デート・ア・ペルソナ   作:黒ソニア

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幕間3話目です。
7章八話で良いじゃないかというのもあるかもしれんが、あくまでも7章と8章の間の出来事ですので、幕間です。





幕間3:叛逆の狼煙

 

 

 

時は少し遡る

 

ドォォォォォンッ! バンッ! ガシャンッ!

 

様々な音が響き渡る。

そんな中で、アリーナ会場外で1人、黙々と仕事をしていた人物が惨状を見て戦慄していた。

 

「何だよ、こりゃ!?」

 

そう、その人物の名は天宮翔太。

 

彼は、実行委員として、1人行動をしていた。

多くの者が頭が狂ったかのように美九の洗脳を受けて、ある人物を探していた。

 

「姉様に逆らった不届き者を探せー!」

 

「絶対に許すなぁ!」

 

「…俺も正直な所、あんま人のこと言えないが…

頭おかしい奴多くないか?」

 

天宮翔太はロリコンであるが、自身が頭がおかしいと自覚があるタイプの人間だった。

それはさて置き、美九によって可笑しくなった現状を見て、これは夢なのか?と呟き始めた。

 

「明らかに異常事態だろ…」

 

因みに彼は…午後のライブにおいて、多くの人達がモニターに映るライブに夢中になっている中、黙々と1人で仕事を真面目にやっていた人物だった。

因みに、彼は作業をしている最中、イヤホンでロリボイスの音楽を聴いていたため、唯一美九の洗脳を受けなかった。

 

周りの様子が可笑しい事に気づいて、イヤホンを外すと、周りは血迷ったかのように「美九たん!美九たん!」「お姉様!」などと狂気じみた状況になっていた訳である。

 

加えて、空では何やら戦争でも勃発しているのか、はたまたハリウッド映画の撮影でもしているのか(?)ロボットの大群と人が戦っているのが見えた気がしていた。

因みに、人だと分かった理由は、彼のロリコンセンサーが反応して、ロリ(身長150センチ未満、貧乳)だと察知したからである。

 

「どうなってんだ…一体───うわっ!?」

 

空から光線のようなのが降り注ぎ、少し離れた場所が爆発した。

そんな、非日常的な出来事を見て冷や汗をかく中、周りを見ても()()()()()()()()を見て、より違和感を抱いた。

 

「まじで何なんだよ…っ!?

はっ! それより、あの娘!」

 

彼は数時間前に2年4組のメイド喫茶で確認した水色髪の美少女(ロリ)を思い出し、恐怖よりも彼女の身を案じていた。

 

「うぉぉぉぉ!!!!

待っていてくれ!!

俺が、助けに行ってやるからなぁぁぁぁ!!!!」

 

…と、1人勝手に狂気に憑かれて走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我が主、この事態をどう見ますか?」

 

「…」

 

ここは、精神と夢の世界(ベルベットルーム)

彼らは、士道を通して現実で起きている事を把握していた。

そして、これまで様々な事態に巻き込まれてきたが、今回のケースはまた違うレベルで非常事態である。

 

「彼の精神状態が快くありません。

それは当然、彼にとって大切な仲間、家族が一瞬にして崩壊してしまいました。

精霊達の大半は、今回の精霊ディーヴァの力によって支配され、プリンセスは目の前で強敵に連れ去られ、妹であるラタトスクの者達もまた、ディーヴァの力に屈し、敵に回ってしまった。

…彼は今、孤独の状態。

我々に何か出来ることはないのでしょうか?」

 

「…ラヴァンツァ。」

 

イゴールは彼女が語る中、首を振る。

 

「我々は、あくまでも()()()()()

その我々が迂闊に関われば、彼の命運を悪い方向にへと誘ってしまう。

それはもう理解している筈です。

故に、今回の事態であろうとも手出しをする行いは許しません。」

 

「…っ! し、しかし…」

 

ラヴァンツァが何か申したい事がある顔をする中、手元の水晶を見る。

 

「まだ、希望はあります。」

 

「! 彼女は!」

 

