デート・ア・ペルソナ   作:黒ソニア

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忙しくて、投稿が遅れる…気づけば12月やん。もう今年も今月で終わるのか…

とまぁ、それはさて置いて。いよいよ、原作7巻までやってまいりました。今章からデート・ア・ライブの本番開始って感じがするよね!





【第8章】騒動編『反転の姫』
第一話:美九の過去


 

フラクシナス

 

「どうして、真那がアナタと…?」

 

琴里は夢界に問いかける。

 

「悪いな、騙すような事をしちまってさ…けど、これには深い事情があってだな。

今後、敵さんとやり合うには戦力が必須という訳で、ウチの司令塔(?)がさ、各別で実力を身につけてもらった方が良いと判断したみたいでさ。

口止めを食らってた訳。」

 

「…司令塔?」

 

夢界がそう言って、琴里は訝しむ。そんな中、令音は問いかける。

 

「…キミは、こうなる事を知っていたのかい?」

 

「まぁな…ただ、知っていたのはASTとDEMがアリーナ会場に仕掛けてくるって事だけで、美九ちゃんによる暴走は読めなかったな。」

 

「…彼女の『天使』については知らなかったのかい?」

 

「うん。だから、システムルームにあらかじめ付けといた顕現装置(リアライザ)に何かしら対策をしておけば良かったと、結果論だけどそう思ったよ。」

 

「顕現装置を付けたの夢界くんだったのですか!?」

 

「うん。」

 

夢界の勝手な行動とはいえ、そのお陰で最低限の被害で収まった。

 

「…そう。本当なら勝手な行動に文句を言いたい所だけど、そのお陰で助けられた訳だから、感謝しておくわ。」

 

「おう。」

 

「…なら、シンの様子も知っているのかい?

何処にいるのか、無事でいるのか。」

 

令音の士道の身を案じる問いに夢界は顔を横に振る。

 

()()()()()()()()()。連絡を入れようにも多分、インカムを落としたんじゃないかな、応答しない。」

 

「…ならば、携帯端末で連絡をすればいい。」

 

「それについては、令音ちゃん達も気づいているだろう?

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

夢界の言葉に琴里は気になって自分の携帯端末を開くが、繋がらなかった。

 

「今、この天宮市内はDEMインダストリーによって、通信妨害の電波を発している。

加えて、空間震警報も既に発令されていて、今やこの天宮市は奴さんの支配下に置かれている。」

 

[!?]

 

夢界の言葉にフラクシナスの者達は驚愕の顔をする。その中、夢界は話を続ける。

 

「そのせいで、俺の携帯端末も幾つかダメージを受けていてな。お陰様で、ここまで来るのにも大変だった。」

 

「…キミはハッカーだろう? その技術があればどうにかなるのではないか?」

 

「無論、やれる事はやった。だが、この有様さ。

それにより分かったことは、この電波は()()()()()()()()()、まるで()()()()()()()()()()()だということ。

現代の科学技術、及び顕現装置の領分を超えていると断言していい。」

 

[!?]

 

夢界の言葉に更に事態の重さに気づき、動揺の反応をする。

 

「詳しい事を調べるにしても、携帯端末では限界がある。

───だから、ここへ来たんだ。」

 

夢界は意味があるように発言する。

 

「フラクシナスのシステムは間違いなく、強固で強力だ。何とか復旧させて、士道とのコンタクトを取るという算段だ。」

 

夢界はそう言っていつも通り、勝手に段差の所で座り込んだ。

 

「俺も本気を出して、システム復旧させる。士道の為に、全員で底力を見せるぞ。」

 

そして、携帯端末ではなく、鞄からパソコン端末を取り出して作業し始める。

 

「いいわ、私達もその意気込みに応えるべきね、総員! 速やかにシステム復旧に手を動かして!」

 

[了解!]

