今更だけど、士道くんの必殺技っていっぱい浮かんで、まぁ大変。
自業自得であるけどさぁ…沢山技があるってロマンじゃないです?
「まだ見つからないのですか?」
ある部屋で、不機嫌な表情の美九が自身の『天使』で支配している一般人男性達に問う。
因みに、美九と男性達にはかなりの距離があった。
「す、すすすみません、美九たん!」
「奴さん、何処に身を隠しているのか、分かんないっす!」
男達はそう告げる。
美九は心底呆れた顔をしていた。
「全く、男はこれだから駄目で使えないんですよ…」
美九がそう言うと、脳裏に
思い出せば思い出すだけ怒りが込み上げてくる。
すると、側に洗脳しているメイド服の四糸乃が飲み物を持って駆け寄る。
「あ、あの…お姉様、落ち着いて下さい。」
「あらー! 私の為に、その服装と飲み物を用意してくださったんですかぁー!」
「は、はい。」
「あーん! 嬉しいですぅ!」
美九はそんな四糸乃に引っ付いて、頬ずりをする。
それにより、飲み物を溢してしまうもどうでも良い。
「ふっふっふ。姉様よ、こっちでは疲れている姉様を癒すためにマッサージベットを用意したぞ。」
「誘惑。夕弦達が精一杯マッサージをします。」
「あーん! 最高ですぅ!」
彼女に支配されている四糸乃、耶倶矢、夕弦は美九の為に奉仕をしていた。
「(うふ、うふふふふ。
あーんもー、最っっっ高ぉぉですぅぅ〜。
こんなにも可愛い女の子達に奉仕されていい気分ですぅ〜。
あの男には勿体無い子達ですぅ、精霊だからそこいらの子と違って
美九は恍惚した表情でいた。
「(私の『天使』破軍歌姫(ガブリエル)。
何て素敵な力なんでしょう。
改めて、この力をくれた
この力があれば、私は何だってなれる。
永久不滅のアイドルに、いえいえ、アイドルだけではありません。この国の女王様にだってなれちゃいますぅ〜。
うふふ、うふふふふ!!)」
そして徐々に恍惚した表情は更にエスカレートしていく。
「いい機会です。この子達以外にも、女の子の精霊を全部私の『物』にしちゃいましょう!
そして、この国を手に入れた暁には穢らわしい男達はみーんな、奴隷にしちゃいましょう!
破軍歌姫があれば、この力があれば!
私は! 私は!!
もう、誰にも裏切られない!!!」
美九は天井に向けて、手を開いて喝采を上げていた。
その表情は笑っていたが、同時に
ドンッ!
「てーへんですっ! お姉様!」
強く扉を開けて入ってくるのは四糸乃達と同じメイド服を着ていた3トリオだった。
「んも〜、どうしたんですかぁー?
良いところでしたのにぃー。」
「五河くんが見つかりました!」
「っ!?」
その言葉の意図が分かり、美九は驚き、険しい表情をした。
「ようやくですか、『五河』というのですね。
それで?何処で、誰が見つけたんですか?
女の子でしたら、私が可愛がってあげます。
男でしたら…まぁ、金平糖の一粒くらいあげてもいいでしょう。」
美九がそう言っていると、3トリオは複雑な顔をしていた。
「どうしたんです?」
「そ、それが、誰が見つけたというか…」
「多くの人が見たというか…」
「…ここに現れたというか…」
「……どういう事ですか?」
思わず聞き返す美九。
彼女は散々時間掛けて探すように命令したのにも関わらずにいた事に苛立っていた。
そして、やっと見つかったと知りどこへ隠れていたのかと思っていたら、まさかのここ…天宮アリーナ内のど真ん中にいたとの事であったと…
◇◇◇
「あの…狂三さんや?」
「はい、何ですの? 士道さんや?」
「『美九の元へ行こう』っと言って、会話しながら来たけど…」
士道は周りに囲まれた状況を見て…
「まさかの正面突破とは聞いていませんが!?」
「あら? 何かいけませんこと?」
「いやいや、何で敵陣地に堂々と構えるんだよ!?
こういうのは、密かに忍び込んで行くもんだろ!?」
「そうは言いますけれど…皆様を相手にコソコソと美九さんとご対面出来ると思いで?」
狂三が『皆様』と指差して告げる。
士道がその方向へと顔を向けると、美九の支配下にある四糸乃、耶倶矢、夕弦がメイド服で限定霊装の姿で構えていた。
「し、士道さん。」
《うっひゃー!
