は黒い炎に身を包まれ、怪盗服を纏いルパンへと変身する。
「フッ。」
士道はルパンへと変貌を遂げることにより、普段の控えめな性格から強気な性格へと変えるのだ。
気合いを入れて赤い手袋をはめ直し、精霊ディーヴァの元へと向かう。
「怪我はないか?」
「何なんですかぁ?
口を開かないでもらえますかぁ?
気持ち悪いです。」
「…っ。」
どうやら怪盗服での状態でも彼女には嫌われてしまったようだ。
「俺は───」
士道が再び語りかけようとするも、上からのASTの介入により防止される。
「くっ…」
「次から次へと一体───あらぁ?」
ディーヴァが一瞬眉間を寄せるも、AST達が全員女性であることを知ると目色を変える。
「まぁ! まぁ!
そう、そうですよぉ!
お客さんといったらこうじゃないとぉ!
あぁ、そうですねぇ───」
ディーヴァが攻撃してくるASTを一人一人指をさしながら何かを探し始めた。それは、まるで子供が親にお菓子を買ってもらう時に好みのお菓子を探するような。
「!」
ディーヴァは好みを選んだのか、その1人の元まで音を経たずに消え───なんと、折紙の背後へと現れる。
「アナタ良いですねぇー、私の歌、聞きたくないですかぁー?」
「っ!? っ!」
一瞬、驚く折紙だが背後へと現れたディーヴァへ向けてブレードを振るう。
「あぁん! いけずぅ!」
「何を言っている!」
折紙がディーヴァへとブレードの連撃をし始める。
周りを囲う隊長の日下部達ASTは援護するようにディーヴァへと一斉射撃を開始する。
しかし、ディーヴァは謎の障壁を用いて全て防ぐ。
その様子を見てどう動こうか考えていると、インカムから琴里の声が響く。
『士道! 気をつけて!
一部の者達がアナタの元へも向かっているわ!』
「何?」
束の間、士道に目掛けて弾丸の雨が降り注がれる。
士道は舌打ちをしつつも場(フィールド)の椅子を盾として活かしながら、高速で移動して回避していく。
特訓の成果である。
士道は、体力を大幅につける事により、戦闘期間を長く持続させ、かつ速度も早くなった。
もう一つ、士道は臨機応変に対応する事に特化しており、顕現装置(リアライザ)でランダムに提供された場にて特訓する事によりその資質を開花させた。
「追いなさイ!
精霊はアイツらにやらせテ、私達はルパンを一点狙いヨ!」
「!?」
『何ですって!?』
これには士道達も驚愕の表情を浮かべる。
ASTが精霊よりも、他を優先させる事なんて今までなかった故に驚きを隠せない。
そして、逃げていく中、等々周りを包囲される。
「観念なさイ!」
「…!」
よく見れば、周りにいるASTは折紙達とは異なる格好に気づく士道。
だが、それが分かった所で状況は変わらない。
リーダーと思わしき赤髪の外人女性が手で合図して武器を構える。
ニィと悪い笑みを浮かべて士道に告げる。
「これで終わりネ。」
ドドドドドドドドッッッッッッッッ!!!!!
再び、弾丸の雨が士道を襲う。
「…!?」
宙を逃げ回るディーヴァを追う中、折紙は下で起きている事に気づく。
ーーーーー
フラクシナス
ASTに包囲され、銃を一斉に放とうとする様子を見て琴里が声を上げる。
「士道!」
「士道さん!」
「…っ!」
「大丈夫大丈夫〜。」
琴里、四糸乃、令音が士道の身を案ずるも、夢界が気楽に告げる。
琴里達はそんな夢界を睨む。
「何?」
「あんな連中に士道がやられる訳ないだろ?
こっちとらアイツの特訓に毎回付き添ってるんだぜ?
それに、四糸乃ちゃんは士道と一緒に特訓する事多かっただろう?
