デート・ア・ペルソナ   作:黒ソニア

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ようやく戦闘が始まるね!





第五話:セレモニー

 

時刻は15時になる頃

 

「…」

 

「ふフ、さぁいよいよセレモニーの開演会場に着くわヨ!」

 

今回の作戦に納得いっていないAST部隊を率いる日下部とDEMから派遣された魔術師(ウィザード)を率いるジェシカが天宮アリーナ会場へと向かう。

 

その道中の正面にて謎の爆発が起きる。

 

「な、何事ヨッ!」

 

ケホケホッ!と咳き込み、憎らしげの表情をする。

 

すると、更に上空から謎の機体が降ってくる。

 

その正体は───

 

「嘘ッ!? ()()()()()()()()()!?」

 

ホワイト・リコリス

 

約3ヶ月前にイフリートとの戦闘にて使用され、半壊した筈の欠陥品。しかもそれを扱っている人物は前回でもこのホワイト・リコリスを無断使用して、かつ半壊させた原因である

 

───鳶一折紙だった。

 

「このッッ! クソガキがァァァッッッ!!!」

 

ジェシカが折紙を見て、大声を上げながら特攻する。部下達の援護射撃に日下部達の援護射撃が折紙を襲う。

 

折紙は慌てず冷静に対処する。

 

「防御領域(プロテクト・テリトリー)、展開!」

 

緑色のドームの様な領域が展開され、難なく攻撃を防ぐ。

 

「クリーヴリーフッ!」

 

防御領域を解除し、煙が発生している中、大型のレイザーブレイドを起動させ、ジェシカに突進して吹き飛ばし、ジェシカの部下達をブレイドで容赦無く攻撃し、日下部達には峰打ちを意識した攻撃を行う。

 

AST(折紙の同期)達は()()()()()()()()()()()()()()()辺り一帯に吹き飛ぶ。どうやら、隊長の日下部は隊隊には事情を説明していた様だ。

 

「クッ! 役立たず共ォッ!」

 

そんなAST達を見て、ジェシカは更にキレ荒れる。

 

「総員、撃テェッ! 我々の邪魔をするものハ、誰でおろうと排除せヨッ!」

 

ジェシカが部下達に命令する。部下達はただ命令に従う人形が如く返事をして銃を乱射する。

 

折紙は防御領域を展開して受弾の雨から自身を守る。

 

「…っ。」

 

折紙は苦い顔をするも、攻撃を耐えきる。

 

「負けない…っ! 士道は、私が守るっ!」

 

折紙は1人、愛する人のために戦う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワァァァァァッッッッッ!!!!!

 

アリーナ会場内は観客の声援で賑わっていた。

 

「…」

 

息を呑む。緊張で心臓がドクンッ!ドクンッ!と鳴っていた。今現在、士道と美九以外が終了した。そして、次は美九の番である。

 

「…流石は、現役のアイドルだな。美九の時だけ、皆んなの雰囲気が別次元に違う。」

 

他校の生徒の時でも盛り上がりがっていたが、美九の時は常に声援が激しかった。

 

『あらご不安な様子ね?』

 

「それはそうだろう。相手が相手なんだし。」

 

『そ、でも安心しなさい。手は打ってあるわ。』

 

「へ?」

 

琴里の言葉に士道は疑問に抱いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…っ! 凄い熱気、です。」

 

「…あぁ、確かにこれは凄いものだね。」

 

観客席には令音と四糸乃が座っていた。四糸乃が見たいとの事で、令音が保護者枠として一緒にいる。

 

「し、シドーさんは大丈夫でしょうか?」

 

《確かにねー、相手はアイドルなんでしょう? それも、士道くんの所は美九ちゃんのせいでメンバーが出場するのをやめたと言っていたし。》

 

四糸乃達にも事情は伝わっている。だから、士道の事が心配で一杯で不安な顔になる。

 

「…大丈夫だよ。」

 

令音が優しく接し、頭を撫でる。不安にいる子供を慰めるかの様に。

 

「は、はい。」

 

「…ん、始まるようだね。」

 

その瞬間、ステージの照明が光る。いよいよ、美九の番が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フラクシナス

 

美九のライブが始まった。彼女の歌、踊りは多くの観客を魅了している。

 

その様子を中継している艦内では、中津川が職務放棄をしてドルオタ踊りをかましていた。

 

「美九たん! 美九たん!」

 

「…」

 

琴里を含めクルー達は半眼になり溜め息を漏らす。

 

「本当なら、神無月や士道と同様に体罰してやりたい所だけど…中津川は彼女のファンでもあるわけだし、仕方ないか…」

 