 

クルー達は琴里の指示のもと、速やかに行動する。

 

「…ところで、私達は何をすればいいの?」

 

「私達は独断で兄様を探しましょう!」

 

怪盗服のままのデオンと真那は話し合って、士道捜索に動こうとするが、夢界に止められる。

 

「待ってくれ、2人はここで待機!」

 

「え!?」

 

「な、何ででいやがりますか!?」

 

デオンと真那が驚愕し、クルー達も気になりつつも手を動かす。

 

「2人は士道と連絡を取り、状況を見てから行動してもらう。ここも安全圏って訳じゃないからな。

言ったろう? この天宮市は既にDEMインダストリーの支配下。それはつまり、いつ仕掛けて来るか分からない状況って訳だ。

加えて、システムルームに攻撃した機械生命体の事がある。奴らがこのフラクシナスの事を知らせている可能性があるって事さ。」

 

「それなら、片方が残れば…」

 

「それも駄目だ。て言うか真那ちゃんさ、狂三ちゃんの一件の時に、既にラタトスクの存在を知っただろう?」

 

「はい。」

 

「どういう訳で調べたんだい?」

 

「そりゃ…権限を使って、あれやこれやと色々と…

───はっ! まさか!」

 

真那は気づいた。真那は士道の落としたインカムを調べ上げて、ラタトスク機関の存在を知った。真那本人が一つ一つ調べ上げた訳ではない。

それはつまり───

 

「真那ちゃんが権限を使い、指示に従って調べた職員がDEM側の人間で既に報告しているのさ。

士道が美九ちゃんとの初めての接触した時、ASTの者達はいつもと変わらない様子で精霊のみを相手にしていた所を推測すると…恐らくAST側はラタトスク機関の事を知らないんじゃないかな。

俺の読みでは、ASTとDEMは完全に仲良しこよしって訳じゃないんじゃないかな?」

 

夢界の読みは当たっている。ASTは市民を守るために精霊を排除しようと行動し、DEMは精霊を利用して何かを企てるために、精霊を捕縛する動きをしている。

 

「…すみません、真那のせいですね。」

 

「いいや、遅かれ早かれバレていたと思うよ? 敵さんだって馬鹿じゃないんだ。」

 

士道と同じ様に表情を暗くして責任感を強く感じてる真那に夢界は擁護する。

 

「…成程、敵は私達の存在を認知しているのね。」

 

「あぁ、だから慎重に行動に移さないとな。」

 

「それから、アンタは士道の味方って言っていたわよね?

なら、後でちゃんと話を聞かせて貰うわよ? 良いわね?」

 

琴里は圧を掛けるように問いかける。

 

「へいへい。」

 

夢界はそれにいつも通りの反応で返す。デオンは責任感を強く感じている真那を気遣いながら言われた通り、待機する。

 

フラクシナスのシステムが復帰する頃、士道はどうなっているのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとう、狂三。お陰で立ち直れた。」

 

夜、人の気配の無い天宮市内で、狂三に誘導されながら会話をしていた。

 

「でも、どうして助けてくれるんだ?」

 

「どうしても何も士道さんのお役に立ちたいと思ったからですわ。

決して、お願いを聞いて欲しいだなんて思っていませんわよ。」

 

どうやら狂三は狂三で目的があるようだ。

 

「…何か訳があるんだな?」

 

「ええ、勿論。

───DEMインダストリー。」

 

ピクッ

 

士道はその言葉に反応する。

 

「わたくしも、あの組織で知りたい事がありましたの。けれど、腐っても彼等は強大な組織。簡単には行きませんわ。

特にエレン・メイザース。彼女の実力は、わたくし達精霊を単騎で相手に出来るどころか、()()することが出来る実力者を有している。

世界最強の魔術師(ウィザード)は伊達ではありませんわね。」

 

狂三は分かりやすく説明してくれる。

 

「…エレン・メイザース。彼女が強いのはもう知っている。既に2回も戦っているが…全部、手を抜かれた感じだったからな。

本気の強さは桁違いなんだろう。」

 

「えぇ、彼女は非常に厄介な相手ですわよ。」

 

「狂三でも厳しい相手か。」

 

「きひひ、まぁ、他の方々とは違って捕まりはしませんけれど。」

 

狂三はエレンの実力を強いと評価しても、自分は負けないと誇張していた。

 

「…ところで、俺達は一体何処へ向かっているんだ? かなり歩いた気がするけど。」

 

士道と狂三が廃ビルから行動し始めて、既に数十分は歩いていた。

 

「もう直分かりますわよ。

───嗚呼、着きましたわね。」

 

「?」

 

狂三が立ち止まると、そこは見覚えのある場所だった。

 

そう、ここは『美九の家』であった。

 

「どうして、ここに? まさか、美九がここにいると?」

 

