デート・ア・ペルソナ   作:黒ソニア

67 / 110

実は最近、アニメSAOを全部見直したんですけど…
アスナ、シノン、アリスいいよねー。





第六話:音の精霊

 

ワァァァァァ!!!!!

 

士道達が歌い終えると、アリーナ内は声援で大盛り上がりだった。

 

「シドー! 歌いきったぞ! 楽しかったぞ!!」

 

「呵呵々! 悪くない闇の狂宴だったぞ!!」

 

「肯定。夕弦達のライブは間違いなく一番に輝いてました。これは、間違いなく優勝間違いないと。」

 

「うむ! その通りだぞ、夕弦! シドーもそう思うだろ?」

 

「あぁ!」

 

士道達のぶっつけ本番のライブは見事に成功を収めた。観客の声援がその証だろう。これなら優勝も間違いない筈だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…っ! 凄かったです。士道さんも、皆さんも!」

 

《盛り上がってたよねー! よしのん達もノリノリだったもん!》

 

「あぁ、いいライブだったね。」

 

四糸乃は珍しくテンションが高めだった。それもその筈、大好きな士道が一生懸命に歌い、ギターを弾き、楽しそうにしていたため、四糸乃も自分の事の様に嬉しくノリノリだった。

 

「…さて。」

 

すると、令音は端末をポケットにしまい込み、立ち上がる。四糸乃の頭を撫でながら令音は告げる。

 

「…すまない、少々気になる事があってね。代わりの者を呼んでいる。

だから、ここで待っていてくれ。」

 

「へ? は、はい。

…で、でも、士道さん達の結果は?」

 

四糸乃の問いに令音は優しい顔で答える。

 

「大丈夫さ。シンの優勝は間違いないよ。」

 

そう答えると、令音は会場から退出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…」

 

士道達がステージで和気藹々としている様子を陰で見ていた者がいた。そう、美九である。

 

「……何なんですか、それが。」

 

彼女は士道達を見ていて、不機嫌になっていた。心底気に食わない様子であった。

 

「…」

 

再度黙り込むと脳裏にあるイメージが流れ込む。美九は過去の出来事を思い出してしまう。

 

『───アイドルなんて辞めろっ!!』

 

「…っ!」

 

美九は思い出してしまい、頭を抑える。

 

「…そうですよ。結局、人なんて心の底から信用出来ないんですよ。繋がりとか見てて腹立たしいです。」

 

『まもなく、表彰式を開催します。』

 

アナウンスがそう告知する。勝負の結果がまもなく明らかとなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 -----

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザシュッ!

 

「ガァッ…」

 

ドリスと名乗る少女は襲いかかる暴走化したDEMの魔術師を一人一人難なく切り伏せていた。

 

「…っ。早い、その上に確実に仕留めてる。」

 

折紙はそう呟く。ボロボロのAST隊員達も首を縦に振っていた。

 

「ていうか、一体何なのよアイツら。会った時から変な感じだったし、急に体が大きくなったかと思えば人じゃなくなってるし。」

 

日下部は頭を抱えながらそう呟く。その言葉に折紙は頷く。

 

「明らかに人間を辞めている。」

 

「それと折紙、あのドリスを名乗った子の事知ってる? 私、どっかで聞いたことある声な気がしたんだけど。」

 

「…」

 

日下部の問いに折紙は沈黙していた。折紙はただ目の前の出来事を見ていた。

 

そして、ドリスは最後の一人を容赦なく斬り捨てる。

 

「…っ!」

 

うめき声を上げて、地上に落下していた。地上を見れば、ドリスによって斬られた魔術師達が地に伏していた。

 

「ふぅ。」

 

一息ついてドリスは剣を傘(鞘)に収める。すると、彼女の耳についているインカムから何やら焦る声がする。

 

「どうしましたか?」

 

『緊急事態だ、デオンが苦戦している! 急いで向かって来れ!』

 

「…成程、どうやらあの『もやしっこー部長』はアッチに行きやがりましたか。いくらデオンさんが強くなったといっても、相手が相手。今すぐ向かいます!」

 

そう言うと、ドリスは足元の炎を強くし、デオンのいる方角へと猛スピードで向かった。

 

「っ! 声掛ける前に言っちゃったわね。」

 

日下部がドリスに言いたい事と聞きたい事があったが、この場から離れてしまったため、事情を把握出来ずにいた。

 

「…その前に、折紙。よく耐えたわね。」

 

部下思いの日下部は折紙を抱きしめあげる。

 

「…隊長達の配慮に応えられなかった。」

 