なんやかんやで琴里はクルー達には甘々である。フラクシナスのクルー達は琴里にとって仲間というなの『()()』である。

士道が攻略した精霊達に対して抱いているのと同じである。士道と十香達とは固い絆で結ばれた新しい『家族』である。

 

琴里にとっては彼らがそうである。だから、中津川が勝負の相手である美九に対して応援してしまっても呆れこそしても、やめるようにはしない。何故なら真剣だから。

 

中でも令音は琴里にとっても、士道にとっても特別に近い感情を抱いている。琴里は、歳が離れていても気軽に接してくれる事をキッカケに親友に。士道は十香達と同じくらい大切に思っており、そして───

 

……夢界は悲しいかな。現状はそこまでの領域に入れていない。まだ、何処か警戒してしまうのである。

 

「フッ、先手を撃たれてしまったけど、コッチにも秘策はあるわ。」

 

パチンッ!

 

指を鳴らし、指示を送る。箕輪は頷いて現場にいるスタッフに指示を出して作戦を実行する。

 

すると───アクシデントが発生したのか、照明が切れる。

 

観客達はどよめいき始めた。作戦はアクシデントに装って美九のパフォーマンスの妨害であった。

 

『おい、琴里。コレって…』

 

「あら? 何かしらね。幸運の女神は私達に微笑んでいるのよ。』

 

モニターに映る半眼になっている士道に対して「オホホホッ」と返す琴里。

 

だが、美九はこの状況すら乗り越える。暗い中で、彼女は手を天井に上げて、口を開く。

 

『───『神威霊装・九番(シャダイ・エル・カイ)』!』

 

霊装を顕現させた。コレにより、霊力によって周りの照明が彼女の思い通りに動き、色も変わる。多くの観客が先程よりも勢いを増す。

 

「なっ!? 霊装を顕現させただけでなく、アクシデントを利用して更に場を盛り上げるなんてっ!?」

 

これには琴里でも予測出来なかった。まさかの妨害を利用されてしまうなんて…琴里は心底悔しそうな苦痛な顔になる。

 

「くぅっ! コッチの作戦を利用されるなんて…っ!」

 

「司令。落ち着き下さい。その様なお顔を士道くんが見れば、悲しまれます。」

 

「神無月…」

 

琴里とクルー達が神無月を見る。彼はふざけている時もあれば、真面目で頼りになる事がある。ギャップの差が激しいためか、皆は良い意味でか反応に困ってしまう。

 

「そうね。」

 

「司令は常に余裕でいる方のが宜しいかと。我々は強気なアナタがいるからこそ、安心していられるのです。」

 

「神無月。」

 

「───それに、司令は苦しむ側でなく、苦しませる側であってこそなのですっ! 無慈悲な司令こそ、我々ドM界の天使なのですっ!!」

 

神無月が良い顔で拳に力を込めて告げる。この男、最後には色んな意味で台無しにしてしまう残念なイケメンである。

 

「…」

 

琴里は静かに立ち上がる。いつも通りの神無月にお仕置きである。今回は神無月のお尻を強く蹴る。

 

「ふんっ!!」

 

「あぁぁぁぁ〜〜〜〜っっ!!!」

 

神無月は恍惚した表情とし、喜びの声を上げて倒れ込む。そんな彼を見て、クルー達は呆れて溜め息を漏らす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…凄かったな。」

 

士道はそう呟く。琴里達による妨害も利用して自分の存在感をアピールした事に敵ながら天晴れだと感じてしまった。

 

「同意。アクシデントを霊装でカバーするとは驚きました。」

 

「あぁ、流石としか思えなかった。」

 

「とは言えだぞ、士道よ。我らはそんな彼奴を倒さねばならぬのだぞ?」

 

「…うん。」

 

耶倶矢の言葉により、プレッシャーを感じながら息を呑む。

 

「だが、勝つのは私達だろう? シドー。」

 

「あぁ…行こうっ!」

 

「「「おおう!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『続いては、来禅高校のライブです。』

 

アナウンスにより、士道達は指定された位置に立つ。すると、インカムから琴里の慌てる声が響く。

 

『士道、ごめんなさい。さっきの妨害が仇になってしまったみたい。

音源が流せられないわ。幸い、まだ暗闇の中だから離脱するのよ。

大丈夫。策はコッチで考えておくから。』

 

「…」

 

琴里がインカムからライブから降りろと指示を受けても、士道達は動かなかった。

 

『何しているの? …ま、まさか歌う気? 