「それはないですわ。彼女はアリーナ会場で『天使』を使い、士道さんの大切な精霊(家族)に加え、更に多くの市民を手駒にして、士道さんを血眼になって捜索されておりますわ。」

 

「ハハ…」

 

士道は苦笑いをする事しか出来なかった。

 

「なら、何故、美九の家に?」

 

「DEMインダストリーに挑むのには戦力が必要だからですわ。

ですので、先に美九さんに支配された四糸乃さん達を取り戻すのが先決だと思ったからですわ。」

 

「それは確かに。」

 

「その為にも、美九さんの弱みを握る必要がありますわ。」

 

「弱み…」

 

狂三の意見に意義を申し立てたい士道だが、この状況では狂三のやり方のが正しいのだろうと、解釈する。

 

「それにしても…狂三はよく平気でいるな。情報を知っているって事は近くにいたんだろ?

なら、何で美九の洗脳を受けていないんだ?」

 

「あら? わたくしが彼女の歌声に心を奪われるような純粋に見えますの?」

 

「…可能性はあるんじゃないか? 狂三は優しいんだし。」

 

士道が頷くと、狂三は笑い始める。

 

「きひひ、きひひひひ!

士道さんったら、この状況でもわたくしを攻略(落とす)気でいらっしゃいますのね!

全く、油断なりませんわね。」

 

「え、あ、いや、そういうつもりでは言ったわけでは…」

 

「うふふ、冗談ですわ。士道さんが相変わらずお可愛いですので、つい揶揄いたくなりますの。」

 

「…」

 

狂三がクスクスと可愛らしく答えるため、士道も頬が緩み始めてしまう。

 

(…こんな時でも、狂三が可愛いって思っちまう。

いや、今は狂三に揶揄われている場合じゃない。気を引き締めないと。)

 

「そうですわね。気を引き締めて参りましょう。」

 

「え? 何で口にしてないのに分かるの?」

 

士道はキョトンとし始める。令音を筆頭に日頃から女性陣に士道の考えを読まれる事が多いため、疑問に思うばかりであった。

 

だが、狂三はそんな事なぞ機にもせずに美九の豪邸に入ろうとする。

 

「待った、狂三。迂闊に入ってくのは不味い。」

 

「あら?」

 

狂三は士道に手を掴まれて、可愛らしく首を傾げる。

 

「…よく見てくれ、街路灯の所々にカメラがある。ここは慎重に行こう。俺が先に行く。」

 

そう言って、士道はカメラの位置を気にしながら、外壁から美九邸に侵入し、気配を殺し、足跡を殺し、狂三にハンドサインをしながら玄関近くまで進むが、当然玄関にもカメラがあるため立ち止まる。

 

「(不味いな、どう行くか。)」

 

士道が迷っていると、後ろから来た狂三が士道の側に駆け寄って小声で耳打ちする。

 

「(こうすればよろしいのですわ。)」

 

そう言って、狂三は銃を取り出して、カメラを破壊する。

 

「お、おい!」

 

「あらあら、大声を上げてしまって宜しいのですの?」

 

「宜しくないよ!? でも、狂三さんのせいなんですよ!?」

 

「まぁ! 酷いですわ。わたくし、泣けてしまいますわ。」

 

「お、おい…」

 

狂三のペースに呑まれる士道であった。この状況をフラクシナスにいる琴里と令音が見たら、さぞかし機嫌を悪くするだろう。

 

「うふふ、士道さんを揶揄うのは楽しいですわねぇ。」

 

「…と、とにかく入るぞ。」

 

さりげなく士道はドアのロックを解除する。

 

「…士道さん。泥棒の才能がお有りでしたのね。警察なら捕まらないよう、お気をつけ下さいまし。」

 

「あの、引かないで下さい。盗人なんてしないよ。」

 

士道は冷や汗をかきながら、その様に言い訳をする。

 

(あれ? 琴里にも同じような事を言われた気がする。)

 

因みに、士道の中で『よしのん』を取り返すために折紙の部屋に侵入した事はやむを得ない事で盗んでいない判定であるようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美九邸に侵入し、長い廊下を歩きながら美九の弱みを握るために彼女の部屋を捜索し、部屋に入った。

 

(…こういうの、落ち着かないな。)

 

当然な事を思いながら、士道は部屋で何か手がかりを探し始める。その中で、士道はふとある事を思い出した。

 

「そうだ。狂三、俺はキミに謝らないといけないことがあった。」

 

「あら? 何ですの?」

 

「…屋上で戦った時に、狂三を怒らせただろ?