「仕方ないでしょ。それどころかよくホワイト・リコリスをここまで扱ったわね。意外とアンタは()()のレベルまであるのかもね。」

 

「…っ!」

 

折紙は日下部の告げた名前に反応した。

 

「(何処かで見た事のあるような気がしたけど、やっぱりアレは───)」

 

「さて、一般市民がこの場に来ないうちに彼女達を回収して離脱するわよ。」

 

日下部が部下に振り向いてそう告げるも、部下達は口元を抑え、顔を真っ青にしていた。

 

「ど、どうしたのよ、アンタ達。」

 

「た、隊長見てください、アレ…」

 

部下達は指をさして言う。その方向は、ドリスが片づけたDEMの魔術師達。

 

日下部はその方向へ振り向くと───

 

「何よ…コレ…」

 

日下部達は奇妙な現象を目撃してしまった。それは、地に伏していたDEMの魔術師達が()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だった。

 

「…っ! そうよ、アイツ! アイツなら、何か知っている筈!」

 

日下部はジェシカの落ちた所に向かうため、跳び出す。すると、ジェシカの落ちた所を視認すると、そこにジェシカの姿がなかった。

 

「アイツ逃げたわね!」

 

「た、隊長! 鳶一一曹が気絶しちゃいました! わ、私達はどうすれば良いですか!?」

 

「…っ!」

 

ややこしい事が増えてしまい、ヤケクソになりたい日下部だったが、頭を振って冷静に指示をする。

 

「総員、直ちにこの場から離脱!」

 

日下部の指示により、折紙を担いで日下部達はこの場から離れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 -----

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アッハハハ! 無様に逃げてやんの!」

 

お菓子を食いながらダイナは映像を見ていて爆笑していた。その映像は、ジェシカがその場から逃げていく所だった。

 

「つーか、誰だよあのゴスロリ。見た目や戦い方がルパンの野郎に似てね?」

 

ジェシカの事は爆笑していたが、ドリスの事になると目を細めながら状況を分析していた。

 

「ふむ。予想外の邪魔があったが、色々と収穫があったね。」

 

隣にいたマリスもまた愉快そうに見ていながらも、静かにそう呟く。

 

「ASTの連中が何を思って邪魔したかについては…大方、市民の被害を抑えるためだろう。目障りな事だが、まぁいい。

───それよりも、実験は()()した。アンプルを使用した魔術師は通常のレベルから跳ね上がった強さまで至った。これならば、次の段階も試してもいいだろう。」

 

「次ってー、確か特殊なアンプルを摂取させて『進化』させるだっけ?」

 

「そうだよ。」

 

マリスは二つのアンプルを手に持つ。

 

「彼女達に渡し、投与させたのはあくまでも『強化』を前提とした、この『緑のアンプル』。これだけでも十分に人間をシャドウ化させ、人離れした力を得る事が出来る。

───そして、更にシャドウ化させて新たな生命体として『進化』させるこの『黒いアンプル』。」

 

『黒いアンプル』を凝視すると、中の液体が微かに揺れていた。コレによる『進化』とは一体。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 -----

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…」

 

「何処の何者かは存じませんが、少しは出来るようですね。」

 

空中にて、デオンは息を荒くしており、エレンは少し息を吐いていたが、デオンより平気そうにしていた。

 

「…っ。なんて出鱈目な強さなの…こんな人を相手に彼は戦っていたの?」

 

「…それは、ルパンを名乗る『五河士道』ですか?」

 

「!?」

 

「知らないとでも思っていたのですか?」

 

デオンは驚愕し、エレンはニヤリとしていた。

 

「はぁ!」

 

「フンッ!」

 

デオンはレイピアに桃色の炎を灯してエレンに攻撃を仕掛ける。しかし、エレンは攻撃を悉くブレイドで受け止める。

 

「そこっ!」

 

エレンは隙をついて攻撃するも、デオンは間一髪の所で躱し、新体操のように華麗に舞ながら後方へと下がる。

 

「…」

 

「やりますね。その力といい、敵にしておくのが勿体無いくらいです。」

 

「だからといって、アナタ達に降りませんよ。彼の敵は私の敵です。」

 

「そうですか、それは残念です。

───とはいえ、バンダースナッチをこうも消されては無視も出来ません。」

 

エレンの後ろにはもう数機のバンダースナッチしかいない。デオンはエレンを相手にしつつも後ろのバンダースナッチを多く処理していた。

 

「速やかにその身柄を拘束し、その力が何なのかを調べされてもらいます。」

 

「やれるものならっ!───シュヴァリエ!」

 

デオンの背後に花剣の騎士が顕現する。

 