駄目よ士道、アナタは音痴なのよ!? だから逃げ───』

 

『───琴里。』

 

突然、令音が回線に割って入って来た。

 

『ど、どうしたのよ、令音?』

 

『琴里、大丈夫だ。シンなら音源が無くても問題はないさ。』

 

『…え? それはどいう事?』

 

琴里の疑問に答えるが如く、士道達は照明に照らさせる。

 

「1、2…1、2、3!」

 

士道の掛け声に合わせて十香達は歌い始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フラクシナス

 

『〜〜♪〜〜♪』

 

モニターに映る光景を見て、琴里は静かに感涙していた。

 

「凄い…いつの間に歌えるようになっていたの? おにーちゃん。」

 

モニターから聞こえるのは耶倶矢と夕弦による息のあった楽器のリズム。十香がタンバリンで可愛らしく鳴らしながら、美しい声で歌い。

士道はエレキギターで音を鳴らしながら、密かに特訓していた歌で会場を盛り上げていた。

 

「凄いですねぇ。」

 

「青春って感じがしてていいですよねぇ。」

 

とクルー内からも称賛していた。

 

「ええそうね。」

 

琴里は微笑みながらそう呟く。そして、同時に令音の言っていたことを思い返していた。

 

───琴里、大丈夫だ。シンなら音源が無くても問題はないさ。

 

「…」

 

琴里は令音の言葉を思い返すと胸が苦しくなっていた。

令音が士道と仲が良いのは当然理解している。それ自体は妹としても、友人としても嬉しい事だ。

けど、同時に自分が知らなかった事をしていることに嫉妬している自分がいる。それはまるで、大好きな兄が親友に取られているような感覚だった。

 

何せ、士道が時折見せる令音を見る顔は───

 

「司令。」

 

考えていると、深刻な眼差しで琴里を呼ぶ神無月であった。

 

「どうしたのよ?」

 

「実は先程、離れた場所にて魔力反応を確認しました。」

 

「───何ですって?」

 

神無月の言葉に琴里はクルー達に指示をして調べる。

 

「魔力反応の座標を確認しました! 映像を出します!」

 

箕輪がモニターにて状況を映し出す。すると、そこに映っていたのはAST部隊とDEMの魔術師達を相手に一人で戦っている折紙だった。

 

「!? 鳶一折紙が何でいないかと思えば戦っていたのね。

けど、だとしたら何故相手は精霊ではなく、味方同士で戦いあっているのよ?」

 

そう。今、折紙が戦っているのは同じ組織に所属しているAST達に、同じ精霊を相手にしているDEM達だ。精霊が現界した様子はないが、おそらく、何らかの出来事で美九の正体が知ったのだろうと推測されるが…

 

味方同士で戦いをしている事に疑問を抱くと同時に折紙の武装に着目する。

 

「…アレは私の時に使用した武装よね? だとしたら、そう長くはもたない筈…けど、そもそも何で味方同士で戦ってるのよ。」

 

目を細めながら考察する。考えても思い当たる事は一つ。

 

「士道の為?」

 

「彼女のこれまでの行動経歴や情報を考慮してしても、それしかないかと。」

 

「でしょうね。でも何故争いを…まさかっ!」

 

「はい。おそらく、今回の敵の目的は精霊ではなく、()()()()が狙いなのではないかと推測されます。」

 

「くっ!」

 

バンッ!

 

手を強く叩く。敵が動いている原因は美九ではなく、士道。このままでは士道の身が危ない。幸いにもライブの時間はそう長くない。

 

「今すぐ、士道に連絡を───」

 

琴里が言いかけた所で、状況に変化が生じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…」

 

「フン、ザマァないわネ。」

 

交戦が始まってから時間が経ち、折紙は息を荒くしていた。理由は当然、ジェシカ達を侮っていた訳ではないが、修復され強化されたホワイト・リコリスを使用すれば勝てると過信していた折紙の失態だった。

 

ジェシカ達は想定していたよりも強かった。中でも厄介なのは、ジェシカが率いる部下達だった。ジェシカはホワイト・リコリスの不意打ちを受け、交戦を経て息を荒くしていたが、部下達は深刻なダメージを受けていても表情を変えずにしていたのだ。

 

「はぁ…くっ、何で、アナタはともかく、アナタの部下は平気でいるの?」

 

「…フッ、彼女達は既に()()()()()()()()()()。」

 

「っ? どういう…事?」

 

「コレから粛清されるアナタには関係ないのヨ…」

 

ジェシカが攻撃続行しようとすると、ジェシカに通信が入る。

 

「コチラ、アデプタス3。…ッ! ()()!?」

 

ジェシカが『教授』と呼び、折紙と下の方でやられているフリをしている日下部が聴き耳を立てて疑問を抱く。

 