だから、大丈夫だって。」
そう言いながら夢界は四糸乃を見て言う。
四糸乃は一度戸惑うも不安な顔をする。
心優しい彼女は大丈夫だと分かっていても心配なのだ。
「それにほら、士道を見ろよ。」
琴里、四糸乃、令音が言われた通りモニターを見る。
するとそこにはニヒルな笑みを浮かべる士道が映っていた。
ーーーーー
弾丸の雨が士道に目掛けて降りかかる中、士道は落ち着いていた。
先ほどよりも計り知れない数なのに───士道はニヒルに笑っていた。
「───アルセーヌッ!」
己が半身の名を呼び、顕現させる。
〈フハハハハハハ!!!!!!〉
黒き大翼を羽ばたかせて、その化身は高笑いを上げ、手から溢れ出る『焼きつく様な青い炎』を銃弾を焼きつく。
すると、銃弾全てが相殺される。
「何ですっテ!?───!?」
赤毛の外人女性ジェシカは驚愕する。
そして、いつの間にか自分達の高さまで来ていた士道は敵全体に向けて、今度はアルセーヌの『波打つ水面の様な青い炎』を浴びさせるように焼き払う。
すると、その青い炎を受けてしまった敵はまるで、
「よしっ。」
敵を殺さずに無力化させた事を確認すると、空の方に上がるために、落下していく中、壊された天井の尖った鉄部分に向けて
「黒の鞭(ブラック・ウィップ)ッ!」
手から放出された触手の様な動きで、ワイヤーの様な切れ味のある様な鞭を絡ませて落下していく中、勢いよく引っ張り、空へと飛び上がる。
[!?]
突如として現れた士道を見て、周りの者達は驚く。
「! 現れたわね、ルパン!」
日下部が
それを見ていた折紙が苦い顔をするも、事態は変わる。
「興が削がれましたぁ、もう帰りますぅ。」
「…え?」
[え?]
それに驚く
士道は黒の鞭で再び会場に向けて放ち、建物の上に着地する。
「ふぅ…さて帰───らせてはもらえないよな。」
それも当然、四糸乃の時にASTに宣戦布告するかのように告げた
若干一名はそうではないためか、不安げだった。
「無駄な抵抗は辞めて、投降してもらえないかしら怪盗さん?」
「…申し訳ないが、そのお誘いは断らせてもらおう。」
「そう、なら強引に───」
日下部が指示を送ろうとすると
───空気が重くなる
夜空は不気味な夜空へと変わっていく。
そう、それは『奴ら』の出現する意味である。
ドクドク…ドクトク…
ジュクジュ…ジュクトク…
不気味な音を経てながら、シャドウはこの世界に現れる。
「…! このタイミングで現れたわね、
どうやら、ASTにもシャドウの事は伝わっているらしい。
そして、下方から勢いよく飛び出してくる者達が現れる。
先程、
ただし、ダメージは喰らっている模様で息を切らしていた。
「…っ、サ、さっきハ…やっテ…くれたわネ!」
ジェシカが武器を構えて
周りにシャドウが出現しているのにも関わらずにだ。
「…」
士道はジェシカ達やシャドウの様子を見ながらどう切り抜けようか考える。
本来、シャドウ殲滅を目的にしている士道のわけだが、状況が状況な故に逃げる事を優先で考える。
「ーーー!!!」
だが、シャドウは形をなしていくといなや、攻撃を仕掛ける。
「きゃあ!」
「このぉ!」
隊員達は悲鳴を上げながらもシャドウを優先に自己防衛の為に攻撃する。
「フッ!」
折紙は素早くシャドウを斬り込む。
士道はそれを見て驚く。
(折紙の攻撃がシャドウに効いている?
…ASTもシャドウに対して抵抗手段を手にしてきている訳か…)
冷静に考察していると、背後から銃撃が襲ってくる。
「…っ。」
回避して行くうちにシャドウにも囲まれ、上からはASTが襲い掛かろうとする。
「好奇!」
銃弾を再び放つ。
そして、シャドウも
『士道!』
状況を常にモニタリングしている琴里がインカムを通して心配する声を上げる。
「大丈夫だ。」
士道は逆立ちに体制をしながら、
「灼爛殲鬼───炎舞(フレイム・ダンス)!」
炎の天使(カマエル)の霊力による凄まじい炎によってシャドウとASTは吹き飛ばされ、焼かれる。
ドカーンッ!
会場の屋根が燃えてシャドウは次々と燃え消滅していき、煙幕が発生する。
その隙に士道は『隠蔽工作』を使い、姿を隠してその場を離脱する。
「…っ、逃げられたわね。」
日下部は苦々しい顔をして呟く。
「逃げられたものは仕方がない。」
折紙はそう切り替えるように言う。
あまり
「…そうね───
…!? ちょっとアンタ達何をしているの!?」
日下部はジェシカに向けて言う。
何故なら、残ったシャドウに向けて妙な装置を持って近づいているからだ。
そして───
装置を起動させて、シャドウを掃除機のように吸い込み始める。
[!?]
日下部や折紙達は驚愕する。
一月前に開発された対シャドウの武器によって対抗手段があるというのに、被害を出す前に殲滅せず回収しているのだ。
「な、何をしているのよ!?」
「見て分からなイ?