「ええ。これも、客人の命運を分ける道標。

彼女の行動が彼を大きく変化させるでしょう。」

 

イゴールとラヴァンツァは水晶に映る者を凝視する。

 

その者は、片方の瞳に時計の様な物が映っている女性だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

フラクシナス

 

「艦内のシステムの損傷率80%。これまで使用していたメイン顕現装置(リアライザ)は機能を完全停止を確認。

それにより、現在メインシステムが機能しません。

ですが、いつの間にか設置されていたサブ顕現装置のお陰で今、フラクシナスは上空に浮遊している状態です。」

 

「…そう。」

 

椎崎が琴里に現状を説明する。

アレから数時間が経って、デオンによって眠っていた琴里達は意識を取り戻すと、正気に戻ってまず最初に士道の身を確認する。

どうやら、美九に操られている記憶が多少であるが残っていたようだ。

 

「…すまない、琴里。

見てわかる通り、今フラクシナスは辛うじて天宮市上空に浮遊しているだけであって、それ以外のシステムは完全に停止している。

我々も、シンの居場所を知りたいのだがこの有様だ。

起きた者たちが至急でメイン顕現装置の交換に勤んでいるが、それでも時間は掛かるだろう。」

 

「謝る必要は無いわよ、令音。

寧ろ、迷惑かけちゃったわね。

ごめんなさい。」

 

「…キミが謝る必要はないさ。

彼女の『天使』が機械を通してコチラにも影響が及ぶとは分からなかったしね。」

 

「ええ、完全にやられたわ。

お陰で、おにーちゃんに酷い暴言を言ってしまったわ。」

 

「…それについては後でシンにちゃんと謝ればいいだろう。

大丈夫さ、シンは許してくれるさ。」

 

「…うん。」

 

「…それより、問題は───」

 

「そうね。」

 

令音と琴里が現状の確認と士道への暴言を吐いてしまった事などの話を終えると、次に壁に寄り添っていたデオンを凝視する。

他のクルー達もデオンを見ていた。

 

「助けてくれた事には感謝するわ。

ありがとう。」

 

「いえ。私は───」

 

「けど、アナタは誰?」

 

琴里は目を細めて警戒心を向けて話し始める。

 

「敵意が無いことは理解したわ。

あるなら既に全滅しているものね。

───だけど、それで見ず知らずの者を信じる事も出来ないのよ。

一体、アナタは何者なの?

或美島では、独断で士道の手助けをしてくれたみたいだけど、アナタの素性が分からない以上、簡単に信用する事が出来ないのよね。」

 

「…感謝している人の態度ではないと思うんだけどな。」

 

「それは悪かったわね。

でも、仕方の無い事でもあると思うけど?」

 

「…はぁ。やっぱり、事前に伝えて欲しかったかな。」

 

デオンが含みのある言い方をする。

 

「…どういう事?」

 

「私は───」

 

デオンが口を開くと扉から見慣れた人物が明るい雰囲気を出してやって来る。

 

「おんまたー!」

 

その人物は夢界藍であった。

 

「いやー大変だったわー。

ここまで来るのに、美九ちゃんに操られている奴らから身を隠しながら移動するにほーんと大変だったー。

喉乾いたんだけど、お茶か何かある?」

 

[…]

 

夢界の空気の読めない行動に皆は呆れ顔になる。

 

「あれ? どうしたの、この空気?」

 

「…キミがこの空気にしたんだよ?」

 

「あははー。」

 

夢界はわざとらしい態度を取る。

どうやら、ことの全てを知った上でわざと空気読めないキャラをしていたようだ。

 

「…それで、このタイミングで現れるんだ。

そろそろ話してくれんだろう?

彼女が何者なのか。

そして、キミが何者で何をしようとしているのかを。」

 

令音が圧を掛けるように夢界に問いかける。

 

「何者も何も俺は…

いや、()()()士道の味方だ。」

 

「「?」」

 

「…彼自身はともかく、()()()()は士道くんの味方です。」

 

「おいおい、俺達は()()()に選ばれた同士なんだぜ?