コソコソと来るもんだと思っていたけど、まさか堂々と来るとはねー。
しかも、狂三ちゃん連れてるし。》
「呵呵々、忍び込んで来るかと思いきや…
堂々と来るではないか、士道よ。」
「嘆息。夕弦達を甘く見過ぎです。
それはそうと、そちらの方は誰ですか?
それと、どう言った関係でしょうか。
返答次第ではキツいのをお見舞いします。」
どうやら、皆んなは士道が陰に潜んで侵入して来るものだと考え、美九のご機嫌取りがてら護衛をしていた様だ。
「…クソ、共に特訓したから手の内バレているんだった…
しかも、ちゃっかり忍び込んで来る事を想定していたみたいだし。」
「あらあら、士道さんったら。
ある意味信用されつつも、信用されていませんわねー。」
士道が忍び込んで来ることを理解しつつ、それを見越して護衛していた。
という意味で狂三は答える。
そして、士道は狂三の考えが正しいと分からされ、項垂れる。
「やっと姿を現しましたね。
士織さん…いいえ、最低男の『五河』さん?」
項垂れていると、ステージの上から美九の姿を現した。
「…うわー、分かってはいたのは当然だけど、女の子に今すぐにでも殺しに来ますよと言わんばかりの凄い殺気にまた、逃げ出して泣きそう。」
「そこは踏ん張ってくださいまし、士道さん。
───それはそうと、夕弦さん(?)で宜しかったでしょうか?
私が誰なのかについてと、士道さんとのご関係でしたら───」
むにゅ
大勢の人の前で、士道に想いを馳せる乙女達の前で、狂三は士道の鍛えられた逞しい細腕に胸を押し付けて、密着して見せる。
「わたくしは狂三と申しますわ。
士道さんとは少々、淫らな事をした仲ですわ。」
狂三はわざとらしく頬を赤く染め上げて、雌の顔をする。
そして、士道はというと───
(あ、あのぉ!? く、狂三さぁん!?
当たってる! 当たっているのですが!?)
赤面し、鼻の下を伸ばし、満更でもない姿であった。
この男は相変わらずこの仕打ちだった。
もう少し、女慣れして欲しいと思うばかりである。
その様子を見ていた四糸乃達の機嫌が悪くなる。
その様子は普段の彼女の時が如く、美九のためではなく、嫉妬を向ける眼差しであった。
「…ひっ!?」
たまらず悲鳴を上げる士道であった。
「あらあら。」
ペロリと嘲笑う狂三。
そして、美九は男と女のやり取りをしていて、気分を損ねる。
「私の前でまた堂々とイチャつくなんて、気持ち悪いですよぉっ!!
───ていうか、その子も可愛い子じゃないですかぁ!!
そのドレスも素敵ですぅ! ねぇ、そこのアナタ。
【そんな男よりも、私の方が良いですよね?】」
美九が士道(男)とのイチャ付きを心底気味悪くするも、狂三の方は極上の美女の為、『天使』を使って洗脳し始める。
だが───
「あらあら、その様な
ただでさえ、わたくしは歌なんかに心を踊らせたことすらもないというのに、鬱陶しいたらありませんわね。」
狂三は心底鬱陶しそうにしながら手でシッシッとやっていた。
「まぁ、士道さんの歌は悪くありませんでしたわよ?
ただ、そのお声がわたくしによって悲鳴になってしまえば、より完璧でしたのに…」
「何言ってんの!?」
思わず叫ぶ士道であった。
「くっ…あの子に私の声が聞かない?
…そんな事はあり得ません。
あってたまるものですか…っ!
【捕えて! あの男とあの女を今すぐに捕らえて下さい!!】」
美九が必死な声で命令し、四糸乃達全員が一斉に襲いかかる。
「くっ…! この数は流石に───」
士道が汗をかくも、一瞬で汗が引いた。
「きひひ! さぁ、さぁ! 始めますわよ!
