いよいよ、四話まで来ましたね。あぁ、早く戦闘させたいよぉ。
「…シン、そこはそうじゃなくてね───」
「はい。」
「…ここは、こうだね。」
「…はい。」
エレキギターの訓練が始まって数時間、家にいる精霊達への夜ご飯の後でも、士道はエレキギターの練習をしていた。
「…っ。」
熱心に取り組んでいる…が、お世辞にも成長は芳しくなかった。
「悪いわね、令音。士道が不器用なばかりに付き合わせちゃって。」
「…ん、構わないよ。」
琴里が申し訳なさそうに令音に言うが、令音は特に気にしてない様子だった。
「士道がもう少し器用だったら、良かったのだけど。」
「…琴里、あまり心にない事はあまり口にしない方がいい。大好きなおにーちゃんが頑張ってるんだ。」
「んなっ! わ、私はそんな事なんか…」
「…」
令音が無言で琴里を見つめる。琴里は気恥ずかしいが、親友の前だけは隠すのは野暮だろうと思い、本心を口にし始める。
「…むぅ。勿論、言い過ぎてるって思っているし、早く上達して欲しいって思ってるわよ。」
「…あぁ、そうだね。」
汗を掻きながらも、必死に上達しようと懸命になっている士道を部屋の前で見つめている。
今、士道は令音からレクチャーを受けた事をひたすらモノにしようと頑張っていた。令音は手詰まりでいる士道に優しく教えようとするも、琴里から一旦距離を置くように言われ、離れているのだ。
「しかし、離れていいのかい? 言うのもなんだが…かなり苦戦している様子だよ?」
「良いのよ。士道はカッコつけたがり屋だから、上達した所を見てもらいのよ。」
琴里は士道の事を誰よりも理解している。身近でずっと一緒にいるからだ。
士道は、人前であまり失敗する所を見せたがらない所がある。故に、地道で失敗ばかりしている所を見られるのが嫌であり、近づいても1人になろうとするのである。
「それに、ここから見れる景色ってのも中々悪くないわよ。」
頬を少し赤らめる琴里が言う。令音は懸命になっている士道を見て微笑む。
「…あぁ、そうだね。誰かのために頑張っている彼は誰よりもカッコいいさ。」
「でしょ?」
2人は近くで士道が上達するのを願って見守っていた。
アレから数時間が経った。
「ふぅ…」
本日の訓練を終えて、一息つく士道。ギターの腕前は初心者ながらも人前で披露する分には上達した。
…本来、ここまで上達するのにそれなり才能が必要となるが、士道の場合はスイッチが入ると突出した異能を発揮し、今回の場合、ギターの腕前がベテラン並みまで上達する見込みがあるのだ。
「お疲れ様。」
「…お疲れ、シン。」
琴里と令音が部屋に入って来た。
「これなら、天央祭当日は何とかなるんじゃない? まぁ、連携が噛み合えればの話だけど。」
「そうだな。まぁ、頑張ってみせるさ。」
そう言って飲み物をゴクゴクと飲み干していく士道。
「さ、明日に向けて風呂に入って寝るようにしなさいよ。私はまだ、やる事があるから帰れないけど。」
「分かった…ん?」
ふと、士道はずっと思っていた事を思い出し始める。
「何よ?」
「…いや、俺達は美九をデレさせて、霊力を封印するために今頑張ってる訳だろ?」
「ええ、それがどうしたの?」
「…女装している事が知られた後は、どうするんだ?」
「「…」」
2人は想定していなかったために顔を見合って沈黙する。次第に琴里は士道の肩を持って言う。
「頑張れ、おにーちゃん♡」
「え? まさかのノープラン…?」
霊力封印した後も課題が残っている事に頭を悩ませる。
だが、それはあくまでも封印した後の事だ。今はデレさせることに集中すべきだと士道は判断した。
ーーーーー
翌日
夢界を通して亜衣達に敬意が伝わり、士道達は合同訓練を行おうとしていた。
「いやー! 助かるよー!」
「地獄に仏ってこういう事をいうのね!」
「まじ感謝!」
3トリオのそんなやり取りをしていた。
「おぉ! これが、伝説のタンバリンというのだな!」
因みに十香も参戦であった。
(タンバリン…って、いや、何とかなる事をもう祈るしかないか。)
「後は、歌手よねー。誰か上手い人いないかしら。」
(え? キミが歌うんじゃなかったの?)