もう少し、俺を仲間に入れて欲しいなぁ…」

 

「ならせめて、協力者のいる事くらい事前に言ってても良かったんじゃないんですか?」

 

「いやぁ…、タイミングがねぇ…」

 

「はぁ…」

 

夢界はバツが悪そうにし始める。

デオンはつい重い溜息を吐き出す。

 

「…それで、アナタ達2人は何を根拠に士道の味方をしている訳?」

 

「うん、その訳もちゃんと話すけど…2人じゃないよ?」

 

夢界がそう言うと、夢界の背後からある人物が歩み寄る。

 

「!? キミは!」

 

「え…嘘、どういう事よ!?」

 

2人がその人物を見て驚愕する。

 

その人物とは───

 

「全く、世話の掛かる人でいやがりますね。

夢界さん。」

 

夢界に向けて呆れ気味に言いながら、デオンの背中をポンっと軽く叩く少女。

その少女は先々月に天宮病院から行方を絡まし、DEMやラタトスクの者達が血眼になって探していた。

士道に似る容姿をし、ポニーテールをした青髪の少女、()()()()だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パンッ!

 

暗闇の部屋に一つの光がある人物を照らす。

その人物はジェシカ・ベイリーだった。

 

「…」

 

彼女はただ沈黙していた…いや、怯えていた。

 

彼女は命令によってアリーナを襲撃して、十香と士道の捕縛作戦に失敗した。

いや、それどころがアリーナに着くことも叶わなかった。

それは、鳶一折紙の妨害と、AST隊員達の命令違反に、()()()()()()()()()によって『アンプル』を使用した部下達を失った挙句、自身は使用する前に敗北し、甘々と逃げてきたのである。

 

作戦を言い渡された時には───

 

『必ず、教授とウェストコット様のご期待にお応えします!』

 

と、豪語したが結果は期待を裏切ってしまったのである。

故に、彼女はこれからどうなるのだろうと怯えていたのだ。

 

怯えて息を荒くし始める。

すると、カツンカツンと歩んで来る者が現れる。

 

「やぁ、ジェシカ君。」

 

「きょ、教授!」

 

微笑みながら歩んで来るのは教授であるマリス・エンワード。

ジェシカにとってマリスはウェストコットに次ぐ崇拝する人物だった。

彼女の存在意義を示されてくれたウェストコット。

そして、()()()()に嫉妬し、自分の価値を下げれている中、彼女に声を掛け、力を授けてくれ、今回の重大な任務に就けさせてくれた恩人である教授。

その教授が彼女の前に現れる。

 

「も、申し訳ありませンッ!

私は何も果たせズ、甘々と離脱してしまいましタッ!」

 

教授に首を垂れるジェシカ。

そんな彼女にいつものように優しく応じるマリス。

 

「いやいや、予想外の事態になってしまったからね。

キミだけの責任ではないさ。」

 

「…っ!」

 

ジェシカは顔を見上げる。

 

「それより、傷は癒えたかな?」

 

「は、はいっ!」

 

「ふむ、それは何よりだ。」

 

ジェシカの身を心配してくれたマリスは優しく微笑みをかける。

 

「(教授ガッ!

私の身を案じてくれていルッ!)」

 

「…キミは『アンプル』は使用しなかったようだね。」

 

「…ッ! い、いえ、それハッ!

ワ、我が身の可愛さに故に使わなかった訳ではありませンッ!

た、たダ、使う前に───」

 

「そうか…ジェシカ君、名誉挽回の気はあるかな?」

 

「!」

 

ジェシカは速やかに立ち上がり、『ある』という意思表示をする。

 

「は、はい! あります!