シャドウを回収しているのヨ。」
少々キレ気味に対応するジェシカ。
どうやら、士道によるダメージはかなりのものであったそうだ。
「そんなの見て分かるわよ!
どうして殲滅せずに回収なんてしてるのよ!?」
「あラ、知らないノ?
対シャドウの武器は
「!?」
「それニ、この力は精霊に対しても有効。
アンタ達もこれからお世話になるんだかラ、感謝して欲しいものネ。」
日下部達は己が有している武器を見つめる。
この武器に奇妙な生命体であるシャドウが使われていると知り、驚愕する。
そんな中、折紙はジェシカの元へと歩む。
「なニ? 何かよウ?」
「何故、精霊がいる中で彼を狙うの?」
折紙は見ていた、だから愛する士道に攻撃しているのに腹を立てていた。
「はンッ! お子様は関係ないのヨ!」
そう言ってジェシカは折紙を強く突き放す。
「ちょっ! …折紙。」
「平気。」
折紙はジェシカ達を警戒するように睨みついていた。
ーーーーー
フラクシナス
「お疲れ様。
でも、ちょっと派手にやり過ぎよ。」
「…そうだな、反省してる。」
フラクシナスに回収された士道だが、変身を解いてから元気がない。
「…もしかして、ディーヴァにやたら言われたのが今になって効いてるの?」
「…我慢していたんだよ。
けど、女の子に…あんなに言われるなんて…
思わなかったから…」
士道は誰からでも分かる通り、ズーンと落ち込んでいた。
「…大丈夫だ、シン。よしよし。」
その士道を優しく抱き寄せ慰める令音。
その様子を見た琴里は少々黒いオーラを出すも、士道が未だにズーンとしているのを見て引っ込む。
因みに周りのクルー達は見慣れてしまったのか、特に気にしてなかった。
「しかし、ディーヴァの好感度の下がりようは異常でしたね。」
「あぁ、あんな事があるとはな。」
「我々から見ていた限りでも士道くんは何も変な事はしてなかったですよ。」
クルー達が話し合う。
琴里も顎に手をやり考え始める。
「そうね…これは完全に予想外な展開よね。」
「そうだな。」
夢界は段差に座りながらパソコンで解析し始める。
「記録を見返してもなぁ…
士道に悪い点はないな。」
「…そう。」
「あ、あの士道さん。
元気出して…下さい。」
四糸乃も士道を心配し、励まそうと必死だった。
《それにしても、新しい精霊ちゃん。
ちょっと言い過ぎだよねー。
よしのんも好き勝手に言ってくれちゃってプンプンなんだよー》
「だな、いい気分にはならないよな。」
よしのんの意見に夢界も頷く。
「確かに、あんな巨乳にあーだこーだ言われるのって嫌な気分になりますよねー。」
神無月がやれやれとした態度に頭悪い事を言い始めた。
彼は士道とは真逆のロリコンで巨乳が大嫌いなのだ。
[…はぁ。]
琴里を含めたクルー達は呆れた溜め息を吐くのであった。
ーーーーー
翌日
天央祭の準備のため、実行委員は仕事をなさなければならない。
そう、たとえ休みの日であろうともだ。
『明日、各校共同会議があるからよろしくー。
あ、拒否権ないからねー。』
…早朝から亜衣から強制参加の電話を受けて来ているわけが───
「貴様、シドーから離れろ!」
「アナタこそ、士道から離れるべき。」
[…]
10校の生徒がいる中、士道は十香と折紙に両腕を掴まれていた。
(周りの視線がキツイ。)
士道はメガネを曇らせた状態で、2人の柔らかな女体を密かに満喫しながらも、周りの鋭い視線に顔を引き攣っていた。
「ははは、人気者は辛そうだなぁ。
───うん? 連絡先?
あぁ、いいよ! キミなんていうの?」
夢界は士道のことを言いつつも、自分も他校の女の子と仲良くしていた。
「お前も人の事言えてねぇだろ…
はぁ、それにしてもこの10校の生徒がいるのに、ロリが1人もいねぇ。
やる気でねぇわ。」
ツッコミが誰一人として機能していない。
ここは、地獄だろうか。
…と、そんな地獄に天使は舞い降りる。
多くの生徒が振り返る。その美貌に惹かれない者はいるはずがない。
その人物とは───
「こんにちわー。
よく来てくれましたねー、皆さん。」
その声の主は昨日、会場アリーナにて現れた筈の精霊ディーヴァだった。
「竜胆寺女学院、天央祭実行委員長の『誘宵美九』ですぅ。」
その姿を見た士道は驚きを隠さないでいた。
ーーーーー
フラクシナス
「まーさか、昨日の精霊ちゃんが学校に通ってるとか完全に予想外だわ。」
皆の意見を代表して夢界がそう告げる。
クルー達はうんうんと頷いていた。
「んで、どうするよ? 琴里ちゃん司令?」
「…誘宵美九ね。
まさか、彼女が精霊だったとはね。」
(誘宵美九…琴里は何か知っているみたいだな、知り合いか?)