『やぁ、アデプタス3。そちらの状況はどうだね? そろそろ奇襲している頃だと思うのだが?』

 

「…申し訳ありませン。邪魔が入ったたメ、まだ奇襲は決行しておりませン。」

 

『おや? フム…そうかね。』

 

「直ぐにでモ、教授とウェスコット様のご期待に答えまス! 少々お待ちヲ!」

 

ジェシカは血相を変えてそう答える。すると、通信越しの『教授』は淡々と答える。

 

『まぁ待ちたまえ。アリーナの方には執行部長殿とバンダースナッチ部隊が既に向かっている。』

 

「…っ! そ、それハ、未だに奇襲出来ていない我々ワ…用済みという事ですカ…?」

 

声を震えながらジェシカは問いかける。だが、『教授』は否定する。

 

『いや、君達にも直ぐに向かってもらう。

───()()を使用してもらってね。』

 

「!? アレを…ですカ。」

 

『あぁ、()()()()()()()()()()()?」

 

「…いエ、問題ありませン。直ぐにでも教授のご期待に応えられるよう努めまス。」

 

『あぁ、期待しているよ。』

 

そう言って『教授』は通信を切る。ジェシカは先程とは一変して、深刻な顔つきになって部下達に指示を送る。すると、部下達は速やかに首元のチョーカーに手をやり始める。その行動に疑問を抱いた折紙が問う。

 

「何をする気?」

 

「アンタ如きにコレを使うのは癪だけド…命令は遂行するのが絶対ヨ。」

 

ジェシカがそう答えると、部下達に異変が生じる。先程まで顔色を変えずにいたが、急に声を上げて苦しみ始める。

 

「あ"っ…あ"あ"!!」「ゔぐ…ゔぅっ!」

 

悶え始めると、一人一人の体に変化が起こる。

 

メキメキッ ドゥンッ!

 

腕が膨らみ始め、手が人とは思えないほど大きくなり怪物の様な爪をたて、体も一回り大きくなり、白目になり、涎を垂らす者もいた。加え、体全体から異様な瘴気を発し、空気が変わり始める。

 

まるで、シャドウが現れたかのように。

 

「な…何が起きているの?」

 

目の前の光景に息を呑む折紙。すると、ジェシカは嫌な笑みで答える。

 

「見せてあげるワ…私達が人を超越した証をネ!」

 

ジェシカが掛かれと指示を煽ると、部下達は一斉に攻撃する。先程交戦していたとは思えない程、人ではない動きをしていた。

 

「くぅ…っ!」

 

折紙はブレイドや大砲を駆使して迎撃しても、相手は怯まず攻撃する。防御領域を展開して耐え凌いでも、連撃してくる敵のペースに完全に呑まれ、遂には攻撃を受けてしまう。

 

「あ"あ"っ!」

 

悲鳴を上げる折紙。だが敵は、一切の慈悲をかけずに折紙を傷つける。そんな折紙を見て、日下部が守りに入る。部下達もそれに連れて仲裁に入る。

 

「隊長…」

 

「ここまで、しなくても良いはずよ! この子の処遇は私が───」

 

「はンッ! 今更そんな事言っても意味がないのヨッ!

コレを使った以上はもうアンタ達が無事で帰れる訳がないじゃなイッ!」

 

ジェシカがそう答えると、仲裁に入った日下部達にも容赦なく攻撃を仕掛ける。日下部達は防御領域を連携して守るも、次第になす術なくやられていく。

 

「…っ! 何よ…コレ。こんなのまるで精霊を相手にしてるみたいじゃない…っ!?」

 

「フフ…フフフフ。いい気味ネェ。元々、アンタ達は捨てゴマの様なモンだったのヨ。さぁ、さっさと終わらせて目的を果たすわヨ。」

 

ジェシカがトドメを掛けるようにブレイドで特攻する。ここまでかと思った折紙達であったが───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫の閃光が折紙達を救うが如く現れ、ジェシカ達を難なく吹き飛ばす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、何者!?」

 

ジェシカと折紙達はジェシカ達を吹き飛ばした謎のコスチュームをした仮面(マスク)の青髪の少女を見る。その少女はゴスロリの格好をして、頭には王冠の様なのを載せ、ブーツに紫の炎で浮き、日傘を剣の様に握っていた。

 

「だ、誰?」

 

「…?」

 

「誰か知らないケド、邪魔をするんじゃないわヨッ!」

 

す折紙達は視界が霞む中、助けてくれた人物を見て、ジェシカは激昂する。すると、少女はようやく口を開く。

 

「はっ! ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

その声を聞いた折紙、日下部、ジェシカは驚愕する。

 

そう、その人物は───

 

「ア、アンタは───」

 

「『ドリス』。それがこの姿の私です。」

 

ジェシカが名前を言いかけた所で『ドリス』を名乗る少女は口を挟む。

 

「随分と見ねーうちに老けたんじゃねーですか? ジェシカ。

前の方がまだ若く、威勢がありやがりましたよ?」

 

「はンッ! アンタこそ何その格好?