よく見れば、亜衣はドラムのバチを手にしていた。
士道がこれで勝てるのかと難儀な顔をしていると、突如現れた折紙がマイクを取って音楽を流し始めて歌い始める。
「───♪」
それは、もう完璧だった。何せ、その場にいた者達全員(十香を含む)がその歌に感銘を受けていた。
歌い切った折紙、皆は自然に拍手をしていた。
「行ける…っ! これなら、優勝も間違いないっ!」
「私達を裏切った連中にもギャフンって言わせられるわ!」
「血祭りに上げてやるっ!」
「…最後の子、やっぱりおかしいよね。」
こうして、なんやかんやあって天央祭に向けて練習するのであった。
ーーーーー
「はぁ…幼女がいねぇのに、実行委員の仕事とかダリィな。」
荷物を運んでいる翔が溜め息を吐きながら歩いていた。すると道中、側の教室から楽器の音や女の子の言い合いがする。
「あん?」
無性に気になってチラリと覗く。すると、そこに居たのは、天央祭を仕切っていた亜衣を筆頭とした仲良し3トリオと言い争っている折紙と十香に、何処か見覚えのある見知らぬ
「あん?」
チラッと顔が見えた。翔としては、全く興味のない女であったのだが、その顔に何処か見覚えのある感じがした。
「アイツ…」
翔は1人の人物が脳裏に浮かんだ。その人物は、仕事を押し付けられすぎて高熱で倒れたと聞いた何やかんやあって友人となった人物だった。
ーーーーー
夜
折紙はロッカーにて着替えていた。昼には士道と共に天央祭に向けた練習をして有意義な時間を探していた訳だが(十香が適度に邪魔をしていた)、放課後は訓練をして終えた訳だが、周りから避けられているような感覚があった。ついでに言うと、監視されている。訓練の時からDEMから派遣されて来た連中が折紙を見つめていた。
「…」
とはいえ、折紙としてはどうでも良い。明日の天央祭に向けて帰宅しようとした途端、勢いよくロッカーを開ける音がする。
「はぁー、もう疲れたわー。」
隊長である日下部である。すると、彼女は不自然な事を呟く。
「あぁもう…こんな時は
「…!」
折紙はその不自然に反応する。隊の中で浮いている彼女だが、中でも隊長である日下部とは話をよくする。彼女の事をよく理解しているものだ。
一言で言うなら苦労人。そして、彼氏を常に求めている。だが、出会いがないだのと愚痴を聞いている。そのため、急に『彼氏』と言う彼女に異変に反応する。
「さぁ! 早く帰ろっ!」
と、日下部はドンッ!とロッカーのドアを勢いよく閉め、鼻歌を歌いながら歩み始める。すると、日下部はわざとらしく大勢を崩す。
「おっとっと…」
スッと日下部は監視の目を盗んで、折紙のスカートのポケットに紙を入れる。それに気づいた折紙は気づかない素振りで日下部を支える。
「大丈夫。」
「あぁ、悪いわね折紙ー。じゃあねー。」
と言って日下部は退出していく。折紙も普段通りに基地を後にする。人目のつかない場所で渡された紙を広げて内容を確認する。
そこに記されていた内容は───
『明日の天央祭一日目(時刻は15時)、天宮アリーナにて"夜刀神十香"の捕縛、及び"五河士道"の捕縛。
それも、空間震警報を鳴らさずに人前で顕現装置(リアライザ)の使用する事態。コレを阻止できるのはアナタ一人だけ。
格納庫の鍵をかけずにおくから、全力で阻止しに来なさい。責任は私が取るから。
アンタの大切な人を守るために頑張るのよ。』
「…っ!」
その内容を見て、折紙はギュッと拳を握りしめる。彼女としては十香がどうなろうと構わないが、愛する士道が捕縛対象にされている。士道に危機が迫っているとの事だ。
「ありがとう、隊長。」
折紙は空を見上げてそう呟いた。
ーーーーー
「いいじゃない。中々の腕前よ。」
琴里が賞賛を贈る。その訳は、明日の美九との勝負へ向けての仕上げを確認するために琴里に見てもらったのだ。
「よし。」
「…あぁ、文句なしに上達出来た。流石だね、シン。」
無論、令音もいた。士道は令音から褒められた事に無償に嬉しくなった。
「ありがとうございます、令音さん。」