士道の疑問にクルーの中津川が答える。
「誘宵美九。通称:美九たん。
半年前にアイドルデビューして『聞く麻薬』と呼ばれる程の美声で驚異的にヒットした、雑誌やテレビに一才出演しない謎のアイドルなんです。」
(精霊が…アイドル?)
「へぇ、アイドルとはね…
最低でも約半年以上前から、コッチの世界に溶け込んで生活していたって言うの?」
「…」
「それってもしかしたらさぁ。」
夢界の意見に皆が注目する。
「美九ちゃんは
[!?]
夢界以外の全員(1人を除く)が驚愕する。
「えぇ…それなら納得がいくわ。
私と同じ“ファントム”によって精霊にされた。」
「…ファントム?」
士道と夢界は首を傾げる。
「“ファントム”人間を精霊に変える謎の精霊。
正体が掴めない事から『ファントム』って識別名がついたわ。」
(ファントム…ファントムか。)
「「それなんかカッコいい(な)。」」
士道と夢界の意見が重なる。
息が合った事もあって互いにハイタッチ。
そんな2人にドロップキックを噛ます琴里。
「「ぐはっ!」」
「真面目にしなさいよ!
たくっ、これだから思春期男子共は…」
琴里はそう言いながら溜め息を吐く。
神無月が蹴られた2人を羨ましそうにしていたのは言うまでもないだろう。
「んんっ!
まぁ、彼女がどういった経緯で精霊になったのか、この世界に現れたのか、どっちかはさて置き、コレを見て頂戴。」
パチンッ!と指を鳴らす琴里。
すると、昨日に関する映像と好感度のデータが表示される。
「…想像以上に嫌われてるな、俺。」
「トホホ…」となる士道に琴里が語る。
「問題はここよ、令音。」
「…あぁ。シン、これを見て欲しい。」
令音が手元の操作をする。
そこには士道と話している時はジェットコースターが降る勢いが如く急降下して行き、逆に折紙に近づいた時には鰻登りが如く上昇していった。
「…えっと、つまり?」
「あぁ成程ね。
要は美九ちゃんは正真正銘の女の子好きの百合っ子て訳かー。
…アレ? これ詰んでね?」
「えぇ…」
夢界の意見に士道は嘆息する。
「加えて何でも、美九たんは大の男性嫌いで、握手も会話も耐えられないレベルだそうです。
ライブなんかも女性ファンしか入れないそうです。」
頬を赤らめて、若干息を荒くしながら中津川は説明する。
「…つまりだ、シン。
キミが何かした訳ではなく、彼女は男性と会話してしまった事から好感度が下がってしまったという訳さ。」
「…」
「そうですか。」と納得する意見すら言えない、男性嫌いなら士道にはどうしようも出来ない。
「…それで? 何か策があるって聞いたけど、何があるの?
神無月。」
「ハッ!」
パチンッ!
神無月が指を鳴らすとクルー達が瞬時に行動する。
すると、中津川は『来禅高校の女性服』と『メイク道具』を用意し始める。
それを見た夢界はポンッ!と手を叩く。
「にゃるほどね!
【女装作戦】ってわけね!
確かに士道は中性的な見た目だし、高身長でもバスケか何かをしてるって言い訳をすればいいわけね!」
「その通りです。流石は夢界くん、理解が早いですね〜。」
神無月は和気藹々とした表情になって語る。
「さぁ、士道くん。ここは男気を見せて行きましょう。
なーに、先輩の私が指導しますのでご安心───」
神無月が語ってる中、士道は突然、不機嫌になってフラクシナスから地上へと帰る。
「え?」
「…ハァ。」
琴里は頭を抱えだす。
士道の変わりように皆が琴里を見る。
「悪いけど、士道の女装作戦は『不可能』よ。」
「え? 何でだ? かなりいい線してるのに。」
琴里は静かに立ち上がり後ろを向ける。
「…おにーちゃんはね…
[!?]