今更か弱い少女みたいな格好をしちゃっ───」

 

ドォォォンッ!

 

ジェシカが馬鹿にするかのように煽ると、ジェシカは一瞬で地上に大きな音を立てて墜落していた。

 

「え?」

 

折紙と日下部が薄れゆく、意識で下を見るとそこには大きなクレーターに突き刺さっていたジェシカが視界に映った。

 

「よえー奴にギャーギャー言われるのは気に食わないので、そこで寝てやがれです。」

 

一瞬の出来事で理解出来ない折紙達だったが、ジェシカを瞬殺したのは紛れもなく目の前の少女ドリスだ。その事に驚くもジェシカの部下達がいつの間にか周りを包囲し始める。まるで、獲物を逃さずに囲み肉食動物の様に睨んでいた。

 

「おや…自分がDEMから離脱してみたら、随分とその全貌が明らかになりやがりましたね。」

 

真那は目を細めてそう呟く。ジェシカの部下達が一斉に襲い掛かろうとするも、ドリスは優雅に黒い手袋をはめ直す。

 

「さて、さっさと片付けやがりますか。」

 

日傘(鞘)から剣を引き抜き、ブーツから出ている紫の炎を剣にも灯し始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上空にてエレンを筆頭としていたバンダースナッチの軍隊がアリーナ会場へと接近していた。

 

「目的地に着きますね。この前の屈辱を晴らさせてもらいます。」

 

エレンは自分を負かせた人物を連想していた。そう、士道である。

敗因は気配を殺し、隙をついて闇討ちをした事である。加えて、エレンは負傷を受けた状態でも追おうとしたが、落とし穴にハマった事も士道のせいだと勘違いをしており、士道をこの手で下す機会を伺っていた。

 

「フフフ…」

 

そして、その機会がやって来た。その事に笑みを溢していると───

 

桃色の風がエレン達を襲う。エレンは防御領域を展開させ攻撃を防ぐも、バンダースナッチ達はなす術なく破壊され消滅する。

 

「バンダースナッチが消滅した!? 一体何者です!?」

 

エレンが攻撃したきた方向に問いかけると、そこには士道(ルパン)に似た黒のタキシード風ジャケットをしたブーツに桃の炎で浮いていた女性だった。

 

「私は『デオン』。アナタ達の敵です。」

 

「ほう?」

 

エレンは眉を寄せる。

 

「『デオン』ですか。格好といい彼の仲間でしょうか?」

 

「ええ、彼の邪魔はさせません。」

 

「いい気迫です。目的を果たさなければなりませんが、それにはアナタを先に排除しなければならないようです。

───掛かって来なさい。」

 

「っ! 上等!」

 

エレンの強者の余裕と挑発にデオンはレイピアを構えてエレンに突撃する。エレンもまた、ブレイドを取り出してデオンの攻撃をガードする。

 

2人の激突によって、衝撃波が生まれ、エレンの背後にいるバンダースナッチ達は後ろの方へと吹き飛ばされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どちらも、始まったようだな。」

 

ケータイで2人の状況をモニタリングしている夢界がそう呟く。

 

「ドリスの方はそう時間が掛からないだろう。

…だが、問題はデオンの方だな。相手が自称とは言え、世界最強の魔術師だ。今のデオンでは()()()()()()。」

 

夢界は目を細めて冷静に分析する。この夏で表向きは士道の特訓に付き合い、アドバイスなどしていたが、裏ではこの時のためにデオンやドリスの為に色々と動いていた。

 

が、まだ彼女達の実力ではエレンには勝てないと読んだいた。

 

「とはいえ、コッチも時期に結果が告知される。それが終わったと同時に会場の者達には空間震警報を鳴らして、避難してもらうとして、士道には───」

 

夢界が流れを言いかけた所でアリーナ会場に異変が生じる。それと同時に耳元のインカムからラタトスク機関の異変も知る。

 

「…おいおい、まさかの最悪な流れになっちまったな。」

 

珍しく夢界の頬に汗を流し始める。

 

AST・DEMの襲撃にエレンの襲撃に加え、士道達の方の異変により、最悪のセレモニーが幕を開ける。

 

 

 





ドリス、キ、キミハイッタイナニモノナンダ?


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