「ふぅ。ともかく上達が早くて良かったわ。そうじゃなかったら、士道のせいで私達を含めた精霊達がみんな、美九の支配下に置かれることになったもの。」
「ははは…けど、なんかもう勝った気になってないか、琴里? 相手は現役アイドルで、軍配はあっちの方が遥かに上だ。」
そう、はっきり言って美九は自分が優位な立場で勝負をふっかけたのである。
そのため、喧嘩を吹っかけたのが士道側であるのだが、内心では冷や冷やとしていたのである。
「まぁね。けど、おにーちゃんが負けるわけないでしょ。兄を信じない妹が何処にいるのよ?」
「…!」
どうやら琴里は最初から士道が勝つことを確信していたらしい。士道は琴里が迷わず士道が勝つと信じてくれてたためか、嬉しかった。
(あぁ、俺は恵まれてる。───恵まれすぎているくらいに。)
士道が心の中で呟くと、琴里はホッとした顔になって語る。
「それにしても、士道がギターの係である事がある意味救われたわね。もし、歌手をやれって言われたらそれこそ───負けてたもの。」
「? 琴里、それはどういうことだい?」
疑問に思った令音は問いかける。よく見れば、士道も少し雲がかかった様な顔で安堵していた。
「あぁ、これも令音は知らなかったわね。実は士道って
「…そうなのかい?」
「えぇ、ほら、合唱コンってあるじゃない? 大抵は中学から始まる所が多いと思うのだけど…士道、歌うと音程取れてない上に周りに合わせられなすぎて、合唱コンの時は口パクで乗り切ってたのよ。」
そう、士道は音痴でもある。ギターを弾いた事がないのも、そもそも歌うのが下手であるからだ。お陰で、音楽の成績は最悪である。
「…そうか。」
「…ハハハ。」
乾いた声で士道は笑う。その表情はどこか悲しみを含めていた。
「…?」
令音はふと、ある部屋の前に立ち止まる。
時間としては、既に琴里達は就寝し始めている頃だろうが、令音達大人は士道のバックアップのために行動している。令音は自分の仕事を終え、一休みをつこうとしていた所で何やら誰かが歌っている事に気づいた。
そこで目にしたのが───
「───!」
士道が歌っていた。琴里が言っていた通り、お世辞にも上手いとは言えなかった。所々でリズムがズレていたり、声が高かったりしていた。
「…はぁ…はぁ…これじゃダメだ。」
涙目になって汚い言葉を吐く。だが、決してその目は諦めていなかった。
「───!」
再び、歌い始める。懸命に、懸命に。
「…」
令音はその様子を陰で見守っていた。最初は何故、歌っているのかを考察したが、意外と直ぐに答えは出た。
どうやら、令音は士道のことをかなり把握出来るようになっていたのだ。
「…ふふ。」
それが嬉しかったのか、静かに喜んでいた。そして、令音は頑張っている士道に向けて小さく呟く。
「頑張れ、
彼女は、普段の呼び名ではなく、士道の名をちゃんと口にしていた。
ーーーーー
とある建物の上で、明日から始まる天央祭の会場となる天宮アリーナを見下ろしている2人の女性がいた。
「いよいよ、明日だね。」
その内の1人、青い長髪の女性がそう呟く。
「楽しみにしている人達が沢山いる中で、堂々と奇襲するってどうかしてるよ。」
見下ろしているアリーナには明日のために懸命に準備をしている人達がいた。そんな彼らの努力を無駄にしようとする連中の気が知らない。
「そうですね。まぁ、あの会社は頭の可笑しい連中がトップに立っていやがりますので、仕方ねーです。」
もう1人の女性も口を開く。
「何より…」
携帯を取り出し、待ち受けにしている写真を見つめる。その写真は汗を拭いでいるメガネをかけた青少年だった。
ーーーーー
天央祭当日
女装した士道はあくまでも『士織』として動くため、女子のグループに呼ばれた。
「うわぁ、スッゴイ様になってる。」
「同じ女子なのに嫉妬しちゃうー。」
「マジ引くわー。」
3トリオがマジマジと見つめながら感想を述べる。
「おお! ヒラッヒラなのだ〜」
十香は初めて着るメイド服を楽しんでいた。
「…」
士道はジロジロ見られる中、ふと
(あれ? 折紙がいない?)