突然の告白に全員が驚愕する。
しかし、話はこれでは終わらない。
「その虐めの一つに、無理矢理服を脱ぎ捨てられて、女の子の服を着せられ、全校生徒の前に立たされた事があったわ。
当然、おにーちゃんはそれが原因で、何があっても女装されるのが嫌い…
いえ、恐怖の一つになってしまったわ。」
天井を見つめながら琴里は語る。
「忘れもしない。あの時のおにーちゃんの恐怖に怯えていた顔は今でも脳裏に焼きついてるもの…」
ーーーーー
地上に戻ってきた士道は1人、高台の公園で架空を見つめながら昔を思い出す。
『おい、今日はコレを着てもらうからな!』
『お前女みたいな見た目だから、ちょー面白そー!』
『ギャハハ! 女みたいじゃねーか! ウケる!』
[ギャハハハハハ!!!!]
その後、全校集会にて無理矢理壇上に立たされた。
その時に士道の瞳に映っていた光景は───
「…っ!」
ガシャンッ!!
自分の手が痛くなるくらいに手すりに拳をぶつける。
「クッソ…」
あの時のクルー達の目は、まさにあの頃を思い出させるものだった。
無論、事情を知らない皆んなは悪くない。
「…でも、今回の精霊は男性嫌いで、女の子好き…か。」
士道は誘宵美九(相手)の事を考え始める。
何故、男性嫌いで女の子が好きなのか。
それには明確な───
「
士道は瞳を閉じて心を整理する。
過去の事は思い出したくない。
正直な所、こんな案件なら逃げ出したいくらいだ。
…だが。
「俺は…空間震のせいで苦しむ人達を減らしたい。
十香達に辛い思いをさせたくない。精霊の力を狙う奴らから守りたい。」
ならば、嫌だけど…やるしかないのだろう。
「…っ、腹を…括るしかないか。」
諦める…いや、観念したかのように悟り出すと───見覚えのある人物が近づいて来る。
「よっ。」
手を挙げる夢界だった。
「夢界?」
「悪いな、知らんとはいえ、悪ノリしすぎた。」
「…いや、何も悪くないさ。」
「…琴里ちゃんから事情を聞いたよ。」
「…そうか。」
士道はそう言うと、夢界に告げる。
「…やるよ、俺。」
「ん?」
「美九を攻略するのに…女装するよ。」
士道の恐怖を抱きながらも勇気を振り絞った声を聞き届ける夢界。
「…良いんだな。」
「あぁ。」
「カッコいいじゃんか。」
「そうかい?」
「あぁ。」
「笑うなよ。」
「おう、サポートも全力でしてやる。」
「おう。」
士道は前を見据える。
「戻るか。」
士道が歩もうとすると
「ちょい待ってくれ、士道。」
「ん?」
夢界が制止する。
「何だよ?」
「サポートするっていったろ?なら…」
携帯(スマホ)を取り出して、連絡を取っていた。
「何してるんだ?」
「いや、なに。お前にうってつけの人物がいてな。
───着いてきてくれ。」
「?」
士道は黙って夢界に着いていく。
それなりに歩いて数十分、あるマンションに着いた。
「ここは?」
「俺が住んでるマンション。」
「へぇ。」
「助っ人を呼んでいる。
彼女のレクチャーを受ければ間違いなく上手く行くさ。」
夢界の部屋に入ると、そこには───
「…」
帽子、サングラス、マスクといった姿を隠しているザ・怪しさ満点の人がいた。
ーーーーー
翌日、天央祭準備日
指示通り、天央祭の準備のために朝から行動する。
そして、来禅高校の控え室の扉を開けて入る。
「あ、ようやく来たわね、遅いよ!
一体何をして───」
亜衣は入ってきた人物を見て言葉を失う。
その人物は一言言って『美人』だった。
長い美しい青い髪、モデルのような体つき、モノ優しそうな美女は微笑みながら口を開く。
「初めまして、
今日は体調を崩してしまった士道くんの代わりにやって参りました。」
柔和な笑みを浮かべてその場にいた男女を魅了した。
初期からGOまでのイナズマイレブンの技って良い技多いよね。
だから、使っちゃう。
何より技名言いながら敵を攻撃するのってやっぱり良い。
それと、久しぶりにアルセーヌの笑い声を書いた気がする。
自分の頭の中では、アルセーヌを顕現する度に高笑いしているのに…
何故描いてないんでしょう?
あ、そうか高笑いしているのが常の印象があるからか。
それとアルセーヌの今回披露した『青い炎』による詳細は、物語では多分明らかにはしずらいので美九のお話が終わった後でキャラ設定【主人公】で記述しておこうと思います。
それと、
僕はあの作品を見てから厨二病に取り憑かれた時がありました(笑)
後、ルパンとして敵に認知されている間は士道の表記を特殊にしてみました。
最後に、チラッと程度に現れました。
みんな待ってたやろ?
僕も首を長くして待っていました。