私にもう一度、教授とウェストコット様に忠義を尽くさせて下さい!」

 

「それは結構。」

 

ジェシカの答えにマリスは微笑み、彼女に『ある物』を見せるために横にズレる。

 

「こ、コレは?」

 

「コレはホワイト・リコリスの()()()

『スカーレット・リコリス』だよ。」

 

「姉妹機…スカーレット・リコリス!」

 

「そうだ。」

 

ジェシカは驚愕していた。

ホワイト・リコリスに姉妹機が存在していた事に。

そして、マリスは彼女に『黒いアンプル』を渡す。

 

「スカーレット・リコリス、そして()()()()()()を使えば、キミは誰よりも強く輝ける。

私はそう確信している。」

 

「教授。」

 

ジェシカは『黒いアンプル』を受け取り、マリスに羨望の眼差しを向ける。

教授は後ろを振り向き、手を軽く上げて退出して行った。

 

「フフ…フフフフフ。

見ていなさい…っ! 私が、私がっ!」

 

ジェシカは自分の顔に散々泥を塗った人物を浮かばせて、必ず勝つと誓った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…」

 

部屋を後にするマリスはニヤリと悪い笑みをしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「むぅ…ここは?」

 

エレンに敗れた十香は意識を取り戻す。

 

「…」

 

意識が朦朧とする中、彼女はここまでの経緯を辿る。

 

十香は美九に洗脳された四糸乃、耶倶矢、夕弦を相手に士道の力を借りて完全霊装の状態で戦っていた。

相手が3人とはいえ、限定霊装と完全霊装では実力が違う。

そのお陰で何とか3人相手でも戦えてはいたが、互いに手の内を知っている状態では向こうの方が分があった。

故に、徐々に押されつつあった。

 

しかし、その状況に更にシャドウが横槍を入れた。

シャドウは十香だけでなく、四糸乃達にも牙を向けていたが、十香の不利な状況になる一方であった。

 

疲労が加速する中、エレンまでもが乱戦に現れた。

エレンは士道と戦い、エレンが士道を相手に油断していたお陰で一時凌ぎったはいいものの、今度はフラクシナスからの砲撃を皆を守るために、士道が特訓の成果であるペルソナの大技を全身全霊で放つ事で相殺している最中、十香は疲労しつつある中で、エレンの攻撃に対処出来ず負けてしまったのだ。

 

「…そうだ、私は疲れている所を狙われて───」

 

「戦場の中で油断しているのが悪いんですよ。」

 

「!?」

 

十香の言葉に上乗せる形で言うエレン。

…言ってる事は間違いでは無いが、要は最強をいい事に慢心していた彼女が言っていいことでは無かった。

それが分かっているのか、何処か自分に都合が良いように言い聞かせているような顔をしていた。

 

「き、貴様! よくも!」

 

ガシンッ! ガシンッ!

 

自分に不意打ちをした人物に飛び掛かろうとするが、体を椅子に固定されて、手足を拘束されて座らせられている事に気づく。

 

「これは…っ!」

 

「当然、逃げられないようにしているのです。」

 

「くっ…! 一体何なのだ、貴様は!!

私だけでなく、シドーまで襲うなどと!」

 

「彼はアナタ達『精霊』を守るなどと豪語するから狙われるのです。

それと、個人的な恨みも含めてもありますがね。」

 

「…っ?」

 

「ゴホンッ…いえ、それより十香さん。

アナタにお聞きしたい事があります。

答えて下さい。」

 

「誰が答えるものかっ!

───くっ!!」

 

十香はそっぽを向くと、エレンは十香の座っている十香の椅子全体に領域を展開させる。

それを受けた十香は苦しそうにする。

 

「私の領域は魔術師(ウィザード)の中で最強です。

アナタは貴重な精霊ですので、出来ればあまり手出しをしたくないのですが、素直に答えてくれないと、苦しい思いをしますよ?」

 

と、淡々としながらエレンは告げる。

十香は「ケホッケホッ!」と咳込む中、大好きな人の名を呼ぶ。

 

「(シドー…)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ!? 十香!」

 

倒れていた士道は突然、起き上がる。

 

「…早く、助けに、行かないと…」

 

士道はベッドの上から立ち上がるも、再度倒れ込む。

今度はコンクリートの上のため、全身に痛みが襲う。

 

「う…うぅ。」

 