「! アナタも『それ』が使えるのですか…ルパン(五河士道)といい、アナタ達のその力は精霊の『天使』とも違う、一体何ですか『それ』は!」

 

エレンが目を細めて考察していても、デオンは攻撃する。

 

「舞え、シュヴァリエ!」

 

デオンがそう叫ぶと、シュヴァリエは剣を引き抜いて、デオンよりも強力な桃風をエレンにお見舞いする。

 

「くっ!」

 

エレンは防御領域を展開して攻撃を凌ぐ。後方のバンダースナッチはなす術なく消滅する。流石のエレンも、凄まじい威力を誇るペルソナの力にダメージを受けずとも、吹き飛ぶ。

 

「…私を相手にしながらも、バンダースナッチを全て片付けますか。」

 

そう、デオンはエレンを相手にしながらもバンダースナッチの軍隊を一掃していた。エレンと剣を交じている間は体力を出来る限り温存した状態で交戦し、合間に隙をつくように見せかけて大雑把な桃風による攻撃をエレンに目掛けるように見せかけて、バンダースナッチを狙って攻撃し続けていたのだ。

 

「…どうやら一杯食わされていたようですね。」

 

「ええ。アナタは十分に厄介すぎる相手ですが、問題は後方にいたバンダースナッチという機体。

シャドウを内部に潜ませているのは事前に知っていましたから、アナタに目掛けて大技を放つ時は、アナタよりも後ろのバンダースナッチを破壊する事を目的にしてたんです。

シャドウによって強化された機体では、ますます不利な立場になるので。」

 

デオンの作戦は上手く起動していた。エレンはまんまと敵の作戦に踊らされていたと知ると、雰囲気を変える。先程までの余裕でいた表情がなくなっていたのである。

 

「私相手によく出来たと褒めておきましょう。アナタ相手に慢心していた私の失態です。

…失態は速やかに成果で覆しましょう。」

 

エレンが本気の目になって、デオンに攻撃を仕掛ける。あまりに早いスピードにデオンは対処に遅れてしまう。

 

「(しまった───)」

 

殺られると覚悟した瞬間、紫の閃光がエレンに目掛けて襲いかかる。

 

「フンッ!」

 

「くっ…!」

 

ギリギリの所で、エレンはブレイドでガードする。

 

「お仲間ですか? コチラも…随分と出来るようですね。」

 

ブレイドでガードしているも、ゴスロリ風な衣装をした少女による攻撃はデオンよりも力強く、若干押され気味だった。

 

「はんっ! このレベルでしたら、今の私相手には敵わねーですね!」

 

「…っ!? その声は!」

 

エレンが驚くも、少女の連撃を受け続ける。そして、次第にブレイドの耐久力が落ちていき、破壊されて鋭い打撃がエレンを襲う。

 

「ぐぅっ!」

 

エレンは頭を抱えながら、後方へと吹き飛ぶ。

 

「…鞘を抜いていれば、そのまま頭をかち割って終わっていやがりましたね。不覚です。」

 

「物騒な事を言うのは止めようか…」

 

物騒な事を言う少女に、デオンはやや引き気味な声と顔になるが、次第に頬を緩める。

 

「ありがとう。助かったよ、ドリス。」

 

「大怪我する前に駆けつけられて良かったですよ、デオン。」

 

ハイタッチをする2人。そして、その2人にエレンは訝しめる様な表情でドリスを見る。

 

「何故アナタがここにいるのです? それに、その格好は一体何なのですか? 彼女とはどういった仲なのです?」

 

「やれやれ、質問が多いでいやがりますね…何故も何も、私はアナタ達ブラック会社に散々いいようにされてきたツケを返しに来ただけですよ。

この格好とデオンさんとの関係は別に教える義理がねーので、さっさとやられてクソ社長の元に帰ったらどうです!」

 

そう言ってドリスはエレンに攻撃を仕掛ける。エレンはドリスの連撃に苦戦しだす。

 

「…っ! このっ!」

 

「甘ぇーですっ!」

 

ドリスは居合い切りの体制を瞬時にとり、エレンの斬撃を猛スピードで紫の炎を灯した一閃で切り伏せる。エレンはブレイドを破壊されただけでなく、重い一撃を受ける。

 

「ぐっ! 少しはやるようですねっ!」

 

エレンは少し後退しながら思考する。

 

「(あの剣を灯している紫の炎は何なのです? 行方をくらませている間に、彼女に何があったというのですか?)」

 

「このまま押し切るっ!」

 

ドリスが攻撃を仕掛けようとすると、下の方で異変が生じる。

 

「え、これは一体!?」

 