何となくだが、折紙に何かされるんじゃないかと覚悟していたが…周りを見渡しても折紙の姿は無かった。
天央祭が開催され、人がゾロゾロと現れる。去年も体験したが今年も凄い人数が来ているものだ。
去年は、琴里と一緒に回ったくらいで、特に思い出に残る事がなく終えたわけだが…今年は色んな意味で思い出に残りそうだ。
その訳は───
「おい、あの看板の娘、可愛くね!?」
「絶対、モデルか何かやってるだろ!」
「…」
多くの人にジロジロと見られてる。正直キツイ。
普段でも人混みが苦手だというのに、これだけの人に見られるのが辛い。早く時間が経って欲しいと思わずにはいられなかった。
そう思う中、人混みが騒つき始める。
「ふふふ、その格好似合っていますねー、士織さん♪」
何と、美九がやって来たのだ。同じ学園の女子達を引き連れて。
「ど、どうも。」
「ふふ、士織さん。今、時間ありますかー?」
「えぇっと…」
『何してるのよ士道。せっかく相手からデートのお誘いが来てるのよ、対応しなさい。』
インカムから琴里の指示が通る。
看板仕事があるのだが、仕方がない。
「んん? 士織さん、何して───うお! あの誘宵美九だ!」
亜衣を筆頭に3トリオが現れ始める。
「ふふふ、アナタ達も中々可愛い子達ですねぇ。でも、今は士織さんを相手にしたいので
───【邪魔はしないで、何処か行ってくれますか?】」
美九が天使を使って、亜衣達や付いてきている子達を士道達から引き離した。まるで、人を『物』の様に扱っている様に。
「…っ。」
士道はそれを見て、警戒心を向ける。加えて、あまりいい感情を向けなかった。
「ふふ、そんなに警戒しなくてもいいですよぉ。士織さんには効かないようですしー。それに、アナタの綺麗なお顔が台無しですよぉ?」
と、言いながら美九は士織に近寄る。
(…あまり気が乗らないが、今は美九の機嫌を損ねる訳にはいかない。ここは美九に合わせて行動すべきだな。)
士道は美九のお誘いに応じる。
士道と美九が接客している間、1人まだ夏だというのに、冬服の格好をした来禅高校の女子生徒がリンゴ飴を持って、女装した士道を見て面白そうにしていた。
ーーーーー
「…はぁ。」
美九とのデートを終えた士道は溜め息を吐く。腕を組まれたり、クレープを食べているとそれを横から食べて来たり、適度に美九のペースに呑まれて、インカムから琴里の罵倒を受けたのであった。
だが、最後に気になる事を吐いて美九は午後の勝負に向けて立ち去った。
『───士織さんが、ステージに立てれたらいいですねぇ。』
その言葉が引っかかって考えていた。そうしていると、人にぶつかってしまう。
「ご、ごめんなさい。」
「あぁ、俺も悪かった。」
その人物は翔だった。女装した士道と鉢合わせるのはコレが初だったのだが、ある意味困った事態だ。早急に離れなければ。
「おい。」
「へ?」
真面目な顔で声をかけられる。
「お前───士道か?」
「…っ!?」
「…やっぱりな。」
翔はどこか納得したような顔をする。
「…どうして分かった?」
「何となくだよ。後、付け加えるなら、突然現れた助っ人って時点でどうも胡散臭いと感じていたんだよ。ついでに言うと体格もだな。」
「…体格?」
「これでも院長の息子だぞ? 将来は医師になれって事で、色々と勉強させられるんだわ。その影響で腕や足の筋肉についてもそこそこ分かるんだよ。その肉付きは男のもんだとな。」
何という事だろうか、士道の知識不足だった故か、その辺の対策は考慮していなかった。
…いや、そこまで気付けるのは稀だろう。
「…悪い、事情があってこの姿で行動しているんだ。黙ってて欲しい。」
「そりゃまぁ、良いけどさ…一応聞くが、それは新しい趣味か?」
「ない。寧ろトラウマだ。」
「おおう、マジだな。」
士道のガチトーンの否定に翔は同情した。
「ま、何かあれば聞くし、助けてやるよ。お前見てるとほっとけないしな。」
「助かる、翔。」
「おう。」
士道と翔は軽めに拳を合わせる。すると、翔に不思議な感覚を得た。
「?」
「じゃ。」
翔が疑問を抱くも、士道は気づかずにその場を後にした。
ーーーーー
「いらっしゃいませ───令音さん、四糸乃!?」
時間までに接待をしていると、令音と四糸乃が客として現れる。
「は、はい…しど、士道さん。に、似合ってます。」
《もうその姿で生活しても問題ないんじゃなーい?》
「…問題ありまくりだ。」
よしのんの意見に士道は冷静にツッコミを入れる。
「…やぁ、シン。中々似合っているよ。」
令音が微笑みながらそう言う。
「令音さんまで…そんな事無いですよ…」
素直に喜べない士道だった。
「…っ、あ、ご注文は何かありますか?」
「あ…ええっと…その、士道さんが作るモノでしたら何でも。」
「…そうだね。シンの作るモノなら私も何でも構わないさ。」
四糸乃は十香(琴里、耶倶矢、夕弦)同様に士道の作る手料理が好きなためそう答える。令音も夏以降から五河家で食事をする事が多くなったため、士道の料理が好きになっているのであろう。
「そ、そっか。」
頬を赤らめて士道は小恥ずかしそうに頬をポリポリとし始める。そして、その姿を見て令音は瞬時に携帯で士道を撮る。
カシャッ!