士道は今、天宮市のとある廃ビルに身を隠している。

着替えを抱え、ただひたすらに人がいない場所を彷徨い、やっとの思いで見つけたのがこの場所だった。

士道はそこで怪盗服を解き、ボロボロのメイド服を速攻で脱ぎ去り、学生服に着替えた。

所々にすり傷などがあり、自販機で買った水で簡単に洗い、バンドエイドで止めるだけの簡単な処置だけして、休める所を捜索していた所、廃棄されたボロベッドを発見した。

ボロいだけで普通に寝れたために確認し終えると、気力が落ちてしまい眠ってしまったのだ。

 

「…クソッ、最悪だ。」

 

何においてだろうか。美九に家族を奪われてしまった事だろうか?

十香をエレン・メイザースに連れ去られてしまった事だろうか?

それとも、家族に目の敵にされ、何も出来ず、不貞腐れ、敵に背を向けて…

逃げ出した事だろうか?

 

そうとも、全部だ。

 

「…畜生、どうすれば良いんだよ。

皆んなを奪われて、甘々と逃げて、勝手に落ち込んで…

今の情けない俺に、何が出来るんだ。」

 

ゾンビの様にフラフラと独り言をしながら壁を背にして、座り込む。

 

「…」

 

無言になって、携帯を取り出し、今の天宮市の生中継を動画で確認する。

 

「…これ、俺のせいなんだよな。」

 

大パニック、突然のデモ。

などなどと報道されていた。

この状況を生み出してしまったのは紛れもなく自分だと士道は思っていた。

あの時、美九に出会った時に彼女の力をある程度把握していなかったのだろうか。

彼女の力をどうにかして弾き飛ばせていなかったのだろうか。

琴里達に注意を促せていればフラクシナスは無事だったのではないかと。

エレンを確実に再起不能にしておけば十香は隣に居たのではないかと…

 

「クソッ…全部俺のせいじゃないか!」

 

携帯を閉じてポケットに仕舞い、壁を思いっきり殴り上げる。

 

「…皆んなを助けたい。

でも、今の俺に何が出来る…っ!」

 

再度、落ち込みだす。

 

「皆んなを信じきれずに、勝手に心を折れて逃げ出して、情けない俺に何が出来る…」

 

蹲りだす。

体は大人なのに子供みたいな事をしていた。

 

そう、士道本人のメンタルは強くないのである。

 

大切な家族や仲間の前や、怪盗服(ルパン)では、強がっているが、本心は最弱である。

ちょっとした事で崩れ落ちたり、泣き言をほざいたり、不貞腐れる事のある子供の様なメンタルである。

 

これまでは、大切な人達の前でカッコ悪い所を見せたくなく、カッコいい姿、見栄っ張りを見せていたにすぎない。

 

「…皆んな。」

 

涙目になって、皆んなの顔を思い浮かべ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あらあら、見るに耐えませんわね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!?」

 

士道はその声を知っている。

 

数ヶ月前、彼女をデレさせようと奮闘したものの、失敗し、消息を絶った人物だった。

 

その名は───

 

「狂三。」

 

時の精霊:識別名“ナイトメア”

 

最悪の精霊だと呼ばれ、1万人以上の人間を手にかけた女性

 

時崎狂三である。

 

「あらあら、うふふ。

嬉しいですわ。

わたくしの事を覚えてくれただなんて。」

 

「…忘れる訳、ないだろう。」

 

「あらあら。」

 

と、可愛らしく彼女らしい返事を返す。

 

「…一体、何のようなんだ狂三?」

 

「あらあら、何の様も何も、わたくしの目的はただ一つ。

───士道さんですのよ?」

 

ペロリと舌をなめながら狂三は士道を見る。

 

ゾクッ!