「な、なんでいやがりますか!?」

 

「これは…!───ん?」

 

アリーナ会場から妙な音が鳴り響く。オルガンの様な音と、建物が軋む音が重なり、明らかに異常な事が起きていると分かる。

 

「士道くんっ!」

 

「兄様!」

 

2人は士道の身が危ないと察知して、瞬時に向かおうとする。だが、彼女達の周りに突如現れたバンダースナッチの大軍が囲む。

 

「ちいっ!」

 

「何で!? この機体はさっき全部処理したのに!?」

 

2人は身動きが取れなくなる。

 

「本当ならアナタ達を倒してから行きたい所ですが、私にはそれよりも先に遂行しなければならない事がありますので…バンダースナッチ隊、彼女達の足止めをお願いします。」

 

エレンは耳元の通信機から何かを受信した態度を取ると、バンダースナッチに指示を送ってアリーナ会場へと急速で向かった。

 

「このっ! この大軍はあのもやしっこー部長の手ではなく、あのクソったれ社長による差金でいやがりますね!」

 

「早く片付けて士道くんの元に向かわないと!」

 

デオンとドリスは焦りながらバンダースナッチをそれぞれの炎を酷使して蹴散らしていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 -----

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『それでは、表彰式に移ります。』

 

士道達はステージの上に並んでいた。

 

「…うぅ、流石に緊張する。」

 

「大丈夫なのだ! 私達なら、ぜったい勝てるのだ!」

 

「然り、何せこの疾風が如くこのアリーナ全体を音楽で独占した八舞姉妹がついているのだぞ? 勝利は絶対である!」

 

「同意。夕弦達やしど…士織が頑張ったのですから勝利は必然です。」

 

皆が士道に寄り添う形で肩を持つ。

 

「ふふ…どうでしょうねぇー。」

 

その様子を見ていて、美九は呟く。

 

「(何があっても私の勝利は揺らぎません。

…それにしても、士織さんに寄り添っている子達みーんな可愛いですぅ。士織さんに勝った暁には彼女達も私の『物』に…ウフフ。)」

 

『それでは、本日天央祭一日目の投票結果を発表します。

二位───竜胆女学院!』

 

「「「「!?」」」」

 

「───は?」

 

士道達は驚き、美九は瞼を見開いて唖然とする。

 

『そして、優勝は───来禅高校!』

 

ワァァァァァ!!!!!

 

アリーナ内全体が黄色い声援で埋め尽くされた。士道は現実なのか?と呆然としていた。

 

「やったぞ! やったぞ!! シドー!!!」

 

「はっ!───こ、こら、十香! な、名前!」

 

「呵呵々! 見たであろう! 我らの奏でた闇の狂宴は、この戦場を支配したのだ!!」

 

「感激。喜んでください、士道! 夕弦達が勝ったのです!!」

 

十香、耶倶矢、夕弦が嬉しさに士道に抱きつきながら喜んでいた。

 

「だから名前…でも、勝ったんだな! みんなのお陰だ!!」

 

士道もあまりの嬉しさについ素が漏れ出してしまう。司会者達がアナウンスで『今年の来禅は凄いですねー』とか『ライブに2年4組の喫茶店が特に良かったですよねー』と語っていた。

 

「ははは!───美九?」

 

喜んでいると、美九が「ありえない、ありえない」とぶつぶつとしていた。

 

「何ですか、これ?」

 

壊れた人形の様に語りだす。

 

「ふざけないで下さい。私が…この私が…誘宵美九が負けるだなんて、可笑しいです!」

 

ダンッ!

 

と、美九は地団駄を踏み始める。彼女の見たことない行動に会場が静まる。

 

「美九、勝ったのは───」

 

「黙って下さいよ。私は負けてません。ライブで一番の声援を受けたのはこの私なんですよ?

…そうですよぉ、悪いのは私じゃない。悪いのは足を引っ張った子達が悪いんです。」

 

フラフラとし始める美九、その様子に士道は何か嫌な予感を感じさせた。

 

その瞬間、士道は頭痛のような痛みを感じ始める。

 

ピキンッ!

 

体に衝撃が走る。これは、以前にもあった現象。そして、脳裏にあるビジョンが流れ込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『───シ…シドォ…』

 

十香が士道に助けを求める声に

 

『───』

 

士道に敵対する精霊達だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…今のは?」

 

士道が我に帰るも、美九の雰囲気が怪しくなる。

 

「だから…私は悪くない、悪くないもん! この勝負無効です!」

 

「往生際が悪いぞ! 皆で頑張って手にした勝利なのだ! 私達の絆は絶対に負けぬのだ!」

 

「皆ぁ? それって…仲間の力とかほざきたいんですかぁー?