実は、それについて謝りたいって思っていたんだ。」

 

「…あぁ、その事ですの。」

 

士道は狂三との会話で過去に何があったのかを問い詰めた。だが、その事で狂三の機嫌を悪くした事に士道は罪悪感を抱いていたのである。

 

「まぁ、その事でしたら…特別に許して差し上げますわ。

何せ、今わたくし達が美九さんの弱みを握ろうと過去の記録を探っている訳ですので、わたくしも人の事が言えないのですわ。」

 

「…俺はまた、同じ事をやろうとしている訳だけどな…」

 

「そうですわねー。そう思うと、士道さんはデリカシーの無い殿方で確定になりますけれど…」

 

「うぐ…」

 

狂三に案にのって行動しているわけだが、皆んなを取り戻すために自分から進んでやっている訳で心が痛む士道。

 

「でも、これでわたくしと士道さんは共にいけないことをしている共犯者になりますわね。」

 

「…あぁ、今更だが、犯罪に手を伸ばしちゃってるなぁ…(泣)」

 

「…ふふ。」

 

狂三は士道の背中に体をピタッと押し付ける。それによって、狂三の柔らかいモノや狂三の良い匂いにより顔を赤らめる士道だった。

 

「え、えぇと、狂三さん!?」

 

「少しだけ、少しだけですのよ。」

 

「え?」

 

彼女の声が普段の彼女らしくないと感じた士道。

 

「わたくしには()()()()がありますの。()()()()を果たすためなら、どのような手段でも厭わないと。」

 

(目的? 手段?)

 

()()()()を知られるのはとても困りますの。これは、わたくしが背負わなければならないもの。だから、知ろうとして来るアナタが怖かったから、つい感情が昂ってしまいましたの。」

 

「…そうか。」

 

「ええ、そういう事ですの。だから、これで一先ずは終わりにしましょう。変に罪悪感を感じられてもこまりますもの。」

 

士道は狂三のことを聞いて、より彼女のことについて知りたいと思った。

…いや、()()()()()()()()()()()感じてしまった。

故に、狂三に再度聞こうとしてしまう。

 

「狂三、俺は───」

 

「それより、士道さん! コレを見てくださいまし!」

 

「ヘ?」

 

士道が急に明るくなった狂三を見ると───

 

それはそれは大変大きなブラジャーでありました。

 

「◎△$♪×¥●&%#?!」

 

あまりに衝撃的すぎるモノを見てしまい、士道は人語ではない言葉を発していた。

 

「凄いですわよ、わたくしのお顔が収まってしまいそうですわ!」

 

「お、おおい、それは不味いって! は、早くしまえって!」

 

「あらぁ? 士道さん、まさかの興味がありませんの?

わたくしのあんなに下着を見たがっていましたのに?」

 

「あ、あれは狂三が勝手にやったんじゃないですかー!」

 

「あら、興味ありませんでしたの?」

 

「いえ、あります。───じゃなくて!」

 

「あらあら、士道さんったら…えっち。」

 

「くぅっ…!」

 

士道は恥ずかしそうに赤面し、顔を手で隠し始めた。

 

「ほら、士道さんも付けてみてはどうです?」

 

「はいっ!?」

 

「あぁ…これは失礼しましたわ。『士織さん』も如何ですの?」

 

「げっ。」

 

士道は思わず、汚い返事をしてしまう。

 

「見られてたのかよ…」

 

「えぇ、えぇ、それはもう、大変お似合いでしたわよ。ですので…どうぞ。」

 

「女装はもう二度と御免だ!