 

そう、狂三の目的は士道を喰らい、その力を我が物にするためである。

前回は予想外の事態が重なって退却せざるを得なかったが、今は周りに誰もいない最高のチャンスである。

 

「…っ!」

 

士道は自分の置かれた状況を理解して更に壁に寄り添う。

狂三はそんな士道を見て、可哀想な生き物を見たような顔をしてゆっくり近付いて来る。

 

「ねぇ、士道さん?」

 

「…な、何?」

 

彼女が士道の耳元まで顔を近づき、予想外の言葉を口にする。

 

「───十香さん達を助けたくはありませんの?」

 

「…え?」

 

士道は力が抜けた声を発した。

 

「あらあら、わたくし、そんなに難しい事を言いましたの?」

 

「え、いや…そんな事はないけど…」

 

「フフ。」

 

狂三は可愛らしく笑う。

そんな狂三を見て、士道は顔を赤らめながら語る。

 

「だ、だが狂三は俺を…

狙っていて、十香達を助けるのに…

な、何のメリットがないじゃ…ないか…」

 

「まぁ、そうですわね。」

 

「そ、それに今の俺は…一人ボッチで、狂三にとっては最大の好機、じゃないか?」

 

「ええ、それは勿論。」

 

「…俺は、美九やエレン・メイザースに皆んなを奪われて、勝手に折れて、逃げ出した臆病…者だぞ。」

 

「あらあら、そうでしたの?

てっきり、わたくしは不利な状況だった故に撤退したのだと思ったのですけど。」

 

「…実際はそうでも、やっている事は逃げ出したのと…一緒じゃないか。」

 

「…」

 

「俺は…俺は今まで、皆んながいたから…

何とか強くいられたのに…

側に居なくなったら、随分と弱くなっちまった…」

 

「…」

 

「助けに行きたいって思っても…皆んなから逃げた俺に…何が出来るんだ…」

 

「…」

 

狂三は話していくうちに士道の考えを理解していく。

彼は誰かのためになら強くなる訳だが、自分の事になると駄目になるタイプの様だ。

 

「(嗚呼、今の士道さんを見ていると───)」

 

自信がなくて、弱々しいのに、正義感は人一倍強くて、誰にでも優しくあろうとするあの頃の───

 

狂三は士道を()()()()と思い重ねた。

 

「士道さん。」

 

狂三は無意識になのか最悪の精霊(ナイトメア)としてでなく、時崎狂三として話し始めた。

 

「自分をそこまで卑下にしなくても良いではないですの。

だから、救いに行きましょう?

───アナタの大切な皆様を。」

 

狂三は微笑みながら士道に手を差し伸べる。

 

「───狂三。」

 

士道は、狂三から手を差し伸べられた手を見て、暗かった瞳に光を取り戻す。

 

(救いたい…皆んなを、十香を、四糸乃を、耶倶矢を、夕弦を、琴里を、フラクシナスの皆んなを!)

 

脳裏に皆んなの顔が浮かぶ。

 

───シドー!

 

───士道さん!

 

───士道!

 

───呼掛。士道!

 

───士道!

 

───シン。

 

士道は決意を取り戻す。

そして、皆んなを取り戻すために、弱いお面を取り外す。

 

「あぁ、皆んなを、大切な家族を取り戻したい!」

 

士道は狂三の手を取って立ち上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さぁ、俺達の反逆(デート)を始めよう。

 

 

 







…あれ?
後半の士道パートを描いてて、狂三へと主人公交代したの?ってなっちゃった笑
ウチの士道さん、一人ぼっちになると駄目になるタイプなんですよ。
久しぶりに表現したいってここまでようやって来れたなって思うわ。
まぁ、ウチの主人公は俺TUEE系じゃないんでね。
うん、仕方ないね!

…あれ?
それにしても、ウチの士道さん何処かの反逆皇帝に似てない?
やっべぇ、どんどんウチの士道さんのキャラ属性がモリモリになっててる〜。

タイトルも何処かで付けたいと思っていた、ただ一つだけ心残りがあったのは、反逆を戦争のままでも良かったかな?って思えた事くらいかな?

まぁ、それはさておき次章の予告。
行ってみよーう!










「さぁ、『王国』が反転した! 控えろ、人類!」

その時、数多のチカラがソコに集結する。

囚われの姫を求めて血が流れる。

荒れ狂う戦場に『魔王』がこの世界に降臨する。

第八章 騒動編
反転の姫:プリンセス

───今、助けるからな
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