絆ぁ? そんなくだらないモノに私が負けるだなんて───」

 

美九の全身から何かが吹き出し始める。

 

(───ぐっ! この感じは霊力!? まさか!?)

 

「───『破軍歌姫(ガブリエル)』!!」

 

美九が『天使』の真名を叫び上げる。すると、彼女の背後に巨大な光るパイプオルガンを顕現させた。

 

「歌え!! 詠え!!! 謳えぇぇぇぇ!!!!」

 

パリンッ! パリンッ! パリンッ!

 

美九がパイプオルガンを通して大声を上げる。照明やカメラなどの一部のガラス細工が割れる音も鳴り響く。士道達はあまりの暴音に耳を塞ぐが始める。

 

音が止んで、立ち上がり周りを見回すと、この会場内の人達がまるで()()()()()()()の様に呆然としていた。

 

「これは…?」

 

【士織さんを拘束して下さい!】

 

美九がそう言うと、ステージにいた他の生徒が士道を拘束する。

 

「な…うぐ!」

 

「ウフフ…ウフフフフ。士織さんがいけないんですよぉー。だって、私に勝負事を吹っかけてきたのがことの発端なんですからぁー。」

 

「くぅ…ちょっ!?」

 

「フフ…アハハハハハ!!───はぁ?」

 

美九が士道に近づき、服をなぞる様に触っていくと、下腹部に違和感を覚えた。

 

「な、何ですか…これ?───【服を脱がせて!】」

 

「え? あ、ちょ、止め───」

 

士道が抵抗しようとするも虚しく終わる。メイド服を脱がされた士道の姿を見て、美九は───

 

「…し、ししし、士織さんアナタ───」

 

「……ハイ、ジツハ、オトコデス。」

 

「ぎゃあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!!!!!!!」

 

悲鳴を上げる。

 

拘束していた生徒と士道は美九の声の衝撃波に飛ばされる。美九は士道を睨みながら殺意を向ける。

 

「よくも…よくも私を騙しましたねっ!! 後悔させてやるっ!!」

 

「…っ!」

 

士道は半裸状態で立ち上がって、速やかにメガネを服から取り出す。

 

「ペルソナッ!」

 

メガネをかけて黒い炎に包まれ、怪盗服を纏い、『ルパン』となる。

 

「あ、アナタはこの前私に近づいて来た不埒者!」

 

「ふ、不埒者!?」

 

士道は思わず、素っ頓狂な声を上げる。

 

「許さない…っ! 許さない許さない許さないっ!!

絶対に後悔させてやるっ!!」

 

士道が何か来るとナイフを構えると───

 

「お、お姉様に手出しさせません。」

 

ドンッ!

 

何か大きなモノが着地した音と共にステージが凍りつき始める。

 

士道は目の前で美九を守ろうとする人物を見て、戦慄する。

 

「よ、四糸乃?」

 

瞼を大きく見開く士道。限定霊装を纏った四糸乃だった。

 

だが、四糸乃だけでは無かった。

 

風が士道を威嚇するように吹き荒れる。

 

「姉様には手出しさせぬぞっ!」

 

「警告。速やかに降伏して下さい。」

 

そう、四糸乃だけでなく限定霊装を纏った耶倶矢と夕弦が美九を守護し、士道に敵意を向けていた。

 

「な…何で?」

 

士道の肩から力を抜けていってしまう。士道は吹き荒れる氷風を受けてしまい、壁に叩きつけられる。

 

「…ぐっ!」

 

士道は叩きつけられた状態で、インカムのフラクシナスに何とか連絡を入れる。

 

「こ、琴里…四糸乃達が───」

 

『はぁ? 何気軽に接してきてるのよ? お姉様に盾突く『ゴミ』はミンチにでもされなさい!』

 

「───え?」

 

琴里からの冷たい罵倒を受けて、戦慄してしまう。手を下ろしてしまうと同時にインカムを落としてしまい、士道も地に落ちる。

 

再度、目の前の四糸乃達を見て、インカムから発せられる罵倒を聞き、士道は信じられないと心が拒絶し、涙が頬を伝う。

 

「そんな…みんなぁ。」

 

現実は非情である。1人の精霊によって士道は孤独へと陥る。

 

 

 





美九の呼称を考えるのに凄く迷った。『歌の精霊』か『音の精霊』か…

選ばれたのは『音の精霊』でした。

…さて、一人ぼっちになってしまった士道くん。キミは立ち上がれるかな?

次回、美九編のラストとなります。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。