…だから、俺に渡しに来ないでくださりませんか?」

 

「良いではありませんの、可愛い可愛い士織さんが…いえ、士道さんが恥辱に震える所を見せていていただければ…」

 

狂三が士道へとゆっくりと歩み、士道は迫って来る狂三から逃げるように後ろへと後退する。

 

「あら…?」

 

すると、狂三が足を躓き始めて倒れてしまいそうになる。士道はそれを察知して狂三を前から支えようとするも、体制を崩してしまい、後方へと倒れてしまう。それによって、運悪く後ろ戸棚が倒れてしまいそうになる。

 

「!」

 

それを士道は片腕で狂三の頭を守るように抱きしめ、もう片方の手で重い戸棚を倒れない様にした。しかし、衝撃によって戸棚から『何か』が狂三の頭部にめがけて落ちてくるも、士道の腕で守った。

 

「…っ、大丈夫か狂三!?」

 

「え…えぇ、士道さんのお陰で無事ですわ。」

 

心配する士道と士道に抱きしめられ、やや赤面する狂三。

 

「ふぅ…」

 

怪我をしなかった事により安堵する士道。そして、士道の服からでも分かる鍛えられた胸筋に顔を乗せる狂三。

 

「ふふ、逞しい筋肉ですわね。士道さん。」

 

「そ、そうか?」

 

「えぇ、以前よりも鍛えてなさるようで。」

 

(お、おい! く、狂三の体が思いっきりくっついているんですが!?

し、しかも、狂三から女の子のいい香りとかするんだけど!?)

 

士道が心中でどよめく中、狂三は胸筋を人差し指でなぞるように触る。

 

「…ひゃあ!?」

 

思わず変な声を上げてしまう、士道。

 

「ふふ。駄目ですわよ、士道さん。その様な可愛らしい声を上げられては、触り続けたくなりますわ。」

 

狂三が更に手で士道の胸筋をエロい感じになぞり上げる。士道は狂三の手慣れた手つきにピクピクと体を震わせる。特に士道から見て左側が特に弱く、そこの所はより体を震わせて、声が漏れていた。

そんな士道を見ていて楽しんでいる狂三だが、士道の頬に傷が出来ているのに気がつく。

 

「あら、士道さん。傷ついているではありませんの。」

 

「…へ、へぇ? あぁ…さっき何かが落ちてきた時、腕に当たった後に顔にも当たったからな。バンドエイド…は切らしたな。

まぁ、このくらい唾でも付けとけば大丈夫だろう。」

 

「ふぅん…そうですの。」

 

狂三は士道の顔まで近づいて、気づいたら所を舌で舐める。

 

「ひゃっ! く、狂三、何をしているんだあ!?」

 

「あら、先程ご自分で仰っていたてばありませんの。唾でも付けとけばと。」

 

「そ、そうは言っても…」

 

恥ずかしくて、更に顔を赤らめ、息が荒くなる士道。狂三によって今の士道の姿は正しく恥辱に震えている姿であった。

 

(お、おい、その舌の出し方とか扱いがとんでもなくエロいんだけど!?

…っ、が、我慢だ! 我慢しなければ…!!)

 

「…」

 

狂三はその必死で耐える姿を見て、何かに目覚めそうになる。

 

「(嗚呼、不味いですわ。このままですと、わたくし…本当に理性が飛んでしまいそうですわ。)」

 

最後に残った理性が何とか自分を制御しようと動く。すると、士道の横に戸棚から落ちてきた『物』に目が写る。

 

「あら?」

 

それによって正気に戻る狂三。それを手に取って愉快そうな顔になる。

 

「士道さん。どうやら、お目当てが見つかったかも知れませんわよ。」

 

「ぇ…ええ!? 本当か!?」

 

「うふふ、コレを。」

 

そう言って狂三は士道に見せる。それは『宵待月乃』と記述されたCDだった。

 

「…美九、だよな?」

 

「えぇ、そうですわね。」

 

狂三はCDプレイヤーに入れ、曲を流し始める。

 

『〜〜〜♪』

 

「───あ。」

 

士道は流れる曲と声に聞き覚えがあった。

小学生の頃、虐められた後、帰宅した時にふとテレビを見てその子の声と笑顔に癒された事だった。

 

「そうだ。この曲。昔、聞いた事がある。」

 

「あら、そうですの?」

 

「あぁ───っ!」

 

更に士道は思い出す。美九に出会った時、聞いたことのある声だと。

 

「そうか…でも、これが一体?」

 

「ふふ、ではその答えを知るとしましょうか。」

 

狂三はCDを取り出して、それを自分の頭にへと向け、更に銃を当てる。

 

「刻々帝(ザフキエル)」

 

狂三は自身の天使『刻々帝(ザフキエル)』の発現させ───

 

「【十の弾(ユッド)】」

 

能力を使用(発砲)した。

 

「…っ、狂三、何をしたんだ?」

 

「きひひ、【十の弾(ユッド)】は撃ったモノに込められた記憶や体験した事をわたくしに伝えてくれる弾ですわ。」

 

「刻々帝…色々出来て凄いな。」

 

便利すぎる力だなと士道は思った。 

 

「さて───士道さん?」

 

カチッ

 

狂三は銃口を士道へと向ける。

 

「!?」

 

「次は、士道さんの番ですわ。」

 

ダンッ!