───刻々帝(ザフキエル)!!」
狂三が『天使』を顕現させる。
「さぁ、始めるとしましょう。
『わたくし達』?」
「きひひひひ!」「さぁ、始めましょう!」
「楽しくなってきましたわ!」「昂りますわ!」
狂三の影から、狂三の分身体達が大量に飛び出し、一般人達を力ずくでねじ伏せて、四糸乃達と戦闘を開始した。
「さて、お次はこれですわ。
喰らい尽くせ───【時喰みの城】。」
狂三が手を掲げ、影が大きく展開し始める。
これは以前、狂三が来禅高校で行った、人間から寿命(時間)を吸い取る能力。
これにより、この場の人間達は息苦しくなり、倒れ始める。
「おい、これは流石に…って、そうかコレが狙いで正面突破を選んだのか?」
「えぇ、正解ですわ、士道さん。
こうすれば苦戦する事なく、美九さんとお話が出来ますわよ?」
「…あの時みたいに、無関係な人達を苦しめさせないでくれ。」
士道にそう言われ、狂三は分かっていた様に肩をすくめて答える。
「…まぁ、士道さんはそう言うと分かっていましたわ。
だから予め、少量の時間を吸い取る様に心掛けていましたわよ。」
「そうか…分かった、これ以上は何も言わない。
お陰で助かってるしな。」
「えぇ、士道さんならそう言ってくれると信じていましたわ。
けど───」
ガシャンッ! ブォォォォンッッ!!
氷と風の攻撃が士道達に容赦なく襲う。
狂三は士道の肩を持って回避する。
「四糸乃…耶倶矢…夕弦。」
3人は、さっきの狂三とのやり取りで本気で仕留めるかの様に攻撃して来た。
「あらあら、相当嫌われてしまいましたわね、士道さん。」
「うぅ…」
「きひひ! まぁ、安心して下さいまし。
今はわたくしが付いておりますわよ?」
「きひひひ!」と声を発しながら分身を出現させ始める狂三。
「…とはいえ、相手は士道さんに霊力を封印されているとはいえ、3人の精霊を相手にするのにはやや骨が折れますわね。」
再度、肩をくすめる狂三。
「…けど、やるしかない。
俺は一人になったら何も出来なくなるどうしようもないチキン野郎だけど。
今は、狂三、お前がいる。」
「ええ、頼りにしてもらって構いませんわ。」
「なら、取り戻す為に戦うさ!
───ペルソナッ!」
決心がついた士道は変身ポーズを取って、己が力を解放する。
黒い炎に身を包んで、黒い怪盗服を纏い、丸メガネがマスク(仮面)へと変化し、『ルパン』となった士道!
「行こう、狂三。」
「えぇ、存分に踊りましょう?」
士道は赤い手袋をはめ直し、狂三は2つの拳銃をクロスさせる。
最初の戦いが幕を開ける。
◇◇◇
時は少しだけ遡る
「おいおい、何の人溜りだ?」
アリーナの一つの場所に一斉に人が向かい始めて、様子が気になって後を付けて行くのは天宮翔太。
障害物の陰に隠れながら円状に囲っている状況を見る。
「…何だ? 何かを囲ってるのか?
───ん? アレって人影が2人か? 誰だ?」
目を細めて、じっと誰を囲んでいるのかを覗く。
すると、その人物を見て驚く。
「…おいおい! 何で士道が囲まれるんだ!?
まさか、連中が血眼で探してたのって士道の事だったのかよ!?」
驚きが隠せなかった。
「ん? その隣は…アレって士道のクラスに転校して来た時崎か?
何でアイツが?
しかも、体調悪くしてるとかで長期連休を取ってるって聞いてたけど…
あの格好といい、全然そんなの嘘じゃねぇか。」
狂三のコスプレドレスの姿を見るも、次第に気分を損ねるかの様な顔をする。
「おいおい、年季が遅れた年増の派手なコスプレとか需要ねえから…って、っ!? おお!?
あの子はあの時見た、天使!
しかもメイド服とか神じゃないか!!」
四糸乃のメイド服を見て興奮する翔。
※因みに、彼が喋っている声は小声ながら大きく叫んでおり、かつ誰も気づいていないので問題ない。
「後は…何だ、百合姉妹のメイド服とか見てて萎えるから天使たんから離れてくれ、頼むから。
…ん?
アレは…確か、竜胆寺女学院の…誘宵美九だったか?
何だってあんな偉そうなんだよ?
しかも、士道の奴になんかやたらとキレてないか?」
士道(アイツ)の女性関係について色々と言っとくべきか…と思っていると、狂三が叫び出して、自分とそっくりなのが大量に現れて、周りの人達を襲いかかった。
「何だ…っ!? 時崎が増えた!?
しかも、何だよあの怪力!