「え!? れ、令音さん!?」
「…あぁ…気にしないでくれたまえ。」
「凄く気にするんですが!?」
「あ…あの…令音さん。その写真、私にも…下さい。」
「四糸乃まで!?」
士道の女装は彼女達からも好評であった。
「───っ! 今さっき、極上の美少女(ロリ)がいなかったか!?」
荷物を運んでいる翔がある喫茶屋の前を通った後に気づく。
「間違いないっ! 確認しなければっ!」
そう言って実行委員の係に誘導されていながらも、通りすぎた喫茶店を覗く。
すると───
美味しそうにパンケーキを食している『天使』がいた。
軽いウェーブのかかった青水色の髪に、左手に何やら人形を通したこの世の『癒し』を体現させた美少女(ロリ)がいた。
「間違いない…美しい幼女だっ! あのようなロリは見たことねぇっ!!
…隣にババ───ゴホンゴホンッ! 終わった女がいるなぁ…あれ? あの人、村雨先生か? それに…あれは士道じゃねぇか。
───おい、士道の奴が来た瞬間に笑ったぞ…っ!!」
「ちょっと! 天宮くん! ちゃんと運んでよね!」
実行委員に引っ張られながら翔は誓う。
(あのロリについて、詳しいO☆HA☆NA☆SIをしないとなぁっ!!!)
四糸乃という存在を知られてしまった。さて、今後どうなるのだろうか…
ーーーーー
午後の部、ライブ本番前
アリーナ会場の控え室で待機していた士道達だったが、何故か3トリオが来てなかった。
「む? 亜衣達がまだ来ぬな。何をしているのであろうか…
はっ! さては店の食べ物を食べているのだなっ! シドー! 共に行くのだ!」
「待て待て! 後、今は士織で通してくれ、十香!
…それにしても、来ないのは流石におかしい。」
集合時間をとうに過ぎている。心配になって連絡をいれると───
『あぁ悪いけど───うちらライブに出るのやめておくわ。』
「!? ど、どうして!?」
『だって〜、
「!?」
『そういう事だから、頑張ってねぇー!』
『ファイト〜!』
残りの2人も亜衣と同様に美九によって先手を打たれてしまったらしい。しかも、折紙とも朝から連絡が取れない。
「し、シドー…」
十香が士道を見て、心配な顔をして手を握る。
「…っ! どうする。」
本番まで時間がない。士道は頭をフルに回転させ思考する。そうしているとインカムから夢界の声が聞こえる。
『どうやら、先手を打たれたようだな。だが、不幸中の幸いだ! 助っ人を呼んどいたぞ!』
「す、助っ人?」
士道が問いかけた瞬間、控え室のドアが開く。
そこに立っていたのは───
「フッ! 待たせたようだな!」
「見参。夕弦達が来た以上はもう安心です、士道。」
そこに現れたのは士道達と同じメイド服をした耶倶矢と夕弦の八舞姉妹であった。
「耶倶矢! 夕弦!」
「おぉ! 2人ともではないか!」
「呵呵々、加勢に来てやったぞ、士道よ。ライブをするのであれば、我等の力を貸してやろう。」
「首肯。夕弦達は以前、音楽での勝負をした事もありますので、戦力になると思います。」
「それは頼もしい!」
助っ人に来てくれて、必要不可欠な楽器枠が来てくれた事に感謝しきれなかった。本当は、その勝負の際に何処でやったのか、お金云々は大丈夫なのか聞きたかったが、今は関係ない!
「ぶっつけ本番だけど皆んな、力を貸してくれ!」
「「「おお!!!」」」
決意を固めると、ライブの幕開けの合図が鳴る。
「フッ、その気持ちを大事にしろよ。」
扉を背にして夢界を小さく微笑む。
ヴーッ!
携帯が鳴り響く。その震えは嵐前の静けさの終わりを知らせるかのように。
「…来たか。」
目を細めて、窓の先を睨む。その目先からは見えないが、遠くから何かが接近して来ていた。
オリジナルな展開に発展させたいけど、中々アイデアが浮かばないから原作よりの流れになっちゃう。
おまけ
「あれ? その写真は何?」
「へ!? あ、いや、コレはそのぉ…え、えぇと…」
「…私も欲しいなぁ。何処で撮ったの?」
「あーいや、そのぉ…内緒にして下さいよ。実は、あの人に写真を撮ってきてもらったんですよ。」
「私も頼もう。」