 

咄嗟の事で反応に遅れる士道と、即座に放つ狂三。

彼女の敵意のない行動に士道は狂三の発砲をその身に受けた。それによって、【十の弾】による効果が発動する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『宵待月乃』

 

誘宵美九が以前に芸能界で活躍していた頃の芸名である。彼女は幼少期から歌う事が好きな女の子だった。

容姿も良い事もあって、彼女はアイドルデビューに成功し、様々な業績を上げ、人気を手にしていた。

彼女の人生はまさしく謳歌していた。

 

…だが、そんな彼女に『人間の悪意』が襲いかかる。

 

彼女に目をつけた『男』が美九の体を目当てに接待を要求した。

 

美九はその申し出を拒否した。その事により、腹を立てた『男』は美九に様々な濡れ衣を着させ、彼女のアイドル人生を台無しにしていった。

それにより、美九の人気は下落し、周りにいた味方は離れて行った。

名誉改善の最後の一手で、ステージに立つも、多くの人間による批判が殺到した。それによって、彼女は声が出なくなってしまう。

これにより、美九は『人間の悪意』によってアイドルとしての人生を失い、声を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…っ。」

 

士道は一瞬の情報によって体がよろめく。

 

「これが…美九の過去か。」

 

「えぇ、美九さんは人間の浅はかで醜い悪意によって、人生を狂わされたという訳ですわね。」

 

「…」

 

「所詮、人なんて自分勝手な生き物。これが現実ですわね。」

 

「…そうだな。」

 

メガネを曇らせている士道を見る狂三。

 

「あら、意外にも動じないのですのね、士道さん。」

 

「…人の醜さなら、俺にだって理解している、ただそれだけだよ。」

 

「…そうですの。」

 

「美九の気持ちはよく分かったし、理解できるよ。

───ただ、彼女のやっている事は間違いだ。」

 

士道はキッパリと言い放った。

 

「それは、何故?」

 

狂三は士道の意見を問う。何を思って、『間違い』だと言い切るのかを…

 

「それは───」

 

士道が答えようとすると、窓が揺れる。いや、彼女の力が天宮市内全体に影響が及ぶ。

 

「これは…!」

 

「あらあら、随分と派手にやりますわね。」

 

狂三は平然としていた。どうやら本当に彼女には美九の力の影響が無いようだ。

 

「士道さんのご意見を聞きたい所ですけど、事態は一刻を争いますわ。」

 

「あぁ、行こう。美九の元へ。」

 

士道の眼差しに狂三はスカートの裾を上げて答える。

 

「えぇ、喜んで。」

 

士道と狂三は急いで、美九邸を後にする。

 

 

 





・実は自分原作を昔に売っぱらってしまったため、原作の方ではちゃんと細かな部分の伏線回収しているのか分からないですが、アニメではご都合主義なのか、話が進んでる印象があったんですよね。
何処からラタトスクの事を知ったのか触れてなかった気がするから自分なりにまとめてみました。もし、原作やアニメでちゃんと筋が通ってるとしたら、自分がニワカってるだけです。はい。

・そして、狂三との会話では結構考え悩みました。士道くんの超直感で狂三を見抜いた事に関しての今現状のアンサーを描きました。あくまでも、誰も気づくだろう目的があるとだけ伝えておくという流れに持ち込みました。
正直、自分の言語能力が乏しいのがここに来て響いているなって、伏線回収下手くそだから簡単にしろよって思いました。はい。

・因みに、士道くんのデリカシーの無い所はこの後も出ます。何となく気づいているかとは思いますが、変身を得意とする子の回ですね。まぁ、まだ先の話なので、そいやー、そんな事を言ってたなー程度で思っていて下さい。



…ていうか、今回伏線回収話の様な感じになっちゃいましたね。


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