あんな細い腕でどんなパワーを出してるんだよ!?
あり得ねぇ…」
狂三の分身体という摩訶不思議な現象を見ると、次はたちまち苦しくなってきた。
「!? ぐっ…がぁ…こ、これっ…て、あの…時の…と…同じ…」
一瞬の事だが、覚えている。
授業中に突如として自分を含めた生徒達が一斉に倒れてしまった事を、しかも自分も一瞬で倒れ込んだしまい、目が覚めたら夜で自分の所の病院のベットで寝ていた事に。
「ぐっ…で、でも…何で…
今度は…苦しいだけで…意識が完全…保ててるんだ?」
あの時と変わらない…
いや、明らかに弱いって事に気づいただけでなく、フラフラながらも立てる感じだった。
「んだよ…これ…!?
っ!? 今度は吹雪か!?」
まだ9月上旬。
夏の暑が残っており、明らかに真冬の…北極じゃないかと思うくらいの吹雪に驚愕する。
「何が何…っ!? あ、アレは!?」
次に視界に映るのは巨大な兎に乗っかって、冷気を放つ四糸乃(天使)と、謎のデカい槍とチェーンの様な武器を握り、風を放つ八舞姉妹だった。
「…お、俺は…夢…でも…見ている…のか?」
情報量の多さに頭がパンクして来た。
こんな事は今までに経験した事が無かった分、衝撃は強かった。
「…っ、士道の奴…大丈夫なのか
───って、士道?」
最近とはいえ、前から話が気軽に出来て、ほっとけずにいた為に声かけて友達となった士道が叫んで、変身ポーズを取って、黒い炎に包まれ、黒いコートを羽織り、メガネからドミノマスクを付けた士道の姿を見て、頭が真っ白になりかける。
「どうなってるんだよ…何が一体どうなってるんだ?」
ただ一言…そう呟きながら、異常事態を陰でこっそりと見ていた。
◇◇◇
「何カッコつけているんですかぁ?
そんな事したってアナタ達の劣勢が変わる事なんてあり得ないんです!
さぁ、捕らえてください!」
「…お姉様の命令、です。
だから、凍ってください!」
《観念しちゃいなよ!》
美九の命令に四糸乃が飛び出し、士道達に目掛けて氷を展開し、円上に氷の障壁が囲い迫る。
「これは…っ!」
「何ですの?」
「『氷結の塊(アイス・ボール)』。
分厚い氷塊に閉じ込める技だ!
そう来るなら───っ!」
士道は狂三に目を向けて告げる。
「狂三! 出来るだけ、近くにいてくれ!
───炎舞(フレイム・ダンス)!」
士道は踊りながら逆立ちになって、炎を生み出して炎の渦を発生させる。
回転する炎が周囲の氷を溶かし、打ち払われていく。
「きゃっ!」
《うわぁぁぁ!!》
四糸乃とよしのんは炎に包まれ、吹き飛ばされる。
(すまない…四糸乃、よしのん。)
体制を戻す士道は心の中で謝罪する。
(しかし、琴里の炎は発現できた。
という事は皆んなとの経路(パス)は繋がったままなんだな。)
士道は一つの確信を得た。
だが、そうしている間に次の攻撃がやって来る。
「くくく…我が颶風の巫女たる真髄をその目に刻め!」
「同調。他の女に現を抜かす士道にはお仕置きを差し上げます!」
「いいっ!?」
耶倶矢と夕弦から容赦なく敵意をしようとする。
特に夕弦は先程のやり取りの様に狂三に現を抜かしていると勘違い(?)をしているため、耶倶矢よりも敵意を向ける。
「(あらあら、片方の…耶倶矢さんからはともかく、夕弦さんからは明確な嫉妬を向けておられてますわね。
───と言うことはつまり、美九さんの『天使』による洗脳はあくまで美九さんを第一にするだけにあたって、士道さんへの想いは消えていないと言うことですわね。
ならば、皆様の洗脳を解く事ができる可能性が高まりましたわね。)」
狂三は冷静に士道達を見て分析していた。
「くらえ!」
「連携。えいやー!」
2人が風による攻撃を放ち、士道達の動きを制限させる。
そして、2人は風を手中に圧縮し、螺旋状の球体を生み出し、それぞれが士道達に放つ。
「「旋風の弾丸(エアー・バレット)!!」」
ズドンッ! ズドンッ!
「ヤバイ! アレが被弾したらその辺りが消し飛ぶ!」
冷や汗をかいた士道が危機を感じて叫ぶ。
今度は狂三が銃を素早く向けて発砲する。
ダンッ! ダンッ!
霊力が籠った弾丸は二つの風の弾丸に被弾し相殺する。
「きひひ! 士道さんばかりに良い所を取らせませんわよ。」
「…流石だな。」
2人は会話しながらも連携して、襲いかかる四糸乃達を相手にしていた。
そんなやり取りをしている士道と狂三を見ていた美九は、2人の力を目の当たりにして、苦い顔をする。
「何なんですかぁ?
何で精霊の3人で掛かっているのに、やられない所か、コッチが押されてるんですかぁ?」
現状を見て、美九は戦慄していた。
ドレスを着た精霊が『天使』を使用して洗脳した一般人(先兵達)を軽々と圧政し、四糸乃達に限っては1人の男が謎の力を使って精霊を相手に苦戦することなく相手していたことに。
「…ふぅ。」
途中、士道は深呼吸して何か決意をした。
「どうしましたの? 士道さん?」
「…狂三。これから俺が、皆んなに攻撃を仕掛ける。
だから、その間に手筈通り美九を抑えてくれ。」
「それは構いませんけど、何をしますの?」
「見てろ。」
士道は黒の咆哮(ブラック・ロアー)で宙にいる四糸乃達にワザと当たらない様に放つ。
四糸乃達は一ヶ所に固まりだす。
それを見越して、士道は交戦している間に仕掛けていた黒の鞭(ブラック・ウィップ)の罠を発動する。
鞭をワイヤーの様に扱い、大きく振り上げると、建物を介して宙の四糸乃達を拘束した。
「あら、お見事。
しかし…それでも、直ぐに霊力を使って脱しますわよ?」
「分かってる。行くぞ、アルセーヌッ!」
士道はアルセーヌを顕現させる。
そして、青い炎を燃え上がらせ、次第に青い炎は『波打つ水面の様な青い炎』に変化させ、四糸乃達に放った。
「時雨の波紋(ブルー・ノヴァ)!!」
水の様になった炎は四糸乃達やその辺りを呑み込む様に広がり、まるで時が止まったかの様に四糸乃達は動きが鈍くなり、固まっていた。
「…っ!」
《して…やられちゃった…ねぇ…》
「や…やられちゃったし…」
「消沈。これでは…」
四糸乃達は黒の鞭も合わさって身動き出来なくなり、無力化に成功する。
「…あらあら、凄いですわね。
一体、どう言った原理ですの?」
狂三からの問いに士道は答える。
「…アルセーヌの『青い炎』には二つの種類がある。
一つは、この『蒼炎』。
コレは攻撃に特化した炎で、今までの戦いで使用していたのがこの炎で、黒い炎よりも高熱で、高い攻撃力を持っている。」
士道は左手に『焼きつく様な青い炎』である『蒼炎』を発火させて狂三に見せ、次に右手に『波打つ水面の様な青い炎』を発火させる。
「もう一つが、この『鎮静の炎』。
コレが本来の青い炎で、水の様なモノへと変化ができて、この炎は力を抑制させる性質を有している。
それによって、四糸乃達をあまり傷つける事なく行動を限りなく停止に近づけさせてたんだ。更に黒の鞭で建物を利用して、拘束すれば効果は大きい。」
夏休みにもう特訓をした故に理解し、会得したアルセーヌの炎。
この時にアルセーヌの力を完全に把握したと言って良いだろう。
フラクシナスの主砲『ミストルティン』の光線を相殺出来たのは、『蒼炎』に『鎮静の炎』を加える事により、より強い力なったのと、抑制の力によって光線を弱らせたのである。
「…そうですの。」
「とはいえ、できる限り、力は温存しておかないといけないから、直ぐにその炎は鎮火するけど。」
狂三は理解すると、次第に「きひひ!」と笑い始める。
「やはり素晴らしいですわ、士道さん。
いずれ、その力もわたくしのものにしてみますわ。」
「…」
士道は狂三が改めて士道を『食べる』の意味を込めた言葉を受け、頬に嫌な汗が流れ始めた。
「まぁ、それはいずれまた。
今は次の行動に意識を集中させて下さいませ。」
狂三がそう言いながら駆け寄ると、分身達が美九を拘束した状態で士道と狂三の元へと寄って来る。
「んん! んんんんっっ!!
(ちょ! 何をする気ですか!!)」
「…早いな。」
「行動が早い事にこしたことはありませんわ。
───さて、準備は宜しいですか?」
「頼む。」
「ではご武運を、おそらく時間はそう取れないと思いますので、お早めに。」
狂三からの忠告に士道は頷く。
それにより、狂三がパチンッ!と指を鳴らす。
すると、士道と美九は狂三の足元から展開された影の中へと呑み込まれた。
◇◇◇
「ぶはっ!」
拘束が解かれ、周りが真っ暗な空間の中、美九は呼吸を整える。
「何ですか、ここ?」
「…狂三の影の中だよ。
詳細はよく分からないけど、一種の結界だよ、多分…俺も初めて入るわけだから、何とも言えないけど。」
困惑気味な声で美九の疑問に答えるのは、同時に呑み込まれた士道であった。
「…っ!?」
美九は突然、背後に現れたと感じた士道を警戒する。
まるで、その姿は以前から感じ取っていた、
士道は敵意を無いことを証明するため、変身を解き、男の学生服である姿に戻る。
「キミに危害を加える気はない。」
「そんなの嘘に決まってます!」
「本当だ!」
士道は真剣な眼差しで美九を見つめる。
美九は何処か敵意がないと感じたのか、自信には精霊としての力があるからか、少し警戒心を緩める。
そして、士道は美九に告げる。
「美九、お願いがある。虫がいいとは思うけど
───四糸乃達と一般人の皆んなを解放して欲しい。」
◇◇◇
「さて、交渉が始まった様ですわね。」
ステージの上にある照明の上に立ち、【時喰みの城】の中、自身の分身体達に制圧されつつある一般人達を見下ろし、身動き取れにくい中、必死に解こうとしている四糸乃達を交互に見つめながら、影の中で交渉を始めた士道達の様子を声だけを拾いながら聞いていた。
「上手く行くでしょうか?
美九さんはそれ相当の理由がお持ちですので、上手くいくとは思えませんけど…」
狂三の側に、自身の分身体が駆け寄りながら、そう呟く。
「さぁ…それもまた、士道さん次第ですわ。」
その問いにそう答える狂三。
そして、狂三はこの優勢の中でも、警戒心を回り全体に向けていた。
そして───
ドクドク…ドクトク…
ジュクジュ…ジュクトク…
『奴ら』はやって来た。
辺り一体の空気が重くなる。
気味の悪いオーラを放ちながら、『奴ら』は地面から湧き上がる様に出現し始めた。
「来ましたわね…っ!」
狂三は再度銃を出現させ、強く握りしめる。
狂三が警戒してたのは『奴ら』が間違いなく現れると、士道と話し合って分かっていたからである。
そして、狂三は覚悟を決めて、『奴ら』…シャドウへと攻撃(発砲)し始める。
「きひひ! さぁ、本番はここからですわ!」
狂三は照明を強く蹴り、戦場へと赴いた。
・…美九が完全に悪者キャラで進みすぎてる気がする。
美九には関しては決して嫌いなキャラではないです。好きなキャラです!
デアラのヒロインに嫌いなキャラはいねぇ!
寧ろ、良いペイペイ!(意味深)キャラだと思ってる。
ヒャッホー!
………んんっ!
まぁ、だけど物語の進行上悪いキャラに進んでっちゃう…
けど安心して欲しい。我らが士道くんはちゃんと攻略するよ!
…ただし、色々とぶっ飛んでる流れにやってしまうけどね。
・補足、士道くんが四糸乃達に放った技は家庭教師REBORNの山本の技、時雨蒼燕流総集奥義 時雨之化(じうのか)です。
あの技、一回しか使われてないけど、強い技で士道くんに使わせないと思ってましたので、ここで初披露。
ホント、REBORNのリングと炎を使用した戦いって何年経っても好きだなって思いました。
ホント、厨二心くすぐるよ、最高!
・四糸乃のさりげなく出た新技は、ONE PIECEの青キジの技、アイスBALLです。
絶対に使わせたいからここで初披露となりました。
・耶倶矢と夕弦が放った技は、イナイレGOのエアーバレットです。
あの技もシンプルで良いよね。
今更だけど、イナイレの必殺技って蹴り技以外で殺傷技のある技があって本当の意味でサッカーじゃねーじゃんっ!て思う時があります。